スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

モビロン最高! モビロンLOVE♪

天然ゴムからモビロンに移行してゆく!

 ふとしたキッカケから「もっと強い輪ゴムが必要だ!」という衝動が生まれ、鋭意使い始めたの日清紡テキスタイルの「モビロンバンド」(公式ページ)。スマホケースの素材などとしても知られるTPU(熱可塑性ポリウレタン)を素材とした、伸縮性のあるリングです。つまり天然ゴムを使っていない輪ゴム。これがとてもイイんです♪

「モビロンバンド」として売られているポリウレタン製の輪ゴム各種。普通一般の天然ゴム素材の輪ゴムの倍くらいの値段がしますが、伸縮性・耐久性・耐油性に優れて劣化しにくく、何かと好都合な新素材輪ゴムです。
モビロンバンドは普通の輪ゴムと比べると薄く、滑らかな手触りです。普通の輪ゴムより伸びない感じですが、普通の輪ゴムの多くの用途をカバーできます。また、手で強く伸ばしてもなかなか切れないほどの強靱さがあります。

 このモビロンバンドを鋭意使い始めたキッカケは、巻き癖のついたケーブルを真っ直ぐにする作業をしているとき。どういう作業かは、本連載バックナンバーにてご紹介しましたが、ここでも改めてご紹介。

これは巻き癖が付いたケーブルを真っ直ぐに伸ばす作業です。必要なのは円柱状のボトルなどと輪ゴム。ケーブルの端に輪ゴムをくくりつけ、ケーブルをボトルに巻いて固定するだけ。
こんな感じでケーブルの両端に輪ゴムを掛け、ボトルにケーブルをキレイに巻いて固定。この状態で2時間程度放置するだけで、ケーブルの巻き癖がなくなります。暖かい場所で行うとより効果的だと思います。ケーブルによってはより短い時間でもOKです。
巻き癖を取った後のケーブルは、かな~りストレートになります。キレイになって扱いやすいし気分もイイ♪

 こんなケーブル処理作業なんですけど(と言ってもほとんど放置で作業は巻くだけですが)、使っている輪ゴムがちょくちょく切れるんです。1カ月は保たない感じ? まあ輪ゴムは消耗品ってことで割り切っていたんですが、「ちょっと待てよ、ほかにもイロイロ切れてるなぁ~輪ゴム」と改めて思ったんでした。

 輪ゴムで仮止めしている棒状のものとか袋とかって、しばらく経って見ると輪ゴムが切れていたり、切れないまでも輪ゴムが巻かれた状態で固着したりしがち。ボロボロになっちゃいます。思い起こせば、ボロボロ化した輪ゴムを何度見たことか?

 と思うなか、全然劣化していない輪ゴムを発見。数年前買ったハードウェア製品に付属のUSBケーブルが、なんか白っぽい輪ゴムで巻いてあって、その輪ゴムだけが劣化していない。手にしてみると、まだまだ伸びるし、十分使える状態。何コレ? と思って調べるうち、その輪ゴムが「モビロンバンド」だと判明。そしてアレコレ試してみたら「何コレ~モビロンバンドって超強ぇじゃん!」とその実力を知りました。

 もちろん、上記の巻き癖解消のためにもモビロンバンドを使いましたが、何度使っても劣化して切れるような感じがしてこない。ならば、あの用途には? この用途には? と試していくと、たいていの用途をまかなえるモビロンバンド。じゃあもう天然ゴム素材の輪ゴムを、どんどんモビロンバンドに置き換えてゆきたい! という方向になった筆者なのでした。

天然ゴムとモビロンはどう違う?

 非常に多くの用途にて、モビロンバンドは普通の輪ゴム(天然ゴム素材の輪ゴム)の「より都合の良い代替品」になると感じている筆者ですが、さて、普通の輪ゴムとモビロンバンドの違いは何でしょう? 前述のように、ひとつは耐久性で、モビロンバンドのほうが長持ちします。

 というか、普通の輪ゴムは劣化しやすい素材でつくられているようです。素材は天然ゴムですが、天然素材であるため時間経過で劣化しやすかったり、微生物などにより分解されたり、自然と溶けていったりするそうです。生ゴムというくらいだし、生ものっぽく足が速い感じ? 一方のモビロンバンド(TPU)はそういった劣化が起きにくい合成素材というわけです。

 モビロンバンドはポリウレタン(TPU:熱可塑性ポリウレタン)製で、伸縮性・耐久性・耐油性を備えるほか、食品に対する安全性も高いとのこと。また、普通の輪ゴムのように天然ゴムや硫黄を含みませんので、腐食などが懸念される金属や電子部品などにも使える点もメリット。透明色があるほか、鮮やかな色に着色できるのも特徴的です。

カラフルさもモビロンバンドの特徴です。日清紡テキスタイルのWebサイトによれば、「標準色は透明・白・黒・赤・青・黄・ピンクの7色、蛍光色は赤・黄・ピンク・グリーン・オレンジの5色」だそうです。ほか、厚みは0.3mmと0.4mmがあり、幅は2~15mmまで対応可能、折径(輪ゴムを二つ折りにしたときの長さ)は20~300mmまで対応可能となっています。

 モビロンバンドと普通の輪ゴムを比べると、伸縮性に大きな違いがあります。普通の輪ゴムのほうがよく伸びます。試してみると、輪ゴムは折った状態で6倍程度まで伸ばすことができるのに対し、モビロンバンドは折った状態で3倍程度が限界という感じ。

 まあ、3倍程度にまで伸びれば、だいたいの用途はまかなえます。ので、多くのケースでモビロンバンドは輪ゴムの代替品になるでしょう。モビロンバンドは劣化しにくいので、より都合のよい代替品になります。

 ただし、普通の輪ゴムの伸縮性の高さが必要な用途には、モビロンバンドは不向きです。たとえばゴム動力の玩具で、プロペラ飛行機とかゴム鉄砲とか。小さめの輪ゴムを使ったアクセサリづくりなどにも向かないかもしれません。

 実際に触れてみての「感触」ですが、モビロンバンドはベタ付き感が少なく、わりとサラリとした手触りで、ニオイもほぼありません。また、引っ張って切ろうとしたときの強度が「予想を超えて高い」という感じ。普通の輪ゴムでもモビロンバンドでも、引っ張って切ろうとするとタイヘンですが、モビロンバンドの場合は「モビロンが切れる前に手が切れちゃう!」という感触です。ただし、ある程度以上引っ張ると、目に見えて「少し伸びてしまった」という感じに変化してしまうモビロンバンド。そんな感じで、実際に触れてみると「普通の輪ゴムとモビロンバンドってけっこー別モノだな」という印象になります。

 あと、値段の違い。モビロンバンドは、ブランド品の輪ゴムのだいたい倍くらいの価格で売られているようです。消耗品として一時的かつ多量に使うなら普通の輪ゴムのほうが断然有利ですね。また、モビロンバンドは輪ゴムに比べると入手性もイマイチよくありません。

 といった違いのある、モビロンバンドと普通の輪ゴム。まあ、適材適所で使い分けるのがいいですね。

こんな用途にはモビロンバンド!

 非常に多くの場面にて「ツカエル新世代輪ゴム」となるモビロンバンド。使っていると「この用途にはモビロンバンドが超ハマる!」と思えるケースがいくつかあります。筆者目線ですが、そんなモビロンバンドのハマりどころをいくつかご紹介します。

 まず、自転車に何かを固定するための「Oリングの代替品」として。サイクルコンピューターとかセンサーとか、あるいはライト類を自転車に固定する場合、黒い太めの輪ゴムみたいなの使うじゃないですか。アレって最初は頑丈な感じですけど、意外に早く劣化しがち。突然切れた! ってことはあまり経験していませんが、気付いたら伸縮性がかなり失われていたということが多いです。また、交換品のOリングの入手性もよくなくて、あったとしても専用品でミョーに高価だったり。

自転車に取り付けるセンサーと固定用Oリング。Oリング部分はモビロンバンドで置き換えられます。モビロンバンドを2~3本を重ねて使えば十二分な固定力と強度が得られます。モビロンバンドはOリングより薄く細いことが多いので、重ねて使っても問題が出にくいです。また、モビロンバンドはOリングよりずっと安価なので、整備毎に交換する「使い捨て利用」も現実的です(モビロンバンドには耐油性や耐候性があるそうですが、劣化はしますのである程度の期間使ったら交換するのが無難でしょう)。透明のモビロンバンドを使えば、自転車のデザインを損ないにくく、より自然にセンサー類を装着できるというメリットもありますネ。

 ほか、シートポストに取り付けるLEDライトとか、ハンドルに取り付けるライトやセンサーの台座やベルとか、あるいはフレームに取り付けるポンプ台座なんかも、モビロンバンドを使って固定できちゃいます。ただ、フレームや台座などの違いで「どのサイズのモビロンバンドを使えばイイ感じに取り付けられるのか?」には少々の試行錯誤が必要。長さ違いで何種類かモビロンバンドを入手したり、モビロンバンドの巻き方を工夫する必要が出ると思います。

 それから、自転車やバイクのハンドルあたりに取り付けるスマートフォンホルダーとの併用。スマホの落下防止にモビロンバンドを使うとイイ感じです。モビロンバンドは薄いので、透明色のものを使えば画面表示が透過。見やすい状態でスマホ落下防止を施せます。

自転車用スマートフォンホルダーの「スマホ落下防止用の補助バンド」としてモビロンバンドを使った様子。万全を期して3本も使ってみましたが、画面表示を意外なほど邪魔しません……ていうか画面表示時にはモビロンバンドが見えないほど! ただし、モビロンバンドを巻く位置によっては、スワイプなどの画面操作をちょっと邪魔します。

 ほか、スマホとポタアン(ポータブルヘッドホンアンプ)を束ねたり、充電時にスマホとモバイルバッテリーを束ねたりする用途にも、モビロンバンドは好適だと思います。透明度が高いのでいろいろと応用できますネ♪

 ちょっと変わったところでは、釣りのルアーのフックをまとめる用途に。トレブルフック(3本針)×2以上のルアーって、そのままゴッチャに保管すると、ルアーとルアーがフックで絡まったりします。でもモビロンバンドでフックを軽く固定してやれば、意外なほどルアーどうしが絡まなくなります。

タックルボックスのなかにルアーをそのまま入れておくと、フックが絡まってルアーどうしが合体状態になりがち。ヘタをすると全ルアーが合体! という「ルアー釣りあるある」も。それぞれのルアーのフックを写真のような感じで固定してしまうと、ルアー絡まり問題を大幅に抑えることができます。普通の輪ゴムでもできますが、釣りのシチュエーションは水気が多く直射日光もあるためか、輪ゴムだとすぐボロボロに。

 ほか、カードと紙幣を束ねるミニマリスト流お財布断捨離とか、ファミコンのディスクシステム内部ベルト修理のゲーマー神業とか、イロイロ活用できるモビロンバンド。束ねたりした対象とくっつきにくく、耐油性や耐候性があり、金属などとの相性もよく、透明色を使えばバンド越しにバーコードスキャンができるほど透過性が高い等々、いろいろな良さがありますので、アイデア次第で幅広く役立てられると思います。

どこで買える? どんなのがある?

 最後に、モビロンバンドの入手方法などを少々。いちばん身近な購入先は、恐らく100円均一ショップだと思います。「髪に絡まりにくい輪ゴム」などとして売られていて、材質が「ポリウレタン」ならば、モビロンバンドと同様のTPU輪ゴムだと思われます。

100円ショップで買ったモビロンバンドと同等品と思われる輪ゴム。折径は約35mmでした。日清紡テキスタイルのブランドのものと比べると、色付きのものはより伸縮率が高いようで、折った状態で4倍くらいまで伸びました。

 100均の髪留め用バンドだと、カラーがあって楽しいですが、サイズが限られているというのが残念。豊富なサイズやカラーを求めるなら、モビロンの国内販売代理店である株式会社スギタのWebサイトで購入するのがいいと思います。折径20mm~200mmまで各サイズがあり、カラーも豊富。少量で購入できる点もナイスです。

株式会社スギタのWebサイトで購入したモビロンバンド(日清紡テキスタイルの製品)です。左は折径200mm・100g(約100本)で税込802円。右は折径20mm・50g(約2300本)で税込809円でした。このサイトではカラーもサイズも豊富に売られています。輪ゴム状ではない、モビロンコードやモビロンテープも販売中。

 それから、Amazon.co.jpなどネット通販でも購入可能。実際の流通品を見ていると100g入りが大半です。よく使われる一般的輪ゴムサイズ(折径55mm)のモビロンバンド100g入りだと、約1135本になりますので、誰かとシェアしないと使い切れない量になっちゃいますネ。ただ、それより折径が長いサイズなら、より本数が少なくなりますので、まとめ買いには向くかも。

Amazonで購入した折径55mmのモビロンバンド。日清紡テキスタイルの製品で、100g入りが税込900円でした。ほかのサイズのモビロンバンドも100g入りで1000円前後が実勢価格のようです。

 それから、糸状の「モビロンコード」(公式ページ)も存在します。モビロンコードはアクセサリーづくりなどに使われ、太さ0.8mm(ビーズに通せる太さ)のものが手芸店でフツーに売られています。より太いモビロンコードは「好みのサイズのモビロン製リング」を自作するのにいいかもしれません。

太さ1.5mmのモビロンコード。コード(糸)の断面は円で、モビロンバンドより嵩張りつつ伸縮率もやや低いようです。2倍くらいに伸ばすのが限界って感じかも。写真のように結べば好みのサイズのリングをつくれますので、これを輪ゴムやOリング的に使うのもいいですネ。写真の結び方は「テグス結び」ですが、より簡単な「本結び」でもいいと思います。それぞれの結び方は画像検索で知ることができます。ちなみに、モビロンコードは太さ2mmのものも流通しているようです。

 結ぶことまで含めると、テープ状の「モビロンテープ」(公式ページ)で幅広のモビロン輪ゴムをつくるという手もあります。ただ、残念ながら現状では、モビロンテープは少量での入手性がよくありません。

 ともあれ、イロイロと可能性のあるモビロン素材。なかでもモビロンバンドは入手性も良好で、最初から輪になっているのでナニカと利用範囲が広いと思います。とても使いやすい伸縮リングですので、興味があればぜひ試してみてください♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。