法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

「AQUOS zero」は美しいOLEDと新素材による軽さで新しい次元に挑む

 携帯電話やスマートフォンにおいて、自社で製造する液晶パネルをアドバンテージとしてきたシャープだが、いよいよスマートフォンにおいて、自社製の有機EL(OLED)を搭載した新シリーズ「AQUOS zero」を開発し、12月14日にソフトバンクから販売が開始された。実機を試用することができたので、そのレポートをお送りしよう。

ソフトバンク/シャープ「AQUOS zero」、約154mm(高さ)×73mm(幅)×8.8mm(厚さ)、約146g(重量)、アドバンスドブラック(写真)のみをラインアップ

「液晶のシャープ」が作る「有機EL」

 人間が操作するデジタルデバイスで、もっとも重要なパーツのひとつがディスプレイだ。ユーザーはディスプレイを通じて、情報を得たり、コンピュータを操作する。パソコンだけでなく、携帯電話やスマートフォンも同様だが、なかでもスマートフォンはタッチパネルによる操作があり、コンテンツなどをいつでもどこでも閲覧できることから、ディスプレイの重要度は一段と増している。

 スマートフォンや携帯電話のディスプレイについては、長らく液晶パネルが採用されてきた。その液晶パネルを自ら製造することで、携帯電話やスマートフォンでアドバンテージを築いてきたのがシャープだ。かつての携帯電話時代、シャープはカラー液晶や高解像度液晶をはじめ、いち早く最新の技術を活かした液晶パネルを搭載することで市場をリードしてきた。スマートフォンにおいてもそのアドバンテージは引き継がれ、IGZOによる高い省電力性能などを実現することで、ユーザーの利用環境を大きく変えてきた。同社のモバイル端末向けの液晶パネルは国内だけでなく、海外のメーカーからも高い評価を受け、スマートフォンやタブレットなど数多くの製品に採用されている。

 しかし、ここ数年、モバイル端末のディスプレイに有機EL(OLED)を搭載する製品が増えてきている。スマートフォンでは、初期の段階からサムスンがGalaxyシリーズに搭載することで、特長のひとつとしてきたが、今やiPhoneをはじめ、HuaweiやOPPOといった海外勢もハイエンドモデルに有機ELを採用し、長らく液晶ディスプレイ搭載モデルを展開してきたソニーもXperia XZ3で、ついに有機ELディスプレイを搭載した。

 そして、シャープもソフトバンクから発売された「AQUOS zero」で、いよいよ有機ELを搭載することになった。長らく液晶パネルをアドバンテージとしてきたシャープが有機ELを搭載することで、方針転換なのかと捉えられそうだが、シャープは以前から有機ELパネルの開発を進めており、同社の決算会見などでもスマートフォンに搭載する方針を明らかにしていた。この製品がはじめてお披露目されたのは昨年8月にドイツ・ベルリンで開催されたIFA 2018で、当初はどこから発売されるのかも説明されなかったが、その後、10月に国内で開催された「スマートフォンAQUOS新製品発表会」で国内投入が発表され、12月にソフトバンクから発売される運びとなった。

 シャープは現在、AQUOS Rシリーズをフラッグシップモデルに位置付けており、2018年はNTTドコモ、au、ソフトバンク向けに「AQUOS R2」を供給する一方、普及モデルとしてはシリーズ200万台を記録した「AQUOS sense」を一昨年から展開しており、昨年末には後継モデル「AQUOS sense2」も発表し、各携帯電話会社やMVNO各社、SIMフリー端末として、販売が開始された。

 これらに対し、AQUOS zeroはどちらのシリーズにも属さない新しい取り組みの端末に位置付けられ、販売もソフトバンクのみの扱いだ。販路が限られたモデルではあるものの、端末の内容はライバルの有機ELディスプレイ搭載モデルとはひと味違ったシャープらしい取り組みを具現化しており、発表当時から製品に期待する声が多く聞かれた。なかでもAQUOS R2をはじめとするフラッグシップモデルと同等のスペックを搭載しながら、世界最軽量の146gという軽さは、昨今のスマートフォンの大画面化と大容量バッテリー搭載に伴う重量増に明確なカウンターを打ち込む製品となっている。

 ちなみに、ソフトバンクでの販売価格は9万9840円となっているが、これまで利用してきた端末が24カ月を超えるユーザーに対して、一定額の割引を提供する施策も打ち出されており、ユーザーによっては少し割安に購入できるケースもある。また、ソフトバンクは昨年、端末購入に伴う「毎月割」を取りやめる旨を発表しているが、既存のプランを継続するユーザーに対しては、従来同様の月額割引を適用でき、今後、分離プランが加速することを考慮すると、このタイミングで機種変更しておくのも悪くない手と言えそうだ。もちろん、これはこの機種に限ったことではないが……。

手にして驚く軽さ、146gを実現

 まず、外観から見てみよう。今回のAQUOS senseは冒頭から説明しているように、シャープ自ら開発した有機ELディスプレイが注目されるが、それ以上にインパクトがあるのが世界最軽量の146gという軽さを実現したボディだ。この世界最軽量は「6インチ以上のディスプレイ」「3000mAh以上のバッテリー」を搭載したスマートフォンでの重量に基づいている。

背面は帝人のアラミド繊維「テクノーラ」を利用した軽量パネルを装備。編み目を活かしたデザインがユニーク
右側面にはシーソー式の音量キー、電源キーを備える。左側面は何もない。マグネシウム合金によるフレーム部は微妙に凹みが付けられている
トップ部分にはピンで取り出すタイプのSIMカードトレイ。nanoSIMに対応。
下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。3.5mmステレオイヤホン端子はないが、USB Type-C外部接続端子に接続する変換アダプタが同梱される

 現在、多くのスマートフォンはフレームと呼ばれる板状の部品に、前面にディスプレイ、背面側に電池パックや基板、カメラモジュールなどを実装する構成となっている。これらの内、フレームは強度や耐久性、仕上げなどの関係から、アルミニウムやステンレスなどを採用するケースが多い。たとえば、昨年発売されたiPhone XS/XS Maxはステンレス、iPhone XRやXperia XZ3はアルミニウムをフレームに採用している。

 これに対し、今回のAQUOS zeroでは、マグネシウム合金をフレームに採用している。マグネシウム合金はアルミニウムよりも軽量で、レーシングカーのホイールやパーツなどに採用される他、一眼レフカメラのボディやノートパソコンなどにも採用されている。AQUOS zeroの場合、一般的なアルミニウム製のフレームに比べ、41%の軽量化を実現しており、ボディの強度と剛性も一段と高めている。マグネシウムは元々、切削時に燃えやすいという特性があり、加工が難しいとされているが、AQUOS zeroではマグネシウム合金を鋳造方式で加工し、24もの切削・加工工程を経て、フレームとして仕上げている。

 また、146gという軽さを実現できたもうひとつのカギが背面パネルだ。最近のスマートフォンでは背面にもガラスを採用する製品が増えているが、ガラスは重量増につながるうえ、落下時に破損しやすいという弱点がある。これに対し、AQUOS zeroでは帝人の「テクノーラ」と呼ばれるアラミド繊維によって成型された背面パネルを組み合わせることで、他製品にはない軽量化を実現している。アラミド繊維は鉄の5倍の強度を持ち、熱伝導率も低いうえ、電波を通しやすいという特性もあり、スマートフォンの背面パネルに適した要素を兼ね備えている。ボディはIPX5/IPX8防水、IP6X防塵に対応する。

 こうして作り上げられた146gという軽さは、はじめて手にしたとき、思わず「え?」と声を上げたくなるほどのインパクトがある。実際に、何人もの知人に渡してみたが、そのほとんどがその軽さに驚きを隠せない反応だった。

 携帯電話やスマートフォンの重量については、かつてのケータイ時代、ストレート型の端末では60g前後を争う軽量化競争がくり広げられ、折りたたみデザインの端末に移行してからは100g前後のモデルが中心に展開されてきた。スマートフォンは携帯電話に比べ、ディスプレイサイズが大きいことから、当初から130g台程度のモデルが多かったが、視認性に優れたディスプレイやバッテリー駆動時間へのニーズに応えるため、大画面、大容量バッテリーの流れが急速に進み、最近ではついに200g超の重量級モデルが増えてきている。実際にiPhone XS MaxやGalaxy Note9などの200g級のスマートフォンを胸ポケットやジャケットの内ポケットに入れてみると、その部分だけが端末の重さで下がり、服の形が崩れてしまったり、端末の形状によっては、シャツのポケットに穴が空いてしまうほどの影響がある。

 これに対し、AQUOS zeroはフラッグシップモデルと同等のスペックながら、146gという軽量ボディに仕上げられている。背面とディスプレイの両面を緩やかにラウンドした形状とも相まって、手にフィットして、非常に持ちやすく、操作しやすいボディに仕上げられている。普段から「人に寄り添う」という言葉をテーマに掲げているシャープらしい仕上げと言えるだろう。

シャープならではのチューニングが施された有機EL

 そして、もうひとつの注目点は、やはり、新たに自社で開発した6.2インチWQHD+対応の有機ELディスプレイが挙げられる。冒頭でも説明したように、シャープは液晶パネルのメーカーとして知られているが、有機ELの研究は早くから進めており、スマートフォンへの搭載はかねてから予告されていた。しかし、自社開発の有機ELパネルが完成したので、そのまま、端末に搭載したというわけではなく、シャープならではのチューニングが施されている。その答えがシャープの「リッチカラーテクノロジーモバイル」になる。

 少し構造的な話になるが、一般的に液晶パネルはバックライトからの光を透過させることで、映像や文字を表示している。これに対し、有機ELパネルはパネルそのものが自ら発光するしくみとなっている。そのため、液晶パネルでは光の透過を細かくコントロールすることで、中間的な階調も表示でき、微妙な色合いを表示できるのに対し、有機ELパネルは基本的に点発光であるため、色合いがピーキーな傾向にある。そのため、有機ELパネルは発色に優れる半面、ギラギラした色つきになってしまったり、わずかな色ズレによって、見た目が大きく変わってしまうこともある。

 同時に、黒色の表示(表現)については、液晶パネルが中間の階調を表現しやすいのに対し、有機ELパネルでは表示をオフにすることで黒を表現するため、黒つぶれが起きやすい。こうした液晶パネルと有機ELパネルの違いを踏まえ、AQUOS zeroの有機ELディスプレイはパネルが持つ広い色域を活かしながら、色ズレを抑制し、正確な色を表現できるようにチューニングされているという。

 実際に、他の有機ELパネルを搭載した端末と比較してみたが、かつての液晶ディスプレイを比較していたとき以上に、製品間の差が見受けられた。ライバル機種では色合いが薄かったり、ギラついていたりするのに対し、AQUOS zeroのディスプレイは自然で美しい表示が可能という印象だ。

 ちなみに、AQUOS zeroの有機ELパネルの比較については、「ケータイしようぜ!! #507」(2019年1月9日公開)でも映像をお見せしているので、興味のある人はご覧いただきたい。

ハイスペックな仕様、バッテリーに工夫も

 チップセットは米Qualcomm製SDM845を採用し、RAM 6GBとROM 128GBを搭載するなど、AQUOS R2を上回るハイスペックだが、メモリーカードには対応していないため、128GBの本体内蔵メモリーのみで利用することになる。

 バッテリーは3130mAhという大容量バッテリーを搭載するが、ここにもシャープの工夫が盛り込まれている。スマートフォンは一般的にバッテリー残量がある状態で利用するものだが、ゲームを楽しむユーザーを中心に、モバイルバッテリーやACアダプタなどで充電しながら、プレイするケースが多く見受けられる。この「充電をしながら、高負荷のゲームを楽しむ」という環境は、スマートフォンにとって、放熱などが過酷な状況になる。そこで、機種によっては放熱性能の高いヒートシンクを搭載したり、チップセットの動作クロック周波数を抑制する処理などを盛り込むことで対応している。

 これに対し、AQUOS zeroでは充電をコントロールする充電ICを2つ搭載することで、充電中の利用でも発熱を抑える「パラレル充電」という機能を搭載している。シャープによれば、前述のボディ構造とも相まって、ヘビーにゲームを楽しむユーザーの利用にも耐えられるだけの環境を実現したとしている。

 セキュリティについては背面中央上に備えられたセンサーによる指紋認証に加え、前面カメラを利用した顔認証にも対応する。顔認証によるロック解除の動作は、画面を見て、すぐにロックを解除する方法のほかに、スワイプ操作を必要とする設定も可能となっている。

バッテリー残量や省電力制御は設定メニュー内で細かく設定することが可能
指紋認証のほかに、顔認証にも対応。待機状態から端末を持ち上げると、画面を自動的に点灯する機能も備える
通知パネルは有機ELパネルということもあって、黒バックのデザイン

 プラットフォームは出荷時からAndroid 9 Pieが搭載されており、他のスマートフォンAQUOS同様、発売から2年間、最大2回のOSのバージョンアップが保証される。AQUOS R2などと同じように、セキュリティパッチも順次、公開される方針で、ユーザーとしては安心して利用できる環境を整えている。

 ホームアプリはシャープオリジナルの「AQUOS Home」、ビギナー向けの「AQUOSかんたんホーム」が設定されている。AQUOS Homeについてはこれまでも基本的にAndroidプラットフォーム標準に準拠しており、AQUOS zeroでもAndroid 9 Pie標準を踏襲している。そのため、Pixel 3/3 XLのレビューでも指摘したように、ホーム画面から上方向にスワイプしたとき、起動中のアプリのタスク画面(切り替え画面)が表示されてしまい、画面の上部の1/3程度までスワイプしなければ、アプリ一覧が表示されず、あまり使い勝手が良くない。これはAndroid 9 Pieを搭載し、標準的なホームを採用している機種に共通している。しかし、シャープは1月18日に発売された「AQUOS R2 Compact」で、ホーム画面から上方向スワイプでもAndroid 8以前と同じように、スムーズにアプリ一覧が表示できる改良を加えており、今後、同様の改良がAQUOS zeroにも展開されることが期待される。

 この他にもスマートフォンAQUOSでおなじみの「エモパー」を搭載し、エモパーと連動する卓上充電台「ロボクル」(別売)にも対応する。

ホーム画面はAndroid 9 Pie標準に準拠したシンプルなデザイン
ホーム画面の最下段付近から上方向にスワイプすると、起動中のアプリ一覧が表示される
アプリ一覧を表示するにはホーム画面から上方向へのスワイプを画面中段以上まで引っ張り上げる必要がある。
かんたんモードを設定すると、ホーム画面はAQUOSかんたんホームが設定され、フォントサイズなども変更される
AQUOSかんたんホームはよく使うアプリや連絡先がタイル状に並ぶホーム画面。視認性もよく、初心者にもわかりやすい
電源キーを長押しすると、側面から再起動などのメニューが表示される
スマートフォンAQUOSではおなじみの便利機能は設定画面の「AQUOS便利機能」にまとめられている。エモパーなどもここから設定が可能

2260万画素広角カメラを搭載

 昨年の夏モデルとして発売されたAQUOS R2では、スマートフォンAQUOS初のデュアルカメラを搭載したが、静止画カメラのほかに、動画専用カメラを組み合わせるという、他社にはないデュアルカメラの構成を採用した。

 今回のAQUOS zeroではスタンダードなシングルカメラを採用しているが、2260万画素の裏面照射積層型CMOSイメージセンサーにF1.9の明るいレンズ、動画と静止画に両対応の光学手ぶれ補正、動画の電子手ぶれ補正を組み合わせる。背面に備えたメインカメラはワイドな写真を撮ることが多いことを考慮し、35mmフィルム換算で22mmの90度広角カメラとなっている。人物を撮影するときも背景を活かした撮影が可能だが、花などを撮影するときに便利なマクロ撮影にも対応する。撮影時のシーン判別にはAIが活かされており、9つの被写体とシーンを区別して、それぞれに最適な設定で撮影することが可能だ。

 サブカメラは800万画素の裏面照射型CMOSイメージセンサーに、F2.2のレンズを組み合わせており、35mmフィルム換算で23mmの広角カメラとなっている。今どきのスマートフォンには欠かせない美肌・美顔撮影については、AQUOS beautyと呼ばれるモードを搭載しており、美肌や小顔などのエフェクトを加えた撮影を可能にしている。

メインカメラで夜景をバックに撮影 モデル:るびぃ(ボンボンファミンプロダクション) ※リンク先は2740×5480ドット
薄暗いバーで撮影。カクテルグラスがくっきりと撮影できている。色合いもバランスが取れている印象 ※リンク先は2740×5480ドット
インカメラで撮影。縦向き画面で撮影したが、背景も写せるほど、広角に撮影できる モデル:るびぃ ※リンク先は1632×3264ドット

 実用面で便利なのは「アイキャッチセルフィー」と呼ばれる機能で、サブカメラでタイマー撮影時、どうしても画面中央付近に向いてしまう視線をサブカメラの位置に向くように、サブカメラ付近にカウントダウンとグラフィックを効果を表示させている。ちなみに、このアイキャッチセルフィーはGoogleアシスタントと組み合わせることができ、「OK Google、アイキャッチセルフィーで撮って」と声を掛けて撮影することができる。

 また、従来のスマートフォンAQUOSで採用されてきた「背景ぼかし」などの撮影モードをはじめ、「逆光」「残像」「ふんわり」「くっきり」などの好みに合わせた撮影ができる「おすすめプラス」も搭載されており、ファインダー画面左上のアイコンからグラフィカルな選択画面を表示して、選ぶことができる。このあたりのわかりやすさは、ライバル製品にない特長のひとつでもある。

カメラの撮影機能はファインダー画面の左上のアイコンから表示できる
[アルバム]アプリで撮影した写真を選ぶと、構図などを考慮したおすすめの編集画像が表示される

ハイスペックモデルながら、軽さとユーザビリティで「人に寄り添う」AQUOS zero

 携帯電話やスマートフォンに限ったことではないが、時代と共にユーザーのニーズは変化するため、製品のデザインやスタイル、方向性は少しずつ変わってくるものだ。スマートフォンについてはチップセットやメモリーなどの基本スペックが向上する一方、ユーザーの利用環境を広げるため、ディスプレイの大型化、大容量バッテリーの搭載が進んできたが、そのトレードオフとして、端末の大型化や重量増を招いてしまっていた。

 そんな状況に対し、シャープは新しい素材によるボディに、国内で生産する自社製有機ELパネルを組み合わせることで、146gという世界最軽量の「AQUOS zero」というモデルを生み出した。「ちょっと軽い」ではなく、手にしたとき、「え?」「おっ!」と思えるような軽さを実現した端末であり、昨今の重厚長大路線を突き進む各社のスマートフォンに対する明確なカウンターを打ち出した格好だ。

 有機ELパネルもシャープの家庭用テレビ「AQUOS」をはじめ、さまざまな液晶パネル製品で培われてきた画質に対するノウハウを活かし、同じく有機ELパネルを搭載しているライバル製品にしっかりと対抗できる、あるいはそれを凌駕するレベルの製品に仕上げてきた。映像をよく知る、ディスプレイをよく知るシャープならではの仕上がりと言えるだろう。惜しむらくは、この完成度の高いAQUOS zeroがソフトバンクのみで販売されること。できれば、将来的には他事業者やSIMフリーでの展開も期待したいところだ。

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法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。「できるゼロからはじめるiPhone XS/XS Max/XR超入門」、「できるゼロからはじめるiPad超入門 Apple Pencil&新iPad/Pro/mini 4対応」、「できるゼロからはじめるAndroidスマートフォン超入門 改訂3版」、「できるポケット docomo HUAWEI P20 Pro基本&活用ワザ 完全ガイド」、「できるゼロからはじめるAndroidタブレット超入門」、「できるWindows 10 改訂4版」(インプレス)など、著書も多数。ホームページはこちらImpress Watch Videoで「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。