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沖縄に5Gをいち早く導入していきたい――ドコモが沖縄でセミナーイベント開催
2017年10月31日 14:58
NTTドコモは、沖縄県那覇市で30日に「ICTセミナー in 沖縄」を開催した。地元の市長や企業、関係者が招かれ、ドコモが沖縄で最先端の通信技術の導入に取り組んでいくことや、沖縄の観光や農業などが通信技術で飛躍的に便利になる様子がアピールされた。
ドコモがこうしたイベントを沖縄県で主催して開催するのは初めてとのこと。セミナー参加者は自治体関係者や地元の企業が中心とあって、技術的な解説よりも、次世代の通信技術や導入が始まっている最新の技術で、沖縄の地元産業がどういったふうに便利になるのかが紹介された。イベントでは小規模ながら展示コーナーも用意され、首長をはじめ集まった多数の地元関係者は、最先端の事例やデモを熱心に見て回っていた。
沖縄を先端技術の実験の場に
本誌では、NTTドコモの法人部門のトップである、NTTドコモ 取締役常務執行役員 法人ビジネス本部長の古川浩司氏に、現地で話を伺う機会も得た。ドコモが沖縄で先端技術の導入に取り組む背景などを聞いた。
古川氏は、沖縄県を今回のセミナーイベントの開催地に選んだ背景について、IoTやAI、5Gなどの技術の発展によって、これまで想像もできなかったようなことが実現できるようになったことや、ドコモが「+d」として進めている企業とのコラボレーションが背景にあるとし、さらに沖縄には新しいものを積極的に取り入れていく「進取の気性」があり、出生率が全国平均よりも大幅に高いなど“成長エリア”である点を挙げる。
古川氏は「沖縄は最先端のインフラを取り入れるのにはうってつけのエリア」と期待を寄せ、「最先端の技術を沖縄から取り入れていきたい。5Gなどの実験の場にできれば」と意気込む。
これは、5Gなど先端技術を最初に導入していくエリアとして、首都圏や東名阪の大都市から始める従来のやり方に加えて、沖縄を“最初のグループ”に入れていくことを指しているという。
実際に、「5G Tokyo Bay Summit 2017」で概要が明らかにされていた、5Gの身近な事例を詰め込み、車内で体験できるバス「5Gデモバス」も、沖縄に早い時期に持ち込んで、沖縄での取り組みを県民にアピールしていくことを検討しているという。
沖縄の自治体にとっては、主要産業である観光をどう発展させていくかというのは主要な課題になっている。例えば、5Gの通信インフラとVRを活用した遠隔地へ情報発信は、沖縄でも注目を集めているという。教育分野でも、タブレットなどを利用し、海外を含めた遠隔地とコミュニケーションを図ることで、離島の人口の少なさを補うような施策も模索されている。
観光以外でも、マンゴーなどの農業や豚・牛などの畜産、漁業の分野で、5G世代のICTの利活用は注目されているという。また、沖縄本島の北部では人口が大幅に少ない地域もあり、こうしたエリアはコミュニティバスの自動運転サービスの実証実験を行う場所としても有望という。
沖縄県は沖縄セルラー(au)のシェアが大きく、ドコモはシェアの面では挑戦する立場。今回のICTセミナーで語られた内容は、基本的には自治体関係者や法人などに向けたものになるが、「ドコモの持つ最先端の技術で発展に寄与していきたい。切磋琢磨して、いいものが採用されれば、沖縄にとってはいいことではないか」と古川氏は語る。
展示も行われた「近未来人数予測」(時空間変数オンライン予測技術)のような、昼間人口の動態を明らかにする技術や、沖縄でも課題になっているバスや交通渋滞を緩和するAI予測技術などは、セミナーに集まった関係者も注目しているようだった。
また古川氏から繰り返し語られたように、ユースケースと共に開発されている5G世代の技術開発の取り組みでは、沖縄を技術を導入していく最初のグループに組み入れることで、「地方創生」といった掛け声も、より実際的なものとして取り組めるとしていた。