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菅総理、緊急事態宣言で「テレワークで出勤者7割減」
休校・休園要請せず、大学はオンライン授業活用呼びかけ
2021年1月7日 19:49
菅義偉総理大臣は7日夕方、新型コロナウイルス感染症の拡大を踏まえた緊急事態宣言の発出に伴い、記者会見に臨んだ。冒頭の説明では、飲食店の営業時間短縮、医療機関への支援を紹介したほか、感染を抑える重要な施策として「テレワークを強力に推進する」と語った。
菅総理は、「大事なことは会話するときはマスクすること。そして外食を控えること、テレワークによる出勤者7割減、夜8時以降の不要不急の外出自粛、この3点を徹底していただければ感染を抑制できる」とした。本稿では、会見で語られた内容のうち、通信を活用するテレワーク関連の話題などを中心にまとめた。
出勤による感染リスク低減へ
飲食店の時短に続いてテレワークに触れた菅総理は「時間短縮以外でも効果的な対策としてテレワークがある」と説明する。これは出社することで、同僚との会話、あるいは食事の機会が増え、感染リスクが高まるため。
そのため「機会を減らすため、出勤者数の7割減をお願いする」と具体的な目標を示し、「都会でも地方でも同じ働き方できるようにテレワークを強力に推進したい」と意欲を見せた。
学校関連では、「これまで学校から地域に感染が広がった例はほとんどない。学びの機会を守りたい。今回は小中学校、高校大学、幼稚園、保育園へ休校休園はお願いしない。大学については、対面授業とオンライン授業を効果的に組み合わせていただくよう要請する」と述べた。
スマホの人流データを活用
緊急事態宣言が発出されるエリアのひとつである、東京では、感染者の6割については、どのように感染が広がったか、そのルートが判明していない。それでも飲食店の営業時間短縮という方針が打ち出された背景には、地方での感染状況の分析結果があると語るのは、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長。
尾身会長は、東京では感染ルートが追えない背景について、感染者数が多すぎることと、匿名性があることという2点を挙げる。その一方で、地方での発生状況を分析すると、「地方のほうがクラスターがはっきりしている。高齢者や医療機関(での発生)を除くと、3~4割は食事に関係することがわかっている」と語る。
そのため、東京での直接的なエビデンスはないものの、地方での状況から類推して、「(東京での感染の)かなりの数が飲食に関係すると思っている。時間差で職場、家庭、高齢者への感染になっている」と述べ、飲食店での感染を踏まえ、時短営業という方策に繋がったと説明。
菅総理は。「対象に的を絞って、徹底して行うことが大事。そういう姿勢で今回は、緊急事態宣言を発出することになった。今までクラスター発生した場所、可能性があるところに的を絞った」と語った。
2020年春の緊急事態宣言では、安倍晋三総理大臣(当時)が「接触機会の7~8割の削減」が効果をもたらすという発言もあったが、今回は「テレワークにより出勤者を7割減」という内容に留まった。
菅総理は「科学的な知見は重要。人流データも参考にしている」とコメント。具体的な数値目標を掲げていない理由については尾身会長が「感染者数も重要だが、総合的な判断が重要」とする。
これまで分科会では、無症状の感染者による感染拡大、人流と感染の関係、はたまた“接待をともなう飲食への介入”などの分析結果をまとめて公表してきたとのことで、これからもデータがあれば発信する方針。尾身会長は「医療の状況など実態を知りたい。感染者数だけでは部分的にしか見られない」として、感染者数などの具体的な指標だけを掲げることを避けた背景を説明した。