スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

ベッドに寝ながらタブレット、5年使ったが無問題なのでご紹介

ポールとアームとホルダーで枕の上にタブレットを浮かべる

 タブレットで映画を観たり電子書籍を読んだり。誰もがフツーにやってるスタイルだが、これをベッドで寝ながらやれたらいいなーということで、5年前くらいにその方法を紹介した記事を書いた。

 その記事の最後のほうに、マンフロット(Manfrotto)のスタジオ撮影機材を使ったタブレットの固定方法を紹介した。ややお金のかかりがちな機材なので、紹介後に「マンフロットのスタジオ撮影機材の例はジョークですが、さすがにスタジオ機材、物凄くガッチリ固定できました。ただ、写真のミニポールだとバランスが悪いのと、ミニポールのぐらつきもあるので、こういった機材を使うなら前述の「オートポール」シリーズがマッチすると思います」と書いている。

 そう書いたあとに「だよなーオートポールでタブレットを空中に浮かせたら確実にベッドに寝ながらタブレット利用できるよなー」と考え、実際にそうしてみた。そしたらこれがメチャ快適。その日から夜な夜なベッドに寝ながらタブレットを使うようになった。↓こんなの。

マンフロットのスタジオ撮影機材を使って構成した、枕の上空にタブレットを浮かべられるシステム。
白い部分はタブレットホルダー。タブレットをしっかりホールドする。タブレットホルダーは自由雲台で支えられ、黒いアームは3つの関節があるので、タブレットの向き・位置を自由にセットできる。

 で、それから5年くらいが経過。「いずれアームが緩んでくるとかポールがズレるとかタブレットホルダーが問題起こしたりするかニャ?」と思いつつ使ってきたが、無問題。アームやタブレットホルダーにホコリがたまる程度で、“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”自体は完璧に機能し続けたのであった。

 つまり予期せず5年も“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”の耐久テストを行なってきたカタチ。そして5年使ってもだいじょうぶなので、どういうモノなのかをご紹介したい。ただ、これは自作部分も少々あり、作り方によっては顔の上にタブレットが落ちてくるような可能性もあるので、同じことをするならあくまで自己責任でお願いしたい。

どんな機材を使って構成するのか?

 まず“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”を構成する機材をご紹介。写真で見ていこう。

マンフロット「オートポール黒 150cm-270cm 076B」というポール。突っ張り棒的なしくみで部屋に垂直の柱ができる(両側が強度のある壁なら水平でも使えたりする)。ただし、上下に突っ張る力が非常に強力になる場合もあるので、床や天井がその圧に耐えられるか要チェック。プロでもたまにスタジオの天井に穴を開けちゃうことがあるので、オートポールを使うときは慎重に。マンフロット直販サイトでの価格は2万9755円。なお、ほかにも長さなどが違うオートポールがある。
マンフロットと「ダブルアーティキュレーテッド アーム3段 16mmスピゴット 396AB-3」いう汎用のアームを使っている。耐荷重は4.5kg。マンフロット直販サイトでの価格は1万7260円。使い方や場所に応じたアームを選ぶといいかも。
アームを裏返した様子。銀色のネジで関節の固定の強さを調節することもできる。
関節を固定したり緩めたりするには、クイックロックというハンドルを回す。90°程度回すだけでアーム関節を緩められ角度やアーム突き出し量を変えられる。戻せば関節もアームもガッチリ固定される。
アームの片端には後出のスーパークランプに固定するための出っ張りがある。
アームのもう片端には3/8インチサイズ(3/8-16UNC)の三脚ネジ穴がある。いわゆる「大きいほうの三脚ネジ穴」だ。ここにアダプターを介して自由雲台を取り付ける。
マンフロット「スーパークランプ(035C)」。アームをオートポールに固定するために使う。さまざまなパーツを机などに固定するためのクランプで、重さは500g。固定力はヒッジョーに強く最大耐荷重は15kg。マンフロット直販サイトでの価格は5984円。
左はアームに雲台を装着するときに使うアダプタースピゴット。アームにある3/8インチサイズの三脚ネジ穴に装着し、反対側にある1/4インチサイズネジに一般的な小型自由雲台などを装着できるようにするパーツだ。「マンフロットアダプタースピゴット 1/4'' - 3/8'' 013」だと1850円。写真のパーツは数百円とかだったかも。自由雲台はある程度固定力のあるものを選ばないと、タブレットが傾きやすい。
サンコー「カメラ三脚用タブレットデスク」で直販価格は1980円。ここにタブレットケースを固定する。タブレットを固定するための爪のようなものが付属している。
裏側には三脚ネジ穴がある。前出の自由雲台をこのネジ穴に接続する。しかしこの製品、息が長い。発売日は2015年2月25日だそうだ。
ESRの「iPad Pro 12.9 ケース」。どんなケースでもいいのだが、素材がTPU(熱可塑性ポリウレタン)だとタブレットの着脱が比較的に容易。またケースを前出の「カメラ三脚用タブレットデスク」に固定する作業もラクになる。
細めの化繊ロープと瞬間接着剤。タブレットケースに穴を開け、そこに紐を通して「カメラ三脚用タブレットデスク」に結びつける。瞬間接着剤は紐の結び目が解けないようにするために使う。
レザーパンチなどと呼ばれる、皮革などに穴を開ける道具。これでTPU製タブレットケースに紐を通す穴を開ける。のだが、紐を通す穴が開きさえすればいいので、この道具じゃなくてもいい。
オートポールとアームとクランプだけで5万円オーバー。ほかの必要品まで買い揃えると6万円くらいになっちゃう? でも5年使ってもぜんぜん大丈夫な、非常に使いやすい“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”が作れる。

こんな感じで準備する

 続いて、それぞれのパーツを組み合わせていく。これも写真で見ていこう。

TPU製のタブレットケースに穴を開け、そこに紐を通して「カメラ三脚用タブレットデスク」に固定していく。これはタブレットが入る側で、タブレットと紐が接するが、紐が十分細いので問題ない。
紐を結んで固定するだけ。ひと結びしたら即座に瞬間接着剤を結び目に塗って固定。その後にもう1〜2回結ぶ。最後に、結び目とそこから1cmくらいに瞬間接着剤を塗っておくと、まず解けることはない。
今回は7箇所結んだ。5年前もこのくらい結んだ。
結び目左右は適宜カット。瞬間接着剤を塗ってあるので、紐がバラケてくることはない。
タブレットケースのサイドの穴なども積極的に使う。
紐で固定しているだけで切れたりしないの? この細い紐はATWOOD ROPE(アトウッドロープ)社製の「0.75mm Nano Cord(ナノコード)」という化繊紐(ポリエステルとナイロン)で、0.75mmの細さだが17kgの引張強度がある。タブレット端末を保持しているだけではまず切れない。
はい固定完了。
裏側はこんな感じ。
iPadをセットしてみた。
続いてアームの組み立て。アーム片端にスーパークランプを取り付ける。
スーパークランプの銀色の突起を押しながらアーム片端突起を入れ、ネジを回せば取り付け完了。固定力は非常に強い。
アームのもう片端に自由雲台を装着する。
アームの三脚ネジ穴(3/8インチ凹)にアダプターパーツ(3/8インチ凸・1/4インチ凸)を取り付けると、1/4インチサイズネジを使えるようになる。
そこに自由雲台を取り付けて完了。この部分は頻繁に手で触れて操作するため、緩みやすいので、最初にガッチリ締めておきたい。ネジ固定剤(ネジロックなど)の類を使ってもいいと思う。

枕の上空、自由な位置にタブレット! 邪魔ならしまえる

 機材の用意ができたら、実際に設置。これも写真で見ていこう。

まずはオートポールを立てる。床および天井のなるべく強固な位置にセットする。上下に突っ張る強さは丁寧に調整し、強すぎず弱すぎないようにする。
ウチの場合、天井側にはやや特殊な構造のライトレールがあり、その強固な箇所にセットした。グリーンの紐は「万が一のオートポール転倒防止」のためのもの。なにかの拍子にオートポールの突っ張り力が失われても、オートポールが紐で吊られて倒れない。
オートポールの下側。普通のフローリングならどこでもそこそこ頑丈ですな。
オートポールを立てたら、スーパークランプと自由雲台が付いたアームをオートポールへセット。
さらにタブレットケース付きの「カメラ三脚用タブレットデスク」を、アーム先端の自由雲台にセット。
はい、“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”のインストール完了。
アームの付き出し方、高さ、さらにタブレット端末の向きも自由に調節できる。
邪魔にならないようにしまっちゃうこともできる。アームのクイックロック・ハンドルはその名のとおりクイックにロックしたり緩めたりできるので、アーム形状を手軽に変えられる。
ここから再び枕の上にタブレット保持部を浮かべるのも簡単。

 といった感じで、タブレット端末位置の調節や不使用時の格納も容易な“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”。オートポールのかわりに「ディアウォール」的なものを使うなどして、かかる費用を抑えることもできそうな気がするが、オートポールはヒッジョーに便利だし耐久性も高いので、俺的にはオススメしたい。

 このアームも非常にイイ。何しろ頑丈で、角度の調節が容易。オートポールと組み合わせて使うと安定感もよく、たとえば寝ながら映画を観ていて、タブレットを操作しても、ほとんど揺れず、傾くようなこともまったくない。

 アームの角度がズレてくるといったことも、アームの構造上ない。硬さを正しく調節しておけば、その角度以外に向きようがない。使っていてだんだんタブレットの位置が下がってくるようなことはありえない。

 セットした向きからタブレットがズレるということがあるが、その場合、使う自由雲台の締め具合が弱いのが原因。華奢な自由雲台だとそれが起きがちなので、ある程度しっかりした固定力のある自由雲台を使うのがおすすめ。

 タブレットの着脱も容易。タブレットはTPUケースに収まっているだけなので、そこから抜くような感じで取り出せて、押し込めばセットできる。なので昼間は仕事でタブレットを使い、夜は“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”に装着してエンタテインメント、みたいなことも現実的だ。

 まあ、ゼロから組むと6万円くらいかかっちゃう“ベッドに寝ながらタブレット利用システム”ではある。だが、安定感は抜群で使い勝手もいい。そしてベッド上が娯楽スペースになって愉快なので、興味のある方はゼヒ!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。