スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

フォリオ・ケース型キーボードで「iPad Pro」の文字入力を静音化……!?

ロジクールの「SLIM FOLIO PRO」を使う

 毎日使うiPad Pro 11インチ。第3世代のiPad Pro(レビュー記事)ですね。2018年発売の、エッジが角ばってるやつ。これを第2世代Apple Pencilとともに多用しています。でもちょっと困ったことが。

 夜間にアレコレ思索している時、調べ物をするためにiPad ProとApple Pencilを特に多用します。Apple Pencilを使っていると画面に指紋が全然付かず快適なので、調べ物をする時にApple PencilでiPad Proのソフトウェアキーボードを使うんです。使用感は快適でイイんですが、Apple Pencilで画面をタップする「コツコツコツ、コツコツコツ」という音がちょっとウルサい。家族にとっても耳障りな感じ?

 じゃあ外付けキーボードを使おうかな、と。タイミングよくロジクールから「SLIM FOLIO PRO」(公式ページ)というフォリオ・ケース型のBluetoothキーボードが発売されたので購入し、使い始めました。

ロジクールの「SLIM FOLIO PRO(型番: iK1173)」。第3世代iPad Pro 11インチ用のフォリオ(二つ折り)タイプのケースで、Bluetoothキーボードを搭載しています。キーボードはUS配列のみで、Apple Pencilをしっかり保持する機構を装備。ロジクールオンラインストア税別価格は1万5250円。第3世代 iPad Pro 12.9インチ用(型番: iK1273)もあり、こちらのロジクールオンラインストア税別価格は1万6250円です。

 iPad Proにキーボードを外付けするなら、アップル純正の「Smart Keyboard Folio」(公式ページ)がいいのでは? という声が聞こえてきそうですが、率直な話、筆者にはアップル製のキーボードがどうにも合わないんです。Macintosh IIくらいの時代(80年代ですね)までのアップル純正キーボード(ADBキーボード)は最高に気に入っていたんですが、それ以降は方向性が変わったのか、どんどんどんどん筆者と相性が悪くなってしまいました。上記Smart Keyboard Folioにも触れましたが「う~ん……」みたいな。

 というわけで、ロジクールのを。ロジクールのBluetoothキーボードは、筆者にけっこう馴染むものが多いので、期待しつつSLIM FOLIO PROを購入しました。使ってみた印象から申しますと、静音性も高くて打鍵感も良く、機能性も十分。アップル純正の「11インチiPad Pro用 Smart Keyboard Folio」と比べると、価格が5000円くらい安いのもイイですね。

 ただ、ユーザーによっては アップル純正品を選びたくなるかも。というのは、ロジクールのSLIM FOLIO PROよりも、アップル純正品のほうが薄いし軽いし充電不要だしキーボード配列も各国語から選べるしで、いろいろ優れた点があるからです。

 ともあれ、以下、ロジクールのSLIM FOLIO PROについて。購入後1週間程度、夜な夜な使っての使用感などを書いてみたいと思います。

シンプルな構造のフォリオ・ケース

 まずSLIM FOLIO PROの構造などから。シンプルながら実用的な構造をしていて、使い勝手もイイ感じです。どんな感じなのか、写真と説明文で見ていきましょう。

二つ折りのケースですが、iPad Proが収まる面とキーボード面はこんなふうにつながっています。
使用スタイルは3種類(3モード)あり、これはキーボードを使うタイピングモード。この状態にすると、iPad Pro底辺部がキーボード面とマグネットで固定され、同時にキーボードの電源が入ってタイプ可能になります。この状態以外では、キーボードの電源は自動的にオフに。なお、画面の角度は固定。ほかの角度では使えません。
これはスケッチモード。Apple Pencilを使って書いたり描いたりするのに適した状態です。キーボードは端末背面の下にある状態。
これはリーディングモード。キーボードを背面に折り畳んで、端末を手で持って使える状態です。背面はキーボードが露出した状態ですが、タイピングモード以外ではキーボード電源がオフになりますので、誤って入力するようなことはありません。ちなみに、写真右のように、スケッチモードの状態で手に持ってもリーディングモード的に使えます。ただし、そうした場合、縦位置で持ったときに右側と左側の厚みがやや大きく異なって気持ち悪いかもしれません。

 3つのモードで使ってみて、タイピングモードはフツーに便利。タイピングモードにすると自動的に電源が入り、それ以外のモードにすると電源が切れるというのも実用的です。当初は「画面の向きが1パターンだけなのはどうなんだろう?」と思いましたが、使用感的な違和感にはつながってはいません。フツーに実用的。
 リーディングモードでは、端末を持つ指がキーボードに触れることがあります。タイピングモード以外ではキーボード電源が自動的にオフになるので誤操作などの問題はありませんが、最初は「キーが指に当たる」という少々の違和感がありました。しかし「そういうもの」と割り切ると、間もなくその違和感もフェードアウト。

 若干の不満が残ったのがスケッチモードです。もう少し画面が起きた状態になると筆者的には書きやすいし描きやすいんですが……。でもケース背面上部に折ったハンカチなど1~2センチ程度のものを挟み込むと、わりと柔軟に画面角度を調節できるので、さほど気にならない不満点となっています。

 なお、キーボードは充電式で、上部右横にある USB Type-Cポートから充電します。満充電からの電池持続時間は、1日2時間タイプしたとして3ヵ月。iPad Proの場合、他の機器をUSB充電できますので、両端がUSB Type-Cのケーブルを携帯すればSLIM FOLIO PROの電池切れの心配をする必要はありませんね。

キー配列や打鍵感

 SLIM FOLIO PROのキー配列はUS配列のみ。全体的な配列はmacOS用キーボードのそれに近く、US配列キーボード使用中のMacユーザーなら違和感なく使い始められると思います。

キー配列はこんな感じ。キーピッチは17mmで、フルサイズキーボードと比べると1~2まわり小さいキーボードです。キーストロークは1.6mmで、「コクリ」という小さな感触で入力の瞬間がわかります。明るさを調節可能なバックライト付きで、暗い場所ではキートップの文字がうっすらと浮かび上がります。バックライトはオフにすることもできます。

 打鍵感は、押下の瞬間がわかるクリック感がありつつ浅すぎることもないストロークで、まずまず良好といった印象です。キー間隔は17mmで、筆者が使用中のデスクトップ用のフルサイズキーボードより3mm程度狭く、使い始めはタイプミスも少々。でも窮屈なほど狭いキーボードではないので、すぐにタッチタイピングできるようになりました。

 静音性もなかなかのもの。Apple Pencilで画面をコツコツコツと叩きながらソフトウェアキーボードから入力していたのと比べると、と~っても静かになったという感じ。意識してソフトにタイプすれば、ほとんど無音と言えるレベルの打鍵音にまで抑えられます。

 あとこのキーボード、上部にあるiOS用ショートカットキーも便利です。ホーム画面への移動であったり、メディアコントロールであったり、いろいろちょっと便利。

 もうひとつ、iOS端末で外付けキーボードを使ったときに利用できるキーボードショートカットも、もちろん使えます。コマンドキーと何らかのキーを同時押しで使えるキーボードショートカットですね。機能は使っているiOSアプリによって変わります。

最上段のキーはショートカットキー。それぞれ、①ホーム画面に移動、②キーのバックライト輝度調整、③iOS検索フィールド表示、④ソフトウェアキーボードの表示/非表示、⑤メディアコントロール(戻る/再生一時停止/進む)、⑥音量調節とミュート、⑦iPad Proのロック、⑧ペアリング、⑨電池残量確認(押して真上のLEDが赤色だとバッテリー残量10%未満)。
コマンドキーと同時押しの各種キーボードショートカットも使えます。アプリによって使えるキーボードショートカットが異なりますが、コマンドキーを長押しすると利用できるキーボードショートカット一覧が表示されます。スクリーンショットのアプリは左から、ホーム画面、Safari、メモ。

 これで夜間の調べ物関連の文字入力がとても捗るようになりました。ロジクールの外付けキーボードは、打鍵感や機能性で筆者との相性がかなりイイという印象があるんですが、このSLIM FOLIO PROも同様に好印象となりました。

Apple Pencil をしっかり保持する頑丈なケース

 SLIM FOLIO PRO購入の後押しとなった要素のひとつとして、Apple Pencilをしっかり保持してくれそうという機能性がありました。ケースを閉じたときにフラップ状の磁気ラッチ機構を開き止めとして使えますが、そのフラップがiPad Proに吸着したApple Pencilの落下を防いだり、フラップ自体にApple Pencilを挿して保持することができます。

iPad Proの上部にはApple Pencilを吸着させて充電・ペアリング・ペンの保持を行えますが、SLIM FOLIO PROにはまさにその位置にフラップ式の磁気ラッチがあります。これによりSLIM FOLIO PROが不意に開くのを防ぎつつ、iPad Proに吸着させたApple Pencilの落下・紛失を防いでくれます。また、フラップ自体にApple Pencilを差し込めるスリーブがあり、そこにペンを挿せばさらにしっかりとApple Pencilが保持されます。

 ちょっとしたApple Pencil保持のしくみなんですが、すっご~く便利です♪ 筆者はiPad Pro 11インチとApple Pencilは常に同時に携帯しているんですが、このケースのApple Pencil落下・紛失防止のしくみはとても実用的。ちなみに、本連載バックナンバー「Apple Pencilをもっと便利に使う!」(関連記事)で紹介している第2世代Apple Pencil用シリコーンケースを装着したままでも、SLIM FOLIO PROのApple Pencil保持のしくみは利用できました。

 それからSLIM FOLIO PRO、iPad Proをかなりしっかり保護してくれます。iPad Pro下部と上部左右が厚めの樹脂で覆われ、これらの樹脂により画面はキーボードと接触せず、背面もまずまず厚めの樹脂ボードで覆われます。衝撃や落下からiPad Proを守ってくれそうで安心感があります。

SLIM FOLIO PROはiPad Proの上の左右端と下部を覆いつつ、iPad Proを保持します。この部分が厚め大きめなので、端末をしっかり保護してくれる感じ。耐衝撃用のケースとして考えてもけっこう頑丈にできています。

 これならけっこうラフにiPad Proを扱えるような気がします。なかなかイイ。

 のですが、この頑丈さは重さと厚さに直結しちゃったりもしています。SLIM FOLIO PRO自体、質量は約552gと少々重め。iPad Pro 11インチの質量が468gですから、ケース装着状態だと1kgをちょっと超えてしまいます。また、iPad Pro 11インチの厚さは5.9mmですが、SLIM FOLIO PROを装着した状態では厚さが20mm近くになってしまいます。

 正直、もうちょっと薄めで軽めであってほしかったところですが、でもまあ、安心感や利便性とのトレードオフということで一応納得しております。また、第5世代iPad mini(レビュー記事)購入・使用開始後は、iPad Pro 11インチをバッグに入れて出かけることも減っているので、「まあ重め厚めでもいいかな」と思ったりも。

 てな感じのロジクールSLIM FOLIO PRO。Apple Pencilを多用するユーザーで、外付けのキーボードも導入してみようかな~、という方はぜひチェックしてみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。