法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「OPPO Reno11 A」、パワーアップして生まれ変わった実力派モデル

 国内向けにスマートフォンやタブレット、IoT製品を展開するOPPOから、同社の国内市場向け主力モデル「OPPO Reno A」シリーズの最新モデル「OPPO Reno11 A」が発売された。筆者も実機を試すことができたので、レポートをお送りしよう。

オウガ・ジャパン「OPPO Reno11 A」、162mm(高さ)×75mm(幅)7.6mm(厚さ)、177g(重さ)、ダークグリーン(写真)、コーラルパープルをラインアップ

各社の競争が激しさを増すミッドレンジ

 コロナ禍の影響や半導体不足などの影響もあり、ここ数年、国内外のスマートフォン市場は漸減傾向にあるとされるが、国内市場は昨年半ばからの急激な為替レートの変動により、スマートフォンの販売価格が大幅に高騰している。かつて国内市場は、各携帯電話会社などの販売奨励金による手厚いサポートもあって、世界的にもまれな『ハイエンド中心の市場』と言われたが、近年は総務省の厳しい指導(規制)の影響で、市場が冷え込んでしまい、各社の売れ筋はミッドレンジへと移行した。市場の半数を占めるとされるiPhoneですら、普及価格帯のモデルや型落ちモデルが売れ筋の中心になりつつある。

 こうした中、各社の端末ラインアップの展開にも変化が見えはじめている。もっともハイスペックなフラッグシップは販路を絞り込んだり、ひとつ前の世代のチップセットを採用した『準フラッグシップ』のようなモデルやわずかに仕様が違うバリエーションモデルをラインアップに加え、ユーザーが手に取りやすくするなどの工夫が見え隠れする。

 一方、ミッドレンジについては、各社がラインアップを拡充したことで、かなりの激戦区になりつつある。ディスプレイは6インチ台が当たり前になり、カメラも複数のイメージセンサーによるマルチカメラの搭載、背景をぼかすポートレート撮影も標準的にサポートされ、暗いところでの撮影も難なくこなすほどのレベルに進化している。これらに加え、国内で必須とされる防水防塵やおサイフケータイといった日本仕様をサポートしたモデルも増え、5?6万円前後の価格帯において、十分な性能を持つモデルの選択肢がかなり増えてきた印象だ。

 今回、紹介するオウガ・ジャパンの「OPPO Reno11 A」は、OPPOブランドの国内向け製品として、もっとも人気を集めてきた「OPPO Reno A」シリーズの最新モデルになる。「OPPO Reno A」シリーズは、2019年10月に日本のユーザーが求める防水防塵やおサイフケータイなどの日本仕様を満たした初代モデルが2019年10月に発売され、CMキャラクターに指原莉乃を起用したことでも話題になった。その後、毎年、新モデルが投入され、バランスの取れた価格と優れた性能により、SIMフリーモデルの人気シリーズとして、国内市場に定着した。昨年6月に発売された「OPPO Reno9 A」は、前年の「OPPO Reno7 A」のリニューアル的なモデルだったが、今回の「OPPO Reno11 A」は電源周りを強化する一方、新たに生成AIを活かした編集機能を搭載するなど、大きく生まれ変わっている。ちなみに、「OPPO Reno」シリーズでは昨年10月に「OPPO Reno10 Pro 5G」が発表され、オープン市場向けとソフトバンク版が発売されたが、こちらもおサイフケータイに対応しながら、「80Wワンダフルチャージ」による急速充電を可能にしたモデルで、その流れは今回の「OPPO Reno11 A」にも継承されている。

 今回の「OPPO Reno11 A」の販路については、携帯電話会社では楽天モバイルとワイモバイルが取り扱うほか、MVNOではIIJmioやmineo、NUROモバイルなどが販売し、ヨドバシカメラやビックカメラ、ノジマ、エディオン、ケーズデンキなどの家電量販店。Amazon.co.jpやOPPO公式オンラインショップ、OPPO公式Yahoo!ショッピング店、OPPO公式楽天市場店などのECサイトでも販売される。販路によって、価格や割引などが若干、異なるが、OPPO公式オンラインショップでは4万4800円という価格で販売されており、スマートバンドの「OPPO Band2」がプレゼントされる新発売キャンペーンも実施された。発売日から少し経過したが、同様のプレゼント付き限定BOXは、一部の家電量販店やECサイトなどでもまだ販売されているので、購入時にはチェックしてみることをおすすめしたい。

ボディカラーごとに違う背面仕上げ

 まずはボディからチェックしてみよう。初期の「OPPO Reno」シリーズは背面の両端を湾曲させた形状のデザインを採用していたが、四代目モデルの「OPPO Reno7 A」ではフラットな形状にデザインを変更し、「OPPO Glow」と呼ばれる独特の背面仕上げにより、手の跡や指紋を付きにくくしていた。今回の「OPPO Reno11 A」もその流れを継承しており、ボディはフラットな形状で、約7.6mmとスリムに仕上げられ、背面はボディカラーごとに異なる仕上げを採用する。ダークグリーンは従来の「OPPO Glow」に似た印象で、サラッとした触り心地に仕上げられている。筆者が個人的に購入したコーラルパープルも基本的な触り心地は変わらないものの、表面の内側にラメのようなものが埋め込まれており、少し煌びやかな仕上がりとなっている。どちらのボディカラーも手の跡や指紋は付きにくく、きれいに使い続けることができそうだ。パッケージには保護カバー(クリアケース)が同梱されていないため、必要であれば、市販品を購入する必要がある。ちなみに、カメラ周りのデザインが変更されているため、従来の「OPPO Reno7 A」や「OPPO Reno9 A」、「OPPO Reno10 Pro 5G」などのケースは流用することができない。

左側面はボタン類がなく、SIMカードスロットを備えるのみ。カメラ部の突起は実測で約1.8mm程度
右側面には電源ボタンとシーソー式の音量キーを備える
本体下部は中央にUSB Type-C外部接続端子を備える
背面はダークグリーンがOPPO Glowによる仕上げで、指紋や手の跡が付きにくい
コーラルパープルも指紋が付きにくい仕上げだが、内側にラメのようなものが埋め込まれ、少し煌びやかな印象
「OPPO Reno11 A」(左)と「OPPO Reno9 A」(右)の背面。カメラ部が大きくなった。背面のロゴは横向きのデザインから縦向きのデザインにレイアウトが変更された

 耐環境性能はIPX5防水、IP6Xの防塵に対応する。従来の「OPPO Reno9 A」や「OPPO Reno7 A」の防水はIPX8対応だったため、防水仕様が変更されたことになるが、IPX8は水没が考慮されているのに対し、IPX5は「あらゆる方向からの噴水流によっても機器が影響を受けない」こととされているため、実使用では降雨中や水廻りでの利用が可能であるものの、水を張った洗面台などに水没させるような使い方は避けるべきと考えればいいだろう。

最大67W急速充電対応

 バッテリーは5000mAhの大容量バッテリーを搭載する。従来の「OPPO Reno9 A」や「OPPO Reno7 A」が4500mAhだったため、約10%以上の増量を実現したことになる。

 充電についてはOPPO独自のSUPERVOOCフラッシュチャージに対応しており、最大67Wでの急速充電が可能で、USB PD3.0 PPS(Programmable Power Supply)対応充電器では最大55Wでの充電にも対応する。最大67WのSUPERVOOC急速充電では、バッテリーがほぼ空の状態からでも約20分で50%以上、約48分でフル充電できる。昨年の「OPPO Reno10 Pro 5G」の神ジューデンほどではないものの、充電を忘れたときでも短時間で充電できる安心感は大きい。

 急速充電によるバッテリーの負荷軽減も考慮されており、約4年間の利用後でも内蔵バッテリーが80%以上の性能を保てるとしている。パッケージには充電器が同梱されていないため、別途、購入する必要があるが、OPPO公式オンラインストアで「OPPO SUPERVOOC 67W デュアルポート急速充電アダプター」が7900円で販売されている。

6.7インチ有機ELディスプレイ搭載

 ディスプレイはフルHD+対応6.7インチ有機ELを搭載する。従来の「OPPO Reno9 A」や「OPPO Reno7 A」が同じくフルHD+対応の有機ELを採用しながら、対角サイズは6.4インチだったため、ひと回り大画面化されたことになるが、ボディの縦横サイズは1?2mm程度しか増えていない。両機種を見比べてみると、ディスプレイ全体が狭額縁化されたため、ほぼ同じボディサイズのまま、ひと回り大きなディスプレイを搭載することに成功している。ちなみに、画面占有率は93.4%に達する。

「OPPO Reno11 A」(左)と「OPPO Reno9 A」(右)の前面。ディスプレイが6.7インチに大型化。ディスプレイ下部の額縁がかなり狭くなった

 また、従来モデルでは90Hz止まりだったリフレッシュレートが最大120Hzに変更され、設定では[標準](最大60Hz)や[高](最大120Hz)が選べるほか、従来モデルにはなかった[自動選択]が追加され、端末の状態などに合わせて、バッテリー消費を抑えながら、最適な表示を可能にしている。そのほかのディスプレイの仕様としては、輝度が通常時で500nits、最大で900nits。色域はビビッドモードでDCI-P3色域100%、タッチサンプリングレートは最大240Hzとなっている。

 生体認証はディスプレイの内側に光学式指紋センサーを内蔵しており、指紋認証に対応するほか、顔認証も利用できる。顔認証についてはカタログスペックなどに表記がないものの、マスクを装着してのロック解除も利用できた。

 指紋センサーを利用した機能としては、指紋センサーの長押しから特定のアプリを起動できる「クイック起動」がおすすめだ。[設定]アプリの[特殊機能]-[クイック起動]で設定でき、最大5つまでの機能やアプリを登録できる。各社のコード決済やポイントサービスのアプリを登録しておくと、便利だ。

指紋センサーを長押ししたときに表示される[クイック起動]は、最大5つのアプリを登録できる。コード決済アプリなどを登録しておくと、便利そうだ

MediaTek製Dimensity 7050搭載

 チップセットは台MediaTek製Dimensity 7050を採用する。これまでの「OPPO Reno A」シリーズでは米Qualcomm製Snapdragonシリーズが採用され、昨年の「OPPO Reno9 A」ではSnapdragon 695 5Gが採用されていた。今回の「OPPO Reno11 A」ではチップセットのベンダーが変更されたことで、性能面などが気になるところだが、Dimensity 7050は昨年5月に発表されたもので、ミッドレンジからミッドハイに位置付けられるモデルをターゲットとしており、国内向けモデルとしては「OPPO Reno11 A」が初搭載になる。ベンチマークテストはひとつの目安に過ぎないが、性能的にはSnapdragon 6 Gen1と同等以上とされている。多少、負荷の高いゲームなども動作するとされており、実用面で不満を感じることはないレベルと見て良さそうだ。

 メモリーとストレージは従来モデルから大きく変わらず、8GB RAMと128GB ROMを搭載し、最大2TBのmicroSDメモリーカードを装着することもできる。RAMについては従来モデル同様、ストレージの一部をメモリーとして利用する「メモリー拡張」にも対応しており、4/6/8GBを追加することができる。

[設定]アプリの[デバイスについて]-[RAM]を選ぶと、[RAMの拡張]が利用できる。ストレージの容量から、最大8GBまで追加可能。追加後は再起動が必要になる

 モバイルネットワークは5G NR/4G LTE/3G W-CDMA/GSMに対応し、5GについてはSub6のみに対応。NTTドコモの5Gに割り当てられたバンドのうち、「n78」には対応するものの、「n79」には対応しない。NTTドコモ、au、ソフトバンクが5G NR化した転用バンドにも対応する。

 SIMカードはnanoSIM/eSIMのデュアルSIMに対応する。nanoSIMカードは2枚まで装着可能だが、2枚目のnanoSIMカードはmicroSDメモリーカードとの排他利用になるため、microSDメモリーカードを使いつつ、複数回線を利用したいときは、nanoSIMカードとeSIMを利用することになる。

本体の左側面にはピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える。SIMカードトレイには2枚のnanoSIMカードを装着可能だが、2枚目のnanoSIMカード(左側)はmicroSDメモリーカードと排他利用になる。eSIMにも対応する
NTTドコモ網対応のSIMカードを挿したときに表示されるAPN一覧。他製品に比べると、登録されているAPNがかなり少ない印象
au網対応のSIMカードを挿したときに表示されるAPN一覧。UQモバイルは登録されているが、MVNO各社のAPNが少ない印象
ソフトバンク網対応のSIMカードを挿したときに表示されるAPN一覧。ソフトバンクは[Plus.4g]で接続できるが、ワイモバイルは登録がなく、個別設定が必要。MVNOのAPNも非常に少ない
楽天モバイルはSIMカードを挿すと、自動的にAPNが設定された

 Wi-FiについてはIEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax準拠で、2.4GHzと5GHzでの利用が可能。Bluetooth 5.2にも対応し、オーディオコーデックは一般的なSBCやAACに加え、aptX、aptX HD、LDACに対応しており、対応するワイヤレスイヤホンと音源を用意すれば、ハイレゾでの再生にも対応する。衛星による位置情報は、米GPS、中国BeiDou、露GLONASS、欧州Galileo、日本のQZSS(みちびぎ)に対応する。

 FeliCaを搭載しているため、おサイフケータイの各サービスが利用可能。モバイルSuicaについてはJR東日本の「モバイルSuica・PASMO対応機種一覧」が今年7月2日更新のため、まだ反映されていないが、従来の「OPPO Reno9 A」などが対応していることから、問題なく、利用できると見て差し支えない。マイナンバーカードについては読み取りに対応するほか、「スマホ用電子証明書」の申請と登録にも対応しており、すでにマイナポータルの対応機種一覧にも掲載されている。

FeliCaを搭載し、おサイフケータイの各サービスに対応。マイナンバーカード関連の機能にも対応する

ビュー分割やスマートサイドバーなどの独自機能も搭載

 プラットフォームはAndroid 14ベースのColorOS 14を搭載する。これまでもOPPO製端末のレビュー記事で触れてきているが、ColorOSはOPPO独自のUIアプリになる。基本的なユーザーインターフェイスはAndroid 14に準拠しており、[設定]アプリの項目やクイック設定パネルのデザインなどにそれほど強いクセはない。ちなみに、セキュリティパッチは原稿執筆段階で、2024年7月5日版が適用されている。

ホーム画面はこれまで同様、最下段に固定されたアイコンのDockを配したデザイン
[ホーム画面モード]を[ドロワーモード]に設定しているときは、上方向にスワイプすると、アプリ一覧が表示される。[標準モード]に設定しているときは、ホーム画面上にすべてのアプリのアイコンが並ぶ
クイック設定パネルは発売後のバージョンアップでレイアウトが変更され、上段に[Wi-Fi]と[Bluetooth]、上段右側に明るさと音量、その下に各機能を表わすアイコンが丸型で表示される。各機能にはキャプション(機能名)も明記される。下方向にスワイプをするとき、誤って画面の明るさのスライダーを操作してしまうことがあるので、少し意識する必要がありそうだ

 OPPOはこれまでもユーザーがスマートフォンを長く利用できるように、前述のバッテリーの4年という長寿命をはじめ、プラットフォームのクリーンアップやアプリの最適化など、さまざまな取り組みを行なってきたことを発表会などでアピールしてきた。その一方で、OSのバージョンアップやセキュリティパッチの提供期間などについては、基本的に2年間をベースとして考えているようで、それ以上の期間をサポートする旨は明らかになっていない。最近では他製品でも3年程度がひとつの目安になり、長いものでは5年や7年といった期間までサポートを謳う製品が登場している。実用面を考えると、長ければいいという話でもないが、オウガ・ジャパンとOPPOにはもう少し踏み込んだバージョンアップ体制を提案して欲しいところだ。

 OPPO製端末にはこれまでも独自の便利機能がいくつか搭載されてきたが、今回の「OPPO Reno11 A」にも継承されている。たとえば、画面を上下に分割して、複数のアプリを起動する「ビュー分割」、よく使う機能やアプリを登録しておくことができる「スマートサイドバー」、動画を見せるなど、子どもに一時的に使わせるときに便利な「キッズモード」、アイコンや文字を大きく表示する「シンプルモード」などが挙げられる。

[設定]アプリの[特殊機能]には、OPPO製スマートフォン独自の便利機能が並ぶ
[設定]アプリの[特殊機能]-[シンプルモード]を選ぶと、テキストとアイコンが大きく表示され、見やすくなる
一時的に子どもに渡すときは、[設定]アプリの[特殊機能]-[キッズモード]の利用がおすすめ。利用できるアプリを制限できるほか、視力保護などの機能も備える
スマートサイドバーはよく使うアプリなどを登録しておき、すぐに起動できる。[設定]アプリの[特殊機能]-[スマートサイドバー]で設定が可能
通話中の背景の雑音を抑制する[クリアボイス]。[電話]アプリだけでなく、Googleの[Meet]アプリにも効果がある。[設定]アプリの[サウンドとバイブレーション]-[クリアボイス]で設定できる

トリプルカメラで撮った写真をAI消しゴムで編集

 カメラは背面にトリプルカメラを搭載し、6400万画素イメージセンサー/F1.7の広角カメラ(25mm)、800万画素イメージセンサー/F2.2の超広角カメラ(16mm)、200万画素イメージセンサー/F2.4のマクロカメラ(22mm)で構成される。基本的には広角カメラをメインで利用し、ピクセルビニングによって、より多くの光を取り込んだ状態で撮影する。そのため、6400万画素イメージセンサーながら、実際には3468×5124ドットで静止画が撮影される。超広角カメラは112度の画角で撮影可能で、マクロカメラは4cm程度まで寄って、接写ができる。

背面にはトリプルカメラを搭載。円形のパーツは2つだが、下側に2つのカメラ(イメージセンサー)が内蔵される

 前面のディスプレイ上部のパンチホール内には、3200万画素イメージセンサー/F2.4(21mm)のインカメラが内蔵される。OPPO製端末ではおなじみの「ビューティ」モードも用意される。インカメラ撮影時にもF値を変更できるため、背景をぼかして、被写体を際立たせた写真を撮ることもできる。

インカメラはパンチホールに内蔵。ディスプレイには出荷時に実使用が可能なフィルムが貼られている

 撮影モードとしては標準的な「写真」や「動画」をはじめ、細かく設定が可能な「PRO」、人物撮影に適した「ポートレート」、6400万画素イメージセンサーをフル画素で撮影する「高解像度」、前後のカメラで撮影する「アウト/イン同時動画撮影」などが用意されている。

カメラのファインダー画面で、右上のメニューをタップすると、縦横比やタイマー、HDR、インターバルなどの設定が可能。[設定]をタップすれば、カメラの設定画面が表示される
カメラの設定画面。[写し込み]は透かしのことで、デバイス名などが標準で設定されているが、一般的なテキストのみだけでなく、フレームを写し込み、そこに露出や焦点距離などの撮影情報を表示させることもできる
ポートレートで撮影。背景もきれいにボケている。モデル:望月ゆうり(X(旧Twitter):@Tiara00107、Instagram:@mochi.yuri_、所属:ボンボンファミン・プロダクション
インカメラで撮影。人物がクリアに撮影されるだけでなく、背景の花や木々の色合いもきれいに再現されている
超広角カメラで撮影。112度の画角で撮影されるため、かなりワイドに写る
同じ場所で広角カメラで撮影。歪みもなく、自然な仕上がり
中央のビルへ向けて、2倍ズームで撮影。グッと近寄って撮影できる
デジタルズームを組み合わせた10倍の超解像ズームで撮影。拡大すると、やや粗さが目につくが、スマートフォンの画面で見ている限り、それほど粗さを感じさせない

 撮影した写真や動画は、独自の[写真]アプリで確認できる。Googleフォトと連携する[フォト]アプリもインストールされているため、撮った写真や動画はGoogleフォトにバックアップすることができる。Googleフォトにバックアップ済みの過去の写真も[写真]アプリから参照できる。

撮影した写真や動画、スクリーンショットは、[写真]アプリで表示する。右上のメニューから[設定]を選ぶと、[Googleフォトへのバックアップ]が設定できるほか、[プライバシー保護]では[位置情報の削除]や[その他のプロパティの削除]が選べる

 今回の「OPPO Reno11 A」のカメラ関連で注目されるのは、AIを活かした独自の編集機能が搭載された点だ。発売時には利用できなかったが、7月にバージョンアップされ、「AI消しゴム」や「AIクリッピング」が追加された。「AI消しゴム」は写真に写り込んだオブジェクトを消去でき、「AIクリッピング」は撮影した写真から人物やペットなどをワンタップで切り抜く機能になる。「AI消しゴム」と同様の機能は、Tensorチップを採用したPixelシリーズに「消しゴムマジック」として搭載され、現在はGoogleフォトでも利用できるようになったが、「AI消しゴム」は写真をクラウドにアップロードし、クラウド上の強力なAIで処理したデータを端末上に表示するしくみとなっており、オブジェクトを消去した背景を自然に仕上げられるとしている。実際の操作も非常に簡単で、[写真]アプリで[編集]-[AI消しゴム]を選び、[スマートラッソ]が選択されていることを確認のうえ、消去したい人物や看板などのオブジェクトを指先でなぞって囲うと、数秒で消去される。ちなみに、「ラッソ」は「投げ縄」という意味を持つ。もう一方の[塗りつぶす]はその名の通り、なぞって囲った部分を塗りつぶす機能だが、囲んだエリアの周囲を参照するため、クルマのフロントグリルのナンバープレートを囲うと、フロントグリルのパネルでうまく塗りつぶされたり、街中の看板をなぞって、壁の色合いで塗りつぶすことができた。写真をSNSなどに公開するとき、これらの編集機能を利用すれば、不用意な情報流出などを防ぐことができる。

[写真]アプリで編集したい写真を選び、[編集]をタップ。[AI消しゴム]を選んで、消した人物やオブジェクトをなぞって囲む
通りに居た人物を[スマートラッソ]で消し、右の建物の上側にあった看板を[塗りつぶす]で外壁と同じ色合いに塗りつぶした
[AIクリッピング]は[写真]アプリで写真を表示したとき、クリップしたいオブジェクトを長押しすると、このように切り抜かれる。右上の[ファイルドックに保存]を選ぶと、別ファイルとして、保存される

トリプルカメラやAI編集、急速充電などで強化された実力派の一台

 この1?2年、国内のスマートフォン市場は、売れ筋が大きく変化してきたことで、ミッドレンジの価格帯の製品は、今まで以上の激戦区となりつつある。かつてはおサイフケータイや防水防塵といった機能をサポートすることがアドバンテージとされ、こうした『日本仕様』にいち早く取り組んできた「OPPO Reno A」シリーズは、国内のオープン市場をリードしてきた。

 しかし、他の海外メーカーも『日本仕様』に対応した製品を相次いで投入し、それだけではアドバンテージにならなくなってきたのも事実だ。今回の「OPPO Reno11 A」はこれまでの『日本仕様』を継承するだけでなく、従来モデルで進化を続けてきたカメラ機能を強化する一方、生成AIを活用したAI編集機能を搭載することで、撮った写真を楽しむための要素をプラスしてきた。性能面でもチップセットをより強力なものに置き換え、電源回りもバッテリーの大容量化や急速充電への対応など、実用面で確実に効果のある強化を図っている。これらの強化をしながら、価格は幅広いユーザーが購入しやすい4万円台半ばに抑えられている。家電量販店やECサイト、MVNO各社などでも取り扱われており、MNPなどを組み合わせれば、よりリーズナブルな価格で端末を手にできそうだ。

 補償サービスについては、楽天モバイルとワイモバイルで購入したときはそれぞれが提供する「スマホ交換保証プラス」(715円/月)や「故障安心パックプラス」(759円/月)といった補償サービスが利用でき、MVNOでもIIJmioの「端末補償オプション」(月額550円)などが提供されているが、オウガ・ジャパンでも2年で9000円の負担で利用できる「OPPO Care」を提供しており、安心して利用できる環境が整っている。

 「OPPO Reno11 A」はしっかりと『日本仕様』をサポートしつつ、生成AIによる新機能を搭載しながら、リーズナブルな価格にまとめた実力派の一台と言えるだろう。