FlexScan SX2462W-HXでデュアルモニター
■FlexScan SX2462W-HXでデュアルモニター
デスクトップPCをリプレイスしたので、思い切って液晶モニターもリプレイスすることにした。モノはナナオのFlexScan SX2462W-HX。これを2台買い、デュアルモニター環境とした。
これまではナナオのFlexScan S2410WとFlexScan HD2451Wをデュアルモニター環境で使っていた。後者のFlexScan HD2451Wを買ったときの記事はココにありますけど、2008年初頭に買ってますな。前者のFlexScan S2410Wは2005年10月発売。両方ともけっこー長く使ってきた古いモニターとなる。
2台一緒にリプレイスしたわけだが、その理由は使用中の2台のモニターの表示色が合わなくなってきたから。異なる世代の古いモニターということもあり、どう調整しても双方の色がマッチしない。片方が黄色っぽく片方がピンクっぽく、どちらかに合わせようとすると、今度はどちらかが緑っぽくなったりする。画面の明るさ~微妙な発色にもムラが目立ち始めていた。
まあフツーに使っているぶんにはそーんなに気にならない表示色の劣化。十分キレイに表示される。まだまだ現役の2台だったが、しかし、フォトレタッチなどシビアな色関連作業になるともーダメ。左右モニター色の違いは勘でカバーできる範囲ではあるが、いちいちストレスがたまる。これを解消すべく、今度は同じモニターを一気に2台購入したというわけだ。
てなわけで以降、FlexScan SX2462W-HXの使用感などを中心にレポートしてみたい。
■迷わすSX2462Wをポチッた理由
FlexScan SX2462W-HX(以下、SX2462W)は、24.1型のカラー液晶モニターで、パネルとしてはカラーTFT/IPSパネルを採用している。最大解像度はWUXGA(1920×1200ドット)で、映像入力端子としてDisplayPort(HDCP対応)×1およびDVI-I(HDCP対応)×2を持つ。PCとUSB接続すると独自の映像調整機能を使用できるようになるほか、USB2.0×2ポートが使えるハブとしても機能する。
SX2462Wを選んだのは、ナナオ製の24.1型/WUXGA(1920×1200ドット)表示の液晶モニターとして、俺の用途において最もコストパフォーマンスが高いと思ったから。用途は主にビジネスアプリ使用~静止画処理多々で、ときどきは動画編集てな感じ。こうなると、やはりIPS方式のパネルを搭載したモニターが欲しくなる。
一般的な液晶パネルの駆動方式は主に3種類───IPS(InPlaceSwitching)、VA(Virtical Alignment)、TN(Twisted Nematic)がある。パネル自体の製造コストが最も高いのはIPS方式だが、同時に最も高画質な静止画表示を行えるのもIPS方式、だと言われている。ただ、パネルをドライブする技術により、VAやTN方式のパネルにIPS方式級のキレイな静止画を表示しちゃうメーカーもある。ていうかナナオとかホントそーであって驚く。
ともあれ、俺の用途は静止画処理も重視。やはり色再現性などに優れたIPS方式のパネルを採用した液晶モニターが欲しい。と同時に、24.1型/WUXGA(1920×1200ドット)表示というスペックも欲しい。てのは、これまで24.1型/WUXGA(1920×1200ドット)表示のモニターを使っていたので、これ以下のサイズや画素数になると違和感や慣れるまでのストレスがあると思ったから。でもまあ、23.0型/フルHD(1920×1080ドット)表示のFlexScanやFORISとかでも、まあ慣れちゃえば大きな不都合はないと思うんですけどネ。
あとナナオ製。ナナオ製モニターに関してはFlexScan T560i(http://www.eizo.co.jp/products/discontinued/crt/fs_t560i/index.html)やFlexScan T560i-J(http://www.eizo.co.jp/products/discontinued/crt/fs_t560i-j/index.html)の頃から愛用している。これら高級CRT(高かった)を「5つのNO!!」(商品展示無し、商品説明無し、交換非対応、解約非対応、無料サービス無し)でおなじみだった激安ショップことSTEPで買った記憶が蘇る。
話が逸れたが、予算の都合とかでほかメーカーのモニターもけっこう使った。が、俺的実績において画質的にも品質的にもナナオ製モニターがいちばん期待を裏切らなかった。ほかNECディスプレイソリューションズ(http://www.nec-display.com/jp/)のモニターもかなりグレイトだが、ちょっと前まではあ~んがい高価だったのであまりなじみがなかった。てなわけで専らナナオ製。
で、ナナオ製、IPSパネル、24.1型、WUXGA(1920×1200ドット)表示となると、ColorEdge CG243W-B(http://www.eizo.co.jp/products/ce/cg243wb/index.html)、ColorEdge CG245W(http://www.eizo.co.jp/products/ce/cg245w/index.html)、FlexScan SX2462W-HX(http://www.eizo.co.jp/products/lcd/sx2462whx/index.html)の3機種へと自動的に絞られてしまう。のだが、ColorEdgeシリーズはより専門度の高い高級品。2台買うにはかなり高価でもある。
ある程度汎用的に、でも静止画画質もプチ追求しつつ、デュアルモニター環境を(なるべく安く)構築するにはSX2462Wしかない!! てなことで迷わずポチッとな。
■シンプルながら扱いやすいモニター
SX2462Wを使ってみて感じるのは、入力系統などは今時において必要最小限っぽいのが残念だったりするものの、PCと接続しての使用は快適であり、画質も申し分ないということ。たとえばFlexStandと呼ばれるスタンドは自由自在に動いてモニター設置が容易だし、OSD(On-Screen Display)とともに扱える設定ボタン類は使いやすい。
FlexStand(フレックススタンド)は可動範囲が超広いスタンド。最大で22.5cmも昇降し、モニター下部を机上に接地することも可能だ |
スウィーベル(首振り)は左右各172度で合計344度。360度近く回転するので、正反対へもラクラク向けられる |
チルト(上下方向への傾き)は上方向へ30度。高さ調節と組み合わせればかなり傾いた状態で机上へ接地するようなセットも可能だ |
OSDとともに扱えるボタン類。一昔前のナナオ製モニターのUIから比べると、ヒッジョーに扱いやすくなった |
画質は後述するが、これも十分良好という印象になった。シンプルだが扱いやすく、画質にも満足できるモニターですな。
ただ、正直、微妙に寂しいSX2462Wと言えばそうだ。てのは、たとえば同じ24.1型/WUXGA(1920×1200ドット)表示のエンタテインメント指向多機能モニターであるFORIS FX2431TV(http://www.eizo.co.jp/products/em/fx2431tv/index.html)の仕様なんかを見ちゃうと、入力系統は豊富だし、音声入出力もアリでスピーカー付きだし、ていうかモロにテレビチューナー内蔵だったりリモコン付いてたりで、機能テンコ盛り。
これに対してSX2462WはDisplayPort(HDCP対応)×1およびDVI-I(HDCP対応)×2の入力があり、PCとUSB接続できる……程度の接続性しかない。HDMIもない。PCのほうしか見ちゃいねえモニターと言えよう。そういう観点では、ある程度割り切って買わないと「隣の芝生が青く見えがちなモニター」になるかもしれない。
■USB接続でモード変更や色調整が容易
ちげーよ青じゃねーよ芝生は緑だよモニターの色ヘンなんじゃね? すなわち色調整なんかもラクなSX2462Wなのである。ていうか、そもそも、ナナオ製のグラフィック指向のIPSパネル搭載のモニターなので、買った直後から非常に良好な発色を示しまくりなのであった。
sRGB表示モードでデジカメ写真を表示してみたところ。美しい~ | 微妙な色合いや明暗もシッカリ表示される。初期値で発色も正確だ | 縦表示でウェブ閲覧も快適。プログラマに向く縦表示かもしれない |
SX2462Wは、ほかの多くのナナオ製液晶モニターと同様、FineContrast機能を持つ。これは表示内容(タイプ)に適した色やコントラストの組合せを表示モードとしてワンタッチで選べる機能で、Text(ドキュメント向き)、Picture(写真向き)、Movie(動画向き)、sRGB(sRGB準拠)、User1~3(ユーザー設定)から選べる。たとえば写真の多いウェブサイトを閲覧する場合はPictureモード、デジカメ画像をレタッチする場合はsRGBモードなどと使い分ける。
FineContrast機能(表示モード変更)はSX2462W本体前面下のボタンで変更できるが、SX2462WとPCをUSB接続すればソフトウェア上の操作でも変更できるようになる。また、USB接続した場合、アクティブなアプリケーション(ウィンドウ)に応じて自動的に表示モードを変更するAuto FineContrast機能も使えるようになる。
それから、面倒僅少でモニター表示とプリンターのカラーマッチングやハードウェアによるモニターキャリブレーションを行いたい場合、EIZO EasyPIX(http://www.eizo.co.jp/products/ac/detail/easypix/index.html)が便利。EIZO EasyPIX Softwareは無償で提供されており、たとえばモニターとプリンターのカラーマッチングを得るだけでいいなら無料で使える。キャリブレーションを取りたい場合、専用ハードを使うことになり、メーカー価格1万9800円の(専用ハード付き)パッケージを購入する必要がある。以下、専用ハードを使ったキャリブレート手順を見てみよう。
EIZO EasyPIX(有料パッケージ版)に含まれるキャリブレート用のセンサー。USB接続でPCとつないで使 | SX2462WをPCとUSB接続してEIZO EasyPIXソフトウェアを起動したところ。キャリブレート結果は3セット保存できる | 「キャリブレーション(上級者向け)」を選択。手順としては至って平易なので初心者でもフツーに作業できるだろう |
モニターのキャリブレート目標値を設定するステップだが、プリセットを選ぶだけでOK | このような表示になったら、画面上へと物理的にセンサーをセットする | 画面表示をセンサーが感知し、PC~モニターにフィードバックして自動でキャリブレートする |
キャリブレーション完了~♪ ほとんどクリックだけの作業なのでカンタンである | 3セットのうち1セット目はAdobe RGB、2セット目はsRGBなどとして保存できる | キャリブレーションは定期的に行うのが好ましい。そのためのアラートも出せる |
作業としてはセンサーをセットしてクリックする程度。EIZO EasyPIX任せでハードウェアキャリブレーションを完了できる。もちろん細かく設定をイジってユーザー好みのキャリブレーションを行うこともできる。
このメーカー価格1万9800円の専用ハード付きパッケージ、キャリブレーションツールとしては破格ではある。が、多くのケースで、無料のEIZO EasyPIX Softwareによるカラーマッチングだけで十分な色調整ができるように思う。
たとえばSX2462WのsRGB表示モードとか、もともとかなりシッカリと正確に感じる。気に入らなければScreenManager Pro for LCDソフトウェアで微調整、さらには色温度から全部自分で設定し直すこともできる。それでもやはり……という人がハードウェアキャリブレーションに手を出せばいいような気がするが、まあそのあたりはご自由に、的な。
俺の場合はSX2462Wの新品×2台のマルチモニター環境を構築したんだが、両機とも表示モードをsRGBにしてブライトネスを少し調節しただけで、左右モニターの色がバッチリ合致!! あー気持ちイイ!! これまで感じられた小さな鬱憤が消え去った!! 痛快である。でもそのうち徐々に色味が変わってきたりすると思うので、そうしたら本格的に「2台
のモニターのカラーマッチング」を追求するつもり。
てな感じで、扱いやすくて表示も良好で、その気になれば発色などの表示の追求も手間僅少で行えるSX2462W、仕事&画像処理あたりまでに使うには非常にコストパフォーマンスが高いモニターだと思う。結果的に大満足。この先しばらく、快適な表示環境により爽快な気分が持続する予感である。
2011/9/5 09:00