レビュー

「Galaxy Z Flip8」レビュー、さらなる薄型軽量化と機能性向上で縦折スマホの完成形に

 8世代目となったサムスンの折りたたみスマートフォンシリーズにおいて、最も注目を集めているのは、新たなデザインで登場したGalaxy Z Fold8であろう。とはいえ、従来のFold型で性能を向上したGalaxy Z Fold8 Ultra、縦折タイプのGalaxy Z Flip8においても、堅実なアップデートが施されている。

 ここでは、縦折のGalaxy Z Flip8について、1週間ほど試用した所感を紹介していく。ハードウェア的な進化は少ないものの、8世代積み重ねてきた知見をはっきりと感じる、縦折タイプの完成形とも言えるバランスの良さが特徴だ。

 公式ストアでは、ストレージ256GBモデルが19万2680円からとなる。本体価格は上がっているが、メモリ価格の高騰、円安といった背景を鑑みると、折りたたみモデルがまだ20万円切りで購入できるタイミングは、向こう数年来ないかもしれない。キャリアからは端末購入プログラムも用意されており、お得に入手する手段も用意されているため、購入の際には買い方もよく検討していただきたい。

さらに薄型軽量化された本体

 本体サイズは閉じた状態で85.7×75.4×13.1mm、開くと166.9×75.4×6.1mmとなる。質量は約180gで、前モデルから8g軽量化している。

 デザイン的には、前世代からはわずかに薄くなった程度の差にとどまるため、カラーバリエーション以外で見分けるのは困難だろう。とはいえ、これは前世代で筐体が大幅にアップデートされたためでもあり、今世代に使いにくさを感じるというわけではない。

 縦折タイプの折りたたみスマートフォンは、やはり閉じた状態での携帯性が大きな魅力となるため、厚さや軽さは重要な要素だ。Galaxyの折りたたみシリーズで言えば、横折りタイプのFoldシリーズも十分な薄型軽量化がなされているが、こと携帯性という一点に着目すると、やはりGalaxy Z Flip8は類を見ない完成度だと感じられる。

4.1インチサブディスプレイは全アプリ表示にデフォルトで対応

 サブディスプレイは約4.1インチで、解像度1048×948の有機ELパネルとなる。正方形に近いデザインだが、アウトカメラがディスプレイに侵食する形が引き続き採用されているため、純粋な表示領域としてはやや横に長い印象もある。ただし、カメラ横にはコントロール用の3ボタンを配置できるため、スペースをロスしている感覚はない。

 Galaxy Z Flip8及びOne UI 9.0より、サブディスプレイで使用できるアプリが拡充され、全アプリが追加できるようになっている。もともと、機能を拡充するためのアプリを使えば、すべてのアプリがサブディスプレイに追加できたが、余計なアプリを入れることなく、デフォルトで同様のことができるようになっている。

 正方形に近い画面比率が故に、すべてのアプリが“快適に”動かせるわけではないが、サブディスプレイの活用範囲が広がったのは素直に喜ばしい。閉じた状態であらゆるアプリを動かし、必要に応じてメインディスプレイを開くといった動線がより明確になっている。もちろん、従来通りサブディスプレイは簡単な情報収集スペースとして、ウィジェットを多数配置しておき、操作はメインディスプレイ中心に行うといった使い方も可能だ。

また、今回からサブディスプレイでのクイック画面の表示といったUIが、メインディスプレイと共通になっている。細かなポイントではあるが、共通化することで、操作に戸惑うシーンは減る。

 小さなディスプレイでの懸念点に文字入力の快適さがあるが、本体が比較的スリムで握りやすいため、片手でもあまり違和感はない。ただし、キーボードが画面のほとんどを占有してしまうため、見づらさを感じることは多々ある。

 執筆時点ではまだ試せていないが、今後AIでのオートメーション機能が日本語に対応することで、閉じた状態での使い勝手がより向上する期待もある。本体のサイズを考えると、同じ形状でFlipのサブディスプレイをこれ以上広げるといったアップデートは難しそうにも感じるが、AIによってサブディスプレイでも快適に使える機能が拡充すれば、Flip型のメリットはより拡大されるはずだ。

 メインディスプレイは約6.9インチで、解像度2520×1080の有機EL、最大リフレッシュレートは120Hzとなる。言わずもがな、開けば一般的な板状スマートフォンの画面が広がるようなイメージだ。

 折れ目は触るとわずかに感じるが、見た目ではほとんどわからないレベルにまで改善されている。操作していて違和感を覚えることはほぼないはずだ。また、ヒンジが以前より硬くなったためか、開いた状態で横持ちしていても、不意に画面をたたんでしまうといった使いにくさが減ったように感じる。

スペックはあまり高くないが納得はできるカメラ

 アウトカメラは約5000万画素の広角、約1200万画素の超広角の2眼構成となる。光学相当の2倍ズームなどは利用できるが、デジタルズームは最大10倍までと、約20万円の端末としては、スペックに物足りなさを感じる。カメラに特化したスマートフォンではないとはいえ、超広角カメラの解像度の低さや、望遠カメラの非搭載は、気になる人が出てくる要素だろう。

ポートレートモード

 広角カメラの解像感は高く、Galaxyらしいパキッとした色表現、精細さはしっかりと踏襲されている。夜景撮影は、明るすぎるとすら感じるほど明るくなるため、もう少しコントラストが欲しくなるが、鮮明に捉えるという意味では十分実用的だろう。

2倍ズーム
4倍ズーム
10倍ズーム

 2倍の光学品質ズームはもちろん、デジタルズームで最大10倍まで拡大しても、かなり強く補正がかかるため、極端に画質が劣化することはない。スマートフォンのディスプレイで確認する程度であれば、画質はあまり気にならないはずだ。

超広角カメラ
超広角カメラ

 色表現のコンセプトは超広角カメラも共通となっており、約1200万画素とはいえ実用的な印象。ただし、周辺の歪みはどうしても気になるシーンが見られる。

 Galaxy Z Flip8はフレックスモードに対応しているため、サブディスプレイにプレビューを表示することで、アウトカメラでのセルフィー撮影が行える。従来から利用できる機能であり、個人的には利用頻度の少ない機能ではあるが、サブディスプレイ側にアウトカメラを搭載する、Flipタイプならではの使い方として魅力は十分だろう。撮影後には、動画の中から特定の人物にだけフォーカスした動画を自動生成する「マイファンカム」という新機能も利用できる。

 動画撮影時には、ディスプレイを90度あたりまで折り曲げ、ビデオカメラのように構えて撮影することができる。今回より対応した水平ロック機能との兼ね合いがよく、安定して動画の撮影をし続けられるのがポイント。ただ、折りたたみならではの動画撮影スタイルを提案するFlipタイプであるからこそ、そろそろ望遠カメラが欲しいと感じるのが正直なところではある。

必要十分なバッテリーと処理能力をしっかりと確保

 バッテリーは4300mAhで前モデルから据え置き。動画再生時間は公称値で最大31時間と、こちらも前モデルから変わっていない。

 メインディスプレイのサイズを考えると、近年のスマートフォンとしては、バッテリー容量が少ないと言える。実際、メインディスプレイのみを使っていると、外出時にはどこかで充電したくなるタイミングも出てくるはずだ。

 実際に画面輝度最大、音量0の状態で、フレックスモードにてYouTubeアプリでの動画の再生を続けたところ、1時間後が93%、2時間後が88%、3時間後が81%、4時間後が74%、5時間後が67%となっている。

 これはあくまでメインディスプレイで視聴した場合の数字。Galaxy Z Flip8はサブディスプレイを有効に使うことで、より便利になるスマートフォンだ。コンパクトなディスプレイの方が、当然バッテリーの消耗は少ない。全アプリの追加に対応したことで、サブディスプレイの汎用性が高まっているのは、バッテリー管理という意味でも有用であり、実際に使っている感触としては、1日の外出であれば、ギリギリ充電をせずにこなせる印象だ。

 搭載するチップセットは、クアルコムの「Snapdragon 8 Elite Gen 5 for Galaxy」で、メモリーは12GBとなる。フラッグシップモデルとして16GBモデルがないのは残念だが、最高峰のチップセットと12GBの組み合わせで、処理能力に不満が出るシーンはほぼない。メインディスプレイは板状スマートフォンと遜色ない画面比率になっており、アプリのレイアウトが崩れる心配もほぼないことからも、ゲームアプリを頻繁にプレイする人にもおすすめできる。

 そのほか、防塵防水はIP48に準拠しており、生体認証は顔、指紋の両方に対応、おサイフケータイ機能にも当然対応している。OSアップデートは7年間保証と、長期的な利用も問題ない。

進化幅は少ないが完成度の高い1台

 前モデルで大幅な筐体のアップデートがあったため、Galaxy Z Flip8単体での進化幅は控えめ。同時に新しいデザインのGalaxy Z Fold8が出ていることもあり、今年は目立たない存在になりつつあるのが残念だが、使っていると、筐体としての完成度は非常に高いことをひしひしと感じる。折りたたみスマートフォンとして、「不満がほとんど出ない」完成度にまで仕上がっているのは、8世代の積み重ねがあってこそだ。

 ここまで完成度が高く、薄型軽量ボディのデザインができ上がっていると、今後の進化がどういう方向に進んでいくのかが気になる。

 サブディスプレイでのアプリの操作性という課題はあるが、サイズをこれ以上広げることは、物理的にも難しいだろう。大きなサブディスプレイを搭載すると、それだけ本体が大きくなり、Flipならではの携帯性が損なわれてしまう。

 個人的には、AIが活路を見出す1つの要素であると考えている。音声入力の汎用性が上がり、オートメーション機能、AIエージェントといった機能により出来ることが増えていけば、折りたたんでコンパクトに持ち運べるFlipの良さがさらに活きてくる。ひとまず、日本語対応が予告されているオートメーション機能の完成度次第では、使い勝手が大いに化ける可能性を秘めた1台とも言える。