法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「POCO F6 Pro」、パワフルな環境を求めるユーザーのためのフラッグシップキラー

 シャオミがオンラインで展開するもうひとつのブランド「POCO」の新製品「POCO F6 Pro」が発売された。端末価格が高騰し、ハイエンドモデルが購入しにくくなる中、パワフルな環境をリーズナブルな価格で実現したモデルだ。筆者も実機を購入したので、レポートをお送りしよう。

シャオミ「POCO F6 Pro」、160.86mm(高さ)×74.95mm(幅)8.41mm(厚さ)、209g(重さ)、ブラック(写真)、ホワイトをラインアップ

もっとパワーを!

 ここ数年、スマートフォンの価格高騰により、「ハイエンドモデル」「フラッグシップモデル」に位置付けられる製品は、なかなか手を出しにくくなっている。各携帯電話会社が販売する製品については、端末購入サポートプログラムの適用などにより、一時的な負担を軽減できているが、一定期間後に端末を返却しなければならなかったり、そのために補償プログラムが条件とされているケースもある。その一方で、最近では「ミッドレンジ」や「ミッドハイ」と呼ばれるクラスの製品は、急速に各社のラインアップが充実し、一般的な用途であれば、十分な性能を持つスマートフォンが増えてきているが、ゲームやエンターテインメントコンテンツの視聴などを重視するユーザーを中心に、よりパワフルな性能やプレミアム感のあるデザインを求める声も少なくない。

 今回、シャオミから発売された「POCO F6 Pro」は、そんなハイスペック指向のユーザーの期待に応えるモデルだ。「ハイエンドモデル」や「フラッグシップモデル」に匹敵する性能を持ちながら、「ミッドハイ」と変わらない価格帯で販売される注目のモデルになる。シャオミは国内市場において、「Xiaomi」シリーズ、「Redmi」シリーズのスマートフォンやIoT製品などを展開しているが、「POCO」シリーズはこれらとは別のブランドとして、基本的にはオンライン限定で販売されるシリーズ。国内では2022年にゲーミング性能を重視した「POCO F4 GT」が発売され、それ以外の「POCO」ブランドの製品になる。

 こう書くと、「POCO」シリーズがシャオミのゲーミングスマートフォンのような位置付けに見えてしまうが、シャオミによれば、「POCO」シリーズには「POCO X」「POCO M」など、複数のシリーズがあり、その最上位に位置付けられるのが「POCO F」であり、「最強」「最速」を謳うパフォーマンスやプレミアムなデザインなどにより、「フラッグシップキラー」に位置付けられるという。

 製品はストレージサイズの違いにより、2種類がラインアップされ、256GBモデルが6万9800円、512GBモデルが7万9800円で販売されている。販路はシャオミ公式オンラインストアをはじめ、Amazon、シャオミ公式楽天市場店だが、シャオミが5月25日から東京の渋谷PARCOで期間限定でオープンしている「Xiaomi POP-UP Store」でも購入することができる。オンライン限定の製品は実機を触る機会がないが、東京のみながら、こうした場所で試すことができるのは、興味を持つユーザーとしてもうれしいところだ。発売直後はいずれの販路でも在庫切れになってしまい、一時的に購入できなかったが、現在はシャオミ公式オンラインストアでも容量、カラー共に、どちらのモデルでも購入できる。

パッケージには本体のほかに、ソフトケース(右)、120W対応充電器(左後ろ)、USB Type-Cケーブル(後ろ)、クイックスタートガイド(左)などが同梱される

月をイメージした背面仕上げのボディ

 まず、ボディからチェックしてみよう。本体はメタルフレームを採用し、背面は高級感のあるガラス仕上げとなっている。ボディカラーのブラックとホワイトは、月の暗い面と明るい面をそれぞれイメージしたデザインで、表面はサラッとした手触りの処理が施され、自然界の石のようなグラフィックが描かれている。こうした背面に特徴のあるデザインを施すのは、「Xiaomi 13T Pro」のヴィーガンレザーをはじめ、シャオミ製端末多く見られるものだ。単色ではない仕上げは個性もあって、楽しめそうだ。パッケージには背面に装着するカバーが同梱されているが、一般的なクリアタイプや半透明タイプではなく、茶色いカバーが採用されている。もしかすると、再生素材を活かしたケースなのかもしれないが、落下などのトラブルからは保護できるものの、せっかくの背面デザインの良さが活かせないのはやや残念だ。

背面は月をイメージしたという仕上げ。ブラックとホワイトのいずれも大理石のような模様がガラスの下に描かれている
背面のガラスを顕微鏡で拡大。他社製品でも採用例があるが、ガラスに細かい凹凸を付けることで、指紋や手の跡を残りにくくしている
同梱されているケース。本体を守るという意味では有用だが、せっかくの端末本体の仕上げがもったいなく感じさせるような色合い

 耐環境性能はシャオミジャパンの製品情報に記載されていないものの、グローバル向けに発表されている資料では「IP54」と明記されており、IPX4防滴、IP5X防塵対応ということになる。そのため、あまり激しくない程度の雨であれば、問題なく利用できそうだが、豪雨の中での利用や強いシャワーなどの噴射、水没などの利用は避けた方が安全だ。もし、しっかりとした防水レベルを求めるのであれば、IP68規格に準拠した性能を持つ「Redmi Note13 Pro+ 5G」や「Xiaomi 13T Pro」などを検討した方がいいだろう。

左側面にはボタン類などは装備されていない。背面ガラスは周囲の部分を曲線的に面取りすることで、きれいに仕上げている
右側面はシーソー式の音量キー、電源ボタンを備える。カメラ部の突起は約3mm程度
本体下部には中央にUSB Type-C外部接続端子、その隣にピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える

120W Xiaomiハイパーチャージ対応

 バッテリーは5000mAhの大容量バッテリーを内蔵する。充電は独自の120W Xiaomiハイパーチャージに対応しており、パッケージに同梱の120W ACアダプターとUSB Type-Cケーブルを組み合わせることで、最短19分でフル充電ができる。同様の急速充電は「Xiaomi 13T Pro」などでも実現されており、そのレビュー記事でも説明したが、前夜に充電を忘れたまま、寝落ちしてしまうようなシーンでも朝起きて、身支度を調える時間があれば、すぐにフル充電ができるわけだ。もちろん、外出時も対応する充電器を持ち歩けば、ちょっとした空き時間にフルチャージすることも可能だ。ただし、同梱の充電器はプラグ部分が折りたためない構造のため、カバンの中に入れるときは、他の機器や持ち物を傷つけないように注意が必要だ。ちなみに、充電器を追加で購入する場合だが、現在、シャオミ公式オンラインストアででは「Xiaomi 120Wハイパーチャージ対応急速充電器・ケーブルセット」(7990円)が在庫切れとなっている。

 急速充電対応で気になるバッテリーへの負荷と安全性については、POCOバッテリーマネジメントシステムとスマート充電エンジンにより、ゲームや動画撮影時などの高負荷時にも均一な充電速度を維持しつつ、効率性を考慮した動的な充電の調整や夜間のスマート充電にも対応することで、バッテリーの劣化を抑えられるとしている。これらに加え、47項目の安全対策を講じているという。今回の試用中にも何度か充電しながら、ゲームをプレイしたり、動画を連続で再生してみたが、本体が熱くなって、停止するようなことはなく、全体的に安定した動作が確認できた。

6.67インチWQHD+対応Flow AMOLEDディスプレイ搭載

 ディスプレイは3200×1440ドット表示が可能なWQHD+対応6.67インチのFlow AMOLEDディスプレイを搭載する。同じ対角サイズのディスプレイは、「Xiaomi 13T Pro」や「Redmi Note 13 Pro+ 5G」などにも採用されているが、これらの製品に搭載されているディスプレイはいずれも2712×1220ドット表示のフルHD+対応であり、解像度はWQHD+対応の「POCO F6 Pro」の方がひとつ上のクラスということになる。ただし、バッテリー消費を考慮し、出荷時は解像度が「FHD+」(2400×1080ドット)に設定されており、ディスプレイ本来の解像度で表示するには[設定]アプリの[ディスプレイと明るさ]-[ディスプレイの解像度]で「WQHD+」(3200×1440ドット)に切り替える必要がある。この場合でも[WQHD+でバッテリーを節約]がオンになっていれば、解像度を自動的に切り替えて、バッテリーを節約できる。どういったコンテンツを表示するのかにもよるが、自分の利用スタイルとバッテリー消費を確認しながら、ベストな設定を見つけるといいだろう。

有機ELパネルの解像度は「WQHD+」対応だが、出荷時はバッテリー消費を考慮して、「FHD+」に設定されている。「WQHD+」設定時も「WQHD+でバッテリーを節約」をオンにすれば、バッテリー消費を軽減可能

 解像度だけでなく、ディスプレイの仕様もかなりハイスペックで、コントラスト比は500万:1、明るさは標準が700nitながら、太陽光の下での高輝度モードは1200nit、ピーク輝度は4000nitと、トップクラスの性能を持つ。リフレッシュレートは最大120Hzで、コンテンツに合わせた表示ができるほか、60/120Hzの固定設定もできる。タッチサンプリングレートは最大480Hzで、タッチ操作の激しいゲームのニーズにも応える。ちなみに、従来の「POCO F4 GT」にはゲームプレイ中のショートカットを割り当てられる「ポップアップトリガー」と呼ばれる機能が搭載されていたが、「POCO F6 Pro」にはそういった機能が搭載されていない。裏を返せば、そこまでゲームに特化したモデルではないという見方もできる。

 ディスプレイのガラスにはCorning社製Gorilla Glass Victusが採用されているが、出荷時には実使用が可能な保護フィルムが貼付されており、購入後はひとまず、ディスプレイを保護した状態で使いはじめることができる。しばらく利用して、保護フィルムの汚れや傷が気になってくれば、市販の保護フィルムや保護ガラスを貼付することを検討すればいいだろう。

 ディスプレイ内には光学式指紋センサーが内蔵されており、指紋認証が利用できるほか、インカメラによる顔認証にも対応する。スペック表には明記されていないが、筆者が試した限り、マスク装着時の顔認証による画面ロック解除も利用できた。指紋センサーについては画面ロック解除時に長押しをすると、ショートカットが表示され、[検索][スキャナー][イベント]を起動できる。さらに、[設定]アプリで[追加機能]-[心拍数]を選ぶと、指紋センサーを使って、心拍数を計測することもできる。

リフレッシュレートは最大120Hzで、「デフォルト(推奨)」を選べば、表示する内容に合わせ、リフレッシュレートが変更される。「カスタム」では「60Hz」と「120Hz」を固定設定できる
[設定]アプリの[追加設定]-[心拍数]を選ぶと、画面内指紋センサーを使い、心拍数の計測が可能
[設定]アプリの[指紋、顔データ、画面ロック]-[指紋認証]-[ショートカット]をオンにすれば、画面ロック解除時に指紋センサーを長押しすると、ショートカットを起動可能。ただし、カスタマイズのメニューが見当たらない
ホーム画面には最下段にDock、その上にアプリの主要アプリのショートカット、中段にはGoogleの検索ボックスがレイアウトされる

ハイエンドモデル向けチップセットを搭載

 「POCO F6 Pro」が「フラッグシップキラー」に位置付けられる理由のひとつに、チップセットに米Qualcomm製Snapdragon 8 Gen 2を搭載していることが挙げられる。Snapdragon 8 Gen 2は2023年に発売された「AQUOS R8 Pro」や「Xperia 1 V」など、各社のフラッグシップモデルに搭載されていたチップセットであり、2024年のフラッグシップ向けのSnapdragon 8 Gen 3と比較しても十分な性能を持つ。チップセットの性能がすべてというわけではないが、このチップセットを搭載したモデルが前述の7~8万円という価格で購入できるのだから、かなりコストパフォーマンスは高い。

 チップセットをはじめとしたシステム全体の冷却については、「LiquidCool Technology 4.0 with IceLoop」と呼ばれる冷却システムが搭載される。5000mm2(平方ミリメートル)のステンレス鋼を採用し、従来のベイパーチャンバーに比べ、約3倍の冷却性能を改善しているという。今回試用した範囲では、ゲームのプレイ中に背面がほんのり温かくなる程度の発熱だった。

 メモリーとストレージについては前述の通りだが、RAMが12GBで、ROMは256GBと512GBのモデルが用意される。外部メモリーカードには対応していない。RAMについてはストレージの一部を利用した「メモリ拡張」を使い、最大8GBまで追加することができる。

ストレージの一部を占有して、メモリーとして利用する「メモリ拡張」は、4/6/8GBを追加可能

 モバイルネットワークは5G NR/4G LTE/3G W-CDMA/GSMに対応する。5GについてはSub6のみの対応となる。NTTドコモの5Gに割り当てられたバンドのうち、「n78」には対応するが、「n79」には対応しない。NTTドコモ、au、ソフトバンクが5G NR化した転用バンドにも対応する。

 SIMカードはSIMカードトレイに2枚のnanoSIMカードを装着できるデュアルSIM対応となる。ただし、eSIMには対応しない。「Xiaomi 14 Ultra」のレビューでも触れたが、このタイミングで発売される商品で、eSIMに対応しないのはやや残念な印象が残る。

本体下部にはピンで取り出すタイプのSIMカードトレイを備える。表裏にnanoSIMカードを1枚ずつ装着可能

 Wi-FiはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax準拠で、2.4GHzと5GHzで利用できる。Bluetooth 5.3に対応し、オーディオコーデックはAAC/LDAC/LHDC 5.0/LC3に対応するほか、補聴器などで採用されるASHA、大量の受信デバイスに音声送信が可能なAuracast対応にも対応する。衛星による位置情報は、中国BeiDou、米GPS、欧州Galileo、露GLONASS、日本のQZSS(みちびぎ)、印NavICに対応する。これらのうち、GPSやGalileo、QZSSなどはデュアルバンドに対応しているため、より高い精度での測位が期待できる。

 FeliCaについては対応していないため、おサイフケータイのサービスは利用できないが、NFC(Type A/B)は搭載されているため、以前、筆者が本誌の「みんなのケータイ」で説明したように、一部のVISAカードなどを登録することで、タッチ決済を利用することはできる。もっともそれ以上に各社のコード決済の方が利用できることが多そうだが……。

Xiaomi HyperOS搭載

 プラットフォームについてはAndroid 14ベースのXiaomi HyperOS 1.0.5が搭載され、文字入力はAndroid標準の「Gboard」が採用される。

 シャオミはこれまでAndroidプラットフォームに、独自のユーザーインターフェイス「MI UI」を組み合わせてきたが、昨年、新しいスマートエコシステム向けに設計された「Xiaomi Hyper OS」を発表し、同社製品に搭載しはじめている。基本的にはAndroidをベースにしているものの、異機種間の互換性やスマートフォンでのファームウェア使用率の抑制など、動作やセキュリティ面などを統合的に進化を遂げた内容となっている。GoogleのPlayストアが利用できるなど、基本的な使い勝手はこれまでのAndroidプラットフォームと変わらないが、IoTなども視野に入れた設計になっているため、今後、シャオミ製の他製品と高度な連携ができることになりそうだ。ちなみに、これまでに発売された「Xiaomi 13T Pro」など、出荷時に「MI UI」が搭載されていたモデルも順次、Xiaomi HyperOSへのアップグレードが開始されている。

 搭載されるプラットフォームがXiaomi HyperOSに変更されたものの、ユーザーインターフェイスとしては従来の「MI UI」の流れを踏襲している。たとえば、ホーム画面は上方向にスワイプして、アプリ一覧を表示する「アプリドロワーを使用」とホーム画面にすべてのアプリを並べる「クラシック」が選べ、システムナビゲーションも「ジェスチャー」と「ボタン」が選べる。最近のタスクはこれまでのシャオミ製端末で採用されてきた「縦」とAndroidプラットフォームで一般的な「横」が選べ、「メモリの状態を表示」を設定したり、プライバシーに配慮して、最近のタスクに表示するアプリのサムネイルを「プレビューをぼかす」を有効にすることもできる。

ホーム画面モードを[アプリドロワーを使用]に設定していれば、ホーム画面を上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される。最上段の[コミュニケーション]や[エンターテインメント]などのタブでカテゴリー分けも可能
ホーム画面は[クラシック]と[アプリドロワーを使用]から選べる

 シャオミ製端末に搭載される独自のアプリや機能も豊富だ。たとえば、[設定]アプリの[追加設定]には、前述の[心拍数]や「メモリ拡張」をはじめ、片手で操作するために画面を下半分に表示させる[片手操作モード]、サイドバーを表示して、アプリをウィンドウ表示ができる[フローティングウィンドウ]などが利用できる。

画面右半分で下方向にスワイプすると、クイック設定パネルが表示される。Xiaomi HyperOS搭載の他機種同様、下半分のアイコンにキャプションがなく、最初は何のボタンなのかに戸惑う

 ゲーム関連ではゲームをダウンロードしたり、マイゲームを管理できる[ゲームセンター]がインストールされているほか、ゲームのプレイ環境をサポートする[ゲームターボ]」が搭載されている。[ゲームターボ]はシャオミ製端末独自の機能で、ゲームプレイ中のタッチ操作の最適化や通知の制御などが設定でき、スクリーンショットや録画、ボイスチェンジャーなどの機能も用意されている。インストールされたそれぞれのゲームに合わせた設定ができるので、ゲームをプレイするユーザーにとっては、強力なツールと言えそうだ。ただ、従来モデルから少しずつ仕様が変わってきたこともあり、どこから[ゲームターボ]が起動できるのかがわかりにくい。ホーム画面に[ゲームターボ]のアイコンがないときは、シャオミ独自の[セキュリティ]アプリを起動し、上方向にスワイプしたときに表示される[ツールボックス]の[ゲームターボ]をタップすると、起動できる。

ゲームを快適に楽しむための[ゲームターボ]は[セキュリティ]アプリを起動し、上方向にスワイプしたときに表示される[ツールボックス]から起動可能
インストールされているゲームアプリごとに、個別のGPU設定などを選べる
ゲームプレイ中、左上から内側にスワイプすると、[ゲームターボ]の画面が表示される。ここでゲームターボの各機能を設定可能

5000万画素メインカメラを含むトリプルカメラを搭載

 カメラは背面にトリプルカメラを搭載する。5000万画素イメージセンサー/F1.55のメインカメラ(24mm)、800万画素イメージセンサー/F2.2の超広角カメラ(16mm)、200万画素/F2.4のマクロカメラ(25mm)で構成され、メインで利用する5000万画素イメージセンサーにはシャオミ独自のLight fusion 800イメージセンサーが採用され、光学手ぶれ補正も搭載する。センサーサイズは1/1.55インチと大きく、4-in-1スーパーピクセル(ピクセルビニング)により、通常時は4096×3072ドットで撮影される。

背面にトリプルカメラを搭載。各カメラのリング部分がゴールド仕上げで、なかなか派手な演出

 撮影モードは[写真]や[ビデオ]のほか、[プロ][ドキュメント][ポートレート][夜景]が用意され、[もっと見る]を選ぶと、5000万画素イメージセンサーでピクセルビニングなしに撮影する[50MP]、[スローモーション][タイムラプス][長時間露光]といった時間をコントロールした撮影モードも用意される。[もっと見る]でユニークなのは[監督モード]で、「POCO F6 Pro」と同じネットワークにタブレットを接続し、ひとつのマルチカメラとして統合し、複数のアングルから撮影できる。同じ「POCO」ブランドでは「POCO Pad」も販売されているので、これを組み合わせて、動画を撮ってみるのも楽しいだろう。

 ディスプレイ上部中央のパンチホールには、1600万画素イメージセンサー/F2.4のフロントカメラ(24mm)を内蔵する。撮影モードはリアカメラと同じで、ポートレートを選んで、[f]をタップして、背景のぼかしを調整したり、ファインダー右端の[ビューティ/フィルター]アイコンをタップして、ビューティモードで美肌や美白、輪郭を調整することもできる。フロントカメラは1080p/60fps、720p/30fpsの動画撮影にも対応しているため、Vlogや自撮りムービーのニーズにも応えられる。

ポートレートで撮影。背景もきれいにボケている。モデル:望月ゆうり(X:@Tiara00107、Instagram:@mochi.yuri_、所属:ボンボンファミン・プロダクション
インカメラを使い、ポートレートで撮影。[手のひらシャッター]にも対応する
[カメラ]アプリを起動し、上段の[▽]をタップし、表示された画面で[マクロ]を選ぶと、マクロ撮影が可能。話題の新札の細かい細工なども確認できる

 撮影した写真や動画、スクリーンショットは、シャオミ独自の[ギャラリー]アプリで確認できる。[ギャラリー]アプリの右上のメニューから[設定]-[Googleフォトのバックアップ]を選ぶと、Googleフォトへのバックアップが設定できる。端末にはGoogleフォトと連動可能な[フォト]アプリもインストールされているので、そちらで設定することもできる。[ギャラリー]アプリでの編集機能も充実しており、一般的な[トリミング]や[フィルター]、[テキスト]、[モザイク]などの機能が利用できるほか、背景の余計なものを消す[消しゴム]、背景の空を夕景や星空に変更する[空]などのエフェクトを楽しむこともできる。少し気になるのは、[空]で[夕方]や[星]を選ぶと、ポートレートで撮影した写真でも人物が暗くなってしまうなど、エフェクトがあまり被写体を考慮しない点が挙げられる。ある程度の町制はできるが、今後、AI編集の強化などで、より仕上がりのいい写真編集機能を期待したいところだ。

[写真]アプリを起動し、ファインダーで[0.6X]を選ぶと、超広角カメラに切り替わり、ワイドな撮影が可能
[写真]アプリを起動し、[1X]を選択して、撮影。超広角で撮影したときに比べ、全体的にクリアに撮影できている
ファインダー画面で[2X]に切り替えて、撮影。ほとんど画質を劣化させることなく、標準の2倍ズームで撮影が可能
デジタルズームの[10X]で撮影。さすがに、光学ズームに比べると、画質は粗くなってしまうが、看板などは確認できるレベル
[カメラ]アプリの[もっと見る]に用意された[監督モード]ではタブレットを組み合わせ、マルチカメラでの撮影も可能

7~8万円を切る価格で買える「フラッグシップキラー」

 スマートフォンに何を求めるのかは人それぞれだが、ミッドレンジやミッドハイと呼ばれる価格帯のスマートフォンが好調な売れ行きを示す一方で、ゲームやエンターテインメントコンテンツの視聴、動画撮影など、よりパワフルな端末を求める声は根強い。ただ、ハイエンドやフラッグシップと呼ばれるスマートフォンは、価格が十数万円以上、あるいは20万円以上と高騰しており、なかなか手を出しにくい状況にある。

 そんな中、シャオミから発売された「POCO F6 Pro」は、2023年に発売された多くのフラッグシップモデルに搭載されていたSnapdragon 8 Gen 2を採用し、WQHD+対応ディスプレイを搭載しながら、6万9800円(256GBモデル)、7万9800円(512GBモデル)という価格を実現している。最近では各携帯電話会社のフラッグシップモデルが1年落ちになり、少し割安に販売されるケースも見かけるが、元々の価格が十数万円や20万円超なので、「POCO F6 Pro」の価格帯まで割り引かれることはない。

 こうしたスペックと価格の関係性に加え、スマートフォンのゲームをより快適に使うための「ゲームターボ」をはじめ、シャオミが培ってきたユーザビリティ、優れたカメラ性能など、スマートフォンを存分に楽しむための要素もしっかりと充実している。「POCO F6 Pro」はまさに「フラッグシップキラー」の名に相応しい強力な一台と言えるだろう。

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