法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」
シンプルな「Fun+ 4G」やタフネスタブレットで国内に挑む米Orbic
2023年6月23日 00:00
6月1日、米Orbicは国内市場に参入することを発表し、第1弾のラインアップとして、4G対応スマートフォン「Fun+ 4G」やタブレット2機種、完全ワイヤレスイヤホンをお披露目した。
「Fun+ 4G」をはじめ、4つの新製品を試用することができたので、レポートをお送りしよう。
スペックだけではないスマートフォンやIT機器の評価軸
前回の本連載でもお伝えしたように、京セラの個人向け携帯端末事業撤退、新規参入のバルミューダの撤退、FCNTの民事再生法の適用申請など、国内の端末市場は大きな転機を迎えている。
コロナ禍の影響を受けた生産や物流のコスト増をはじめ、半導体不足や為替レートの急激な変化、総務省による端末販売の値引き制限など、さまざまな要因が挙げられている。
今やスマートフォンは生活にもビジネスにもなくてはならない存在だが、将来的に国内で利用できるスマートフォンの選択肢が少なくなってしまうかもしれない状況にある。
そんな中、新たに国内市場に参入することが発表されたのが米国・ニューヨークに本社を置く「Orbic」(オルビック)だ。国内ではまだほとんど知られていない同社だが、2006年に創業し、プエルトリコ、インド、台湾、中国、オーストラリア、ドイツ、イギリス、日本に支社を構えるメーカーだ。
製品のラインアップはスマートフォンやタブレットをはじめ、Wi-Fiルーター、ノートパソコン、クラウドサービス、アクセサリー、ウェアラブル端末を揃える。
設計は米国、台湾、インド、ソフトウェアの開発はインド、生産はインドで、一部製品のみ中国でも生産しているという。スマートフォンやタブレットについては、2019年に米Verizonへ供給したのを皮切りに、米Tracfoneや豪Telstraなど、さまざまな国と地域の携帯電話会社やMVNOなどに端末を供給してきた実績を持つ。
国内市場への参入については、2019年10月に施行された改正電気通信事業法により、端末の割引価格が2万2000円以下に制限され、コロナ禍による半導体不足の影響などもあり、多くのメーカーが高価格なハイエンドスマートフォンへシフトする一方、市場で求められている手頃な価格のシンプルなスマートフォンの選択肢が少ないためだという。
同時に、GIGAスクール構想などで、児童や生徒が使うリーズナブルなタブレットが求められていたり、ビジネスユースでもタブレットに多様なニーズがありながら、ラインアップが国内市場に少ないことも理由に挙げている。
ここ数年、スマートフォンやタブレットは製品としての成熟度が高められたきたが、かつてのケータイ時代から国内市場では『全部入り』を求める声が強く、製品のスペックだけで優劣を判断してしまう傾向が強いとされる。
確かに、チップセットの性能やメモリーの搭載量はユーザビリティに影響するが、すべての人がハイエンドモデルを必要としているわけではない。使う人によっては現在の各社の製品に対し、過剰スペック、過剰装備と受け取っているため、米Orbicとしてはそこに市場性を見いだしているようだ。
米Orbicが国内市場に挑むもうひとつの背景
また、米Orbicの関係者がコメントしたわけではないが、ひとつの背景として、最近、話題として取り上げられることが増えてきた経済安全保障や経済安全性の視点も少なからず影響しているようだ。
米中貿易摩擦をはじめ、中台関係の緊張、ロシアによるウクライナ侵攻などの影響もあり、世界的に基幹インフラ分野の安全性や信頼性を確保することが求められる状況にあり、国内でも官庁や自治体などでは中国メーカーの通信機器などを利用しないといった対応を取る動きが見受けられる。
生産という点については、国内で販売されるほぼすべてのスマートフォンが中国などで生産されているのが実状だが、経済安全性の観点から、シャープやFCNT、京セラ、ソニーといった国内メーカーを指定されるケースは多く、次いで、米国に本拠を置くOrbicであれば、そういった市場にも入りやすいというわけだ。
ちなみに、今回発表された製品のうち、スマートフォンとタブレット2機種はいずれもインドで生産をしている。
しかし、日本のユーザーから見れば、まだ「Orbic」は未知のブランドであり、これからどのように国内市場に挑んでいくのかが気になるところだが、同社の日本法人を起ち上げたのはかつてモトローラ日本法人で社長を務めていたダニー・アダモポウロス氏であり、同じくモトローラ日本法人に所属していた島田日登美氏をはじめ、日本市場をよく知るスタッフが脇を固めている。
発表会ではOrbicの国内市場での目標として、「『売り手によし 買い手によし 世間によし』の近江商人の経営理念をベースにブランドの信頼を構築」を掲げ、古き日本の商売の心構えを理解する姿勢をうかがわせた。
今回発表された製品の内容については後述するが、ラインアップとしてはいずれも2~3万円台という手頃な価格帯を実現しているのが特徴だ。ハイスペックというわけではなく、FeliCaなどの日本仕様はサポートされていないが、ビジネスユースなどで一定の台数をまとめて揃えたいといったニーズにも十分に応えられるラインアップとなっている。
販路については参入直後ということもあり、まだ明確に示されていないが、MVNO各社や家電量販店、ECサイトを予定しており、いずれは各店舗などで実機を手にできることになるという。
今回は4つの製品について、実機を試すことができたが、いずれも発表時に用意されたデモ機であり、ソフトウェアなどを含め、最終的な製品と一部の仕様が異なる可能性があることをご理解いただいたうえで、ご覧いただきたい。
2万円台半ばで買える4G対応スマートフォン「Orbic Fun+ 4G」
想定価格が2万7800円というリーズナブルな価格を実現した4G対応スマートフォンが「Orbic Fun+ 4G」だ。
上下左右の側面にわずかに丸みが付けられたボディは、幅73.6mmの持ちやすいサイズで、手にフィットする持ちやすい形状に仕上げられている。背面には指紋センサーやデュアルカメラを備えるほか、Orbicのロゴがデザインされている。
ボディの耐環境性能はIP54準拠で、防水についてはIPX4となるため、各方向からの飛沫(雨など)には耐えられるものの、猛烈な雨の中やシャワーでの利用、水没などは避けた方がいいだろう。
背面にレイアウトされた指紋センサーは、最近でこそ採用例が少ないが、センサー部分のサイズも大きく、人さし指や中指などを当てやすく、指紋認証も利用しやすい。
ただし、指紋センサーを利用し、特定のアプリを起動する機能などは用意されていない。生体認証はインカメラを利用した顔認証にも対応するが、セキュアに使うには指紋センサーのみでの利用が望ましい。
ディスプレイは6.09インチのHD+対応のTFTカラー液晶を採用する。コスト面を考慮してか、解像度が1560×720ドットのHD+対応に留まるが、その分、バックライトの光量などを抑えられるため、省電力に寄与する。
TFTカラー液晶はそれほど視野角が狭いわけでもなく、明るさも十分のため、実用上は十分なスペックと言えるだろう。
ディスプレイにはブランド名が明示されていないが、耐スクラッチ性能を持つガラスが採用されている。
バッテリーは4000mAhのバッテリーを内蔵しており、パッケージには10W対応のチャージャーアダプターとUSB Type-Cケーブルが付属する。
最近はACアダプターやUSBケーブルが同梱されない機種が主流になりつつあるが、この価格帯の製品でありながら、これらが付属するのは、はじめてのユーザーにとって、ありがたいだろう。
チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 680 4Gを採用。メモリーとストレージは4GB RAMと64GB ROMを搭載し、最大1TBまでのmicroSDメモリーカードを装着可能だ。
Snapdragon 680は国内向け製品でいうと、昨年発売されたモトローラの「moto g32」などにも採用されており、ミッドレンジクラスとしては十分な性能を持つとされる。
今回、実際に試用した範囲ではブラウザやSNS、動画再生なども問題なく利用できている。ただし、搭載メモリーが4GBとやや少なめのため、多くのアプリを起動したときの動作はやや低下することが懸念される。
プラットフォームはAndroid 12を採用しており、試用したデモ機は2023年5月のセキュリティアップデートが適用済みだった。バージョンアップについては発表会後の囲み取材で、2年を想定しているとのことだったが、もう少し長めのサポートを期待したい。
ネットワークは4G LTE/3G/2G(GSM 4バンド)に対応する。国内の携帯電話会社やMVNO各社で5Gサービスの展開が進んでいるが、4Gネットワークまでの対応でも一定のパフォーマンスが得られているため、実用上はそれほど大きな負担にならないだろう。
SIMカードはnanoSIM対応のデュアルSIMで、eSIMには対応しない。2枚目のnanoSIMカードはmicroSDメモリーカードとの排他利用になる。
また、Orbicがさまざまな国と地域に製品やサービスを展開していることもあり、台湾、韓国、オーストラリア、インド、欧州、南米などの携帯電話会社のネットワークにも対応しているという。
カメラは1600万画素/F2.0のメインカメラと200万画素/F2.4のマクロカメラ、前面上部のノッチ内に800万画素/F2.4のインカメラを内蔵する。
[カメラ]アプリのユーザーインターフェイスはやや独特の印象で、撮影モードは「動画」「写真」「ボケ」「プロモード」「夜」「美しさ」(インカメラのみ)「QRコード」(メインカメラのみ)が選べる。ポートレート撮影に適した「ボケ」では、背景のボケ具合を調整する機能を搭載するほか、顔検出などの機能も備える。
全体的に見て、シンプルながらもひと通りの機能を揃えており、2万円台半ばで購入できる4G対応スマートフォンとしてはバランスの取れた内容と言えそうだ。
ただ、少し気になるのは「Orbic」というブランドが国内でほとんど浸透していないこともあり、ケースなどのアクセサリー類が見当たらないことなどが挙げられる。国内市場に参入したばかりなので、難しいかもしれれないが、メディアやSNSなどを通じて、ぜひ、情報を発信して欲しいところだ。
応用範囲の広い4G LTE対応8インチタブレット「Orbic TAB8 4G」
「Orbic TAB8 4G」は8インチのディスプレイを搭載したコンパクトなボディの4G LTE対応タブレットだ。Androidプラットフォームを採用したタブレットは、しばらく国内市場でもあまり動きが見られなかったが、ここに来て、徐々に各社が新製品を投入し、注目を集めている。「Orbic TAB8 4G」は想定価格が2万7800円に設定されている。
ボディはA5サイズを少しスリムにした幅128mmの筐体で、持ちやすいサイズ感にまとめられている。約416gという重量はやや重めの印象は否めないが、全体的な作りはしっかりとしている。
本体上部には3.5mmヘッドセットジャックも備える。耐環境性能はIP5Xの防塵のみに対応するため、水回りの利用については注意が必要だ。
ディスプレイはWXGA(1280×800ドット)対応の8インチTFTカラー液晶を採用する。ディスプレイ周囲の額縁は上下(短辺)がやや太めだが、左右は標準的なサイズ感に仕上げられている。アスペクト比は16:10で、電子書籍や動画再生などにも適したサイズ感となっている。
このクラスの端末の解像度はiPad mini(第6世代)などを除けば、国内メーカーのものでもWXGAやHD+対応のものを採用する例が多いのが実状だ。
スマートフォンの「Orbic Fun+ 4G」同様、ディスプレイが高解像度でない分、バックライトの光量を抑えられるため、連続駆動時間のロングライフ化に寄与する。
バッテリーは4300mAhのものを本体に内蔵しており、本体下部のUSB Type-C外部接続端子に電源アダプターを接続して充電する。パッケージには10W USB Type-CチャージャーとUSBケーブルが付属する。
プラットフォームはAndroid 12を採用しており、試用したデモ機は2023年5月のセキュリティアップデートが適用済みだった。バージョンアップやセキュリティパッチの配布については、一般的なAndroidプラットフォームの製品同様、2年を目処としている。
端末のセキュリティは指紋センサーなどの生体認証を搭載していないため、PINやパスワード、パターンなどの一般的な画面ロックのみが利用できる。
カメラは背面に1300万画素/F2.2のオートフォーカス対応のメインカメラ、前面の額縁内に500万画素/F2.2のフロントカメラを搭載する。
ネットワークは4G LTE/3Gの対応に対応し、SIMカードはnanoSIMカード1枚のみを装着できる。
チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 680 4Gを採用。メモリーとストレージは3GB RAMと32GB ROMを搭載し、最大1TBまでのmicroSDメモリーカードを装着可能だ。
価格がリーズナブルということもあり、スペックは抑えられているが、Webページの閲覧やメールの送受信、SNSなどの用途であれば、十分に実用になる。ただ、動作が緩慢になるシチュエーションもいくつか見受けられ、もう少しパフォーマンスが高ければ、より利用範囲も広がりそうだ。
8インチクラスのタブレットの利用シーンとしては、前述のように、電子書籍や動画の閲覧などに適しているが、カーナビゲーション用としても便利だろう。
多くの車両には自動車メーカー製やアフターマーケットのカーナビゲーションが搭載されているが、地図やシステムを更新しなくなり、「最近はもっぱらGoogleマップ」という人も少なくない。
もちろん、スマートフォンを使う手もあるが、もうひと回り大きな画面の方が視認性にも優れるため、サブ機として、8インチタブレットがあれば、有用というわけだ。ちなみに、カーナビゲーションアプリのデータ通信量はそれほど多くないため、MVNO各社の小容量プランなどで利用してもいいだろう。
屋外の現場から子ども用まで、さまざまなシーンで使える「Orbic TAB10R 4G」
今回発表されたもうひとつのタブレットが「Orbic TAB10R 4G」だ。ネーミングからもわかるように、こちらは10インチのディスプレイを搭載したタブレットで、「Orbic TAB8 4G」に比べ、ひと回り大きいサイズだが、商品の方向性が少し異なる。
「Orbic TAB8 4G」が一般的なコンパクトタブレットであるのに対し、「Orbic TAB10R 4G」は耐衝撃性能や防水防塵を強化したタフネス版タブレットになる。想定価格は3万9800円に設定されている。パッケージにはスタイラスペンが同梱されるほか、本体を立てて置くことができるキックスタンドも別売で提供される。
ボディはB5用紙に近いサイズで、iPad(第9世代)などと同クラスのサイズ感にまとめられている。重量はボディ周囲に耐衝撃性能を満たすためのバンパーが備えられているため、約690gと重めだ。
耐衝撃性能はMIL-STD-810G相当で、防水防塵はIPX5準拠の防水、IP6X準拠の防塵に対応する。
スマートフォンでは「TORQUE」シリーズのような高耐久モデルだけでなく、「AQUOS sense」シリーズの最新モデルのように、一般的なスレート状のデザインの端末でも耐衝撃性能を備え、防水防塵に対応するモデルは存在する。
しかし、タブレットとなると非常に選択肢が少ないのが実状で、その点ではひとつのアドバンテージを持つ。
ディスプレイはHD+(1280×800ドット表示)対応の10.1インチTFTカラー液晶ディスプレイを搭載する。アスペクト比は「Orbic TAB8 4G」同様、16:10となっている。
ディスプレイ周囲の額縁も「Orbic TAB8 4G」と同じデザインを踏襲しているが、前述のように、ボディ周囲にバンパーを備えている関係上、こちらの方がディスプレイが狭く見えてしまうかもしれない。
バッテリーは6000mAhのものを本体に内蔵する。充電は本体上部側面(縦持ち時)にUSB Type-C外部接続端子に電源アダプターを接続する。QuickCharge 2.0に対応し、パッケージには18Wの電源アダプターとUSBケーブルが同梱される。
耐衝撃性能や防水防塵に対応している関係上、USB Type-C外部接続端子にはキャップが付けられており、充電時はその都度、キャップを開ける必要があり、長く使い続けたときにキャップが劣化して取れてしまう心配がある。
かつてのケータイでもこうした課題が指摘され、現在は外部接点を使った卓上ホルダーでの充電やワイヤレス充電などの対策が取られている。「Orbic TAB10R 4G」も耐環境性能を重視するのであれば、将来的には同様の対策を検討して欲しいところだ。
カメラは背面に1300万画素/F2.2のオートフォーカス対応のメインカメラ、前面の額縁内に800万画素/F2.2のフロントカメラを搭載する。
プラットフォームはAndroid 12を搭載し、試用したデモ機は2023年5月のセキュリティアップデートが適用済みだった。バージョンアップやセキュリティパッチの配布については、一般的なAndroidプラットフォームの製品同様、2年をめやすとしている。
端末のセキュリティについては、指紋センサーなどを搭載していないため、PINやパスワード、パターンなどの一般的な画面ロックのみで利用することになる。
ネットワークの対応は「Orbic TAB8 4G」と同様で、4G LTE/3Gに対応する。
SIMカードはnanoSIMカードを1枚のみ装着でき、SIMカードトレイは外部接続端子と同じように、キャップを開け、内部にピンを挿し、取り出す構造となっている。一度、装着してしまえばあまり取り出すことはなさそうだが、少し手間がかかる。
チップセットは米Qualcomm製Snapdragon 680 4Gを採用。メモリーとストレージは4GB RAMと64GB ROMを搭載し、最大1TBまでのmicroSDメモリーカードを装着できる。
パフォーマンスはチップセットが「Orbic TAB8 4G」と同じなので、一般的な用途であれば、十分なレベルだが、アプリをいくつも起動したり、重いアプリを起動すると、レスポンスが今ひとつに感じられるシーンもあった。
10インチクラスのタブレットは家庭用からビジネスユースまで、幅広いシーンに利用できるが、「Orbic TAB10R 4G」は耐衝撃性能や防水防塵対応などのアドバンテージを考えると、やはり、屋外の現場環境などで利用する法人向けに活用できそうだ。
一方、発表会では「子どもたちはモノを投げたり、落としたりするので、子ども向けのデバイスとしても適している」という説明もあった。子どもの年齢層にもよるが、タブレットの利用が家庭用にも拡がりつつある中では、そういった視点も大事だろう。
ちなみに、Androidプラットフォームには「Googleファミリーリンク」というアプリが用意されており、AndroidスマートフォンとiOSデバイスのどちらからでも子どもの利用をコントロールすることができる。
完全ワイヤレスイヤホン「EAR BUDS」
スマートフォン、タブレット2機種のほかに、もうひとつラインアップされたのが完全ワイヤレスイヤホン「EAR BUDS」だ。
チャージャーケース付きのワイヤレスイヤホンで、ノイズキャンセリング機能をはじめ、片方のみでのモノラルヘッドセットとしての利用、ペアリングされたデバイスへの自動接続など、一般的な機能を備える。
チャージャーケースには350mAhのバッテリーが内蔵され、USB Type-C端子で充電できる。音楽再生は5時間、通話は4時間までの利用を可能としている。想定価格は4800円となっており、かなりリーズナブルと言えそうだ。
国内市場に挑む「Orbic」はどこまで浸透できるか
冒頭でも少し触れたように、今年に入り、国内の携帯端末市場はメーカーの撤退が伝えられ、ユーザーの選択肢が少なくなることが危惧されている。同時に、経済安全性の観点から、官庁や自治体などでは選べる端末メーカーが制限されるケースもある。
そんな国内市場に新たに挑むことになる米「Orbic」は、今回、リーズナブルな価格帯の4製品を発表してきた。関係者によれば、新しいスタッフなどが加わったりしているものの、まだまだ規模は小さく、国内市場への浸透はこれからというのが実状のようだ。
ただ、国内のみでビジネスを展開したバルミューダなどと違い、元々、米Verizon向けなどに端末を供給してきた実績があり、オーストラリアやアジア、欧州にもビジネスを展開し始めていることから、ビジネスとしての規模は十分にあり、国内市場での認知度を少しずつ高めていけば、ビジネスチャンスもありそうだ。
同時に、○×シートで比較する『全部入り』端末ばかりが選択肢として並ぶのではなく、機能を絞り込み、シンプルなモデルをしっかりとしたサポート体制で提供すれば、国内市場でも十分に受け入れられる可能性はある。
米Orbicがほかの国と地域で展開している製品には、モバイルWi-Fiルーターやフィーチャーフォンなどもあり、これらの製品が国内市場に投入されるのも面白そうだ。まだメーカーとしては情報発信が少ないが、今後、米Orbicがどのように日本市場に展開していくのかをじっくりと見守りたい。