石野純也の「スマホとお金」

ドコモの「いつでもカエドキプログラム」を使ってみた! メリット・デメリットは?

 ドコモの残価設定型アップグレードプログラム「いつでもカエドキプログラム」の導入から、約1年が経過しました。同プログラムは、iPhone 13シリーズの発売に合わせる形で21年9月24日にスタート。Androidスマホもラインナップに加わり、今に至っています。それ以前のドコモは、3年割賦を組んで、内1年分の支払いを免除する「スマホおかえしプログラム」を展開していましたが、これを4年割賦と残価設定型に改めたのがいつでもカエドキプログラムの特徴です。

ドコモは、21年にいつでもカエドキプログラムを導入。約1年が経過した

 23回分の端末代金を支払ったのちに、残債が免除されるよう返却するのが一般的な使い方ですが、同プログラムには、「早期利用特典」と呼ばれる特典が用意されています。仕組みとしては、早く下取りに出せば出すほど、下取り額が上がっていくというわけで、原理的には、冬モデルを購入して、半年ぐらい経ったあと夏モデルを購入するといったことも可能になります。早期利用特典は月ごとにつくため、早めに返却すれば下取り額も上がります。

24回目に残価が設定されているが、その支払いもしくは免除を待たずに機種変更した場合、早期利用特典が適用される

 ただ、実際には多くのスマホが1年ごとにモデルチェンジしているため、そこまですぐに機種変更する人は少ないでしょう。1年経った今ぐらいのタイミングから、端末の返却が徐々に増えていくはずです。かく言う筆者も、昨年購入した「Galaxy Z Fold3 5G」を返却し、「Galaxy Z Fold4」に機種変更しました。ここでは、その手続き方法を紹介するとともに、実際に使ってみた経験を踏まえ、いつでもカエドキプログラムのメリット、デメリット等を解説していきます。

Galaxy Z Fold4も、いつでもカエドキプログラムを使って購入した

お得感や下取り時の安心感が魅力のいつでもカエドキプログラム

 “スマホはニコニコ現金一括払い”をモットーにしていた筆者が、いつでもカエドキプログラムを利用したのは、端末代が高騰していたため。高い端末をあえて選んだという方が正確かもしれませんが、Galaxy Z Fold3 5Gのように端末が約24万円になってくると、さすがに分割払いにした方がいいのかと思い始めるようになりました。いつでもカエドキプログラムに早期利用特典があったのも、分割払いにした理由。機種変更を1年でした方がお得というのであれば、乗らない手はないと思ったからです。

 Galaxy Z Fold3 5Gは、約24万円。正確には23万7600円でした。いつでもカエドキプログラムによる24回目の残価は9万5040円。残りを23回ぶん支払う格好で、初回は6204円、2回目以降、23回目までは6198円が毎月かかってきます。下取りに出せば、まずこの9万5040円が免除されます。早期利用特典の設定額は1200円。1年(12回分)早く機種変更した場合、下取りの合計額は1万4400円上がり、10万9440円になります。こうした簡易的なシミュレーションは、申し込み後にダウンロードできる(もしくは紙として渡される)「加入申込書」に記載されています。

Galaxy Z Fold3 5G購入時の「各種ご注文申込書」から抜粋。本体価格の総額や、月々の支払額が記載されている
「いつでもカエドキプログラム 加入申込書」には、早期利用特典を利用した際の簡易的なシミュレーションも記載されているので参考になる

 リセールバリューが高いと言われるiPhoneとは異なり、悲しいかな、Androidは一般的に下取り額が抑えられがちです。端末の人気が違うというのはもちろんありますが、それ以上にグローバルで下取りした端末が流通できるかどうかが大きな要因。Androidの場合、国内向けのカスタマイズも加わっているため、リセールバリューは低く見積もられがちです。複数の中古店をチェックしてみましたが、Galaxy Z Fold3は現時点で9万5000円前後とのこと。いつでもカエドキプログラムの方が、お得になることが分かります。

 しかもこの9万5000円は、あくまで満額査定の場合。小傷などがついていれば、さらに査定額は下がります。加えて言えば、下取り額は今になって分かった金額。1年前、Galaxy Z Fold3 5Gを購入した際には、いくらになっているかが分かりませんでした。購入するタイミングで、1年後なり2年後なりの残価や早期利用特典が分かり、下取り額が計算可能になっている安心感は、いつでもカエドキプログラムの大きなメリットと言えます。

あらかじめ残価が提示され、いくらで売れるのかが分かるのはいつでもカエドキプログラムのメリットだ

 Galaxy Z Fold4を発売日に入手し、同じく発売日に入手したGalaxy Z Fold3 5Gを即下取りの手続きをしたところ、上記の金額が適用されました。結果として、Galaxy Z Fold3 5Gは12万8160円で丸々1年間使えた計算になります。オンラインで手続きをする場合、一括清算ができないのでまだ割賦の支払いは残っていますが、すでに支払ったぶんと残価を除くと、残りは「4998円×12回=5万9976円」。残り6万円ならということも、機種変更をためらわなかった理由です。

届いたキットに旧端末を入れて送り返すだけ、手続きは忘れずに

 下取りの手続きは、機種変更しただけでは始まりません。機種変更して、新たな端末が届き、不要になった段階でユーザー自身が申し込みをする必要があります。ドコモショップで端末の購入をしている場合、スタッフに促される可能性はありますが、オンラインショップを利用している場合には注意が必要。「my docomo」できちんと手続きをしておくようにしましょう。

郵送の場合、my docomoから、旧端末を下取りに出す手続きをする必要がある。ドコモショップに行くより手軽だが、申し込み忘れには注意

 筆者の場合、Galaxy Z Fold4が自宅に届いた9月24日に申し込みを行いました。それ以前に手続きだけ済まそうと思っていたのですが、補償サービスの変更を予約している場合、それができないようです。早期利用特典の適用は、この手続きの翌月からになるため、月をまたいでしまう前に忘れずに申し込みをしておきましょう。なお、申し込みをした月の翌月末(消印有効)までに返却を済ませていないと、違約金が請求されます。うっかりでは済まないため、この点も注意が必要です。

申し込み後のキャンセルができないため、うっかり購入直後の新モデルを下取りに出してしまわないよう、気をつけたい。特に後継機だと、ナンバリングの違いだけになるので要注意

 手続きを済ませると、数日後に「本人限定受取郵便」が最寄りの郵便局に届いている通知が送られてきました。これは、身分証明書を配達員が確認し、本人のみに渡すための郵便。最寄りの郵便局にいったん留め置きされるので、配達を申し込む必要があります。配達時にマイナンバーカードや免許証などを見せ、本人確認が済むと、下取りのためのキットが渡されます。

 入っていたのは、以下の写真のとおり。「レターパックライト」の封筒と、いつでもカエドキプログラムの下取り手順が書かれた説明書、あとは本体に同封する申込書と端末をくるむ“プチプチ”です。申込書には、記入欄がありますが、契約者名や機種名、IMEIなど、必要な情報はすべて記入済みの状態でした。筆者が手書きで記入したのは、職業欄と署名だけ。プチプチに端末をくるんで申込書と一緒にレターパックライトの封筒に入れ、郵便局に持ち込むかポストに投函するようにしましょう。

自宅に届いた下取り用のキット。レターパックライトの封筒に入れて送る
申込書には手書きで記入する欄もあるので忘れずに

 筆者は、郵便局への持ち込みを選択しました。ポスト投函だと、端末が傷ついてしまうリスクが少し上がると思ったからです。ポスト内に落下する際や、重たい荷物が上に乗ってしまう可能性を考えると、郵便局に持ち込んだ方がいいような気がします。輸送時の故障もユーザーの責任になってしまうので、気をつけたいところ。補償サービスに入っていた場合、「故障時利用料」が2200円発生します。無補償の場合、この金額が2万2000円に上がるため、より慎重になる必要があります。

端末破損のリスクを減らすため、郵便局に持ち込むことにした

フォルダブルならではの落とし穴も? 補償サービスへの加入は半必須か

 同梱されていたプチプチが薄かったこともあり、筆者は自らもう1枚プチプチでくるみ、衝撃を吸収できるようにしておきました。これなら、さすがに輸送中に壊れてしまうことはないでしょう。ただ、Galaxy Z Fold3 5Gを折りたたんだままプチプチにくるんで封筒を閉じようとしたところ、明らかにレターパックライトの要件である3cmを超えているような見た目になってしまいました。Galaxy Z Fold3 5Gを閉じたときの最厚部は16mm。これだけで、レターパックライトの最大値である3㎝の半分を超えてしまっています。プチプチを厚くしたことで、オーバーしてしまったようです。

同梱されていたプチプチにGalaxy Z Fold3を折りたたんでくるんだ。この時点でもそこそこ厚い。念のため、プチプチをもう1枚巻いたところ、サイズがどう見ても3cmを超えてしまっていた。フォルダブルスマホならではの注意点だ

 折りたためるだけに、メインディスプレイは柔らかく、傷もつきやすい。開いたままパッキングするのはやや抵抗がありました。とは言え、3㎝内に収める必要があったので、厚くしたプチプチを信じて開いたままレターパックライトの封筒に入れてみました。これが吉と出るか凶と出るかは、到着後に判明します(現在は輸送中)。少々ドキドキするところですが、万が一故障してしまっていても、2200円で済むのは安心材料。このサービス、利用するなら「ケータイ補償」や「smartあんしん補償」などへの加入は半ばマストです。

 ちなみに、Galaxy Z Fold3 5Gで入っていたケータイ補償サービスは、Galaxy Z Fold4購入時点で解除されました。1回線に紐づいている端末1台にしか、補償サービスは適用されないからです。ただ、新機種を購入したからと言って、すぐに使い始めるわけではありません。アプリが多いとデータの移行にはそれなりに時間がかかります。GalaxyからGalaxyへの移行では不要でしたが、メーカーによってはホーム画面の再構築もしなければなりません。まとまった時間が取れる次の休日まで、旧端末を使い続けるというのはありえるシチュエーションです。

Galaxy Z Fold3 5Gのケータイ補償サービスはすでに解約済みだが、下取り時に破損していた場合、遡及適用されるため、故障時利用料は2200円で済む

 この場合、機種変更前のケータイ補償が切れてしまっているため、万が一故障してしまうと修理費用が高額になりかねません。一方で、いつでもカエドキプログラムで下取りに出す場合のみ、機種変更前に加入していた補償サービスが適用されるようです。実際、筆者の元に届いた申込書にも、故障時利用料は補償サービス加入時の2200円と記載されていました。ただ、このケースでも基板断裂などの激しい故障は、受付不可になってしまうようです。旧機種を使う際には、この点には注意した方がいいでしょう。

基板断裂(スクリーンショットは漢字が間違っている……)の場合、受付不可になってしまうため、旧機種をハードに使うのは避けた方がいい。ただ、画面割れなどもすべて2200円で免責になるのはうれしい

 いつでもカエドキプログラムで下取り後、再度いつでもカエドキプログラムを使って新モデルを購入した筆者ですが、実際に使ってみて分かったのは、負担感が全然ないということ。割賦と下取りが組み合わさったインパクトは大きく、手元に大金がなくても高額なスマホを買えてしまうのはまさにマジックのよう。残債免除と組み合わせることで、1機種分の月額は6000円程度。さらに早期利用特典を組み合わせると、2機種分の割賦が重なる1年間も月1万1000円強で済むため、24万円なり25万円なりの端末を買ったという心理的な“重さ”がありません。

 月1万円程度常に払い続けていれば、常に最新のフォルダブルスマホが使い続けられるという意味で、感覚としては限りなく“サブスク”のサービスに近いと言えるでしょう。市場でのリセールバリューが高いiPhoneはこの限りではありませんが、少なくともAndroidのハイエンドモデルが買いやすいいい仕組みと言えます。安いモデルを頻繁に買い替えるより、満足度も高まります。ただし、分割払いでお金を支払ったり、端末を下取りに出したりしていることに変わりはありません。ご利用は計画的に、という言葉は念頭に置いておきましょう。

石野 純也

慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行なう。 ケータイ業界が主な取材テーマ。 Twitter:@june_ya