スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
iPad Pro 11インチを3カ月使ってみて
2019年2月18日 06:00
ジワジワ来るゼ! 今まででサイコーかも!
2018年11月7日に発売された2018年モデルの「iPad Pro」(公式ページ)。第3世代ですね。筆者も発売後間もなく購入して使い始めました。買ったのは11インチのiPad Proで、Wi-Fi+Cellularモデル。容量は256GBのものを選びました。
買った理由はいくつかありますが、大きめの理由としては「Face ID」(公式ページ)が使えること。ロック解除、ログイン、支払いなどを顔認証で済ませられる機能で、iPhone Xなどでも使えます。ほかにも、狭額縁で大画面・高解像度であるのも魅力的。新しいApple Pencilにも興味アリ。
で、使い始めて約3カ月。現時点での11インチ iPad Proは、筆者的なiPad Pro史上で「サイコー!」と思える存在になっています。お高いんですが、イイですコレ。
しかし、じつは購入当初、ちょっとインパクトが薄めという気がしていました。前のモデルの「10.5インチ iPad Pro」(レビュー記事)に感じたような……なんかこう「想定内の嬉しさ」みたいな。Face IDは予想通り便利。大画面も快適。新しいApple Pencilも使いやすい。といった、淡々とした満足感があった程度でした。
なので正直、購入直後にレビューしようと思ったものの、インパクトがイマイチだからレビューすんのやめよっかな、とか考えていました。ですが、使っていくうちに、違った印象が生まれてきました。詳細は後述しますが、ポツリポツリと「あっココいいじゃん!」的な実感が生まれてきました。そんな要素がけっこう多い。ドガーンと強いインパクトはないものの、良い要素がイロイロある。ジワジワ来る良さがある最新iPad Proという感じです。
ともあれ、以降、11インチ iPad Proのレビューを。発売後3カ月以上経っている端末なので、基本的な情報についてはAppleの公式ページなどをご覧ください。
なんで買ったのか?
まず、なぜ11インチ iPad Proを買ったのか? 少々前述しましたが、大きな理由はFace IDが使えるからです。顔認証でロック解除やキーチェーンからのID・パスワード自動入力ができること。「iPhone X」(レビュー記事)や「iPhone XS Max」(レビュー記事)でその利便を痛感していますので、iPadでも顔認証が使えたら絶対便利なハズ! と考えたわけです。
日常でiPad Proの使用頻度は高く、毎日、朝昼晩と使う感じ。これまではホームボタンを使っての指紋認証でしたが、これが顔認証に変わり、とても快適になりました。しかもiPad Proは縦位置でも横位置でも上下逆さまでも顔認証が通る(iPhoneだとインカメラを上にした縦位置のみ顔認証可能)。
これが予想を遙かに越えて快適です。ロックボタンを押したりカバーを開いたりして上にスワイプすればロック解除。ロック状態から画面を軽くタップしてもスリープから解除されますので、iPad Pro の画面がこちらを向いていさえすれば、画面タップ→上スワイプだけで 使える状態になります。
キーチェーンからのID・パスワードの自動入力も非常にスムーズ。前のiPadで指紋認証するときにはホームボタンに指を触れるという動作が必要でしたが、このiPad Proだと指を動かす必要もなくなりました。iPadの場合、タブレットサイズなので指をホームボタンに置くという動作って「腕を意外に大きく動かす動作」になっていましたが、それが無くなった。非常にスムーズに扱える端末になった、という印象が強いです。
ただ、新規アプリ購入時にロックボタンをダブルクリックするという何だか原始的な作法はiPhone Xなどと同じ。物理ボタンのダブルクリックなら「ユーザーが意識して許諾した」ということになる? なんかスッキリしません。
11インチで256GB、Wi-Fi+Cellularモデルという点ですが、筆者的には11インチくらいまでのサイズが「持ち歩けるタブレットの上限」です。外出時にも多用するので、SIMが入ることは必須。12.9インチも魅力的ですが、携帯性は……ね。
10インチ前後のiPad各機種について大雑把に言えば、iPadの9.7インチも10.5インチも11インチも、まあだいたい同じサイズ。そのうち、11インチ iPad Proは画面サイズが最大で解像度も最大(2388×1668ピクセル)。毎日iPadを使うユーザーにとっては、ほぼ同じサイズでより大画面・より高解像度なのは快適さに直結します。
まあでも当初は「11インチのほうがちょっと画面がリッチ」くらいに考えていましたし、そう感じていました。ですが、しばらく使っていて、たとえば9.7インチモデルに触れたりすると、「なんか画面小さいし、額縁がヤケに広い」みたいな。液晶モニターを使っていて急にブラウン管モニターを使ったような……それは言い過ぎですが、「前はこんなの使ってたのか」的な時代が流れた感があったりします。
その「もう後戻りできない感」は、指紋認証がFace IDに変わった点についても同様。画面の大きさも認証のラクさも、ある程度慣れちゃうと「もう前のに戻るの無理~」という気分になっちゃいます。
狭額縁もイイですね。最初は「指を置くところ無くね?」的な気がしていましたが、端末のエッジが立ったデザインは「指の掛かり」がよく、片手でもかなり安定的にホールドできます。また、操作している指なのか端末を保持している指なのかを自動判定してくれるので、たとえば左手の指が表示部に指が乗っていても右手の指でタッチ操作できます。
あと、端末容量として256GBを選んだのは、筆者の場合はスマートフォンもタブレットも128GBくらいの容量があれば足りるからです。ホントは128GBモデルがあったらそっちが良かったんですけどね。でも2018年モデルのiPad Proの容量は、64GB/256GB/512GB/1TBからしか選べません。
音楽はストリーミングサービスを使っていなくて端末内に保存するスタイルで、けっこう容量を食っている。あとはアプリは多数は入れていなくて、写真も大量に保存する感じでもない。ファイルはクラウドに置けばいいというのもあって、まあ128GBあれば足りる感じ。ですが、ここのところGoPro HERO7 BlackやOsmo Pocketなどと一緒に使っていて、スマートフォンやタブレットに4K動画をコピーすることもあるので、まあ256GBにしておいて良かったかなとも思います。
新しいApple Pencil(Apple Pencil 第2世代)ですが、それ自体非常に使いやすくなっていますし、iPad Proとの連携性も非常によくなっています。書き味自体は以前の Apple Pencil と変わらないと感じられますが、効果的な改良がなされデジタルペンとしての使いやすさが飛躍的に高まった、と感じます。
まずペンの表面がサラッとしたマットな質感になり、一部がフラットになったことで非常に握りやすくなりました。また、机上に置いても転がらないのが実用的。iPad Proの右側長辺にマグネットで吸着し、そうするだけでペアリングが完了し、充電も行われます。iPad Proに吸着した状態で持ち歩いても、ペンに衝撃を与えない限り落としてしまうこともなさそう。
あと、ペンの横を指先でダブルタップすると、ペンの機能が切り替わるのも実用的。たとえば鉛筆と消しゴムをダブルタップで切り換えたりできます。
新しいApple Pencilを前のApple Pencilと比べると……もうなんか前のApple Pencilへの不満ばかりになりそうですが、筆者にとってはそれほど好ましい方向に進化しました。もう別モノ。前のApple Pencilを愛用している方は、ぜひ新しいApple Pencilにも触れてみてください。
USB-Cになってイロイロ手軽に♪
最新iPad ProはLightning端子が廃止され、新たにUSB-C(USB Type-C)端子が採用されました。アップルがiPad Pro(第3世代)のUSB-Cポート利用法を紹介していますが、USB-Cポートを使っていろいろなUSB機器を手軽に使えるようになりました。
って、もしかして、アップル純正の認証チップ入りUSBケーブルみたいなのを使えばできるって話? なのかと思いましたが、フツーのUSB-CケーブルでOKでした。
iPad ProのUSB-Cポートで何ができるかですが、もちろんPCとの接続ができますし、iPad Proへの充電ができます。また、「Apple USB-C - Lightning ケーブル」(公式ページ)を使えばLightningコネクタ搭載のiPhoneやiPadなどを充電することができます。適切なケーブルを使えばiPhone以外のUSB充電対応機器を充電することも可能。
iPad Proがモバイルバッテリーになるのって、ちょっとイイですね。iPadとiPhoneを併用していると、やっぱりiPhoneのほうがバッテリー減りがちですが、そんなときに電気を分け与えられるってのはナイス。なかなか実用的。
ほかにもイロイロできます。新しく発売された「USB-C - SDカードリーダ」(公式ページ)を使えば、デジカメで撮影した画像を iPad Pro に転送することができます。LightningのiPadやiPhoneでも同様のことができましたけど。
USB-Cポートが使えることで、新たにできるようになったことや、よりスムーズにできるようになったこともあり、筆者的にはそのへんがかなり嬉しい。たとえば、USB接続のカードリーダーが使えること。USB-C対応カードリーダーなら直接つなげて使えますし、普通一般のUSB-Aタイプのカードリーダーなら「USB-C - USBアダプタ」(公式ページ)経由でつなげば使えます。
なんかフツーにUSB-CポートがUSB然と機能しているっぽい。ということで、アレはどうなのか? と思ってUSBキーボードをつないでみました。従来の iPad/iPhone でも「Lightning - USB 3カメラアダプタ」(公式ページ)などを使えば、USBキーボードをiOSデバイスに接続することはできました。ですが、別途USB給電する必要があったり、キーボードによっては機能しないなど、あまりスマートには行きませんでした。
でも、試したところ、アップルの「USB-C - USBアダプタ」経由でiPad ProにUSBキーボードをつないでみたら、アッサリ使えちゃいました。古いPS/2接続キーボード+USB変換アダプタという組合せでもOKでビックリ。
2018年モデルのiPad Pro に1999年製の「IBM Spacesaver Keyboard」を接続して使ってみると、すんごいガチャガチャしたデッドテックな音がしつつも問題なく画面上に文字が現れちゃってサイバーパンクな感じなんですけど、好みのUSBキーボードがアッサリ使えちゃうっぽくてナイスですネ! 常時携帯できる薄型USBキーボードでも物色しようかな♪
そんなことまでデキるんだ~、と軽く驚いたのが、iPad ProのEthernet接続です。「Apple USB Ethernet アダプタ」(公式ページ)とUSB-A/USB-C変換コネクタを使うと、iPadを自宅LAN経由でインターネット接続できました。
調べてみますと、以前からアダプタを組み合わせるなどしてiOSデバイスのEthernet接続はできたようです。でもiPadをEthernet経由でネット接続してどうする? とか思いましたが、環境によってはiPadを爆速ネット接続できるようになったり、ネットはケーブル接続のみ対応とかのホテルでもネット利用できたりして、ちょっとイイかも。USB-C対応のイーサネットアダプタを使えばさらにスマートに接続できますネ。
当初、USB-C対応になったということで「え~Lightningなくしちゃうの~手持ちのLightning資産がモッタイナイ~」と思いました。ですが、USB-C対応になったことで「外部機器接続の自由度が増したしイイかも」と考えが変わりました。まあ、iOSの制限により、たとえば単にUSB-C接続のストレージを接続しただけでは中身を読めないなどの「できないこと」も多々あるわけですが、それでも自由度が高まり活用幅が広がったことは歓迎です。
といった感じの11インチiPad Pro。USB-Cはけっこうツカエルし、ペンはかなり進化しているし、大きな画面とFace IDは文句ナシに快適。使うほどに良さがわかる、バランスの良いタブレット端末だと思います。興味のある方は、ぜひ実機に触れてみてください。