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楽天モバイル新料金プラン「Rakuten最強U-NEXT」、U-NEXTとの「最強タッグ」でもたらす価値とは
2025年6月24日 00:01
楽天モバイルとU-NEXTは、業務提携に向けた基本合意書を締結した。これにあわせ、両社では、楽天モバイルの新料金プラン「Rakuten最強U-NEXT」の提供を10月に開始する。
23日には記者説明会が開催。両社のトップが揃い、「日本企業同士の最強タッグ」とアピールした。
ライフスタイルの変化とデータ利用の自由
「Rakuten 最強プラン」よりも約1000円高いものの、U-NEXTの映像コンテンツを見放題となる料金プランが「Rakuten最強U-NEXT」だ。
会見冒頭に映像で「楽天モバイルの通信サービスが使い放題であること」「U-NEXTが見放題であること」を一気に紹介。続けて登壇した楽天モバイル代表取締役会長の三木谷浩史氏は、「大変エキサイティングな発表」と笑顔を見せる。
三木谷会長は、楽天モバイルの契約数が6月17日時点で890万件に達したことを紹介。「Rakuten 最強プラン」が最大でも月額3278円であることもあってか、若年層のデータ利用は月間60~70GBにも達しており、楽天モバイル全体でも月間31.2GB、利用されているという。
その背景として、さまざまなエンターテイメントを楽しむために使われていると三木谷氏は分析する。
割安な料金プランでデータ使い放題を実現したことで、気の向くままにエンタメを楽しめるようになった――そう語る三木谷氏は、新料金プラン「Rakuten最強U-NEXT」は、通信使い放題+映像見放題となり、個別に契約するよりも年間で約1万3000円お得になるとアピール。
今回の提携が「どこでもいつでも見放題」の実現であり、23年前、楽天とU-NEXT(当時はUSEN)が目指した世界観そのものであると三木谷氏。
今回のプロジェクトによって世の中が大きく変わるとの期待も示した。
U-NEXTの歩みとコンテンツ戦略
続いて登壇したのは、U-NEXT 取締役会長の宇野康秀氏だ。
同氏によれば、映像配信サービス「U-NEXT」は国内において見放題作品数が32万本以上であり、他社を大きくしのぐという。
さらに200誌以上の雑誌、3000冊以上の児童書も読み放題で提供。
機能面でも、「ファミリーアカウント」として1契約で4アカウントまで作成でき、視聴可能数は1000万ユーザーを超える規模になっているという。
有料会員は466万人に達しており、国内シェアではNetflixに次ぐ第2位であり、Amazonプライム・ビデオを超える規模と解説。さらに他社が伸び悩む中で「U-NEXT」だけがユーザー数を伸ばし続けていると自信を見せた。
ライブ配信と独占コンテンツの強化
U-NEXTの成長を支える要因として宇野氏は、何よりもラインアップの豊富さを挙げる。
U-NEXTでは、映画やドラマだけではなくライブ配信にも注力。音楽やスポーツ中継も提供し、ライブと見逃しというハイブリッド戦略もまた、ユーザー数の獲得につながっている。
さらに、ドラマではTBSやテレビ東京のコンテンツ、Max(旧称:HBO Max)との提携による海外ドラマの独占配信、さらに韓国ドラマも充実しているとした宇野氏は、スポーツではサッカーのプレミアリーグ独占配信、ゴルフ、格闘技、テニス、バレーボール、バスケットボール、卓球など幅広いジャンルをカバーし、好きな選手を追えるマルチチャンネルカメラのような新たな視聴体験も提供していると語った。
通信とエンタメの融合がもたらす新たな価値
三木谷氏と宇野氏は、プレゼンテーション後、あらためて登壇してトークショー形式で新サービスへの期待感を示す。
たとえば、かつてはスマートフォンでは利用が限られるのでは、と見ていたところ、実際にはスマホ利用が拡大してきていると解説。いつでもどこでも観るというライフスタイルが根付いたとする。
三木谷氏は、「Rakuten最強U-NEXT」の登場により、料金を心配することなく、映画やドラマ、スポーツなどを楽しめる環境が実現することが、大きなインパクトを与えるのではないかと、その意義を強調。
かつては劇場という場所で披露されていた演劇が、放送で宅内へ届けられるようになり、現代では手のひらに配信される。そういった変化で、新たな市場が生まれるのでは、との未来像も描かれた。
日本のデジタル赤字解消への貢献
宇野氏は、日本のデジタル赤字が2024年には6.7兆円に達し、この10年で3倍に増えている状況に言及する。
海外の巨大テクノロジー企業が市場を席巻する中で、楽天とU-NEXTという日本企業同士が組むことの意義は大きく、日本のデジタル赤字の解消に繋がるとした。
料金プランの今後の展開と狙い
ここからはプレゼンテーション後の質疑応答での様子をお届けする。
――楽天モバイルでは、U-NEXT以外とのパートナーで、「Rakuten 最強プラン」をベースにした料金のバリエーションを今後も増やしていく考えはあるか。
三木谷氏
現在のところ、U-NEXTさん以外とは考えていません。(U-NEXTと)運命共同体として頑張りたいです。
――新料金プランは従量制ではなく、使い放題になった。その狙いは?
三木谷氏
新料金に加入される方は、そもそも20GBといったデータ量では足りず、大量にデータを使われるという認識です。
そのため、データ量を気にせずに使っていただけるように、このような設定にしました。
――楽天モバイルの契約が、まもなく900万とのことだが、新料金プランはどれくらいの割合になる計画か。
三木谷氏
新プランは、たくさんの方に申し込んでいただいて、契約数を増やしていきたいと考えています。
具体的な数字は控えさせていただきますが、今、月額2980円(税抜)で使っている方々にとって、プラス1000円でU-NEXTが見放題になるというのは、非常に魅力的なことだと感じています。
――U-NEXTグループとして、傘下にY.U.モバイルというMVNOサービスがあります。今回の楽天とのタッグを踏まえて、どうしていくのか。
宇野氏
U-NEXTの有料契約者数は現在、466万人で、このままいけば500万人も視野に入っています。
楽天モバイルとの共同事業によって、契約者数が200万人増え、700万人になるのかといった、また違う世界を見ていきたいという大きな期待があります。
Y.U.モバイルについては、「Rakuten最強U-NEXT」とは全く別のサービスとして継続していく予定です。
「Rakuten最強U-NEXT」はデータ制限がないプランです。データをしっかり使われる方が中心になるかと思いますが、Y.U.モバイルも引き続き提供していきます。
――U-NEXTの特徴であったポイントが、今回のサービスには入っていない。ポイントのみでどうユーザーを分けていくのか、逆に今回のサービスでポイントがないというのはどういう設計なのか。
宇野氏
今回のプランではポイントが付与されない形となります。これは通信回線と合わせて、より安価なプランを提供することを主な目的として設計しました。
追加でポイントをご購入いただけます。個別で作品をご覧にもなれます。ただ、ポイントがなくても、見放題作品だけでも十分ラインアップが充実しています。それだけでも「最強」と言える自信があります。
――コンテンツそのものでの協業の可能性はあるのか。たとえば楽天側から「こういうものを作ってほしい」と出資したり協力したりする可能性は。
三木谷氏
コンテンツへの出資については、現在もテレビ局など様々なところで既に行っています。U-NEXTさんの方から素晴らしいアイデアがあれば、ぜひ検討していきたいと考えています。
――より深い関係として資本提携のような形はどう考えたのか。また、ポイントや経済圏での連携に踏み込む可能性はあるのか。
三木谷氏
現在のところ、資本提携の話は出ていません。
今後の事業展開においては、さまざまな連携の可能性があるかもしれませんし、もし検討いただけるのであれば、もちろん前向きに考えていきたいと思っています。
――今回の「Rakuten最強U-NEXT」での目標はどうか。また楽天モバイルではシンプルなワンプランを前面に押し出していた。今回、2つのプランに増えるが、どう考えているのか。
三木谷氏
「Rakuten最強U-NEXTがあるから楽天モバイルに入ろう」と思ってくださる方と、現在U-NEXTを利用されていて、月額データ料金が高いと感じている方が「じゃあ楽天モバイルに乗り換えようか」と思ってくださるのではないか。具体的な数字は社内目標としてありますが、公表は控えさせていただきます。
「ワンプラン」については、これまでもシンプルな料金体系を重視してきましたが、今回は特例的に、U-NEXTはコンテンツがかなり充実していることがあり、このような形にしました。
――楽天ポイントでU-NEXTのポイントを交換できるのか。また、U-NEXTはファミリーアカウントで最大4アカウントまで見られるとのことだが、「最強U-NEXTプラン」ではどうか。
宇野氏
楽天ポイントとU-NEXTポイントの交換については、今後、そのような連携について検討させていただく可能性はあります。
ファミリーアカウントについては、「最強U-NEXTプラン」にご加入いただいた方も、同じくファミリーアカウントで他に3つまで追加して、合計4つのアカウントでU-NEXTのコンテンツをお楽しみいただけます。
――今回のプランが、ARPUの底上げに寄与するのか。また、モバイル事業の黒字化への影響度は?
三木谷氏
2つポイントがあると思っています。
ひとつは、単純に加入者数が増えるだろうという効果。
もうひとつは、加入される方の解約率はかなり低いのではないかと。
非常に力強い新しいプランが誕生したと感じています。具体的な目標数値は社内目標としていますが、ここでは控えさせていただきます。
ARPUの面でも、たとえば私自身も月に20GBを超えることもあれば超えないこともありますが、このプランがあれば確実に超えるようになるだろうと思っています。
楽天モバイルとU-NEXTの両方を使えるということになれば、データ量を気にせず観るようになり、その方々のARPUは間違いなく高い水準に到達するでしょう。
――U-NEXTの有料契約者数が460万人以上いるとのことだが、楽天モバイルとしての期待感をあらためて教えてほしい。
三木谷氏
私自身、さまざまなコンテンツ配信サービスを使っていますが、U-NEXTさんのコンテンツの幅、そのポートフォリオには圧倒されるばかりです。
もちろん、他のコンテンツを好む方もいるとは思いますが、多くの方がU-NEXTさんをメインで利用するようになるだろうと考えています。
特に若い方々へのヒアリングでも、U-NEXTさんのサービスは非常に好評なんです。日本市場にとても合っていると感じており、大いに期待しています。
鑑賞スタイルが多様化し、さまざまな場所や時間でコンテンツを観る時代が到来した今、圧倒的なコンテンツ数を誇るU-NEXTさんと、データ・通話無制限の楽天モバイルとの「最強タッグ」ということで、ぜひ加入してほしいです。
――これまで携帯電話の料金は、容量と値段で競合することも多かったと思うが、競合他社もコンテンツを見放題にするプランなどが出ている。どう差別化していくか。
三木谷氏
U-NEXTさんのコンテンツ量が32万本以上という圧倒的な量であること、そして先日発表されたサッカーの試合を月に数試合、無料で視聴できるといった施策もあり、大きな強みだと感じています。
私もこれまであまりプレミアリーグを見ていませんでしたが、これを機に見てみようかなと思っています。
コンテンツの幅広さ、例えば日本のドラマや海外の作品が増えていることも、大変力強いパートナーを得られたと感じています。今後の方針としては、このU-NEXTさんとのパートナーシップを最重要視し、ここに最大限の力を集中していきたいと考えています。
――楽天側にお聞きします。楽天グループ内に楽天マガジンや楽天TVと似たようなサービスを提供されていますが、これらとの差別化や取り組みについてどう考えていますか。
三木谷氏
多少は重複する部分もあるとは想定していますが、それぞれのサービスに違いもあります。現時点ではそれぞれを継続していく方針です。
ただ、私たちにとっての「キラーパートナーシップ」は、やはりU-NEXTさんとの「Rakuten最強U-NEXT」だと考えています。