スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

念願の第6世代「12.9インチiPad Pro」を買った話

チャンス到来、21万2800円のタブレットを買う

第6世代「12.9インチiPad Pro」を購入。Wi-Fi+Cellular 256GB シルバーで、価格は21万2800円。

 2022年11月のアタマに「12.9インチiPad Pro(第6世代)」を買った。俺的にはけっこー“念願”の最新12.9インチiPad Pro。第6世代の12.9インチiPad ProはM2プロセッサー搭載で、それもちょっと念願ではあるが、それよりも「Liquid Retina XDRディスプレイ」を搭載している点が俺的念願の核心部なのであった。

12.9インチのiPad ProにはLiquid Retina XDRディスプレイが搭載されている(第5・6世代)。100万:1のコントラストで最大1600ニトの高輝で正確な発色を備え、たとえばHDR(ハイダイナミックレンジ )の動画や静止画を見ると「スゲい!」と驚ける表示がなされる。表面に見える白い筋は撮影時の写り込み……物撮り大失敗の巻。

 以前に第5世代の12.9インチiPad Proの表示を見たとき「うわっキレイ」と魅了された。のだが、そのころ使っていた第4世代の12.9インチiPad Proは買ってまだ日が浅く、その第4世代でも表示以外は十分満足していた。表示性能のためだけに買い替えるのはなぁ……と手を出さなかった。

 その後、M1 Max搭載「MacBook Pro」を購入。これにもLiquid Retina XDRディスプレイが搭載されていて、その表示を見ると「うっ……やっぱりLiquid Retina XDRディスプレイの表示は美しい!」となりつつ「やっぱりLiquid Retina XDRディスプレイ搭載のiPad欲しいニャ」と思い続けるようになった。

 すると2022年10月に第6世代12.9インチiPad Proが登場。やっぱりLiquid Retina XDRディスプレイ搭載。でも高ーい! ぐぬぬぬぬぬ。手を出せずにいた。

 そしたら家族が使用中の12.9インチiPadが故障。業務的な用途にも使っていたので、とりあえず俺の第4世代12.9インチiPad Proを譲りつつ心のなかで「チャーンス!」とか思いつつ、ウガー使ってないAppleデバイスはいねがーとApple Trade In行きAppleデバイスを探したら3台あったので見積り出したら合計11万3000円! ズギャッと下取りに出して数日待って仮想ギフトカード×3枚を入手した直後に第6世代12.9インチiPad Pro一発イッたという次第である。都合のいい後押しがあると行動超ッ速の俺であった。

第6世代12.9インチiPad Proは、第5世代や第4世代とサイズも形状も(ほぼ)同じ。なのでそれまで使っていた(第4世代)アクセサリーも使える。なお、第5世代から厚みが0.5mm増したので、ハードケースの類は互換性がない場合がある。

 第6世代12.9インチiPad Proを使い始め、速攻でHDR動画とか写真とか見て「キレイっ!」と喜んで、ひとまず終了。俺における12.9インチiPad Proは、基本的にはエンターテインメント用途+情報閲覧のための端末なので、一瞬「M2チップである必要があったのか……第5世代でもよかったのかも」と思ったが、そのあたりを深掘りするとモヤモヤするので思考停止した。

 のだが、しかし、第6世代12.9インチiPad Proを使い始めたら「これけっこう幅広く活用できるな」と感じた。なので、以降、どんな感じで第6世代12.9インチiPad Proが役立っているのか書いてみたい。

Macのサブディスプレイとしてツカエる!

 2019年10月リリースのmacOS Catalinaから「Sidecar」と呼ばれる機能が使えるようになった。iPadをMacのサブディスプレイとして使える機能だ。

 だが俺の場合、ナゼかこれまでSidecarがマトモに機能してくれなかった。iPadをサブディスプレイ化できはしたのだが、マウスポインターがiPad側に移動すると硬直してしまうことがあった。

 だが、macOS VenturaにアップグレードしたらSidecarがフツーに機能するようになった。もちろん第6世代12.9インチiPad Proをサブディスプレイ化することができた。

 第6世代12.9インチiPad Proは机上に出していることが多い。その使い方でSidecarまで利用すると、スゲく役立つシチュエーションが少なくない。

 たとえば「このアプリだけ別画面で表示し続けたい」という場合。Mac側のシステム設定のディスプレイ項目をちょっと操作すれば即、iPadがサブディスプレイ化する。その間、2~5秒程度(Wi-Fi接続時)。

 続けてiPadで表示させたいアプリのフルスクリーンボタン上にマウスポインターを置き、iPadへの移動を選択すれば、iPad上にアプリウィンドウがフルスクリーン表示される。iPad上からMacへウィンドウを戻すときもだいたい同じ手順。

SidecarはmacOSのシステム設定のディスプレイ項目から始める。拡張ディスプレイ(デスクトップを拡張しての利用)の場合、ディスプレイの位置関係を自由に設定できる。
MacにUSB接続したiPadか、Macと同じLANに接続したiPadをMacのサブディスプレイとして使える。MacもiPadも同じApple IDでログオンしている必要がある。iPadはスリープ状態でもOK。
Sidecarを開始すると、iPad上にmacOSのデスクトップが現れる。好みの壁紙にすることもできる。
iPad上に表示されたmacOSのデスクトップ。
iPad上に拡張されたデスクトップが現れるので、アプリウィンドウをマウスでiPad側に移動することも可能だが、フルスクリーンボタンを使うと素早く移動できる。
アプリウィンドウを表示させる前。
アプリウィンドウを表示させた後。フルスクリーンボタンを使って表示させると、移動先のディスプレイでがフルスクリーン表示がなされる。移動したウィンドウをMacのディスプレイに戻すと、ウィンドウサイズも元通りになる。
メインのディスプレイ上に資料などを並べ、iPad画面上に表示させたテキストエディタで原稿を書く、みたいなことができる。その場合、Macに接続したキーボードやマウスは引き続き使えるが、iPadに接続したキーボードも使える。

 Sidecarをワイヤレス・サブディスプレイとしてたまに使っているが、使い始めもクイックだし、ワイヤレスでも十分反応が速いし、あと第6世代12.9インチiPad Proは表示もキレイなので満足度が高い。また使っていると「この用途もまかなえるな」という新たな使い方の発見ができ、第6世代12.9インチiPad Proがサブディスプレイとして意外なほど役立つことがわかる。

メモアプリ表示専用サブディスプレイとして第6世代12.9インチiPad Proを使っている様子。表示される情報量も多く、鮮明な表示で読み書きしやすい。
Adobe Bridgeを表示した様子。メインディスプレイでAdobe Photoshopを使いつつ、サブディスプレイで写真を選択するような使い方だ。
Musicアプリ専用ディスプレイとしてもなかなか楽しい。

 第6世代と第5世代の12.9インチiPad Proは、リファレンスモードでも使える。リファレンスモードは一般的な色空間規格とビデオフォーマットのリファレンスカラーを再現できる。つまりiPad Proを「正確な色が出る基準モニター」として使える。

12.9インチiPad Proはリファレンスモードを使用可能。リファレンスモードを使用中は、周囲の環境が変化しても表示色などが変らない。

 このリファレンスモードを使いつつSidecarを使うと、たとえばMac上の写真の色が正しいかどうかを12.9インチiPad Pro画面上でチェックすることができる。チェックしてみると……あぁやっぱり俺のメインディスプレイはすこーし緑に寄ってるんだなぁみたいなことが判明。ますます「Pro Display XDR」が欲しくなるのであった。

けっこうパソコン的な利用ができるようになってきた

 第6世代12.9インチiPad Proをあれこれイジっていると、「なるほど最近のiPadはパソコン的にも使えるようになりつつあるな」と思う。とくに「ステージマネージャ」を使い始めたら、その考えが強くなった。

ステージマネージャの典型的な表示例。アクティブなアプリがフルスクリーン表示されず周囲に余白を残して表示され、左側には最近使ったアプリのサムネイルが表示される。このサムネイルをタップすれば、すぐにそのアプリがアクティブになる。なので、アプリの切り替えを従来よりもずーっとスピーディに行える。ステージマネージャはコントロールセンターでオンオフできる。
マルチウィンドウで表示することもできる。最大4つまで(外部ディスプレイ接続時はさらに4つ追加可能)。

 iPadOSの新UIって感じなので、使い始めてすぐは戸惑う感じ。だが、使い進めつつ「あーこうなるんだ」とかわかり始めると、「これまでのiPadOSって使いにくかったのかも」と思い始めたりする。そのくらいiPadでのアプリ操作を便利にしてくれる。とくに画面の大きい12.9インチiPadだと、アプリウィンドウも十分大きくて非常に快適だ。

 たとえば写真を見ていて「あっ、この写真の色を調整しよう」と別のアプリをすぐ起動するようなことができる。また、別のアプリを使い終えたら、すぐに元のアプリに戻ることができる。

写真アプリで写真を閲覧中に、「あっ、この写真の入りを調整しよう」と思い立つ。
そこで写真を画像調整アプリへと共有する。
そして写真を調整。左に見えるアイコンをタップすれば元のアプリにすぐ戻れる。

 まあ写真の色調整は写真アプリでもできるから別のアプリを呼び出す必要があまりないかもしれないが、手軽かつ素早くアプリ間を移動して作業できるわけですな。けっこーパソコン的に小気味よく使える。パソコンってアプリウィンドウをいくつか並べて、複数のウィンドウを見ながら作業することが多いと思うが、そーゆーことが実用レベルでできる。

Webブラウザで調べごとをしつつ、メモアプリに書き込んでいくようなことができる。
LINEでコミュニケーションしつつ、メモアプリの情報をコピペで伝えつつ、コミュニケーション上で不明な事柄をGoogle検索することもできる。あっiPadさん、Google検索のヤツ、Pixel 7シリーズの画像ネジ込んできてますぜ!

 このステージマネージャの使い勝手により、以前は「効率悪いからMacでやろう」と思った作業を、「このくらいならiPadでやれちゃうな」と思うようになった。そして実際にiPadで処理したりしている。なお、ステージマネージャに対応しているモデルは、iPad Air(第5世代)、11インチiPad Pro(全世代)、12.9インチiPad Pro(第3世代以降)となっている。

最近は第6世代12.9インチiPad Proで仕事も

 最近の俺は、仕事の仕込み的な作業を第6世代12.9インチiPad Proで行うことが増えてきた。これもまたステージマネージャと12.9インチという画面サイズがあればこそという感じ。

 仕事の仕込み的な作業とは、たとえばハードウェアについてレビューする場合、そのハードウェアを試用しつつ、不明点をWebなどで調べつつ、どのようにレビューするかの記事の骨子を作っていくというようなもの。ハードウェアのこの特徴は伝えるべき、じゃあどういう順序で伝えるか、どんな雰囲気で伝えるか、みたいな話の道筋ですな。

 いつもやっているのは、Webブラウザとメモアプリを併用するスタイル。Webで参考になる情報や信頼できる情報を調べ、レビューの骨子を作りつつ、メモアプリにまとめていく。Webブラウザはウィンドウを2つ開いて使うのが俺流だ。

レビュー記事の仕込み的な作業をパソコンで行なっている様子。いろいろなアプリウィンドウを表示するが、多用するのは2つのWebブラウザーウィンドウとメモアプリウィンドウ。Webブラウザーで製品概要を読みつつ、そのなかの不明要素を別のウィンドウで調べたりする感じ。そうして咀嚼した情報をレビュー記事の骨子としてメモアプリに書いていく。

 これまではこの作業をMac上でやっていた。たまに「あっあの件は書き加えねば」とか思いついたとき、iPhoneやiPadのメモアプリで追記したりしていた(macOS/iOS/iPadOSのメモアプリはクラウド経由で同期する)。

 第6世代12.9インチiPad Proとステージマネージャを使えば、Webブラウザとメモアプリを並べて上記作業ができる。第6世代12.9インチiPad Proは画面が大きいので、パソコンほどではないが一度に見られる情報量も多い。キーボードも装着しているし、その気になればマウスもあるし。

 てなわけで上記作業を第6世代12.9インチiPad Proでやってみたら、なかなかイイ感じなのであった。これなら仕事場に縛られずにレビューの仕込み作業ができるから、隙間時間を有効に使えるし、寒い仕事場に居っぱなしじゃなくていいし、暖かいリビングで酒を飲(以下略)。

第6世代12.9インチiPad Proでステージマネージャを使いつつ、レビュー記事の仕込み的な作業を行なっている様子。iPadはキーボード付きなのでメモに書く作業も効率がいい。マウスを使うこともあるが、Apple Pencilでリンクのタップなどを行うことが多い。

 ステージマネージャでのマルチウィンドウ利用は便利。たとえば一度ウィンドウの組み合わせを決めると、それ以降は(敢えてウィンドウの組み合わせを変えない限り)組み合わせを構成するどのアプリを開いても、同じ組み合わせでウィンドウが開く。

 たとえば、Safari×2ウィンドウ+メモ×1ウィンドウの組み合わせなら、Safariを開いてもメモを開いても、Safari×2ウィンドウ+メモ×1ウィンドウの組み合わせが開く。もちろんウィンドウ位置やサイズも保持される。

 便利だなぁと思うステージマネージャだが、そうして第6世代12.9インチiPad Proで仕事をちょこちょこしていて、追加で新たに思いついた。それは音声入力。MacにもiPhoneにもiPadにも十分実用的と言える日本語テキストの音声入力機能がある。

 ので、第6世代12.9インチiPad Pro+ステージマネージャ+音声入力で、仕事の仕込みができるのでは? と。

 結果、フツーにデキた。ただ誤認識することがあるので、そこはキーボードが必要になったりも。まあ下書きみたいなモンなので多少は誤認識でもいいが。

さらに日本語テキストの音声入力(ディクテーション)も活用。なかなか快適。仕込みレベルのメモ書きなら音声入力の誤認識も、まあそのままでいいかな、と思ったり。

 そこからさらに使いやすさをUPした最近。AirPods Pro(第2世代)の追加だ。

 いや単純に第6世代12.9インチiPad Proで音楽聴きながら仕事の仕込みをしたかったんスよ。で、試しに音楽を流しつつ日本語テキストの音声入力をしてみたら、音声入力中はかなり音量が抑えられてしまった。でもしっかり音声認識した。とはいえ音声入力中に曲のボリュームが抑えられて「曲が途切れた感じになる」のは、なんかシャクだなぁ、と。

 そこで音楽をiPadのスピーカーではなくてAirPods Pro(第2世代)から聴きつつ本語テキストの音声入力をしてみた。すると、音声入力中には曲の音量が抑えられるものの、耳のなかに曲が流れ続ける感じが残っていて、音楽が途切れて聞こえるという残念感はなくなった。

 いいねぇ、と。これなら音楽を聴きながら仕事の仕込みもできるゼ、と。

 こんなふうにして、第6世代12.9インチiPad Proは徐々に俺の仕事も手伝ってくれるようになった。その佇まいは、以前は「キーボード付きフタを付けたタブレット」だったが、最近は「パソコンのようにも使えるタブレット」に見えるようになった。

 とは言っても、第6世代12.9インチiPad Proは相対的に高価。俺の場合はLiquid Retina XDRディスプレイ搭載iPadが手に入り満足であり、ほかにもいろいろ活用できているので価格に納得できているが、わりと特殊な例だと思う。iPadを使いたいしM2プロセッサーのパワーを利用したいしLiquid Retina XDRディスプレイも活用したいし大画面がいいというなら、第6世代12.9インチiPad Proはたぶん満足感が得られる1台だと思う。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。