MWC Barcelona 2023

グーグルAndroid部門のキーパーソンが語る「これから導入されるAndroidの新機能」、アップルへの牽制も

カラ・ベイリー氏

 27日、モバイル分野における世界最大の展示会「MWC 23」会場で、グーグルのAndroid/Google Playの戦略担当バイスプレジデントであるカラ・ベイリー氏が、報道関係者向けに同社の取り組みを紹介した。

 MWC会場は、温暖な気候のスペイン・バルセロナ。しかし27日は早朝に雪やみぞれが降るあいにくの天気。そうした中で「理想的な天気ではないが」と前置きした上で、ベイリー氏はAndroidの現在について語った。

 これまでオープンでつながるエコシステムの構築に取り組んできたと語るベイリー氏。スマートフォン向けのプラットフォームとして始まったAndroidだが、そのエコシステムを構成するひとつであるウェアラブルデバイス向けのWear OSについては、2021年5月以降、搭載デバイスが3倍に増えた。またAndroid TVなどファミリーと言えるプラットフォームは年々広がりを見せている。

外から家へ帰ってきたら、聴いていた音楽も……

 順調に対応デバイスが増え続けるなか、Androidが目指す次のステップはどういった体験になるのか。そのひとつとして、ベイリー氏が挙げたのは「シームレスな音楽体験」だ。

 「近い将来、ユーザーの移動にあわせて音楽もデバイスからデバイスへ、インテリジェントに切り替えられるようになる」とベイリー氏。

 たとえばクルマを運転しながらラジオや音楽を聴く。自宅へついても、お気に入りの曲が終わるまでクルマで聴いていたこともありました……という自身の思い出を語ったベイリー氏は、今後、Androidに実装される機能により、「(クルマを置いて)ガレージから自宅へ入っても、私と一緒に音楽も途切れることなく移動できる」(ベイリー氏)という。

メッセージ規格「RCS」をアピール

 ハードウェアの話題として、ベイリー氏がこれまでの取り組みとして紹介したのは、ワイヤレスイヤホンとスマートフォンを簡単に接続できる「Fast Pair」や、近くにいるAndroidデバイス同士でファイルを転送できる「Nearby Share」といった機能だ。たとえば、かねてよりアナウンスされていたChromebookとワイヤレスイヤホンのFast Pair機能はようやく実装させることになった。今後数週間で導入される見通し。

 それらの機能でメーカーとともに重視してきたのは互換性だという。

 その代表例として紹介されたのが、メッセージング規格の「RCS」だ。かつてテキスト中心だったSMSを進展させ、画像や動画などを扱えるようになったというもの。日本では、RCSベースで「+メッセージ(プラスメッセージ)」というサービスが、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの3社により提供されている。

 ベイリー氏は、前週、ボーダフォンがAndroidの標準メッセージアプリとしてRCSを採用し、欧州各国で普及してきたと説明。RCSが月間5億人に利用されている、という点は、プラットフォーム間の相互運用性を確保することに取り組んでいることの証だとアピールする。

 具体的な名前は挙げなかったが、ベイリー氏は続けて「すべてのモバイルオペレーティングプラットフォームで、ユーザーのために、相互運用性を受け入れてもらいたい」と語る。これは、iMessageを提供し、RCSとは接続していないiPhone(アップル)のことを指すと見られる。これまで、グーグルでは同社公式ブログなどでたびたび、アップルにRCSの採用や相互運用を呼びかけており、世界的なモバイル分野の展示会で、あらためてメディアを通じて訴えかけた格好だ。