本日の一品

ガジェット感溢れるスマートトラッカー「AirCard Pro」を手に入れた

 忘れ物防止という実利を超えて、所有欲をここまで刺激するスマートトラッカーがかつてあっただろうか。今回ご紹介する「AirCard Pro」は、単なる実用品の域を脱し、ガジェット好きの心に深く刺さる意欲作だ。

 簡単なRF無線を用いたピア・ツー・ピアの遺失物トラッカーが登場してから、すでに20年以上の月日が流れた。筆者がこの手のデバイスに心惹かれ始めたのは、15年ほど前に本連載でもご紹介した、口笛に応えて音を鳴らすキーホルダー「DETECTIVE」が最初だったと記憶している。

筆者のトラッカー歴の原点ともいえる、懐かしの「DETECTIVE」。

 その後、Bluetooth技術の普及とスマートフォンネットワークの爆発的進化により、スマートトラッカーは「IoTデバイス」へと変貌を遂げた。現在では、世界中に張り巡らされたスマホのネットワークを基盤とする、高度な遺失物管理システムが確立されている。

 筆者もこれまで、TileやAirTagをはじめとする数多の製品を使い倒してきたが、今回手に入れた「AirCard Pro」は、これまでの「小さく薄くて目立たない」というトレンドとは一線を画す。外観デザインの遊び心と、最新のネットワーク仕様を高い次元で融合させた、一風変わったスマートトラッカーなのである。

 今回購入した「AirCard Pro」を手に取って、まず驚かされるのはその「顔つき」だ。クレジットカードサイズの薄型トラッカーといえば、これまではブラックカードを模したような、良く言えばシンプル、悪く言えば味も素っ気もないデザインが主流だった。しかし、本製品は違う。

Rolling Squareらしい、センスの良さを感じさせるパッケージ。

 カードの一部がスケルトン構造になっており、中の回路が誇らしげに露出しているのだ。さらに、その下には持ち主のURLとリンクさせることができるQRコードが「これ見よがし」に目立つ位置に配置されている。

基板が透けて見えるスケルトン仕様と、中央のQRコードがガジェット感を演出する。

 このQRコードをスキャンすると、あらかじめ設定したオーナーのデジタルIDページが表示される仕組みだ。連絡先やSNSアカウントなどを紐づけておけば、善意の拾い主がスマホで読み取るだけで、スムーズに連絡を取り合うことができる。

QRコードからリンクするデジタルID画面。Linktreeのようなイメージだ。

 背面を返せば、これまた露出したQiワイヤレス充電用のコイルが目に飛び込んでくる。周囲には意味ありげな数字やバイナリコードのような文字が散りばめられており、これだけでミーハーな筆者は大興奮してしまった。

背面にはワイヤレス充電用のコイル。ギミック好きにはたまらないデザインだ。

 本製品はAppleの「探す(Find My)」ネットワーク対応モデルと、Androidの「デバイスを探す(Find My Device)」ネットワーク対応モデルが展開されている。今回筆者が選択したのは、Googleが提供する最新のネットワークに対応したAndroid版だ。アプリ上では「Find Hub」という名称で管理が行われる。

Androidの管理画面。2025年11月下旬から運用を開始した。

 かつてのスマートトラッカーは、スマホと1対1でBluetooth接続し、接続が切れた瞬間のGPS位置情報を記録するだけのものだった。つまり、離れた後にモノが移動してしまえば、それでお手上げだったのである。しかし、この「AirCard Pro」が利用する最新の仕組みは根本から異なる。

 たとえオーナーのスマホが遠く離れてしまっても、周囲を通った第三者のAndroid端末(「デバイスを探す」ネットワークに参加している端末)が、AirCard Proの信号を検知。その位置情報を暗号化してGoogleのサーバー経由でオーナーに通知してくれるのだ。まさに世界中のスマホを「踏み台」にして、紛失場所を特定する現代の魔法である。

地図上での位置特定画面。東京国立博物館付近にあることが一目瞭然だ。

 このネットワークは、先行するAppleの「探す」網が圧倒的なシェアを誇っていたが、Android版も昨年ようやく本格始動した。Android 9以降の端末であれば標準機能として組み込まれているが、ユーザー側で設定を有効にしていないと「踏み台」としてのヘルプは行われない仕様だ。今後の普及率向上がネットワークの密度をさらに高めていくだろう。

 筆者はこれまで数多のスマートトラッカーを収集してきた。Tile、Eufy、Samsung、そして今回のAirCard Pro。並べてみると、その形状やコンセプトの多様性に改めて驚かされる。

筆者のトラッカーコレクション。タグ型からカード型まで勢揃いだ。

 そして、実用面で特筆すべきは充電のスマートさだ。 まだ多くのカード型トラッカーが「使い捨て」を前提とする中で、本製品はワイヤレス充電(Qi)に対応している。専用のケーブルを探す必要もなく、手持ちの充電パッドに置くだけで息を吹き返す。

Qi充電器に立てかけた様子。LEDが点灯し、充電状態が一目で分かる。

 機能は最新、デザインはレトロフューチャー。ただの「お守り」では満足できない、我々のようなガジェッターのためのスマートトラッカーといえる。

 昨今は、スマートトラッカーの選択肢も多様化した。ボタン電池を電源とするものから、単3・単4電池を使用して数年間メンテナンスフリーを謳うものまで、用途に合わせた進化が続いている。

 スマートフォンの爆発的な普及により、紛失物の発見・回収は極めて容易になった。しかし、この利便性は諸刃の剣でもある。自分の持ち物を守るためのテクノロジーが、他人の行動を監視する道具に転用されかねないからだ。

 これからのトラッカーは、追跡精度と同時に、プライバシー保護機能とのせめぎ合いの中で、さらなる技術的変遷を遂げていくに違いない。

 かつて口笛に反応していた可愛らしいキーホルダーは、今や地球規模のネットワークの一部となった。ガジェットオタクにとって、スマートトラッカーというジャンルは誕生時から変わらず、常に進化の最前線を走る、成長が楽しみなアイテムなのである。

商品名発売元実売価格
AirCard ProRolling Square6224円
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