みんなのケータイ

いつの間にか便利になっていたスマホアプリ版「NotebookLM」
2025年11月12日 00:00
同じことをしている同業者は多いが、筆者も取材のメモや音声をグーグルのAIサービス「NotebookLM」で管理、活用している。原稿のもとになるソースを入れて事実確認をしたり、切り口に合わせてソースをまとめ直してもらったりが簡単にでき、参照元以外からの不確かな情報を使わない点が便利だ。
たとえば、先日開催されたミークモバイルの発表会の音声とメモを登録して、「既存のMVNEとの違いを200文字で」と尋ねてみたところ、以下のような回答を得られた。
「従来のMVNEサービスでは、MVNO側がモバイルシステム開発(顧客管理、課金システムなど)や運営体制構築(約10名以上の知識を持ったスタッフ)を自力で担う必要があり、サービス開始に6カ月以上かかりました。
一方、ミークモバイルのMVN AaaSは、非通信事業者を主な対象とし、システム開発や運営業務の大変な部分をミークモバイルが全て担うことで、参入障壁を大幅に下げます。これにより、事業者は約3ヶ月という短期間で自社ブランドのモバイルサービスを簡単に開始し、販売促進に集中できます」(原文ママ)
「ミークモバイル」が「ミクモバイル」になっていたり、「MVNO as a Service」が「MVN AaaS」になっていたりと、ところどころ間違いはあるものの、違いがザックリ分かるため、これをベースに自分で原稿をまとめ直すことができる。根拠になるソースにはリンクが張られているため、気になった部分をクリックして、それを探し出して引用することもできる。
また、同じテーマ(例えばeSIMなど)について触れられたさまざまな会社の取材音声やメモを登録して、それぞれのスタンスの違いを浮き彫りにするといった使い方にも向いている。これまでのように、メモをすべて追っていったり、音声を最初から聞き直したりする必要がなくなり、まとめの時短につながる。しかも、ソースの言語が外国語でもOK。海外取材では、特に重宝しているツールとなる。
ただ、モバイルアプリ版だと、アップロードできるソースの種類が限られているのが難点だった。8月に発売されたグーグルの「Pixel 10」シリーズは、ボイスレコーダーが直接NotebookLMと連携し、アップロードができるようになったものの、共有からアップロードできるファイルの種類が文字起こし済みのテキストに限定されていた。
Pixelのボイスレコーダーの文字起こしは比較的優秀なため、それでも十分ソースとしては機能したものの、やはり一部には間違いがある(複数にしても、上記のように多少の間違いはあるが……)。NotebookLM側にも文字起こし機能はあるため、文字起こししたテキストではなく、直接音声をアップロードできればいいのにと思っていた次第だ。
そう思っていたところ、いつの間にかNotebookLMがアップデートされ、音声ファイルのアップロードが可能になっていた。手持ちの端末だと、「Pixel 10」だけでなく、「Galaxy Z Fold7」や「iPhone Air」でも音声ファイルを選択することができた。これなら、取材現場で録音したデータをその場でアップロードして、帰りの電車の中などで構成を練ることができる。
これまでは取ったメモや音声をいったんパソコンにアップロードしてまとめてから、再度NotebookLMに登録という手間がかかっていたが、このアップデートによって、基本的な操作はスマホだけで完結するようになった。Pixel以外のレコーダーを使って直接ファイルを登録できるようになったのも、うれしい進化の1つと言える。
Pixel 10シリーズの新機能の1つとうたわれていたNotebookLMとは、いったい何だったのか……と思うところはあるが、利便性が上がったことは歓迎できる。欲を言えば、Pixelとのさらなる連携にも期待したい。
例えば、Pixelのレコーダーは、データを自動でクラウド側に保存できる仕様になっている。このデータをNotebookLM側から読み込めるようになれば、手動で音声をアップロードする手間まで省ける。クラウドにアップロードするのに抵抗がある人向けに、ローカルで動くような仕組みもほしい(精度は落ちそうだが)。同じグーグルの提供する端末とサービスなだけに、まだまだできることはありそうだ。





