【MWC19 Barcelona】

クアルコム、「5G電波×5Gスマホ」の実機デモ

クアルコムブース

 クアルコムは今年のMWCにおいても大きなブースで出展し、最新の通信技術の展示を行っている。とくに今年は端末メーカー各社が発表した5Gスマートフォンが展示の目玉のひとつとなっている。

 クアルコムのチップセットを採用し、クアルコムブースで展示されていた5Gスマートフォンは、サムスン、LG、ZTE、シャオミ、OPPO、ソニー、OnePlus。このうちソニーとOnePlusはプロトタイプの展示で、それ以外のメーカーは製品化が決まっている商用端末の展示となる。

 これら5G端末の展示は、いずれも実際に5Gの電波を飛ばし、動画配信やゲームストリーミングなど、5Gの特長を活かしたアプリケーションを実際に動かすという形式でデモを行っていた。ただし、とくにミリ波は遮蔽物などで通信にすぐに影響が出るせいか、基本的に来場者が端末に触れない形式での展示となっていた。

シャオミはノキアとイタリアの事業者TIMと共同でテレビ電話などをデモ。Sub-6帯を使用
LGはエリクソンとスプリントと共同で動画配信などをデモ。Sub-6帯とミリ波の両方に対応
ソニーはエリクソンと共同で動画配信デモ。こちらはXperia 1ベースのプロトタイプ端末。ミリ波を使用
ZTEは単独で動画配信デモ。Sub-6帯を使用。直上に設置されたアンテナにもZTE製だった
OPPOはスペインの事業者Grupo MasMovilとエリクソンと共同でゲームストリーミングのデモ。さすがにストリーミングだと遅延が気になる印象。Sub-6帯を使用
OPPO傘下のOnePlusもGrupo MasMovilとエリクソンと共同でゲームのストリーミングをデモ。こちらはプロトタイプでSub-6帯を使用
サムスンだけは端末のみの展示で、とくにアプリは動かしていなかった

 展示されているのは、今年登場する「第1波」の5Gスマートフォンで、最新のSnapdragon 855にSnapdragon X50 5Gモデムを組み合わせている。Snapdragon 855は2G/3G/4Gの通信機能を内蔵しているので、X50 5Gモデムは5G通信機能だけを受け持つ。

第2波向けのX55 5Gモデム。技術的難易度の高いミリ波アンテナモジュールも用意される

 この第1波のあとの第2波向けには、クアルコムは2G〜5Gまでの通信機能を持つSnapdragon X55 5Gモデムを発表していて、こちらも2019年中に採用端末が登場する見込みとなっている。X55 5Gモデムでは2G〜5Gまでの通信機能も持つので、組み合わせるアプリケーションプロセッサーは、通信機能を持たないものでもOKとなる。

 Windowsパソコン向けチップセットのSnapdragon 8cx 5GとX55 5Gモデムが組み合わせられることが発表されている。また、X55 5Gモデムは通信機器での利用も想定していて、固定ブロードバンド機器のリファレンスデザインも公開されている。

Snapdragon 855+X50 5Gモデムのリファレンスデザイン

 現行の4Gスマートフォンのように、アプリケーションプロセッサー機能と5G通信機能が統合されたSnapdragonチップセットは、今年にはサンプル出荷が始まり、商用端末に採用されるのは来年になる見込みとのこと。

 ブースではこのほかにもさまざまな5Gの技術展示が行われている。今年はもう5Gのサービスがスタートするので、普通に5Gでデータ通信するとかではなく、5Gを活用するアプリケーションやアンライセンスドバンドなど応用技術の展示が中心となっていた。

5Gで次になにがくるか、という展示
クアルコムを採用した5G製品例。スマホ以外ではルーターが多数
こちらは5Gではないが、楽天と共同開発したスモールセル基地局。楽天モバイルのネットワークに使われる
クアルコム製品を採用するウェアラブル機器なども展示されている