インタビュー

KDDI髙橋社長、「5Gをきちんと広げるべき」――「大阪府との連携」の狙いや新料金「スマホミニプラン」の考えを聞いた

 21日、大阪府とKDDIは包括連携協定を締結した。大阪府庁で開催された会見には、吉村洋文大阪府知事と高橋誠KDDI代表取締役社長が出席。会見後、わずかな時間ながら、KDDI髙橋社長へのグループインタビューが実施された。本稿ではその内容をお伝えする。

大阪府の吉村知事(中央)とKDDI髙橋社長(右)
左は大阪府のキャラクターである「もずやん」

通信会社と地方創生

――そもそも通信会社が地方創生へ乗り出す狙いは何か。

髙橋氏
 KDDIは今、「サステナビリティ経営」を標榜しています。

 これまでは“儲かっている企業が社会へ貢献する”というかたちがいわゆるCSR(企業の社会的責任)でした。

 一方、「サステナビリティ経営」では事業を通じて世の中に貢献すると、結果的に我々のお客様にまたメリットをもたらす。そうして、我々の事業も発展する。いわゆる循環型の社会を目指そうと。それが世間で語られるサステナビリティ経営ですよね。

その一環として、事業の延長線上でお役に立てればいいかなと思い、今、日本各地で始めています。

 かつては地方創生活動では、スタッフが出張して費用もかかり、なかなか収益面でバランスを取れませんでした。しかし今はリモートで話ができます。

 また、岸田政権になって「デジタル田園都市国家構想」で、地方に予算が投じられていきます。

 デジタルツインのようなかたちで自分たちの街をメタバース化して、新しい経済を起こせないか。はたまた、リアルだと実際に来てもらう必要があったところ(メタバースでの訪問であれば)お客さまを広げられるという考え方に、(地方自治体の)関心が高まっています。

 そして、ドローンを活用して何かしたい、あるいはStarlinkのような仕組みで基地局を充実させたいといった話につながっていきます。

 企業として大きな利益を見込める分野というわけではないのですが、(サステナビリティ経営を掲げるKDDIの)事業の方向性と合致しており、前向きに進める考えになっています。

――今回の大阪府との連携では、バーチャル大阪のお話がメインで、リアル会場での展開については触れられませんでしたが……。

髙橋氏
 最終的なところはまだ決まっていません。まずは、バーチャル大阪には、吉村知事も期待してくださっているので、進めていきたいですね。

 メタバースと言われれば、ちょっと遊びのように思われるかもしれません。

 ただ、デジタルツインが、「フィジカル上でデータ化してDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、データ化したものをサイバー上でシミュレーションして、その結果をまたフィジカルに戻す」ということであれば、どうでしょうか。

 デジタルツインは法人向けのお話が多いかもしれませんが、KDDIとしてはコンシューマー向けの実現を進めたい。それが我々の強みな気がしていて、その辺をウリに2023年は頑張って打ち出していきたいですね。

 KDDIのサービスのユーザーのデータも、個人情報を用いずに、人流データのようなものを活用して法人向けにも展開できるかもしれませんし、新しい経済活動が生まれてくることを目指すのは、良いことかなと最近思っています。

新料金「スマホミニプラン」と5Gの広がり

――本日(取材日は21日)、スマホミニプランが発表されましたが……。

髙橋氏
 今日はちょっとコメントを控えます。

 ただ、auの使い放題プランを契約するお客さまが結構増えてきています。

 トラフィック(通信量)も上昇しており、それに応じた、お使いいただきたいやすいプランをこちらもしっかり提供していく、という感じです。
 ARPU(ユーザー1人あたりの売上)を向上させることが大切だと思っていて。そうすると5Gの活性化にもつながっていくと。

 5Gにもっと勢いを出さないといけないなと思うんですよね。

 政府でも今、2万円問題(回線契約に紐づく端末割引が2万円までとなっている規制を、総務省有識者会合であらためて議論が始まった件)をやっているじゃないですか。

 僕が言い続けてるのはやっぱり、5Gをちゃんとひって発展させないと、Beyond 5Gに行き着けないということです。

 4Gを展開していたかつては、世界でも一番手、二番手というところでした。しかし今、5Gでは、下手したら十番手ぐらい。

 それじゃあちょっとね……と、2023年も、5Gを盛り上げる方法をいろいろとご提案してまいります。

――ありがとうございました。