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ドコモと富士通、LTE商用網でエッジコンピューティングの実証実験に成功

コアネットワークに負担をかけず高画質動画の配信や映像解析を実行

 NTTドコモと富士通、富士通研究所は、「5G」世代で活用が見込まれるモバイルエッジコンピューティング(Mobile Edge Computing/MEC)技術について、LTEの商用網に接続した実証実験を実施し、成功したと発表した。

 実証実験は栃木県真岡市で9月7日と8日の2日間に実施された。ドコモのLTE基地局に、富士通と富士通研究所が開発したMECシステムが接続され、サービス提供を見据えた実験として、「高画質動画の配信」「LTEとWi-Fiの接続先制御」「映像解析による人物検知」の3つの実験が実施された。

 エッジコンピューティングとは、よりユーザーに近い位置(=エッジ)にサーバーやストレージなどを配置してデータ処理を行う概念及び技術で、遅延の低減や負荷分散が見込まれる。モバイル網では、スタジアムなどでの動画配信や、映像解析を伴う防犯カメラを使ったセキュリティサービスなどで活用が見込まれている。

 「高画質動画の配信」の実験は、LTE基地局を通じて20台のスマートフォンに同時に配信された。MECシステムはコアネットワーク回線に負担をかけないため、ネットワークの帯域不足による遅延が低減され、安定した動画配信が可能になるとしている。

 「LTEとWi-Fiの接続先制御」の実験は、LTE基地局とWi-FiアクセスポイントをMECシステムに接続し、高画質動画を配信するというもので、富士通研究所の制御技術により、無線の混雑状況を把握しながら、LTEとWi-Fiを最短0.01秒の遅延で切り替えながら配信できることが確認された。

 「映像解析による人物検知」は、ネットワークカメラで撮影した映像をMECシステムで解析するというもの。富士通の技術により、特定人物を短時間で検知することに成功した。MECシステムを活用することで、コアネットワーク回線に負担をかけることなく映像解析サービスの提供が可能になるという。

ドコモと富士通、LTE商用網でエッジコンピューティングの実証実験に成功