石野純也の「スマホとお金」

ahamoにも対応した「データプラス」徹底解説、2台に補償サービスを付ける裏ワザも

 ドコモは、12日にahamoがデータプラスに対応したことを発表しました。現在新規受付中の「5Gデータプラス」や、4G用の「データプラス2」をahamoに紐づけることが可能になります。料金は1100円。これにより、スマホとタブレットやスマホとWi-Fiルーターといった2台持ちをよりリーズナブルにできるようになります。ここでは、その仕組みを改めて解説するとともに、データプラスならではの“裏技”的な使い方を紹介していきます。

スマホとタブレットなど、複数端末を利用する際に便利なデータプラス。これまでahamoは非対応だったが、12日から紐づけが可能になった

20GBを2回線でシェア、大盛りオプションの場合は30GB回線に

 データプラスとは、ペア回線に設定した1回線目とデータ容量をシェアしながら使える特殊な料金プラン。ドコモ回線をスマホで使っているユーザーが、2台目端末としてタブレットやWi-Fiルーター、PCなどを持つ際にリーズナブルな料金プランです。1100円を追加するだけでいいため、eximoやirumoを別途もう1回線持つよりもコストパフォーマンスは高くなります。

料金は1100円。利用できるデータ容量は、ペア回線に設定する主回線側の料金プランによって異なる

 たとえば、eximoの場合、1GB以下に収めても料金は2178円。irumoで「dカードお支払割」と「ドコモ光セット割/home 5Gセット割」を適用しても3GBで880円かかります。これに対し、データプラスはペアにする回線がeximoのような無制限プランの場合、無制限にはならず、30GBのデータ容量が設定されます。主回線こそ必要になりますが、1100円で30GBの回線を追加できるという意味では、お得な料金プランと言えます。

 このデータプラスが、ahamoとペアを組めるようになりました。ahamoは20GBにデータ容量が制限されているため、データプラスには個別の容量が設定されず、主回線の容量を分け合う形になります。たとえば、ahamo回線のスマホで15GBの通信を行った場合、データプラス回線では5GBまでしか通信できません。スマホとタブレットで同程度ずつ通信すれば、それぞれ10GBという計算になります。

ahamoの場合、20GBという制限があるため、データプラス側と容量をシェアする形になる

 ただし、一点例外があります。それが、「ahamo大盛り」を適用した場合。ahamo大盛りは、大盛りオプションを適用した際の俗称で、ahamoの通常の20GBに加え、大盛りオプションぶんの80GBを利用できるようになります。合計した容量は100GBです。この大盛りオプションを適用しているときには、データプラスの容量はeximoなどの無制限プランに紐づけているのと同じ30GBになります。100GBを2回線でシェアする形になるため、データプラス回線側の使い過ぎには注意が必要です。

ahamo大盛りの場合は例外になり、100GBのシェアしつつ、データプラス側に30GBの容量が設定される。扱いはeximoなどと同じだ

 音声通話はできませんが、ドコモの回線を別途もう1回線契約したり、他社回線を契約したりするよりは、リーズナブルでそれなりの容量のデータ通信が利用できます。

ahamo紐づきならデータプラスまで国際ローミング無料、海外利用ならお得度がさらにアップ

 ahamoならではと言えるのが、国際ローミングの扱い。ahamoはドコモの料金プランの中で、唯一、国際ローミングを追加料金なしで利用できますが、ahamoに紐づけたデータプラス回線にも、これが適用されます。スマホとタブレットの両方で国際ローミングを行いたいようなケースでは、国際ローミング料が割高になりがち。ドコモの「世界そのままギガ」の場合、24時間の定額料は980円です。2回線ぶんだと、24時間1960円にもなります。

 さすがに2回線分は……ということで、海外ローミング中のタブレットやPCなどの通信は、スマホのテザリングで済ませていた人も多いのではないでしょうか。ahamoにペア設定したデータプラスであれば、これが無料になります。データ容量は国内利用時と同様、20GBをシェアする格好になりますが、スマホとタブレットのどちらも、国内と同じように使えるのはうれしいポイントと言えるでしょう。

国際ローミングが無料になるahamoの特徴は、データプラス側にも受け継がれる。回線数が多いと料金がかさむだけに、うれしい仕様だ

 ただし、ahamo大盛りでも、国際ローミング時のデータ容量はahamoとデータプラスの合計で20GBになります。これは、元々、ahamo大盛りの大盛りオプションが国際ローミングには適用されないためでしょう。大盛りオプションは国内利用ぶんのデータ容量が80GB増える形になっているため、国際ローミングで利用できるデータ容量は20GBまでという整理になっています。この考え方を援用すれば、ahamoとデータプラスの合計が20GBになる仕組みも理解やすいと思います。

大盛りオプションを契約していても、国際ローミングは20GBまで。データプラスでシェアできるのも、この20GBになる

 また、データ容量消費後の通信速度は、ペア回線に設定した料金プランに依存します。ahamoの場合はahamoが1Mbpsのため、データプラスも1Mbpsになります。上記のような国際ローミングでデータ容量をすべて消費してしまったときは、128Kbpsに制限がかかります。ahamoは、あくまで国内利用をメインにしているため、海外ローミングには15日制限があり、これを超えた際にも速度は128Kbpsに制限されます。データプラス側にも、この仕様が引き継がれます。

ahamoなのにドコモショップ利用が可能、店頭機種変の回線にも

 ちなみに、ここまでは意図的にデータプラス回線で使う端末をタブレットやWi-Fiルーター、PCと書いてきましたが、実は、SIMカードを挿せる端末の種類には特段制限はかかっていません。音声通話の利用はできませんが、スマホに挿してタブレット的に利用することは可能。Galaxy Z Foldシリーズのように、本来はスマホですが、タブレット的に利用できる端末にデータプラスのSIMカードを挿して使うこともできます。スマホの2台持ちにも有効というわけです。

 データプラスは主回線のオプションのように見えますが、個別に契約したそれぞれの回線をシステム側で紐づけているのが実態です。そのため、契約にはデータプラス回線用のdアカウントが必要になります。おもしろいのは、データプラスはデータプラスであって、ahamoではないというところ。オンライン専用プランのahamoは、ドコモショップでの手続きや機種変更ができない一方で、データプラスは通常の料金プランと同様の扱いになるといいます。契約も、ドコモショップで行えます。

ahamoのサポートページにも、データプラスは店頭で申し込める旨が明記されている。ahamoであって、ahamoでない料金プランとして重宝しそうだ

 ドコモによると、機種変更などの手続きはこれまでと同様、店頭で可能とのこと。ドコモショップなどで端末を購入して、「smartあんしん補償」などの補償サービスをデータプラス側の回線につけることも可能です。ahamoの場合、端末の機種変更はドコモオンラインショップに限定されていましたが、データプラス回線に関してはその限りではないというわけです。また、上記のように端末の種類は問わないため、スマホを購入して、データプラス回線の利用端末に紐づけることもできます。

 たとえば、ahamo回線でAndroid端末を購入し、そのsmartあんしん補償を残したまま、iPhoneを購入して2台持ちで使いたい場合、ahamoで機種変更してしまうと、補償サービスをどちらか1台にしかつけることができません。このようなときに、iPhoneをデータプラス回線で機種変更すれば、どちらも補償サービスが適用された状態にすることが可能です。過去に筆者も、同様の方法でAndroidとiPhoneそれぞれにsmartあんしん補償をつけていた経験があります。

2台の端末を同時にsmartあんしん補償の対象にしたいときでも、データプラス側で端末購入をすればそれが可能になる

 データプラス回線での機種変更は、アップルストアでも可能でした。ahamoの場合、店頭での機種変更ができないため、端末を単体で購入せざるをえず、割引が受けられません。これに対し、データプラスは機種変更扱いになり、8800円の割引対象に。機種変更の手数料はかかってしまいますが、トータルではお得になります。実際、筆者も22年に「iPhone 14 Pro」を“データプラス機種変”で購入し、割引を受けています。

アップルストアで機種変更手続きすると、8800円の割引が受けられる。実はデータプラス回線の機種変更でも、この割引が適用される

 1100円でデータ容量をシェアできるだけでもお得ですが、スマホを2台持ちする際に補償サービスを生かしながら、効率的な機種変更をするための回線としても有効な回線になるというわけです。特にahamoは店頭サポートが一切受けられないため、データプラス回線があることでその弱点を補えます。ahamoがデータプラスを組めるメリットは、通常の料金プラン以上に多いと言えそうです。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya