ケータイ用語の基礎知識

第657回:デュアルSIM とは

 今回紹介する「デュアルSIM」とは、デュアルSIMとは、2枚のSIMカードを1台の携帯電話へ挿入し、使用できること、あるいはそうした仕様のことを指す言葉です。日本ではまだごく限られた機種でのみサポートされています。

海外で見受けられる仕様、日本でも少しずつ

 国内では、「デュアルSIM」対応のスマートフォンとして、たとえばコヴィアの「FleaPhone CP-F03a」や先日、本誌でもニュースとして採り上げられたPolaroidの「PolaSma」などが発売、あるいは販売予定となっています。

 コヴィアの「FleaPhone CP-F03a」は、標準サイズのSIMカードスロットとmicroSIMカードスロットと、2つのSIMカードスロットを備えています。メニュー画面から操作することで、どちらのSIMカードの回線を利用するか、切り替えられるようになっています。

 もう一方の「PolaSma」は、標準サイズのSIMカードスロットを2つ備えたスマートフォンです。こちらも2つのSIMカードの回線、両方を同時に使うことはできず、設定によってどちらかの回線を使う形です。

PolaSmaのデュアルSIMカードスロット

 こうしたデュアルSIM対応の機種は、海外に多く見受けられ、中国をはじめとしたアジア諸国、あるいは欧州などのGSM圏で普及しています。日本でおなじみのメーカーでも、海外ではデュアルSIM対応機種を提供しており、たとえばソニーモバイルコミュニケーションズのXperiaシリーズには、海外モデルの中にデュアルSIMスロット仕様のスマートフォンがあります。韓国サムスンのGALAXYシリーズでも、中国向けなどでデュアルSIM対応モデルが存在しています。

用途はいろいろ

 デュアルSIMという仕様はどういった使い道になるのでしょうか。

 最も多い用途の1つは、仕事用とプライベート用で、電話番号の違うSIMカードを刺しておき、切り替えるという使い方でしょう。2台分の携帯電話を用意するよりも手軽に2つの番号を活用できるわけです。

 また、欧州などでは、国境を鉄道や自動車で簡単に越えることができ、日常的にさまざまな国にいくような人もいます。国境を超えると、そこで携帯電話事業者も切り替わります。手元にある携帯電話は、ローミングで接続するため、電話料金が高くなります。しかし、国を越えるたびに携帯電話内のSIMカードを行き先の国のものに差し替えるというのも厄介。そこで、デュアルSIM対応の携帯電話の出番です。地元の国と、訪問先の国の事業者で、SIMカード2枚を用意しておき、デュアルSIM対応の携帯電話に装着しておきます。こうすることで、2つの国の携帯電話回線を1台の携帯電話で、切り替えて使えるわけです。SIMロックフリーの携帯電話が以前から普及している欧州ならではの使い方と言えるかもしれません。

 デュアルSIM対応機種の中には、2つの回線を同時に待受できるものもあります。こういった機種では、たとえば一方はデータ通信が安いもの、もう一方は通話用といった使い方になるようです。

大和 哲

1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連のQ&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)