本日の一品

「食パンの袋を留める”アレ”」のデッかいのを買ってしまった

 食パンのビニール袋の口を綴じる例の”アレ”は「バッグ・クロージャー」(袋綴じ)と呼ぶのが正しいらしい。意外に正式な名称が広く知られていないのは本来が地味な存在で且つ「食パンの袋を留める”アレ”」で十分に意味が通じてしまうからに他ならない。

 筆者もスーパーやコンビニで良く買うパンのビニール袋はだいたいアレで綴じられている商品を買うようにしている。理由は食べ切れずに残ったパンの袋を再度留めるのに口を括ることは難しく、ゴムバンドやセロハンテープでは味気なさすぎるからだ。名は体を表す系の”アレ”は間違いなく20世紀の発明小物のキング・オブ・キングスだ。

 バッグクロージャを製造、販売しているのは米国企業の Kwik Lok(クイック・ロック)社だ。発明したのは同社の創業者であるフロイド・パクストン(Floyd Paxton)。既に70年以上昔の1952年に発明された逸品だ。

 発明時の逸話をより詳しく知りたいが、ネットにはリンゴの生産者が箱から袋詰めに移行したとき、「何か使いやすい留め具がないか」とパクストン氏に助けを求めそれに応えたのがバッグクロージャー誕生のきっかけとしか記述されていない。最初のモデルはどんな形状のプラスティックだったのかもっと知りたいのは筆者だけだろうか?

 現在ではアレを作っているメーカーはクイックロック社以外に欧州ではスイスに本拠地のあるシュバイツァーグループ。そして日本ではクイックロックジャパンが製造販売を担っている。アレに関しては殆どクイックロック社の寡占状態のようだ。

 実際のアレ本体の色には何種類かがあるようだが、筆者宅に様々な理由で崩し的に集まってきてしまった国内のアレを全部眺めてみてもその大半は白、たまに青、時々グレーか薄茶色、超稀に黄色という感じだ。海外では違っているのかもしれない。不規則な格好をしたアレだが一般的にはポリスチレン(PS)やポリプロピレン(PP)を原料にして連続的なテープのようなイメージで作られるようだ。

 SDGs流行りの昨今では”生分解性プラスチック”を用いた環境対応型も開発されているらしいが、筆者はまだ見たことも無いか区別がつかないかのいずれかだ。射出成形(インジェクションモールド)によってプラスティックを金型に流し込み厚みや形状の調整後独特の「スリット(切れ込み)」が施され、必要なら賞味期限や時には価格、食品販社のロゴなどが印字され食品会社向けに出荷されるようだ。

 ちなみに筆者は「アレ」という表現がずば抜けて気に入っているが、真面目な人達の中にはアレを”アレ”や標準形の”バッグクロージャ”以外の呼び方をする人も居る。”パンクリップ”や”クイックロック””クロージャー””バッグタイ””ブレッドクリップ”等がマイナーだが存在するらしい。しかしとても”パン袋を留めるアレ”には勝てそうに無い気がする。

 この手の大量生産型で単調な目的のしっかりした特殊なモノが大好きな筆者は、今回このアレによく似た多少分厚く、大きな少量生産のアレを偶然見つけて大人衝動買いしてしまった。大きなアレはサイズ的には元祖アレの4倍くらい。キーホルダーとしてはベストサイズだ。今のところどこからどう見てもキーホルダー系のガジェットとしてしか使い道は無さそうだった。

 実際の販売サイトのタグには”「Let's Get This Bread」キーチェーン、インスピレーションを与える言葉のアクリルキーチェーン”とサブタイトルも併記されていた。”Let's Get This Bread”っていう”Bread”(パン)は”お金”のスラングなので”お金儲けしようぜ!”って感じだが”かまして行こうぜ!”と言う頑張り感もある。

 Let's Get This Bread・・・もタグワードとしては面白いが・・・筆者としては日本語の”あのぉ例のパン袋をクリップするアレ・アレ・アレ・・・”と言う感じの”thingummy”という単語にしても良かったのではと思っている。

 アレが最高に面白いのは使い終わったアレをよくこんな利用法を思いつくなぁ~というくらい多種多様なリユース&アップサイクルを楽しんでいる人達の多いことだ。SNSで”パン袋を留めるアレ”で探せば先人たちの創意工夫が一杯見つかる。筆者も昔からアレを緩く2つ折りにしてペットの顔を描いたり、USBケーブルやイヤフォンケーブルの結束バンドの代わりに使ったりはしていた。

 また、最近はすぐに溜まってしまう梱包クッション紙をIYで作った自作のメモ用紙のぶら下げ用に、アレをメモ用紙の裏側にセロハンテープで固定して、壁掛けホールとして転用している。

 ゴムバンドの散らばり防止や、100円傘の間違い防止やカクテルグラスの識別マーカーなどはポピュラーな当たり前だ。パンの袋を留めるアレの用途はまだまだたくさんありそうだ。あとは時々でも良いのでアレの使い道を考えるきっかけを生活の中で作るだけだ。

 筆者は当分の間、日常使いのトートバッグやショルダーバッグに目立つようにデカいキーホルダー型のアレを付けて、電車やバス、タクシー等で出かける時は常に視界に入る様にしてアレの便利な使い方や、アップサイクルの究極を極めるきっかけにしたいと考えている。デッかいキーホルダーのアレは、元祖アレの使途工夫展開思考エンジンだ。

製品名購入場所販売価格
「Let's Get This Bread」キーチェーンtemu170円~200円