石野純也の「スマホとお金」
楽天モバイル、通話無料の「Rakuten Link」はiPhoneや海外利用で要注意なワケ
2026年6月4日 00:00
料金の安さに定評のある楽天モバイルですが、安いのは、データ通信だけではありません。Rakuten Linkを使った通話料やSMSも無料になるのが同社の魅力。完全通話定額のオプションに入る必要がなく、従量制での料金もかからないため、他社のような料金プランのリストに現れない“隠れコスト”も抑えることができます。
4月には、音声通話の品質も改善しており、より音がよくなっているほか、Rakuten Link側でのノイズキャンセリングも強化されています。
一方で、端末によっては注意点があるのも事実。一般的なスマホの音声通話にある機能がないこともあります。ここでは、改めてそんなRakuten Linkの特徴を解説していきます。
通話もSMSも無料でおトク、ただしiOS版には制限も
Rakuten Linkは、RCS(Rich Communication Services)という業界標準規格を使ったコミュニケーションアプリとして登場しました。音声通話とメッセージが利用可能。どちらも、一般的な電話番号を使った他社の音声通話やSMSと接続しており、相手がRakuten Linkの場合はRakuten Linkとして、そうでない場合には通常の音声やSMSとしてコミュニケーションを取ることができます(iOS版はSMS非対応)。
ユーザーにとっておトクなのは、どちらのケースでも料金がかからないということ。Rakuten Linkへの発信はもちろん、電話番号を入力してRakuten Link以外への電話に発信した際にも、通話料はかかりません。
しかも、オプションなどへの加入は不要。楽天モバイルの料金はデータ通信量と連動していますが、3GB以下であれば、いくら通話しても1078円で済んでしまいます。
また、地味に嬉しいのがSMSの発信にも料金がかからないということ。大手3キャリアでは、オプションの音声通話定額に入っている場合でも、別途SMSの送信料が1通あたり3.3円発生します。しかもこれは、全角で70文字までの料金。
文字数が増えれば増えるほど料金がかさんでしまい、毎月の隠れたコストになりがち。Rakuten Linkでこれを抑えられるため、楽天モバイルは明朗会計と言えそうです。
ただし、Rakuten LinkからSMSを発信できるのはAndroid版のみ。iOS版は、プラットフォーマーに課された制限によって、SMSの機能が省かれています。そのため、iPhoneユーザーの場合、同じRakuten Linkを使う楽天モバイルユーザーにしか、メッセージを送れません。SMSを利用し、かつ相手がAndroidの場合には、通常のメッセージアプリを利用することになり、上記のような料金が発生します。
他キャリアでは、iOSにもRCSの採用が進んでいます。KDDIやソフトバンクは対応済み、ドコモも夏にはRCSのサービスをスタートさせます。そのため、相手がAndroidでも、RCSさえ使っていれば、無料でメッセージを送信可能になります。RCSをRakuten Linkに限定している楽天モバイルの場合、ここがネックになると言えそうです。
iOS版は海外利用時に要注意、高額な着信料がかかることも
SMSだけでなく、電話の着信もAndroid版とiOS版で挙動が変わってくる部分です。Android版は他のIP電話アプリと同様、直接Rakuten Linkで着信を受けられるのに対し、iOS版は発信に特化したアプリになっています。そのため、iOS版では電話を通常の音声通話として受けることになります。アプリも、iOSの電話アプリです。
日本では、着信に料金がかからないため、Rakuten Linkで受けようが、通常の音声通話として受けようが、ユーザーの負担は変わりません。もちろん、一般の音声通話の方が無線区間のQoS(品質保証)がされていることもあり、より通話が途切れにくく、安定しているのは事実ですが、Rakuten Link側も音声品質は改善しており、無線さえ安定していればクオリティも高くなります。仮に圏外でもWi-Fi環境で利用できるのは、Rakuten Linkのメリットと言えるでしょう。
このように国内では大差がない着信ですが、海外ローミング中だと話が変わってきます。ローミング時には、滞在中の国や地域に応じた着信料がかかるからです。この着信料は、現地キャリアのネットワークに接続して、現地キャリア経由で電話を受ける場合に発生します。
しかも、一般的な国内通話と比べるとかなり割高。例えば、日本のお隣である韓国では、1分あたり95円の料金が発生。日本のユーザーの渡航先として人気の高いアメリカだと、1分あたりの着信料が195円に跳ね上がります。
日本と同じような感覚で電話を受けて話していると、10分足らずで1950円にもなってしまうというわけです。iOS版のRakuten Linkは海外でも着信に対応していないため、この料金が発生します。
対するAndroid版は、現地キャリアを経由せず、直接Rakuten Linkで着信ができるため、上記のような着信料は一切かかりません。楽天モバイルは、海外でのデータローミングが2GBまで無料になるため、モバイルネットワークでRakuten Linkを接続しても料金がかかりません。このように、同じRakuten LinkでもiOS版とAndroid版でかかりうる金額が大きく変わってくることには注意が必要になります。
iOSアプリで着信できないメリットも? 貧弱な迷惑電話、SMS対策
料金的にはメリットの大きなRakuten Linkですが、楽天モバイルは同アプリを楽天経済圏への入口ととらえており、アプリにはさまざまな広告が入ります。アプリを起動すると最初に開くホームタブには、楽天市場のセール情報や楽天市場出店者が開設した公式アカウント、さらにはニュースなどがズラリと並びます。
また、楽天モバイルによると、今後はデータ使用量や料金、契約情報などを確認できる「my楽天モバイル」も、Rakuten Linkから直接参照できるようにしていくとのこと。
こうした情報が一カ所で完結するのは便利な反面、純粋にコミュニケーションを取りたい人は、手順が増えてしまってやや面倒になります。各種料金が無料の対価として、広告が入る点は念頭に置いておきたいところです。
Rakuten Linkで直接着信を受けられるAndroid版は、先に述べたように料金的なメリットがある一方で、機能的なデメリットもあります。迷惑電話対策は、その代表例と言えるでしょう。例えば、Rakuten Linkには着信拒否の機能がなく、ログアウトした状態でないと、迷惑電話をブロックすることができません。
楽天モバイルがオプションとして提供しているWhoscallの「迷惑電話・SMS対策 by Whoscall」も、あくまでOS標準の通話アプリやメッセージアプリが対象。Rakuten Linkは素通ししてしまいます。
グーグルのPixelシリーズが対応しているAIを活用した「通話スクリーニング」などの機能も、標準の通話アプリが対象。Rakuten Linkは同様の機能がありません。
こうした迷惑電話、迷惑SMSの対策にはAIが有効なため、Rakuten Linkに搭載されたRakuten AIの実力をいかんなく発揮してほしいところですが、残念ながら現状では楽天市場などのオススメを教えてくれるだけにとどまっています。
AIに注力しているのであれば、迷惑電話や迷惑メッセージ対策をプラットフォーマー任せにするのではなく、そのリソースを、もう少しコミュニケーションサービスにも振り分けてほしいと感じています。
逆に、iOS版は着信ができないため、OSに搭載された「着信スクリーニング」などの機能をそのまま利用可能。着信拒否なども端末側でできます。海外で料金がかかってしまう欠点はあるものの、こうした機能をそのまま使えるのは着信ができないiOS版の利点と言っていいでしょう。通話やSMSが無料になり経済的なメリットは大きいRakuten Linkですが、トレードオフがあることも念頭に置いておきたいところです。








