スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

iPhone 13 Pro Max、従来機種とあまり変わらない?

約2カ月使ってみたが……

 新型が出るたびにiPhoneを買っている俺。iPhone 12シリーズのときは、iPhone 12 Pro MaxとiPhone 12 miniも買ったのであった。

 そして最新のiPhoneは「iPhone 13 Pro Max」を購入した。iPhone 13シリーズ中、いちばんデカくて重いiPhoneだ。画面がデカいのが好きなのであり、重さなんざぁ大して気にしない俺なのである。

 買ったiPhone 13 Pro Max(256GB/シルバー)は税込14万6800円。その後にiPhone 12 Pro Max(256GB)をApple Trade Inに下取りに出したら8万1000円で買い取ってもらえた。iPhone 12 Pro Maxで得た金額をiPhone 13 Pro Max購入に充てたわけではないが、従来機種から最新機種への乗り換えに下取りを使えば、まあまあ納得しやすい支払額になるように思える(この場合だと下取りでの支払額6万5800円)。

 で、このiPhone 13 Pro Maxを約2ヶ月ほど使ってきた。ということで、今回はその使用感をレビューしてゆきたいッ!!!

 でも大雑把な使用感をココでザッと書いてしまうと、フツーな感じの観点からすれば、従来機種iPhone 12 Pro Maxと「そ〜んなには変わらないかナ」みたいな。俺にとっては大きく変わった要素があるが、普通一般な感じの立ち位置を妄想して考えると「最新型のハイエンドなのにiPhone 13 Pro Maxってインパクトなくね?」的な印象になったりする。

 あっそう言えば。Apple創業者のひとりであるスティーブ・ウォズニアック氏は、iPhone 13について「I got the new iPhone; I can’t tell the difference really. (新しいiPhone買ったけど、(従来機種との)違いがホントわからないョ」とコメントしていると報道された。っスよね〜そんな感じスよね〜。

期待のカメラは従来機種をガッと超えてきた

 従来機種iPhone 12 Pro Maxから最新機種iPhone 13 Pro Maxへと乗り換えた俺の満足度は、かなり高い。非常に満足している。なにに満足したかと言えば、まずはカメラ機能だ。

 iPhone 13シリーズは“Pro”が付くProモデルと、そうでないスタンダードモデルがある。どちらのカメラ機能も従来機種より進化しているが、とくにProモデルは大きく進化した。

iPhone 13 Pro Maxのカメラ部。従来機種よりカメラユニットが大きくなり、レンズ直径も大きくなり、出っ張りも増えた。

 例えばレンズが明るくなったり、最短2cmのマクロ撮影(超広角カメラ)が可能になったり、より大型なセンサーが採用されたり(広角カメラ)、77mm相当の3倍望遠撮影(望遠カメラ)が可能になったり、カメラ部は刷新と言えるくらいグレードアップしている。より詳細な進化点は白根雅彦氏の「iPhone駆け込み寺」の記事が詳しいのでそちらをご参照いただきたい。

 俺の場合、iPhone XS Maxくらいから、新しいiPhoneを買っても従来機種はそのまま持っていた。iPhone Xくらいの世代からカメラ性能がグイグイ上がり、iPhoneを仕事用のカメラとして使えるシーンが増えてきたからだ。「1世代前のiPhoneはデジカメとして使おう」という考えになったわけですな。

 ただ、その考えはいい意味で裏切られた。デジカメとして残したiPhone XS Maxより、新しく買ったiPhone 11 Pro Maxのほうがずーっと画質がよかった。さらにiPhone 11 Pro MaxよりiPhone 12 Pro Maxのほうが、かな〜り画質がよかった。高画質化の要素としてはレンズをはじめとするハードウェアの進化のほか、アップルが力を入れるコンピュテーショナルフォトグラフィーの効果も大きいと思うが、「新しい機種は画質的に従来機種をガッと超える」というのが続いた。

 結果、従来機種をデジカメとして使い、最新機種を常用スマートフォンとして使う、てなコトはほぼしなかったのであった。どうせ撮るなら明らかに高画質になった最新機種で、というわけだ。従来機種は死蔵しがちとなった。

 さておき、iPhone 12 Pro Max → iPhone 13 Pro Maxでも、そういう高画質化が起きるのかナ〜、と思って使ってみたら、しっかり高画質化・高機能化されていた。iPhone 13 Pro Maxでのカメラ性能・機能の向上は、iPhoneの歴史では最もインパクトがあるのではなかろうか? と思えるくらい。

 ともあれ、ここで作例を少々。あっスイマセンすいません、MacBook Pro欲しさに前のiPhoneは前述のとおり下取りに出しつつ、従来機種下取り後にようやく撮影タイミングに恵まれたので、従来機種 vs. 最新機種みたいな画質比較はできなかった。

超広角レンズで撮影。画像に対する加工はリサイズのみ(以下同様)。従来機種よりも色のりがよくなったように感じられる。コッテリ感チョイ増し、みたいな。また細部のシャープさも増したように思う。
広角レンズで撮影。
望遠レンズで撮影。超広角レンズから望遠レンズまでで画角がかなり変わるので、同じ位置から撮ってもより幅広く表現できるようになった。デジタルズームを使えばさらに。
超広角レンズで撮影。ほかの写真もそうだが、露出補正などをするなどして高画質を狙った撮影方法をしているわけではなく、iPhone任せの単なるスナップである。
広角レンズで撮影。
望遠レンズで撮影。被写体や被写体までの距離などにより、明るさや発色などを微妙に変えてくれているような気がする。
超広角レンズで撮影。上の富士山写真から15分後くらいに別の場所で。カメラ任せで撮っても時間帯や明るさを感じさせてくれる自然な見栄えになることが多い。
広角レンズで撮影。
望遠レンズで撮影。
広角レンズで撮影。自然な色合いになった。
被写体に近づいていくと、カメラが超広角にスッと切り替わりつつデジタルズームが働いて画角を合わせ、マクロ撮影(被写体に近づいてピントを合わせる近接撮影)となる。
さらに近づいて撮ることができる。マクロ撮影は超広角レンズで行われるが、全てデジタルズーム撮影となるようだ。
これもマクロ撮影。初めて遭遇したので記念に撮ってみた。デジタルズームが使われているので、ドットバイドットまで拡大していくと部分的に人工的な雰囲気があったりもする。だが普通に写真を閲覧しているなら、どのマクロ撮影結果も十分自然で高画質と感じられる。
こちらは逆光での撮影(フラッシュは非使用)。HDR処理がなされたものと思われる。従来機種iPhone 12 Pro Maxも逆光に強かったが、最新機種iPhone 13 Pro Maxはさらに逆光に強く、より自然な仕上がりになったように思う。
これは上の写真を「普通のデジカメでフラッシュを使わず逆光撮影したらこんなふうに撮れるだろう」というイメージをレタッチで再現したもの。iPhone 13 Pro Maxの逆光時の自動補正はなかなかツカエる。

 それからカメラ機能の「シネマティックモード」。iPhone 13シリーズすべてで使える動画撮影機能で、被写体の背景をぼかしたり、自動的に被写体から被写体へとピントを合わせ変えたりできる。これを使うと、映画のワンシーンのように印象的な動画を撮影することができる。実際にどんな動画を撮れるのか、YoutubeにAppleによる作例があるのでご覧いただきたい。

 手前の人物から奥の人物にピントが切り替わるなどのシーンがあるが、ああいったことを自動的に行える。iPhoneが主要な被写体を認識して自動でピントを合わせ変えるのだ。現在ピントが合っている被写体から別の被写体へピントを変えたい場合、合わせたい被写体をタップしてもOK。全て手動で行ってもスムーズなピントの合せ変えができる。

 また、撮影後に「やっぱりこっちにピントを合わせよう」というふうに、ピントを合わせる位置を変えることもできる。さらに、撮影後に絞り値(F値)を変えてボケる度合い(被写界深度)を変えることもできる。

 ただし現在のシネマティックモードで撮影できる動画は1080p/30fps(1920×1080ピクセル)のみのようだ。4Kなど高解像度でシネマティックモードを使って静止画を切り出せれば、ポートレートモードよりずっと幅広い「ボケ味を活かした静止画撮影」を楽しめるように思うので、ちょっと残念。

 てゅーかリアルタイムで自在かつ超スムーズにフォーカスを変えられて、ボケ味を使って主題を強調した撮影ができて、後からフォーカス位置もボケの度合いも調節できるなんて凄い。普段はあまり動画を撮らない俺だが、この機能を使いこなすべく動画撮影環境を整えてみようかナと思ったりしている。

 そんなあたりが、iPhone 13 Pro Maxのカメラ機能で俺的に「おおっ!」と思ったところ。いや〜またもやかなり強化されてきたのであり、新しいカメラ機能だけでiPhone 13 Pro Maxについてとても満足してしまった俺である。総じて手軽に美しい映像が撮れるのが嬉しい。

 カメラ機能を重視するならiPhone 12 Pro MaxからiPhone 13 Pro Maxへ乗り換えるのもアリとは思うが、iPhone 11 Pro Maxあたりからの乗り換えならさらに嬉しさが大きいと思う。iPhone Xの世代からなら「なにこれ! 未来キた!」級の驚きになるんではなかろうか。

ディスプレイが凄い、そこに表示される映像が凄い

 iPhone 13 Pro Maxのディスプレイは、10Hz~120Hzの間でリフレッシュレートが自動変更されるProMotion採用のSuper Retina XDRディスプレイ。ユーザーの使い方(指の動きなど)からリフレッシュレートを変化させ、必要に応じた画面書き換え頻度にしてバッテリー消費量を抑えるという、賢い仕様である。

例えば表示されているコンテンツをスクロールさせた場合、指を動かす速さによってリフレッシュレートを変え、適切な滑らかさでのスクロールを実現。画面の動きがないときはリフレッシュレートを抑えてバッテリー消費も抑える。画一的にリフレッシュレートを揃えるのではなく、使用状態によりリフレッシュレートとバッテリー消費量のバランスを取るという方式だそうだ。

 まあそのあたりも凄いんだが、iPhone 13 Pro Maxの表示品位が非常に高いのが、俺的満足度をかなり高めている要素になっている。表示の良さはiPhone 12 Pro Maxでもそうだったが、ダイナミックレンジの広さが素晴らしい。

 iPhone 13 Pro Maxのディスプレイに最強にキレイに表示されるのは、iPhone 13 Pro Maxで撮った写真(おそらく自動HDR)。iPhone 12 Pro Maxのときも同様の良さがあったが、iPhone 13 Pro Maxからは自動HDR撮影の質が少し変わったようで、「あっこれってHDR写真でしょ〜」とバレにくいというか、HDR写真にやや見えがちだった不自然さがかなり減っている。

 例えば下のような写真。この写真のゲンブツをiPhone 13 Pro Maxの画面に表示すると、「も〜ナニこれマジなの実際の風景と同等かそれ以上にエモーショナルぅ〜」という感動的な美しさで表示されるもんだから、今すぐ「Pro Display XDR」を買いたくなって困るほどである。いやマジで。

スーパーの駐車場で撮った夕空。普通のディスプレイで見ると別になんのことはない夕景なのだが、iPhone 13 Pro Maxのディスプレイで見るとエモーショナル。太陽光のなかに煌めきのある豊かなグラデーションが見え、その光が照らす雲のハイライトが美しく浮かび上がり、手前のクルマの黒い影のなかには黒色の滑らかな諧調とツヤが蘇る。
公園で撮った夕焼け。普通のディスプレイで見るとフツーの夕焼けであるが、iPhone 13 Pro Max上で見ると中央の太陽はピカッピカのギラギラに光りつつ立体感を感じさせ、そこから伸びる光条そして光芒が見事なグラデーションを伴って空に伸びて消えてゆき、手前の闇のなかには芝生や低木の存在がしっかり見えたりもする。

 手持ちのAppleデバイスは、iPhone 13 Pro Max、iPad mini 6、11インチ iPad Pro(第2世代)、12.9インチ iPad Pro(第4世代)だが、iPhone 13 Pro Maxでないと上記のような感動的表示はできないのであった。……もしかして最新世代のiPad Proとかならできるのか? じゃあ買うか? でもデキなかったらやっぱりPro Display XDR買うしかないのか?

 とかモヤモヤしてくるほど、iPhone 13 Pro Maxで撮った写真をiPhone 13 Pro Maxのディスプレイで表示するとスゲく素晴らしいのである。まあ全ての写真がってわけではないが、カメラとして多用するスマートフォンとしてなら、撮影・表示の両性能を合わせて、iPhone 13 Pro Maxはスッゲく高いレベルにある端末だと感じている。

 ちなみに、そんなふうに広いダイナミックレンジで表示されるのは、iPhone 13などで撮った写真には通常の色情報のほかに独特の輝度情報があるから、と言われている。試しに上記写真をいったんPCに転送してリサイズし、その後にiPhoneに戻して表示したら、フツーのディスプレイと同様の平凡な表示になってしまった。リサイズの際、写真から何らかの情報が失われたっぽい。

凄いカメラ欲しいなら買い、そうでなければ安いのを狙う?

 以上、iPhone 13 Pro Maxのカメラ機能およびディスプレイ性能が凄いゼって話、終了。終劇。をはり。

 いやでもiPhone 13 Pro Max、ほかにもハイエンド端末らしい性能も要素もたっぷりあるんスよ。不満という不満も見当たらないし、久しぶりにちょっと奮発して新型スマートフォン買うかって人にはフツーに向いていると思う。買って後悔しにくい最新機種だとも思う。

 のだが、敢えて言えば、iPhone 13 Pro Maxの凄いカメラ機能に期待して買うなら、想像以上の体験になって「買って大正解だゼ!」と胸を張れる1台になると思う。きっと。たぶん。

 そして繰り返しになるが、それがiPhone Xあたりからの買い替えなら、「10万ナンボでいきなり未来が買えたっ!」とクラクラするような素晴らしい体験となるであろー。きっと。たぶん。

 一方、スマートフォンのカメラ機能にそーんなに期待していないし、大して興味もないけど、iPhone欲しいかもって場合、安いiPhoneを探すのがいいように思う。俺がすすめるとしたら、iPhone 11以降がいいように思う。安いの見つけて、余った資金でMac買って、iPhoneとMacの超シームレスな連携を楽しみ始めるというのも愉快ですな。

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スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。