インタビュー

「ライカの端末を日本で出したい」、Xiaomiのキーパーソンが描く展望

 19年12月に日本上陸を果たしたXiaomiだが、その後、順調に投入するモデルを拡大している。

 オープンマーケットで実績を積んでから大手キャリアの市場に進出するという流れが一般的な中、同社は参入直後からKDDIとタッグを組み、キャリアモデルを発売。ソフトバンクとも戦略的に連携しながら、おサイフケータイへの対応も果たした。

 短期間で日本市場に食い込みつつあるXiaomiだが、一方で同社の技術力やブランド力をアピールしやすいハイエンドモデルの投入は一部にとどまっている。

 こうした現状を、同社はどのように捉えているのか。Xiaomi本社で東アジアリージョンを統括するアンドリュー・リー氏と、Xiaomi Japanで取締役社長を務める大沼彰氏が、報道陣のインタビューに応じた。

Xiaomi本社で東アジアを統括するリー氏。日本以外には、韓国、香港、マカオ、台湾を担当しているという
Xiaomi Japanの社長を務める大沼氏

――まず、本社から日本市場をどう評価しているのかを教えてください。その中で、これまでの歩みをどう捉えていますか。

リー氏
 日本の市場はスマートフォンだけを見ると、かなり規模が大きい。年間で約3000万台というのは、グローバルでもトップクラスのレベルです。

 それと同時に、日本はハイエンドのマーケットで、経済も発展していて個々人の消費意欲も高い。Xiaomiブランドのハイエンド化にも有利になると見ています。

 もう1つはビジネスモデルで、日本は私が今まで担当してきたインドや中国とは違い、B2B(キャリア向け)がメインです。その意味では、日本でまだまだ勉強する必要があります。

 Xiaomiはまだニュープレイヤーという位置づけですから、スタートアップのマインドセットを持ちながら、大企業から学び、将来の可能性を探っていきたいと考えています。

 一方で、Xiaomiはグローバル企業であり、「Fortune Global 500」に選ばれています。スマホメーカーとしても、トップ3に入っていますから、日本でビジネスを大きく展開できるチャンスは大きいと考えています。

――参入当初からキャリアとタッグを組むというのはなかなか難しかったと思います。なぜそれが可能だったのでしょうか。

リー氏
 19年末に日本市場に参入しましたが、当時から日本市場はしっかり研究してきました。トライアンドエラーはありましたが、率直に答えると、勉強と試みを重ねてきた成果だと思っています。

 日本のスマホ市場は、92%がキャリア経由での販売です。日本でちゃんとやっていくには、キャリアとの協力体制は必須になる。

 その方向性を明確にしたうえで、本社側もキャリア品質になるよう、プロダクトの改善をしてきました。また、日本のチームを作るときには、大沼さんのようにキャリアとの関係が強いプロに入っていただき、リードしてもらっています。

――Xiaomi 13世代はライカブランドがありませんでした。今後、日本でもライカの端末が出る可能性はあるのでしょうか。

リー氏
 我々としては、ライカを出したいと考えています。それに向け、今、私と大沼が本社との交渉をがんばっています。

 できれば、フラッグシップのライカ共同開発モデルはぜひ出したい。

 ただ、これは本社にとって複雑で、販売台数や販売チャネルといった要素にも左右されます。今のところ、可能性はかなり大きいと思っていますが、進捗があればお知らせしたいと思います。

大沼氏
 そういったご要望が大きいことは認識しています。どういう課題を解決すればそれができるかも含め、進展があればご報告していきます。

Xiaomi 14 Ultraは、カメラ機能をさらに強化したハイエンドモデル。リー氏、大沼氏ともに日本での展開には意欲的だ

――ライカもそうですが、ハイエンドモデルはTシリーズだけで、「Xiaomi 13」のようなナンバリングモデルが投入されていません。この点はどうお考えでしょうか。

大沼氏
 過去を振り返ると、日本市場にはエントリーモデルで入り、キャリアにも導入ができました。その次に、Xiaomi Tシリーズを販売しています。Tがつかないモデルも、当然目指していかなければなりません。

 これで終わりというわけではなく、ステップ・バイ・ステップだと思っていただけるとうれしいですね。MWCで発表した「Xiaomi 14 Ultra」のような端末へのご要望は、本社に訴え続けていきます。日本でお披露目できるよう、がんばります。

――海外ではリアルストアがありますが、日本ではいかがですか。

リー氏
 Xiaomiには、リテールにコアな戦略があります。オンラインのECプラットフォームである「Mi.com」と、その他パートナーのチャネル、さらにはオフラインの「Mi Home」を一気通貫で連携させ、販売チャネルを構築する戦略です。

 Mi Homeはオフラインで優位性を発揮できるいいチャネルです。チャネルコントロールを完全にでき、チャレンジングなプライシングを実現しながら、ユーザーにすべてのカテゴリーの商品を体験していただくことができる。

 日本でも将来的には作りたいと考えていますが、今はまだマーケットを研究している段階です。いつまでに何店舗という明確なプランはありませんが、積極的にその研究と評価をしている段階です。

――昨年末に渋谷でポップアップストアを出しましたが、あれによって実現度は上がりましたか。

大沼氏
 アンドリューが言ったとおり、Mi Homeは1人1人のお客様にファンになっていただき、買いたいものをお求めやすくする狙いがあります。

 そういったことはやっていきたいですが、さまざまな角度からの検討をしなければならない。その中で、もっとも人が集まる渋谷のような場所でポップアップストアをやりました。

 あくまでポップアップで商品の数もグローバルと比べると非常に少なく、数十点しかありませんでしたが、結果はどうだったかというと、目標を上回っていました。現金でしか販売できなかったのですが、それも含めて想像以上で、目指す方向性のデータを取ることはできました。

渋谷に設置したポップアップストアは、目標を上回る成果を出せたという

――徐々に認知度が上がっている中で、空気清浄機のフィルターが売り切れで交換できないといったクレームの声も聞こえるようになってきました。サポートの品質は上げていくお考えでしょうか。

大沼氏
 必ず、そうしないといけないと思っています。日本は保証の考え方も違います。国ごとに求められるレベルは異なりますが、そういった部分は日本のお客様に合わせていかなければなりません。

 そこも競争になっているので、きちんとやる必要があります。ぜひ我々に言っていただければ、改善の糧にしていきます。

――そういったニーズは、海外だと特殊だったりするのでしょうか。

リー氏
 大きな特徴ですが、品質に対して求めるレベルはかなり高いですね。でも、それは非常にいいことだと思います。我々も、その声を聞くことで製品のクオリティを保つことができるからです。

 そのため、品質管理やサービスに対する投資は、ほかのリージョンと比較しても大きくなっています。改善には時間も必要ですが、一歩ずつでも改善はしていきたい。日本のマーケットの基準やルールに関しては、まだまだ勉強が必要です。

――ブランド力向上のために、プロモーションなど、考えていることはありますか。

リー氏
 総合的な動きが必要で、1回、2回のキャンペーンで何かできるものではありません。やはり、プロダクトが根本にあると信じています。まずやるべきは、日本で発売する製品を一番いい状態にすること。品質やサービスのニーズに合わせていくことを保証することです。

 いい製品を提供するのと同時に、その製品のコアなセールスポイントに合わせたユーザーにもアプローチしていきたいと考えています。

 たとえばXiaomi 14 Ultraを発売するなら、撮影が好きな方々ですね。コアなMi Fanからの口コミを通じてブランド力を高めていきたいと考えています。

 もちろん、日本のパートナーの協力も必要です。キャリア、家電量販店、ECやグーグルといったパートナーにも、ブランド構築をサポートしていただけています。

大沼氏
 先ほどのポップアップストアも、その一環としてやっていますし、イベントも実施しています。「Xiaomiモノ作り研究所」もやっています。1つ1つは点ですが、連続してやりながら、商品に合わせた発信をしていきます。

――スマホ以外の製品はいかがですか。海外に比べると、まだまだ点数が少ない印象です。

リー氏
 今、Xiaomiは業界内でもっとも多くのカテゴリーを有しているメーカーかもしれません。スマート家電では、特にそうです。中国では、早い段階からその絵を描いていました。

 中央にあるのがスマホで、その周辺にはスマホと連携するウェアラブル端末やタブレットがあり、さらにその周辺のスマート家電、生活家電へと拡大していく。これらの製品は独立しているのではなく、強い関連性を持っています。

 将来的にはHyperOSというプラットフォームを通じて、より整ったユーザー体験を提供したいと考えています。

 日本でも、スマホと関連性の強いジャンルから広げつつ、ユーザーのニーズを考慮しながらカスタマイズやローカライズをしていきたいと考えています。

 ただし、先ほどお話ししたように、日本は同時に品質基準が高い。そのため、中国ほどのスピードで導入するのは難しいと考えています。

XiaomiはHyperOSを軸に、スマホと各種製品の連携を強化していく。日本でも、販売する製品バリエーションの拡大は検討しているようだ

大沼氏
 アフターサービスもしっかりやる必要がありますし、それぞれの分野での認証も必要です。

 今はスマホを中心にしながら、ロボット掃除機やチューナーレスTVなどをバランスよくやっていきたい。いくらつながると言っても、いきなり冷蔵庫を買ってはもらえないですからね(笑)。品質との掛け算でやっていきたいと思います。