本日の一品

XRグラスにハマり「VITURE Pro XR グラス」を購入――ウェアラブルなサブディスプレイとして使う

 つい先日、XREAL Oneを購入して、ウェアラブルなサブディスプレイにドハマりした。「XRグラスを使えばここまで作業効率が上がるのか!」と、エンターテインメントで使ってもらいたいというメーカーの意図に反して、仕事でばかり使っている。

 1つのメーカーの製品しか使っていないと、そのメーカーばかりを推してしまいそうで、「これはデジタルガジェットライターとして正しくない道だ」などと自分に言い訳をしつつ、Amazonプライムデーでお得になっていた別メーカーのXRグラスを購入してしまった。

 そう、それが「VITURE Pro XR グラス(ビチュア プロ エックスアール グラス。以下、VITURE Pro)」だ。

VITURE Pro XR グラス

 VITURE Proは、1920×1080ピクセル解像度でリフレッシュレート最大120Hzのソニー製OLEDパネルを採用したXRグラスだ。度数調整ダイヤルを搭載しており、0.0度から-5.0度までの視度調整を行える。コンタクトレンズをつける前あるいは外した後の、寝起きや就寝前といったシーンで便利に使えそうである。

度数調整ダイヤル。近視にのみ対応する。ちなみに、「老眼では使えないのか!?」と残念がる人もいるかもしれないが、そもそも画面表示距離が仮想的に数m先になっているので、老眼や遠視の人であれば問題なく見ることができる

 また、電子調光フィルムを内蔵しており、本体のテンプルにあるボタンを短押しすることで光の透過率を0.5%と40%の二段階に変えることができる。

写真左が40%透過度の状態で、写真右が透過度0.5%の状態

 スピーカーはHarmanと共同開発した空間オーディオシステムを採用しており、音漏れを最小限に抑えながら、広がりのある音表現を行えるとしている。

 Android、iOS、Windows、macOS版で、専用アプリ「SpaceWalker」を用意しているので、これらアプリを端末にインストールしておけば、ケーブル一本で目の前に大画面を表示できる。

 なお、端末にはDisplayPort Alternate Modeに対応したUSB Type-Cポートが必要になる。端末とVITURE Proはポゴピン付き専用ケーブルを使って接続するので、一般的なUSB Type-Cケーブルを利用することはできない(非正規の変換コネクターは存在する)。

ケーブルとVITURE Proの接続はポゴピンだ。マグネットでカチッと付けられる

 パッケージや外観を比べてみて感じたのは、VITURE Pro XRのほうがデザインセンスが良く、高級路線で進もうとしているのだろうなぁということだ。パッケージからしてギミック満載で、手元に届いたときの高揚感がハンパない。

ちょっとカッコいい
すごくカッコいい

 また、グラスそのものの質感も高く、電源が入っていない状態でも上半分(映像の表示される部分)が濃い青で着色されており、何となく高級感が漂う。

XREAL One(写真左)との比較。VITURE Pro XRは、上半分が着色されているので、向こう側が見えない。また、わずかに小ぶりで何となく高級っぽい
ハードケースはジッパーで開閉する
ケーブル専用スペースがあるので、ゴチャつかない

 専用アプリをインストールしていない状態でWindowsパソコンと接続すると、一般的なサブディスプレイと同じ挙動で利用できる。つまり、ミラーリングまたは拡張モードでの利用が可能だ。

 Androidスマートフォンの場合は、ミラーリングオンリーとなり、スマートフォン本体のディスプレイは非表示になる。

 なお、そのいずれの場合もVITURE Pro内では常に目の前に画面が来る「追従モード」で表示される。

 しかし、専用アプリのSpaceWalkerをインストールすると様子が変わる。Windowsパソコンでは仮想的にワイド画面や3画面(ポートレート、パーティカルなど)で表示できるようになるし、Androidでは基本はSpaceWalkerのホーム画面が表示されるものの、それ以外に2つのウィンドウを表示できるようになる。

SpaceWalkerインストールしたWindows PCと接続し、仮想3画面を表示させた状態。下に見える画面はPC本体に表示しているものだ

 SpaceWalkerを使えば、VITURE専用アクセサリ(モバイルドックやネックバンド)がなくとも“なんちゃって3DoF”が実現する。つまり、顔を上下左右に動かせば、スクリーンの端から端まで見渡せる。

AndroidスマートフォンでSpaceWalkerアプリを立ち上げてからVITURE Proをつなげると、スマートフォンがコントローラーになる。レーザーポインター、またはトラックパッドタイプからポインティング方法を選べる

 WindowsパソコンとAndroidスマートフォンでのSpaceWalkerの挙動は異なる。WindowsパソコンではWindowsの機能やアプリをほとんどそのまま使えるので、物理的なサブディスプレイを接続したような使い勝手を得られるのだが、AndroidスマートフォンではSpaceWalker内のブラウザやアプリを使うことになる。

 興味深いのは、Androidスマートフォンの中でもサブディスプレイをつなげることでデスクトップモード(Dexモード)を使えるGalaxy SシリーズやZ Foldシリーズでは、ブラウザウィンドウを1つしか表示できないのに対し、SpaceWalkerを使えば検索したWebページを2つ並べて表示できる。

 たとえば、ケータイWatchの特定のページを参考にしながらGoogleドキュメントをブラウザで開いて執筆する、ケータイWatchとINTERNET Watchで同じ情報をどのように伝えているのかを見比べる、といったことが可能になるのだ。

ケータイWatchをWebブラウザで表示させながら……
Webブラウザ上のGoogleドキュメントを表示することができる

 VITURE Pro XR内には3つのスクリーンを同時に表示させられるのだが、最も左のスクリーンにはホーム画面が常に表示されているので、実質2画面ではないのかと思う。ホーム画面を非表示にして3つともブラウザを表示させる方法があるのであれば、ぜひ教示いただきたい。

VITUREシリーズのPRに使われている最も左側のウィンドウ。PR以外では、話題のニュースのサムネイルを表示させるだけだ

 Windowsパソコンと接続したときに最も困ってしまうのは、表示している画面がどんどん右に移動してしまうことだ。正面にGoogleドキュメントを開いていたのに、いつの間にか首を90度右に向けないと見えなくなってしまう。

 「Alt」+「Ctrl」+「Shift」+「R」のショートカットキーまたはインジケーター内のSpaceWalkerをクリックして表示されるメニューからで正面に戻せるのだが、グラスで視界が遮られている状態での操作は厳しい。グラス本体のボタンで戻せるように、もしくはマウス操作だけで戻せるようにぜひとも改良してもらいたいと切に願う。

 SpaceWalker独自機能として先進的なものもある。それは2Dで撮影された動画でも、擬似的に3Dで視聴できるというものだ。YouTubeで、動画を視聴中に右下に表示される「プレイヤー再生」をタップすると、複数の再生モードが選べるようになる。その中から「Immersive 3D」を選ぶだけで、今見ている動画が3D表示されるのだ。

動画再生中に表示される「プレイヤー再生」ボタン
タップするとリアルタイム3D化や360度VR化して再生するためのメニューが表示される
Immersive 3Dなどを選ぶと、全画面で動画が再生されるため、接続しているスマートフォンにプレイヤー機能が表示される

 スマートフォン内部で処理するため、スペックが低いとカクつきがひどいのだが、高スペックなスマートフォンを持っているのであれば、是非試してもらいたい機能の1つだ。「ここまで立体になるのか」と驚くに違いない。

 アプリ不要でさまざまな端末を大画面化するXREAL Oneを最初に買ったために、「グラスのボタンで画面位置のキャリブレーションができないのかぁ」などと自分の中での評価が低くなってしまったのだが、それでもVITURE Pro XRはエンターテインメントを消費するのにぴったりなXRグラスだといえよう。

 筆者は試していないのだが、2人で同じゲームコンソールの画面を見てプレイできるXRグラスは、知る限りこのメーカーのものだけなので、仲の良い友だち同士やラブラブカップルであれば、楽しめること間違いなしのアイテムなのだ。

製品名発売元実売価格
VITURE Pro XR グラスVITURE7万4880円