MWC Barcelona 2023

米Orbicが日本市場参入へ、アダモポウロス氏が意気込みを語る

 米国に拠点を構える携帯電話メーカーのOrbicが、日本市場に新規参入する。同社の上級副社長でグローバルセールスとオペレーションを担当する、ダニー・アダモポウロス氏が明かした。同氏は、モトローラ・モビリティ・ジャパンで社長を務めたあと、Orbicに転じており、海外展開を担当している。

 Orbicは、Androidのスマートフォン、タブレットやKaiOSを搭載するフィーチャーフォン、さらにはPC、Chromebookなど、幅広い製品を展開するメーカーだ。米国では、Verizonに製品を納入しており、特にコストパフォーマンスの高いミッドレンジモデルや安価なフィーチャーフォンが好調。Verizonで販売するフィーチャーフォンの半数が、同社製品だという。

Orbicのダニー・アダモポウロス氏

 そんなアダモポウロス氏が、MWC Barcelonaで日本の報道陣からの取材にこたえ、参入の意気込みを語った。主な一問一答は、以下のとおりだ。

――なぜ、日本参入を決めたのでしょうか。

アダモポウロス氏
 それはとてもいい質問です。日本で製品を販売するのは、非常に難しいことです。事業者や顧客は、ブランドに対して厳しい要求水準を持っています。それにこたえるのは、我々が得意とすることだと感じています。マイクCEOが参入を決めたのはそのためで、彼は日本でのビジネスを拡大したいと思っています。私が雇われた理由も、ここにあります(笑)。

米国での成功を受け、徐々に世界展開を拡大している。23年には、日本に上陸する

――日本で大きなマーケットになりそうなのは、フィーチャーフォンでしょうか。

アダモポウロス氏
 いえ。我々は、すべてのセグメントを見ています。ただし、(日本展開の)最初はその中から、2、3のセグメントに絞る予定です。適切な時期に、適切な商品を用意したいと考えたからです。島田(日登美 ビジネス・ディベロップメント・マネージャー)さんが1年間、日本での発売のために準備し、多くの時間を費やしてきました。正しいパートナーを見つけ、物流やサービスセンター、コールセンターと契約を結び、これらの準備をすべて行ってきました。

KaiOSを搭載したフィーチャーフォンもラインアップに持つ

――スマートフォン、特にミドルレンジモデルの市場は群雄割拠です。ここでどのようにブランドを認知させていくのでしょうか。

アダモポウロス氏
 モトローラにいたとき、多くの経験を積んできました。私たちは1つの製品からスタートし、当時は顧客も1社だけでした。次の製品を導入した際には、日本語のサイトを作り、コールセンターも作りました。我々は、あのときの成功から多くを学んでいます。それを生かし、Orbicは3つの製品を発売します。

 日本は市場自体も発展しています。小売りチャネルも重要ですが、MVNOチャネルも依然として重要です。そこで、それらのチャネルを通じて、ストアでのプロモーションをサポートしていきます。同時に、デジタルチャネルでもプロモーションをしていきます。たとえば、Twitter、YouTube、Facebook、LINEなどですね。Google検索を通じても、我々のブランドを見ることができます。

 しかしながら、もっとも重要なのは、グローバル企業でありながら、(きちんと)日本語を使っていくということです。

――Verizonでは、フィーチャーフォンの約半数がオービックの製品だといいます。まだ参入から日が浅い御社が、ここまでのシェアを取れた理由を教えてください。

アダモポウロス氏
 我々はVerizonとパートナーシップを組み、彼らに協力しながら商品者に有益な製品を提供しています。パートナーのニーズに耳を傾け、お客様が何を求めているかを知り、できる限り価値のある製品を提供するのです。それが、私たちが順調に成長できた理由です。こんなものが欲しいと言われたとき、大丈夫ですと言えることです。

 もう1つ、オービックは挑戦が大好きです。5GのスマートフォンがVerizonから発売されましたが、これはミリ波に対応しています。ミリ波のスマートフォンをインドで作れないかと言われ、9カ月後に出荷しています。スタートから発売までが9カ月です。これが、我々の強みです。

Verizonには、スマートフォンも納入している。ミリ波対応モデルも開発した

――日本には、エントリーモデルとしてAIWA(ジェネシスが展開)のようなスマートフォンがありますが、差別化はどうしていくのでしょうか。

アダモポウロス氏
 それは非常に不思議な質問で、答えられる人はいないと思います。答えられたら、みんなやってますからね。しかしながら、私たちは価値で勝負します。私たちはアメリカのブランドですが、そこにもそれなりの重みがあります。

 また、我々は日本の伝統的なビジネスのやり方を尊重し、製品のプロモーションで競争し、小売店などのパートナーと協力していきます。ただ、だからと言って、初日から成功するわけではありません。日本に来たからには、5か年計画でやっていきます。5年後にどこにいたいか、そのためにいつから始めるのかということです。

 まず第一に、ビジネスが持続可能であることを確認します。我々の計画は、大きな市場やシェアの数字を追い求めることではありません。持続可能であること、実績的であることです。

――経済安全保障の観点から、中国製品を避ける動きもありますが、これは強みになりますか。

アダモポウロス氏
 はい。それは我々の秘密兵器の1つですね。

――ありがとうございました。