みんなのケータイ
LINEMOがやってきたけど……
【Redmi Note 9S】
2021年3月25日 06:00
今年の春商戦のトピックと言えば、端末でもなければ、サービスでもなく、やはり、携帯電話料金だろう。
昨年来、政府の強烈な圧力により、主要3社が新料金プランを発表し、1年間の無料期間の終了を控える楽天モバイルもこれに対抗。さらに、MVNO各社も対抗プランを発表したため、ユーザーにとっては、どのプランを選ぼうかを迷ってしまいそうなくらいだ。ただ、各社の動向を聞いてみると、実際には同一会社内での移動が多いようだ。
そんな各社の新料金プランの中で、もっともユーザーから注目を集めているのが「ahamo」「povo」「LINEMO」のブランドで展開されるオンライン専用プラン(ブランド)だろう。その先陣を切って、3月17日に「LINEMO(ラインモ)」がスタートした。
筆者自身もLINEMOがどのような内容で提供されるのかが気になるため、先行エントリーに申し込み、17日のサービス開始日に手続きをしてみた。
「LINEMO」の物理SIMを契約
同業のライター諸氏は、すぐに開通できるeSIMを申し込んだ人が多かったようだが、筆者は今後、レビューする端末などに使うことを考慮し、物理的なSIMカードを選ぶことにした。
ちなみに、LINEMOの「よくあるご質問(FAQ)」のページによれば、eSIMから物理的なSIMカードへの切り替えはチャットサポートで受け付けていると表記しているのに対し、物理的なSIMカードからeSIMへの切り替え(再発行)は「現在受け付けをおこなっていません。」となっている。
現在、LINEMOの「動作確認機種」として挙げられているeSIM対応機種は、スマートフォンがiPhone XSシリーズ以降、Pixel 4a/4a(5G)/5、タブレットもiPad(第7世代)以降しかないため、当面はこの対応でしかたがないのかもしれないが、本当にユーザーの利便性を考慮するなら、物理的なSIMカードからeSIMへの切り替えも順次、体制を整えて欲しいところだ。
また、LINEMOを契約する回線については、新規やMNPなどが選べたが、筆者はこれまでLINEモバイルで契約していた電話番号を移行することにした。
契約する会社としては同じソフトバンクだが、手続きとしてはMNPでの移行になるため、手続き開始前にLINEモバイルで「MNP予約番号発行」を依頼した。MNP予約番号発行は混雑もなく、申し込みから15分ほどで、登録したメールアドレスにMNP予約番号とMNP予約番号有効期限が記載された「【LINEモバイル】MNP予約番号発行完了のお知らせ」というメールが届いた。
初日はやはり「アクセス集中」
申し込みについては、LINEMOのWebページから申し込みをしたが、初日の午前中はアクセスが集中したため、予想通り(笑)、エラーで手続きが完了しない状況が続いた。お昼過ぎには状況が改善し、正常に申し込みができるようになったが、「オンライン専用」を謳うなら、提供する側も初日からトラブルのない体制をしっかり整えるべきだ。
本誌読者のように、慣れたユーザーであれば、「ああ、初日だから、アクセス集中で、トラブってるのね」くらいの判断はできるが、低廉な料金にひかれ、LINEMOへの移行を検討するユーザーの中には、オンライン手続きの経験が少ない人や十分なリテラシーを持ち合わせていない人が存在することも容易に想像できる。そのことを考慮すれば、こうしたエラーが起きないように、十分な体制を準備する必要があるはずだ。
Webページでの申し込みは難しいこともなく、LINEモバイルから送られてきた「MNP予約番号発行対象の契約回線番号」(移行する携帯電話番号)、「MNP予約番号」などを入力し、「MNP予約番号有効期限」を一覧から選び、必要な個人情報などを入力するくらいだ。
本人確認書類はこうした申請時に利用できるように、運転免許証を写真で撮ってあるので、それをアップロードした。Webページで手続きは完了と表示されたものの、受付完了のメールが届いたのは約4時間近く経過してからで、この点もちょっと不安が残った。初日の混雑があるとは言え、手続きをしたら、とりあえず、申し込みを受理した旨のメールを送り、不備がなければ、受付完了のメールを送るくらいの対応を期待したい。
ところで、同一会社内での移行と言えば、ソフトバンクやワイモバイルのユーザーがLINEMOに申し込んだところ、Yahoo!プレミアムが自動的に解約され、ヤフオクの出品が強制終了されてしまったケースがSNSなどで報告されている。LINEMOの注意点として、Yahoo!関連のサービスが紐付かないことは、本誌の連載記事でも指摘していたが、LINEMOの告知が不十分だったため、実際にトラブルに見舞われたユーザーが居たようで、残念な限りだ。
SIMカードが到着、開通手続きへ
筆者の手続きは3月17日に申し込み、翌18日には「【LINEMO】商品発送のお知らせ」のメールが届き、3月19日には無事にSIMカードが到着。
パッケージを開けてみると、SIMカードの台紙と「LINEMOのはじめかた」という初期設定マニュアルが入っていた。SIMカードはおなじみのソフトバンクのロゴがプリントされたSIMカードだった。ちょっと拍子抜けした感もあるが、将来的に「LINEMO」のロゴが入ったSIMカードに変わっていくのでしょうか?
SIMカードが届いたら、初期設定マニュアルの記載に従い、回線切替の手続きを開始。「LINEMO回線切替窓口」に電話をかけ、切り替える携帯電話番号と契約時に設定した暗証番号を入力する。初期設定マニュアルには「切り替えに1~2時間ほど、かかる」と記載されていたが、これまで利用してきたLINEモバイルのSIMカードはすぐに無効になり、LINEMOのSIMカードを端末に挿し、新たにLINEMO用のAPNを設定して、待っていると、数十分で利用できるようになった。
端末についてはとりあえず、昨年からLINEモバイルで利用してきた「Redmi Note 9S」をそのまま、引き継ぐことにした。これには理由というか、筆者なりの目論見があった。実は、ソフトバンクは「SoftBank on LINE(仮)」として発表したとき、「LINEのリソースを活かしたサービスにする」と説明しており、筆者はLINEモバイルと同じように、LINEのトークなどを活用したメニュー構成が提供されると予想していた。そのため、LINEモバイルを契約していた環境をそのまま受け継ぐことにしたわけだが、この予想はやや裏切られたかもしれない(笑)。
LINEMOが開通後、契約状況がどうなっているのかを確認するため、何かメニューが用意されていないかと、前述の初期設定マニュアルをチェックしたところ、QRコードを読み取って、「マイメニュー」で確認できることが記載されていた。実際にアクセスしてみると、LINEMOの「My Menu」が表示され、データ通信量や通話量、契約内容などを確認することができた。ページのデザインはLINEMOのカラーだが、メニュー構成はどことなく、「My SoftBank」や「My Y!mobile」の雰囲気が……。LINEのリソースを活かした構成というより、まるで「LINE版ワイモバイル」のような感じ(笑)。まあ、これはこれで、なじみがあるから、いいんだけど……。
LINEのトークを活用できるけど……
「LINEモバイルのようなインタラクティブなメニューはないのか」と探してみたら、LINEの公式アカウント「LINEMO」を友だち追加し、「My Menu」ページとの関連付けを設定する方法が用意されていた。
関連付けを設定すると、トークで「データ量」や「請求金額確認」と入力すれば、結果がトークで返信されるようになっているが、この方法は送られてきた初期設定マニュアルに記載がなく、LINEMOのWebページにも掲載されていなかった。
LINEのメニューを触っている内に確認できたような状況で、かなり説明不足の印象は否めない。LINEMOのサービスははじまったばかりで、「走りながら開発する」ソフトバンクらしいスタイルとも言えそうだが(笑)、今後はしっかりとユーザーに情報を告知していく体制を整えて欲しいところだ。
テザリングができない?
最後に、ちょっと実用面についても触れておきたい。
まだ数日しか使っていないが、パフォーマンスについては当初のアナウンス通り、ソフトバンクやワイモバイルで契約する回線とまったく遜色のないレベルで快適に利用できている。ただ、Redmi Note 9Sでテザリング(Redmi Note 9Tでは「ポータブルホットスポット」と表記)を使おうとしたところ、なぜか接続できなかった。LINEMOはテザリングも対応しているはずなのに……。
ネットで何か情報がないかと検索したところ、APN設定の「MVNOの種類」で「SPN」を選ぶと、利用できるという記述を見つけた。
早速、同じように設定したところ、無事にテザリングで接続できた。Redmi Note 9T固有の事象かもしれないが、もし、LINEMOでテザリングが接続できないときは、試してみるといいだろう。