【MWC Barcelona 2026】

NTT島田社長がMWC26で基調講演――光電融合とIOWNで「AIの電力問題」解決へ、量子コンピューター構想も

 MWC26 Barcelonaの会期3日目にあたる3月4日(現地時間)に開催された基調講演に、NTTの代表取締役社長である島田明氏が登壇。IOWNや光電融合デバイス、それらを活用した量子コンピューティングの構想を披露した。

MWCの講演に登壇した島田社長

 島田氏は講演の冒頭、NTTがデータセンター事業者で世界トップ3に入ることを紹介。AIのマーケットが爆発的に拡大しており、30年までには市場全体で20倍、生成AIに限ると40倍にのぼるというデータを紹介した。それに伴い、データセンターやサーバーなどの需要が拡大。結果として、その電力消費量も膨大になるとした。

AIの需要が急増しており、それに伴い電力消費も拡大する見通しだ

 これを解決するのが、NTTのインフラであるIOWNと光電融合デバイスをはじめとした技術だという。NTTでは、通信から計算処理までエンドツーエンドで光技術に置き換える計画。従来型の電気配線と比べ、光通信はデータ量の増加に対し最小限の電力上昇でとどまり、従来比で1/100までそれを抑えることが可能とうたう。

距離に応じて電力消費が上がる電気配線に対して、光はほぼ一定になり省電力だ

 NTTでは、すでにデータセンター間の相互接続に商用化したIOWNを活用しており、26年にはコンピューティングシステム内への光電融合スイッチを導入する予定。これにより、「要求の厳しいAIワークロードをサポートする、大規模なAIスーパーコンピューターの低電力かつ高速な接続を実現する」(島田氏)。

 その次のステップとして計画しているのが、32年ごろを目標にしている半導体パッケージ内の電気接続や、チップ内の配線まで光に置き換えることだ。これらを総合することで、従来から1/100の電力効率を目指すという。

23年にデータセンター間をIOWNで接続しており、26年にはボード間に光電融合スイッチを導入。28年には、チップ内部の配線まで光に置き換えていく計画だ
エンドツーエンドで光化することで、消費電力を従来の1/100まで抑えられる見通し

 また、NTTではこの光技術を量子コンピューティングにも応用する計画。島田氏によると、これまでの量子コンピューターは超低温や真空環境といった条件を必要とするのが課題だった。これに対し、光量子コンピューティングでは室温や通常の圧力で動作し、消費電力を大幅に削減するという。30年までには100万量子ビットの達成を目指す。島田氏はこうした技術を展示しているNTTブースを紹介し、講演を締めくくった。

量子コンピューティングにも光を応用することで、より通常の環境でも動作させることが可能になる
30年までに100万量子ビットを達成する目標を掲げた