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快適なAR執筆環境の代償? Galaxy Z Flip8と過ごして見えてきた「バッテリー消費」と「1ポート給電問題」の解決策

【Galaxy Z Flip8】

 前回、Galaxy Z Flip8とARグラス、そして折りたたみキーボードを組み合わせた「超軽量・最小構成」のモビリティ執筆環境をご紹介した。端末を閉じたままDeXを立ち上げ、視界いっぱいに広がる大画面でテキストを打ち込む体験は、何度やっても快感そのものである。

 だが、世の中に「完璧な環境」などそうそう転がってはいない。

 この手のひら極小PC環境で本格的に原稿を書き始めて数日、避けては通れない2つの壁にぶち当たった。それが「バッテリー持ち」と、それに直結する「USB Type-Cポートが1つしかない問題」だ。

ARグラス接続時のバッテリーはどれほど減る?

 そもそもGalaxy Z Flip8は、薄型・軽量化と折りたたみギミックを両立させているため、大型のストレート端末に比べればバッテリー容量に余裕があるわけではない。そこに輪をかけて電気を喰らうのが、ARグラスの存在だ。

 筆者が愛用しているようなARグラスは、基本的にバッテリーを内蔵しておらず、接続したスマートフォンのUSB Type-Cポートから給電を受けて動作する。つまりGalaxy Z Flip8は、DeXモードで複数のアプリを処理しながら、ARグラスの高輝度ディスプレイ2枚(左右の目用)へ電力を送り続けていることになるのだ。

接続するだけで大画面が浮かぶのは手軽だが、電力の供給元はすべてFlip8本体である

 果たして、この環境で作業した場合、バッテリーはどれほどの勢いで減っていくのか。

 気になったので、実際に「満充電の状態からARグラスを繋ぎ、ブラウザで調べものをしながらGoogleドキュメントで原稿を1時間みっちり執筆する」というテストを行ってみた。

 最初に検証したのは、Galaxy Z Flip8と物理キーボードをBluetooth接続した状態で1時間入力して満充電状態からどれほどバッテリーが減っているかだ。結果はたった4%減少しただけであった。

20時ぐらいから1時間、Galaxy Z Flip8と物理キーボードを使って、ミニミニキーボードのレビュー記事を執筆したところ、バッテリー残量が100%から96%に減っていた。4%しか減らなかったことになる

 次に、この構成にARグラス(今回はオプション品のカメラレンズであるXREAL Eyeを取り付けた状態のXREAL 1S)を追加して、再度、100%の状態から1時間ほど執筆してみた。その際、バッテリー消費を抑制するため、本体を閉じて運用した。

 すると、1時間でなんと22%<も減少していた。

18時41分~19時45分まで作業したところ、驚きの22%減
ARグラスでは21:9のワイドスクリーンモードを利用し、執筆中はGoogle ドキュメントウィンドウを2枚並べていた。時折、チャット対応なども行った
以前はDeX側の制限でアスペクト比が固定であったが、現在では開放されており、21:9や32:9というスーパーワイドモードでの表示が可能になった

 体感としても、画面右上のバッテリー残量アイコンの減り方がなかなかに早い。「ちょっとカフェに入ってサクッと1記事仕上げる」程度なら耐えられるが、腰を据えて数時間取材メモをまとめたり、長文の構成を練ったりするには、いささか心許ないペースである。

 しかも、前述した通りGalaxy Z Flip8のUSB Type-CポートはARグラスで完全に塞がっている。「減ってきたから充電器を挿そう」と思っても、挿す穴がどこにも存在しないのだ。

解決策その1:背面にMagSafe化リングを貼り、iPhone用アクセサリーを流用する

 そこで考えた解決策の1つ目が、ワイヤレス充電(Qi)の活用だ。

 有線ポートが塞がっているなら、背面の非接触充電を使えばいい。幸いなことに、Galaxy Z Flip8はワイヤレス充電に対応している。

 とはいえ、通常のワイヤレス充電パッドの上にペタリと置いて作業するのでは、せっかくのモビリティ性が台無しになってしまう。そこで、サードパーティから多数発売されている「MagSafe化マグネットリング」機能のあるケースをGalaxy Z Flip8に使うことにした。

 当初は、安上がりなのでMagSafe化するマグネットリングシールを買ってお茶を濁そうと考えていたのだが、正確な位置に貼り付ける自信がない。間違えてしまったら、発熱ばかりして電力がムダになる。それならいっそのこと、本体を保護するケースごと買って装着したほうが長い目で見てお得なのではないかと思ったのだ。

Galaxy Z Flip8にマグネットリング付きカバーを装着。これでMagSafeエコシステムに仲間入りできる

 これが実に具合が良い。iPhone向けに星の数ほど出回っているMagSafe対応のモバイルバッテリーが、カチッと磁力で背面に吸い付いてくれるのだ。

 有線接続に比べれば充電速度は控えめで、ワイヤレス特有の発熱も多少伴うものの、ケーブルをブラブラさせることなく「充電しながらARグラスで作業し続ける」ことが可能になる。折りたたんだ状態のコンパクトさを大きく損なわないのも美点だ。

MagSafeモバイルバッテリーを装着した状態。手のひらサイズで給電しながら作業が続けられる

解決策その2:VITURE Pro Mobile Dockで給電と映像出力を一元化する

 もう1つの解決策が、専用アクセサリーの流用である。

 XRグラスメーカーのVITUREが展開している「VITURE Pro Mobile Dock」をシステムのハブとして組み込む方法だ。

VITURE Pro Mobile Dock

 この製品は、本来はNintendo SwitchやHDMI機器の映像をXRグラスに出力するための大容量バッテリー(13,000mAh)内蔵ドックなのだが、DisplayPort Alt Modeに対応したUSB Type-Cポートを備えている。

VITURE Pro Mobile Dockには、グラスと接続できるポートが2つある

 つまり、Galaxy Z Flip8とグラスの間にこのMobile Dockを挟むことで、ドック側からGalaxy Z Flip8へと有線で給電(パススルー充電)を行いつつ、映像信号をグラスへと中継できるのである。

VITURE Pro Mobile Dockを経由させる。荷物は増えるが、安定感と安心感は段違いだ。他の製品でも問題なく使える仕様というところに、VITUREの懐の深さを感じる

 これならワイヤレス充電のような給電ロスや極端な発熱を気にすることなく、急速充電を維持したまま長時間の作業に没入できる。バッテリー自体のサイズと重さ(実測値で358g)があるため、「最小構成の手軽さ」という観点からは一歩後退してしまうが、新幹線の移動中やコワーキングスペースなど、絶対にバッテリーを切らしたくない場面での信頼性は抜群だ。

公称値は361gだが、実測値では358gであった

 しかも、いずれにせよモバイルバッテリーは持ち歩かなければならない装備の1つである。それがこのような形で使えるのであれば、諸手を上げて歓迎すべきではなかろうか。

 軽快さを最優先するなら「MagSafeバッテリー」、長時間のヘビー作業なら「VITURE Pro Mobile Dock」――。

 ポートが1つしかないという制約があるからこそ、手持ちのアイテムをどう組み合わせて弱点を克服するかという試行錯誤が生まれる。とはいえ、成した工夫がピタリとハマったときの爽快感は、ガジェット好きの筆者にはたまらない。

 バッテリーの不安を解消したGalaxy Z Flip8は、いよいよ本格的なメイン仕事マシンとして手放せない存在になりつつある。新しくなったGalaxy AIや、高スペックだからこそできることがまだまだたくさんあるので、これからも使いながらできることを深堀りしていきたい。