三井公一の「スマホカメラでブラブラ」
“神ジューデン”スマホの2億画素カメラの実力は? 「Xiaomi 12T Pro」を試す
2022年12月28日 00:00
先日登場した2億画素(200MP)を誇るAndroidスマートフォン「Xiaomi 12T Pro」。「神ジューデン」のCMでご存じの方も多いだろう。充電速度は確かに超高速!
だが、やはり気になるのはカメラの写りである。発売前からこの端末を持ちブラブラと撮影を楽しんでいたが、今回はその描写についてお伝えしたいと思う。端末の仕様、スペックなど詳細は本誌別記事を参照していただきたい。
「Xiaomi 12T Pro」
この端末の特徴は何といっても「2億画素」の写りを楽しめるところだろう。3つのカメラを搭載しているが、その高画素を堪能できるメインとなる広角カメラのセンサーサイズは1/1.22インチ。OIS(光学手ブレ補正)にも対応し、シャープな描写を味わえるようになっている。
ほかの2つのカメラは、8MPの超広角カメラ(1/4、f/2.2)と2MPのマクロカメラ(1/5、f/2.4)だ。広角カメラと比較するとやや貧弱なスペックに感じてしまう。
カメラインターフェイスや画角などについてはこちらの記事を参照してほしい。
この「Xiaomi 12T Pro」もご多分にもれず、描写性能向上のためにピクセルビニングを採用している。複数のピクセルを束ねて使用してディテールや高感度特性を向上させているのだ。
2億画素というとんでもない画素数なので4×4ピクセルビニングで12.5MP時 2.56μmだ。またそれぞれ50MP時 1.28μm、200MP(2億画素)時 0.64μmという画素サイズになっている。
「Snapdragon 8+ Gen1」を搭載するハイエンドモデルなので、2億画素撮影時でもそこそこ快適に撮影ができた。次のカットまで少し待たされる程度なので、十分実用的だと感じる。
しかし「スマートフォンのカメラで2億画素あってどうするの?」という疑問を持たれることもあるだろう。そこに、シャオミならではの回答がキチンと用意されていた(後述)。
注目の2億画素は圧巻の描写
それでは通常モード(12.5MP)、ウルトラHDモード(50MP)、ウルトラHDモード(200MP、2億画素)での写りを比較してみたい。
ニュータウンにある池の様子を撮影した。全体像を見ても枝の詰まり具合など、200MP(2億画素)だと精細感が伝わってこないだろうか。徐々に拡大していくと立ち枯れた木の様子がリアルな立体感とともに現れてくる。さすがに等倍でチェックすると塗り絵感も同時に確認できる。
水道施設のモニュメントを寄り目で撮影。ザラザラとしたディテール再現はどのモードでも良好で、50MPモードでも200MP(2億画素)モードでもいい印象を受ける。しかしノーマルモードとの色の出方が違うのでそこだけが気になった。
さて、冒頭で触れた2億画素の意義はどうだろうか。その写りはたしかにスゴいものであった。「Xiaomi 12T Pro」は「Snapdragon 8+ Gen1」搭載機なので比較的サクサク撮影できてしまう。なので「ここぞ!」という時に200MP(2億画素)モードで撮影するのもアリであろう。しかしその超巨大なデータを持て余してしまうことも考えられる。
そんな時に活躍するのが「Xiaomi ProCut」という機能だ。これはAIを活用して2億画素で撮影したカットを(50MP時も可能)自動的にトリミングしてリコメンドしてくれるもの。
「ギャラリー」で該当写真を表示すると画面下部に現れるアイコンをタップするだけ。被写体に応じていい感じに高画素のカットをトリミングして複数のアスペクト比写真を生成してくれるのだ。何回か試したがなかなか優秀でちゃんと写真として成り立つカットを作り出してくれた。困ったときには有用であろう。
「Xiaomi 12T Pro」でブラブラスナップを楽しむ
さて本機は2億画素(と神ジューデン)ばかり注目されるが、普通に使用しても快適に素晴らしい描写の撮影を楽しむことができた。
サクサクと動作し、ディスプレイの視認性も高く、カメラスマートフォンとして十分に使える端末になっている。さまざまなシチュエーションのカットを撮ってきたのでご覧いただきたい。
超広角カメラで古民家を撮った。8Mに少し欠けるピクセル数となってしまうが、SNSに投稿するくらいであればそこそこ使える画質に感じる。ウルトラワイドのトレンドに乗り切れていないのがちょっと残念だ。
「Xiaomi 12TPro」のポートレートモードは優秀である。境界判定が実にいい。細かい部分もうまい具合に切り出して浮かび上がらせてくれる。ディスプレイ上のスライダーでボケ量をコントロールすることももちろん可能である。
超広角カメラはまあまあ使える感じだが超望遠域はちょっといただけない。10倍までのデジタルズームが使えるが、2倍程度で撮影してクロップした方が画質が高い場合が多い。高画素による「インセンサーデジタルズーム」が優秀、というわけだ。被写体とシチュエーションによって使い分けたい。
「夜景」モードはとてもいい描写を見せてくれた。地方都市の夜をブラブラと徘徊したが、その寒い雰囲気をしっかりと写しとってくれた。錆びたトタン張りのタクシー乗り場とブレた自転車がいい感じだ。
気をつけたいのが逆光シーンだ。特に太陽や強烈な点光源をフレーム内に入れるときは覚悟が必要だ。独特のフレアと球状のゴーストが発生するからだ。ただこの明暗差でもしっかりとAIは仕事をしていて、ヒトの見た目に近い印象になるようシャドウ部をやや持ち上げて見られるカットにしている。
ガンガン撮影しても「神ジューデン」がある!
「2億画素」と「神ジューデン」がクローズアップされる「Xiaomi 12T Pro」だが、普通に使うスマートフォンカメラとしても一線級の出来映えとなっている。超広角カメラと超望遠域のデジタルズームが弱い印象を受けるが、広角カメラのオールマイティーな描写はなかなかのもの。
AIをうまく活用していて露出制御だけでなく、被写体を認識すると追尾するProFocusなど撮影をアシストしてくれる機能もいい。ボリュームダウンボタンのダブルクリックでカメラもすぐ起動するし、スナップショットスマートフォンとして気に入った1台である。バッテリーの保ちもよく、ガンガン撮影しても「神ジューデン」で安心なのがうれしい。