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MediaTek、KDDI向けのモバイル/ホームルーターにチップセットを供給

 台湾のMediaTek(メディアテック)とNECプラットフォームズは、MediaTekの5Gチップセット「T750」を搭載した初の5Gモバイルルーターとホームルーター製品を発表した。

 モバイルルーターは「Speed Wi-Fi 5G X11」、ホームルーターは「Speed Wi-Fi HOME 5G L12」として、KDDIと沖縄セルラー、UQコミュニケーションズから発売される。

Speed Wi-Fi 5G X11
Speed Wi-Fi HOME 5G L12

世界シェアを拡大し続けるMediaTek

メディアテックジャパン社長の栫 啓介氏

 MediaTekについて、メディアテックジャパン社長の栫 啓介氏によるとスマートフォン関連のチップセットなどのグローバルシェアは、5G対応のもので2020年から21年にかけて28%→30%、4Gと5Gを合わせたものでは32%→37%となっている。

スマートフォン関連のグローバルシェア

 また、MediaTekはスマートフォン領域以外でも、IoT分野やスマートホーム関連などの領域においてもシェアを持っているという。

IoT・スマートホーム領域のチップセットのシェアも高い

MediaTekのT750

 MediaTekの5Gチップセット「T750」は、7nmプロセスを採用したSub-6対応のチップセットで、キャリアアグリゲーション(CA)に対応し、広いカバレッジ実現を図っている。

 栫氏は、MediaTek製の5Gチップセットの強みとして、「世界初のSub-6におけるTDD+FDDのCA」や「スタンドアローン(SA)」、「VoNR(Voice over New Radio)」をサポートしていることを挙げる。通信速度は、下り最大4.67Gbps、上り最大2.5Gbpsを実現しいる。

 また、ルーターに必要な機能をシングルチップに集積したことで、高性能かつコンパクトな5G対応ルーターを容易に開発できるとしている。電力消費について、MediaTek独自技術の電力管理機能「5G UltraSave」を搭載し、超低消費電力を実現したという。

ワイヤレスブロードバンドの成長

 家庭用ルーター市場は、急速な成長が見込まれており、ホームルーターの5G対応化により、課題だったスループット(転送量)が解決されるとともに、主要な携帯キャリアの参入により、急速な拡大が期待されているという。

 MM総研によると、2021年→2023年にかけて平均成長率は17%、回線数では+200万回線になると試算されている。

 MediaTekのチップセットを搭載した5G対応ホームルーターを利用すれば、煩わしい工事や設置手続きなく、固定ブロードバンドサービスに匹敵する4.7Gbpsクラスの5G通信を提供できるという。

 MediaTekでは、ルーター向けのチップセットのほか、スマートフォンやIoT機器など非ホスト型のチップセット「T700」などを供給している。

 同社は、MediaTekの5Gチップセットを活用することで、ノートパソコンやドローン、自動運転車などと、MediaTekのチップセットを搭載したモバイル/ホームルーターを組み合わせることで「Beyond Smartphone」の環境が構築できるとしている。