スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

Qiでスマホをワイヤレス充電

最近のワイヤレス充電関連品はコナレてきた?

 去年2017年の9月から11月にかけて、新型のスマートフォンを3台使い始めた筆者。端末は、iPhone X(本連載レビュー記事)、iPhone 8 Plus、Galaxy Note8 SC-01K(本連載レビュー記事)です。それぞれ現在も使用中。

 これら3つの端末に共通するのが、「Qi(チー)」規格のワイヤレス充電に対応している点。Qi対応の充電台に「端末を置くだけで充電できる」という利便があります。

写真左はパッド型のQi充電台。ここにQi充電対応のスマートフォンを置けば充電されます。

 筆者にとって、かつてのQiってイマイチ印象がよくありませんでした。一時期、Qi充電対応モバイルバッテリーなどがドドドッと出てきて、モーター仕掛けのQi充電台なんかも登場し、非常に良さそうなので手を出したんですが、な~んか微妙に使い勝手が……。モバイルバッテリーを置く位置によっては充電が不安定になるとか失敗するとか、充電を途中で止めちゃうとか。なんかこう「Qi充電はユーザーがちょっと気を遣っていないと充電に失敗することがある」みたいな印象がありました。モバイルバッテリーはUSB充電すれば充電の失敗はまずありませんので、そのうちQiを使う頻度が下がり……結局ほとんど使わなくなってしまいました。

 iPhone XとかGalaxy Note8はQi充電対応というコトは知っていましたが、かつてのQiの印象から「あ~も~そういうの別にいいですぅ~」的に軽く敬遠していました。ですが、使っている人の評判がけっこう良い様子。「一昔前のQiと違って今時のQiはイイのかな?」と思い、再度使ってみることにしたのが、去年2017年の年末近くです。

 結果、Qiに対する印象が大きく変わりました。いくつかQi対応充電台を使いましたが、どれもイイ感じで端末を充電。イイ感じっていうか、フツーに当然のように充電できたってコトですが、充電の失敗などはほぼありません。一昔前と変わった? ともあれ、しっかり実用的。そんな経験をしてから前向きにQiを使うようになりました。

筆者が主に使用中のQi充電台。並んでいるスマートフォンはiPhone X。「Qiはビミョーに不便」というかつての印象が払拭されました。なお、一昔前のQi充電対応モバイルバッテリーをこれらQi充電台にセットしてみましたら、一応充電できるもののバッテリーを置く位置が非常にシビアだったり、充電できなかったりしました。同じ規格なのに……謎です。

 Qiでワイヤレス充電していて、最初はデメリットが目立ちました。充電にそれなりの時間がかかること、Qi充電台を置くと少し場所を取ること、ウッカリすると充電されないこと(端末が充電台からズレちゃったときなど)。そういうデメリットは、端末にケーブルをつないでのUSB充電にはほぼありません。USB充電なら、急速充電することも可能ですし、場所を取るわけでもありませんし、確実に充電可能。

 そんなデメリットはありますが、でもQiが便利。何せ「充電台に端末を置くだけ」です。充電時にケーブル接続が不要。コネクタの挿抜の「挿」と「抜」が不要。手間が2つも省けます。細かいことに見えますが、これがまず非常にラク!

 それに「端末置き場はQi充電器の上」としておけば、充電し忘れってコトもありません。端末の充電用コネクタ部が劣化・破損するなどの心配もナシ。実際に使うと細かなメリットが多々あって、後戻りできない系の良さがあります。

 というわけで今回は、筆者的ワイヤレス充電環境をちょっとマトメてみました。Qi充電関連の、主には充電器やQi対応モバイルバッテリーについてです。

使用中のQi充電台アレコレ

 まずはQi充電台について。端末を横置きにするパッドタイプや、端末を縦置きにするスタンドタイプなど、数えてみたら6種類ほど使っています。

パッドタイプやスタンドタイプを合計6種類使用中。USB-ACアダプタとUSB接続してQi充電台へと給電するタイプばかり使っています。専用ACアダプタを使うタイプ(急速充電対応)も持っていますが、ACアダプタが邪魔になるので使っていません。

 端末を横置きにするパッドタイプですが、総じて薄めでコンパクト。シンプルに置けて、さりげない佇まいも好印象です。ただ、端末サイズも含めたフットプリント(机上専有面積)はちょっと広めになりがちです。

 端末を縦置きにするスタンドタイプは、やや存在感が強めですが、フットプリントはわりと狭めです。端末をこちら向きに置けば、通知などの一瞬の表示に気付きやすくてちょっと便利。端末やスタンドタイプQi充電台によっては、端末を横置きにしないと充電できない場合もあるようです。

 これらQi充電台、充電速度や電力変換効率が違うとかで、いろいろ手を出してきました。そして思うのは、正直なところ「充電の速さ」とか「電力の変換効率」とかにこだわるなら、フツーにUSB充電するのがイイですネ。Qiによるワイヤレス充電は、どの充電台を使っても速いとは言い難いです。

 スマホのワイヤレス充電の良さは、端末をちょっと使って、Qi充電台に置いて、またちょっと使って、置いて……を繰り返すと実感できます。「けっこー端末使ってるけど、なんかバッテリー全然減らない!」みたいな。あるいは「端末はいつもだいたい満充電♪」みたいな。塵も積もれば的に、頻繁な細切れ充電の積み重ねにより、端末の電池残量が多いと感じられる瞬間が増えるわけですね。

 なので、出がけにスマートフォンを手に取れば、多くのケースで「よしバッテリー残量に余裕アリ!」という感じになると思います。ただ、自宅やオフィスで極端に長時間端末を使い続ける方は、どのQi充電台を使おうとも充電が追いつかないと思います。

 筆者が思うに、スマホのヘビーユーザーはUSB充電しつつ使い、就寝中だけQiがいいのかも、と。でも実際、就寝時の充電操作って1度のケーブル挿抜だけ。その僅かな手間を省くだけなら、Qi導入のメリットはあまりありませんネ。

 とか細かいコトはさておきまして、筆者が使用中のQi充電台各種をご紹介。ほとんどがAmazonで購入したものです。価格は、最近のAmazonでの実売税込価格を付記しておきました。

 なお、これらのQi充電台で、iPhone X、iPhone 8 Plus、Galaxy Note8 SC-01Kを充電しています。iPhone Xには標準的な厚みのTPUジャケットを、iPhone 8 PlusとGalaxy Note8 SC-01Kには薄めのポリカーボネートジャケットを装着していますが、どの端末も問題なく充電できています。

左写真は、角形の「Anker PowerPort Qi 10」(Amazon.co.jpへのリンク)がAmazonで税込2799円。丸型の「Anker PowerPort Wireless 5 Pad」(Amazon.co.jpへのリンク)がAmazonで税込2299円。右写真の白いのは「Baseus Qi UFO」(Amazon.co.jpへのリンク)でAmazonで税込1800円。並んでいるスマートフォンはiPhone X。どれもUSBケーブル(microUSB端子)を接続して、USB-ACアダプタから給電しています。どの機種もUSBケーブル接続口は充電台のサイドにあり、USBケーブルは脱着可能。スペックが異なるQi充電器ですが「この充電器のほうが秀逸」と言えるまでの性能差は感じられません。
左写真は、左側が「NANAMI Quick Charge 2.0」(Amazon.co.jpへのリンク)でAmazonにて税込2199円。右が「Anker PowerPort Wireless 5 Stand」(Amazon.co.jpへのリンク)でAmazonにて税込2399円。右写真は「FAST CHARGER」とだけある製品で、パッドタイプとしてもスタンドタイプとしても使える充電気です(購入価格は失念しました)。並んでいるスマートフォンはiPhone X。これらも使い勝手はだいたい同じ。背面にあるmicroUSBコネクタにUSB-ACアダプタからのケーブルを挿して使うスタイルです。

 ちょっと余談ですが、じつは上記以外のQi充電台も何機種か使っていました。ですが、端末を置く位置により充電できない怪しい機種だったりしたので、結局は捨てました。最近ではそういうヘボいQi充電台はわりと淘汰されつるあるようですが、それでもこのテの製品を買うときは評判やユーザーレビューなどで吟味して無難なモノを選ぶのがいいと思います。上で紹介している品は、筆者が実際に使用していて問題が出ていない製品なので、まあ無難な製品だと思います。

 さらに余談ですが、お使いのスマートフォンがQi充電対応でない場合でも、「ワイヤレス充電レシーバー」などと呼ばれる「Qi充電機能を外付けするプレート類」を装着するとQi充電できるようになります。ネットで「ワイヤレス充電レシーバー」をキーワードに検索してみると多々見つかりますが、これもやはり評判やユーザーレビューなどをチェックしつつ、無難なものを選んでください。

スマホをQi充電できるモバイルバッテリー

 スマホなどに対してQi充電できるモバイルバッテリーもちょっと便利。モバイルバッテリーにQi充電台を内蔵したというものですね。モバイルバッテリーとして使えつつ、バッテリーの上にQi対応スマホを置くとワイヤレス充電できます。

cheeroの「cheero Powermix 6000mAh」(公式ページ)。並んでいるスマートフォンはiPhone X。Amazonで税込2780円。容量6000mAhのモバイルバッテリーで、電源ボタンを押して上にQi対応端末を載せると充電されます。出力5V/2.1Aの給電用USBポートも搭載。バッテリーへの充電はUSB Type-Cケーブルで行います。
WOFALOのQi対応モバイルバッテリー(Amazon.co.jpへのリンク)。Amazonで税込2799円。並んでいるスマートフォンはiPhone X。容量10000mAhのモバイルバッテリーで、電源ボタンを押して上にQi対応端末を載せると充電されます。給電用USBポートも搭載し、さらにmicroUSB端子の給電用ケーブルも内蔵。加えて、microUSBコネクタにはめて使うmicroUSB-Lightningアダプタが本体に収まっています。Qiを含め、3台の端末を同時に充電できます。バッテリーへの充電はmicroUSB対応USBケーブルで行います。
LFXDのQi対応モバイルバッテリー(Amazon.co.jpへのリンク)。Amazonで税込2960円。並んでいるスマートフォンはiPhone X。容量6700mAhのモバイルバッテリーで、電源ボタンを押して上にQi対応端末を載せると充電されます。給電用USBポート×2も搭載。ACプラグを内蔵しており、ACアウトレット(コンセント)に直接挿して充電できます。入出力対応のUSB Type-Cポートや電池残量を示すディスプレイまで内蔵しています。詳細はリンク先にありますが非常に多機能な製品です。……MacBook用ACアダプタに外見がソックリ!?

 cheeroのはブランド的に安心感がちょっとあったりしますが、機能性やコストパフォーマンスではWOFALOやLFXDの製品が勝ります。ともあれ、どれもモバイルバッテリーとして実用的でありつつ、必要に応じてQi給電に対応してくれて実用的。

 ただ、ケーブル接続での充電と比べると、Qi充電は充電速度がかなり遅く、電力のロスもより多いと思われます。なので、充電速度・効率を重視すると一般的なモバイルバッテリーと充電用USBケーブルのほうがずっと実用的ではあります。

 とか書きつつも、筆者はこういうQi対応モバイルバッテリーがかなり好き。移動中にUSBケーブル無しで充電できると、細々した利便がけっこうあります。ケーブルを扱う手間が減りますし、コネクター部に力が加わって端末やバッテリーのコネクタ部を傷める心配もありません。

移動中にQi充電するの図。端末とQi対応モバイルバッテリーを重ねて持っていれば、(ちょっとずつですが)充電されます。ケーブル不要なのでなかなかスッキリ使えます。適宜ゴムバンドのようなもので端末とQi対応モバイルバッテリーを束ねてしまうと、手に持たずともズレませんし、バッグのなかでもQi充電され続けます。

 Qi対応モバイルバッテリー、なんかこう、ワイヤレスイヤホンっぽい「ケーブルから解放された感」があって好きなんですよね~。ちなみに上の「ゴムバンドで束ねる」という使い方ですが、透明のモビロンバンド(関連記事)で束ねるとイイ感じです。透明モビロンバンドは画面表示の透過性が高く、強靱なのでそうそう切れたりもせず、それでいてゴムバンドのような伸縮性も十分あります。

Qi対応モバイルバッテリーの自作?

 Qi対応モバイルバッテリー、ぼかぁ好きだなァ~♪ てな筆者ですけど、あっコレって自作できるかも!? と思いました。薄いQi充電台(パッドタイプ)をモバイルバッテリーを組み合わせれば、手持ちのモバイルバッテリーがQi対応に! さっそく試してみました。

薄いパッドタイプのQi充電台とモバイルバッテリーをUSB接続すれば、Qi対応モバイルバッテリーになるかも! Qi充電台としては、Te-Richの製品(Amazon.co.jpへのリンク)やYOIの製品(Amazon.co.jpへのリンク)を使いました。モバイルバッテリーはサンワダイレクトの「モバイルバッテリー 700-BTL031GY」(公式ページ)。Qi充電台とモバイルバッテリーを短いUSBケーブルでつなぎ、両者をモビロンバンド(関連記事)で束ねて完成。その結果、フツーに使えて、モビロンバンドが滑り止めにもなってけっこう実用的で、外観的にちょっとエンタープライズ号っぽくなったりもしましたが、う~ん既製のQi対応モバイルバッテリーと比べるとブザマですね~。

 というわけで、チャレンジは軽く玉砕しました。ただ、このテの「薄型パッドタイプ/USB接続型」のQi充電台は、モバイル用途にもイイですね。

 たとえば出張とか。どうせモバイルバッテリーやUSBケーブルやUSB-ACアダプタを持参するわけで、それにこの薄いQi充電台を追加すれば、出張先ホテルでも「いつものようにQi充電」ができて快適だと思います。

 あと、モバイルバッテリーの活用にもイイですね。恐らく携帯電話専門サイトなどをチェックしている方は、1個や2個や5個や10個くらいモバイルバッテリーが余っていると思いますが、そういう余剰電源はQi充電台と組み合わせて「家中どこでもワイヤレス充電環境」みたいにしちゃうと「モバイルバッテリー持て余してるなぁ」的な後ろめたさが解消されていいと思います。って筆者こそ持て余しバッテリーの後ろめたさ解消しとけって話ですネ!

 てな感じの筆者的ワイヤレス充電環境。スマホのQi充電は何だかんだ言って便利なので、今後もアレコレとQi関連ワイヤレス充電方面を模索していきたいと思います。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。