スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

「ピノスタジオ撮影背景シート」でお手軽ブツ撮り!

「ピノスタジオ撮影キット」が良さそうなので買ったゼ!!!

 ↑こんなモノを購入した。「ピノスタジオ撮影キット」という製品で、撮影用の背景シート(Mサイズが4900円)とそれを立てるスタンド(6000円)のセット品だ。すっきりした背景シートの上に被写体を置いて撮ると、イイ感じの商品写真になるという撮影用品ですな。「スマートフォンやミラーレス一眼で商品撮影するときの背景として扱いやすそう」と思って買った。

 俺の仕事は記事を書いてネットなどに掲載すること。最近の主な仕事はWebメディアへの寄稿となっている。

 メディアに納入するのは原稿であるテキストと、記事で扱うハードウェアなどの写真。写真はメーカーからもらうこともあるが、だいたいは自分で撮影している。

 紹介するハードウェアなどは、なるべくキレイに見せたい……というか汚い写真だと「なんかこの製品ダメそう」というネガティブなバイアスがかかってしまうので、汚さショボさネムさキモさが加わらないよう、商品写真はしっかりと撮りたい。

 そういった商品写真を撮るのに大切なのは、カメラと照明と背景。最近はミラーレス一眼とティルトレンズで撮影していて、照明は明るめの蛍光灯やLEDライトやクリップオンストロボを使っている。また、スマートフォンのカメラ画質もかなり上がっているので、スマートフォンで商品撮影をすることも増えている。

 で、いつも問題になるのは背景。基本的にテーブルの白を背景にしているが、白いモノを撮るときは必要に応じて背景をグレーにしたりしている。

左は白いテーブルをそのまま背景にして天井の照明で撮ったもの。右は薄いグレーの紙を背景として敷き、撮影用蛍光灯照明で撮ったもの。一手間かければ被写体をイイ感じに撮影できる。

 背景を白以外で撮影するときに使っていたのが背景紙。バックペーパーなどとして市販されているが、多くは幅130cm以上ある紙のロールで、これをセットするのが面倒。2台のスタンドとポールで巻かれたバックペーパーを空中に固定し、そこから必要量の紙を引き出して使う。

 俺の撮影場所は狭いので、そういう大掛かりなセッティングをするのも一苦労。なので、最近はぜんぜん使っていない。それとバックペーパーは繰り返し使えるというものではない。けっこーすぐに汚れたりシワがついたりする。そうしたら汚れたりした部分をカットし、ロールから新たに背景を引き出して使う。

製品が可動する様子を撮った写真。よーく見ると背景の上部に影のようなものが。これはバックペーパーのシワ。現在なら「スポット修復ブラシ(コンテンツに応じる)」などで一発で消せるが、この写真を撮ったのは13年前で、シワを消そうとレタッチするほどに背景に違和感が生じたので「まあこのくらいならいいか」と諦めたのであった。

 ともあれ、バックペーパーを使うと、やはり被写体をよりよく写せる。「やっぱり使うべきなんだよなー、バックペーパー」と年に何度も思うが、セッティングが面倒なので結局ほとんど使わない俺なのであった。バックペーパーを使わずに、レタッチをはじめとする強引な手段でどうにかしてきた。

 そんな俺が最近偶然発見したのが、前出の「ピノスタジオ撮影キット」。なかなか良さそうと思って購入して使ってみたが、予想以上にお手軽便利だったので、今回はこれをレビューしてゆきたいッ!!!

ピノスタジオはどんなモノ? どう使う?

 製品名を「ピノスタジオ撮影キット」と書いたが、正確には、ピノスタジオというブランドの「背景シート」と「取り付けボード」を組み合わせて使う撮影用品だ。以下、ピノスタジオと呼ぶ。

取り付けボードを立て、そこに背景シートを引っ掛けることで、非常に手軽にさまざまな背景を使った撮影ができる。

 背景シートの素材は「ターポリン」と呼ばれる樹脂シート。その表面にリアルな背景がプリントされている。ターポリンは印刷ができて耐久性が高くて汚れにも強くシワになりにくい素材で、たとえばイベントなどで目にする横長の幕などに使われている。学校の「祝5年連続県大会優勝●●部」みたいな垂れ幕なんかにも使われつつ、「横断中」とか書かれた旗もターポリン製だったりする。

ピノスタジオの製品群。背景シートのサイズおよびバリエーションが豊富で、ボードはM/Lサイズで共通して使える。ちょっと便利なグッズもある。

 使い方は簡単で、取り付けボードを立て、そこに背景シートを引っ掛けるだけ。ボードは安定性が高く、背景シートは柔軟でシワがつきにくく扱いやすいので、セッティングに手間がかかる感じはほとんどない。

まずボードをセットする。ボードは樹脂製で、サイズは50×65cm。畳んだときの厚さは1.5cmなので、不使用時には家具の隙間などに収納しておける。
背面の脚を開けばボードが自立する。縦向きでも横向きでも自立させられる。脚は自由に開く。
ボードを自立させたら背景シートをセットする。
背景シート裏面端には折り返しがある。その部分を使ってボードに背景シートの端を引っ掛ける。

 以上でセッティングは完了。ものの2〜3分で済み、すぐ撮影に入れる。上の写真のように窓際などなら、自然な外光とリアルな背景で、雰囲気のいい商品写真が撮れるだろう。

ピノスタジオを複数セット用意すれば、次々と背景を変えながらの効率よく商品撮影することもできる。

 なお、背景シートは巻いて保管するが、それを開いてボードに引っ掛けると、背景シート手前端に少し巻きぐせがあったり、浮いた感じになったりすることがある。だがそのまま背景シートを置いておけば、自然にそういったクセが取れる。早くクセを取りたい場合はドライヤーなどでシートを温めるといい。マスキングテープなどを使い背景シート端をテーブル面に固定する程度でもクセが取れたりする。

 やや余談だが、ピノスタジオを直販サイト購入時、配送に使われた箱がなかなか良かった。背景シートに力が加わらないように作られた箱で、「背景シート配送時にシートが折れたり歪んだりしてたらヤだな」という俺的不安を完璧に払拭してくれたのであった。

ボードと背景シートをセットで注文したが、このような箱に入って配送された。背景シートは巻いてあり、箱の溝に収まっているので、配送中に曲がるなどすることはまずない。

あーら使いやすい♪

 ピノスタジオの背景シートは2種類あり、Standard版とPro版がある。Pro版は2023年に新発売されたもので、従来のStandard版と比べて「さらにシワになりにくい」「プリント柄の発色がさらによい」「Standard版にあった表面の微細な糸目模様がなくなり接写時にも違和感が出ない」など、さまざまな改良が加えられている。

 背景シートのサイズは4種類。それぞれ、Sサイズ(60×60cm)、Mサイズ(120×65cm)、Lサイズ(120×90cm)、XLサイズ(155×350cm)となる。ただ、これら全サイズにStandard版とPro版があるわけではなく、柄の種類も異なっている。詳しくは公式ページの製品一覧でチェックしてほしい。

 さて俺の場合、現在だったら迷わずPro版を買っていたと思うが、Standard版しかなかった去年に購入したので、Standard版のMサイズを使用中。どんな使用感か書いてみたい。

 まずセッティングは前述のように簡単。「セッティングがラクだから使う気になる」という感じだ。このくらいセッティングがラクだと、「この小物をスマートフォンで撮ってInstagramに投稿しよう」と思っても、気軽にキレイな背景をセットしてから撮影できると思う。

 それと、背景シートを巻いたり開いたりするのも容易だ。巻いた状態では直径6cm程度の筒になるので保管時に場所を取らないのもイイ。巻いたり開いたりを繰り返してもシワが付いたりすることはほぼないので、けっこー長期間繰り返し使えそうだ。

仕事場の撮影用テーブル。と言っても、60×60cmの単なるテーブルだ。キャスター付きで下段にレーザープリンターを置いているのであった。テキトーな平面の上で撮影って感じですな。
さっそくセッティング。ピノスタジオの背景シートとボードを出してきて……。
チャチャッとセットアップ。ただ、この60×60cmのテーブルでは、ピノスタジオの背景シートが長すぎて、机の手前に垂らしておくと背景シートがズズズッと下に落ちてしまう。なので、背景シート右横を黒いテープでテーブルに留めている。背景シート左側裏面もテーブルへテープで止めている。ちなみにこのテープ止め作業まで含めて5分かからずセットアップが完了した。
カメラを撮影してみた! なかなかイイ!

 あーら使いやすい♪ やっぱりセッティングが容易で手間にならないってのは非常に重要である。それに上の写真のように背景が整い、自然と被写体に視線が行く。便利っすねー。ほかの背景柄も欲しくなった。

 俺的に感じた難点も僅かにあった。それは取り付けボード。50×65×1.5cmの薄い板状なのでどこにでもしまえるし、扱いも超簡単なのでイイのだが、上の写真のように俺の部屋の撮影台は60×60cmしかない。

 なので、ボードの脚をあまり開くことができず、ボードがやや不安定なのであった。ボードの足は20〜30cmくらい以上開いたほうが明らかに安定するので、購入を考えている方は設置スペースをよく考慮してからのほうがいいと思う。

背景シートはクリップとポールでも使えた

 ピノスタジオ、狭い撮影テーブルだとボードの脚を十分開けず、ボードが不安定になりがち。……じゃあ、テーブルにクランプ止めするポールの上端に、ピノスタジオの背景シートをクリップ留めしたらどうだろう? 無理かな? とりあえずやってみた。

卓上にカメラやライトを固定するためのスタンドというかマウントというか、汎用的に使えるポールですな。
ポールはテーブル端にクランプ止めすることができた。
その上端にピノスタジオの背景シートをクリップで固定した。
あーらデキた。こういうのでいいんだよ、こういうセッティングで。後ろにあるポールは高さ調節が可能。テーブルに乗る背景シート見ながら高さ調節をすると、テーブル手前に背景シートがズリッと落ちることもなくなった。

 なるほど、ピノスタジオの背景シートは、専用スタンドじゃなくてもかなりツカエル感じですな。引っ掛けるタイプの背景シート(M/Lサイズ)は、引っ掛ける部分の折り返しがやや厚めでハリがあり、上の写真のように中央だけクリップ止めしてもグニャリと曲がったりしない。それが幸いして、上記のような応用的な使い方ができるのであった。ナイス!

60×60cmのSサイズ撮影シートも使いやすい

 それからピノスタジオの背景シートは、小物撮影向きのSサイズもある。大きさは60×60cm。俺の撮影テーブルにぴったりのサイズなので、これも(去年なのでStandard版を)購入した。ちなみに現在のSサイズにはPro版しかないようだ。

Sサイズは引っ掛け用の折り目などもない四角いシート。厚みはほかのサイズのものと同じだが、折り目などがないぶん、かなり軽量に感じる。
広げたサイズは60×60cm。
小さめのモノを上から撮るようなときはSサイズが便利かも。

 高さのない被写体や、被写体を上から撮るような場合、つまり被写体後方が写り込まないような撮影に向くSサイズ。手軽に使えて非常にイイ。これもほかの柄が欲しくなってしまった。

 スマートフォンで手元を真上から見せつつの動画撮影やライブ配信にも、このSサイズ背景シートが役立ちそうだ。ただし、Standard版の背景シートは、僅かなテカリが出ることがある。照明の位置を変えればほぼ見えなくなると思うが、少々注意が必要だ。

 ともあれ、予想以上に実用性が高いピノスタジオであった。背景シートは、やや雑に扱っても折り目ができたり切れたりしないし、撥水性もあるので液体をたらしても拭き取れる。液体を容器に入れずそのまま被写体とした撮影もできそうだ。また前述のようにセッティングが非常にラク。サイズ的に大きすぎない背景シートが用意されているのもグレイト。

 ピノスタジオを使い始めてから、マジで「もうデカい背景紙ロール全部処分しちゃおうかな」と考え始めている。背景紙ロールを使わないことにすれば、それをセットするためのスタンドやポールも処分できる。ともあれ、手軽にキレイな背景をセットして撮影したいという人には、ぜひチェックしてほしいピノスタジオなのであった。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。