みんなのケータイ

5Gの威力を実感した冬コミ、ドコモの4G回線が使えた東展示棟

 「コミックマーケット103」が、昨年2023年12月30日~31日に開催されました。読者の方の中にも参加された方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 お目当ての本が買えるのか……ということがまず重要ですが、同様に「携帯の電波はつながるのか?」(現地でスマートフォンが通信できるのか?)と心配になっている方も多いと思います。

 実際に、昨夏開催の102では、東展示棟を中心に混雑のためつながりづらかったという声が多く、筆者も東展示棟でNTTドコモ回線がつながりにくく、KDDI回線に切り替えることでその場を凌いだ経験があります。これで対策は万全、というわけにもいかず、実際にはメインの電話番号はもとの回線でしか利用できませんし、切り替え先の回線が混雑していないとは限りません。

 筆者が頭を悩ませていたところ、ドコモから「冬コミ対策したよ」との一報が。取材したところ、一般参加者が多く集まる東待機場への移動基地局車の手配に加え、東展示棟の内外に5G基地局が設置されていました。

 コミックマーケットや東京ビッグサイトにあまり詳しくない方に簡単に説明すると、普段人がおらずイベント時に大勢の人が滞留するエリアには移動基地局車でエリアカバーし、普段からそこそこ人が集まる展示棟(建物)の中で5G通信が利用できるようになりました。

東待機場にも5G対応の移動基地局車を配置

 移動基地局車での対応は、これまでも進められてきましたが、東展示棟での5G基地局の導入は、今回あらたな取り組みとのことで、果たして今回の103ではどこまで通信混雑の緩和に貢献してきたか、筆者の実感レポートをお送りします。

ドコモの対策

 ドコモが今回にあわせて設置した5G基地局は、東展示棟のガリレアと東123側のトラックヤード、東6ホール屋外に設置の東8ホール向けの3箇所。

トラックヤード(左)と展示棟外側(右)に設置の5G基地局

 特に、屋外に設置する後者2つについては、大規模イベント以外は人があまり集まらないエリアです。トラックヤードに設置の基地局は、ホールのシャッター開放時にこそホール内まで電波が届くといいますが、ホールのシャッターが常時開放されるイベントはあまりないのではないでしょうか。

当日は「普通に利用できるレベル」までに

 当日(開催1日目と2日目)はどうだったでしょうか。筆者は今回5G非対応の端末「iPhone SE(第2世代)」にドコモ回線のSIMを挿して利用してみました。

 実際、2日間共に東展示棟で使っている限りは、データ通信が利用でき「普通に利用できるレベル」まで回復されていることが確認できました。トラックヤードでは、人が多く滞留する時間帯(11時前後)でも通常と変わりなく利用できる状態で、これには筆者も驚きました。

 2日目は、ほとんどの時間を東展示棟屋内で過ごしていましたが、開催中は通信ができないようなことはなく、動画視聴などリッチコンテンツを利用しない限りは快適に利用できる状態が継続していました。

西展示棟では「つながらない」時間や場所も

 一方、西展示棟では以前から5G基地局が設置されており、展示棟内では前回の102でも4G/5G関わらず通信できていました。

 ただし、今回1日目に西1ホールからトラックヤードに出てみると、アンテナピクトはあるけど通信がしづらい状態となっていました。特に人が滞留する時間帯であった影響もあるかと思いますが、東のトラックヤードとかなり違う結果が出たかたちになりました。

「5Gで4Gの混雑緩和」を実感

 街中の人流が回復し、大規模イベントが再び開催されるようになってから、「携帯電話の混雑対策」がまた叫ばれるようになってきました。キャリアによっては、5G対応移動基地局を多数派遣してその対応にあたったり、街中でも5G基地局を積極的に設置しています。

 ソフトバンクの技術担当者も、大規模イベントなどでの対策について「5Gの積極利用に尽きる」とコメントするほど、5Gが吸収できるトラフィックは4Gと比べて大きく、ネットワーク全体の混雑緩和に貢献しているといいます。

 今回、東展示棟内があらたに5Gエリアとなったことで、これまで4Gに集中していたトラフィックが4Gと5Gに分散された結果、5G対応端末だけでなく4G端末でも、そのメリットを享受できたのだろうと思います。

 ドコモが今回にあわせて設置した5G基地局は、恒久的に設置されるものということなので、当面は「本の在庫とそれを買うお金」の心配だけで済みそうです……。