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「Galaxy Z Fold4」でデュアルSIMを活用、あの機能には課題も……

【Galaxy Z Fold4 SC-55C】

 前回の本コーナーで予告(?)していたとおり、「Galaxy Z Fold4」を購入した。一見、マイナーチェンジのようにも思える仕様だが、ディスプレイの比率が変わったことで、操作性は向上している。特に本体を閉じ、カバーディスプレイで利用するときの使い勝手が先代の「Galaxy Z Fold3 5G」よりよくなっている。数値にするとわずかな違いだが、キーボードが打ちやすいのは好印象だ。

「Galaxy Z Fold4」を購入。「いつでもカエドキプログラム」は、負担感がなさすぎて気軽に高額な端末を買えてしまう(のが恐ろしい)

 主な目的だったeSIMやデュアルSIMも、本体到着直後から活用している。少々厄介だったのが、SIMカードの組み合わせ。物理SIM、eSIM問わず、2回線まで有効にできるiPhoneのデュアルeSIMとは異なり、「Galaxy Z Fold4」のデュアルSIMは物理SIMが1回線、eSIMが1回線という制約がある。eSIMだけでデュアルSIM化することはできない。

キャリア版Galaxyとして、初めて物理SIMとeSIMのデュアルSIMに対応した

 「Galaxy Z Fold4」を購入したのはドコモで、ドコモ回線は物理SIMで契約していた。これがメイン回線だ。一方で、サブ回線として入れたかったソフトバンクの「データ通信専用3GBプラン」も、物理SIMだ。こちらはeSIMに非対応だ。「Galaxy Z Fold4」は物理SIMとeSIMのデュアルSIMで、SIMカードスロットにはSIMカードが1枚しか入らない。そのため、このままだとデュアルSIMとして利用できない。

 この組み合わせの場合、ドコモ回線をeSIM化せざるをえない。eSIMの発行にEID(eSIMのIDのようなもの)を登録しなければならなかったり、再発行時のプロセスが少々面倒だったりと、ドコモのeSIMはユーザー体験がイマイチ。セキュリティ強化の意味合いもあるようだが、オペレーションがこなれていない印象も受ける。そんな事情もあってeSIM化は少々悩ましかったが、組み合わせの選択肢がこれしかないということもあり、仕方なくドコモ回線をeSIMにした。

 eSIM化に関しては、EIDを入力しなければならず(旧端末から手続きするとコピペができないので手入力になる)、やや面倒だったが、プロファイルの発行は無事に成功。SIMカードスロットにはソフトバンクの物理SIMを挿して、デュアルSIM化に成功した。Galaxyは仕様上、物理SIMが1回線目、eSIMが2回線目としているようで、メインとサブの関係が逆転したように見えてしまう。これはラベルの設定を変更することで解決。「+メッセージ」アプリにラベルが反映されず、うっかりソフトバンク回線からSMSを送ってしまったミスはあったが、とりあえず大きな問題はなく使えている。

ドコモ回線のeSIM化にチャレンジ。EIDを入力しなければならないなど、他社にはない手続きが少々面倒だった

 筆者の行動範囲には、ドコモ回線の通信品質が非常に悪くなる場所(主に地下やビルの奥まった場所にある店舗)が数カ所あるため、そこではソフトバンク回線に切り替えている。ただ、ソフトバンクは電波が入るのだから、ドコモにももう少しがんばってほしいのが正直な気持ち。国内でも意外と利用シーンが多いのは端末を買ったかいがあってうれしい一方、そもそもそれはユーザー側で対策することなのか……と思わなくもないことは付け加えておきたい。

 「Galaxy Z Fold4」は、SIMの切り替えを通知と一緒に表示されるクイック設定の上に配置されたボタンで簡単に切り替えられるため、設定メニューを開く必要がない。電波が弱いと思ったら、サクッとデータ通信するためのSIMを変えられるし、戻すのも楽ちん。国内キャリアが扱うサムスンの端末としては初のデュアルSIMモデルだが、同社が海外で培ってきたノウハウはしっかり受け継がれている。

クイック設定の上に表示されるボタンで、データ通信に利用する回線を簡単に切り替えられる

 一方で、サクサクSIMを切り替えていると、dアカウントの再認証を求められてしまう頻度が上がる。データ通信をするSIMを切り替えただけで100%再認証になるというわけではないが、その回数はかなり多い。挙動からの推測になるが、おそらく回線を切り替えた状態でドコモメールを受信しようとしたり、dアカウントが必要なアプリを開いたりすると、再認証が必要になってしまうように見える。この仕様は少々面倒だ。

ソフトバンク回線に切り替えると、高頻度でdアカウントの再認証を求められる。この入力が手間になる

 ドコモでは、デュアルSIMで利用した際の動作保証はしていないといい、eSIMを紹介するページにも明記はされている。筆者も、それを承知したうえで購入したので、ある意味仕方がない部分はある。とは言え、ここまで動作確認をしてないのかと驚いたのも事実。確認したうえであえてスルーしたのかもしれないが、dアカウントの仕組みはもう少し見直してほしい。SIMが入っていることを検知して、再認証しないようにするなど、何らかの方法はあるはずだ。

 とは言え、まずはGalaxy Z FoldシリーズがeSIMやデュアルSIMに対応したことは歓迎したい。バックアップ回線を速やかに利用できるようになるため、上記のようにメイン回線がつながりづらいときはもちろん、通信障害や災害などの緊急時にも役立つ。現在、総務省では緊急時の事業者間ローミングが検討されているが、実現までの間にユーザーが取れる自衛策としてもお勧めだ。