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注目株はS9+だけれど……あえて普通の「Galaxy S9」を選んだ理由

【Galaxy S9 SC-02K】

Galaxy S9 SC-02K

 各社の2018年夏モデルが出揃い始める中、話題の「HUAWEI P20 Pro」などにも目移りしつつ、筆者が今夏の相棒として選んだのは「Galaxy S9」だ。Sシリーズ初のデュアルカメラを搭載した「Galaxy S9+」ではなく、あえて普通の「Galaxy S9」を選んだ理由を含め、この機種について少し語りたい。

 Galaxy S9/S9+についておさらいしておくと、先代のGalaxy S8/S8+から特に大きな進化を遂げたのが、絞り調節機構「デュアルアパチャー」を搭載する新設計のカメラ。スマートフォンのカメラとしては珍しい機能で、絞り値(F値)をF1.5とF2.4の2段階で切り替えて撮影できる。また、秒間960コマのスーパースローモーション撮影にも対応した。カメラ以外の機能では、自分そっくりのアバターを作ってオリジナルスタンプとして各種SNSで使える「AR絵文字」や、顔認証と虹彩認証を組み合わせた新しいロック解除方法の「インテリジェントスキャン」なども搭載している。

絞り調節機能を備えた「デュアルアパチャー」

 このように、S9/S9+共通の進化点は少なくないのだが、やはり一目で分かる最も分かりやすく伝わりやすい違いは、S9+にのみ、望遠レンズ付きのデュアルカメラが搭載されたことだろう。最新機種、それも約10万円のハイエンドモデルをいち早く手に入れようという諸氏であれば、より話題性の高い方を選びたくなるのではないだろうか。筆者もS9+を購入しようかと迷ったが、最終的にはS9を選んだ。

 最大の理由は、昨年発売された「Galaxy S8」を元々使っていて、昨今のハイエンドモデルとしては比較的小柄なボディによる操作性の高さが気に入っていたことだ。参考までに、Galaxy S9の大きさは約69×148×8.5mm。1mm単位でのわずかな変化はあれど、ほぼS8と同等のサイズとなっている。

 そして、S9+の影に隠れてしまっている印象はあるが、S9も着実に進化していることが購入の決め手となった。最も進化を感じやすいカメラに関しても、望遠レンズの有無を除けばS9+と同等であるし、食事モードなどはかなり見栄えのする写真が撮れる。

標準の撮影モードである「自動」で撮影
同じ被写体を「食事」モードで撮影

 カメラ以外の機能では、使い始めてみると生体認証機能の進化を実感できた。

 従来は同時に設定できなかった顔認証と虹彩認証を同時に登録できるだけでなく、2つの認証方法を併用して精度を高めてくれる「インテリジェントスキャン」が加わったおかげで、ロック解除に失敗してイライラすることはかなり少なくなった。指紋センサーの配置が見直され、S8/S8+よりも低い位置に移動したため、顔認証や虹彩認証を使いづらい夜間など、指紋認証を使いたい場合の利便性も高まっている。

 また、筆者が今回購入したのはNTTドコモ版のS9(SC-02K)だが、S9+(SC-03K)との通信性能の差が無くなったことも見逃せない進化点だと思う。昨年のモデルでは、S8(SC-02J)のLTEでの通信速度が下り最大500Mbps、S8+(SC-03J)が下り最大788Mbpsと開きがあった。S9/S9+は、いずれも下り最大988Mbpsとなっているので、最速を求める人もサイズに縛られず選べるようになった。

 つまり、大画面モデルとの“格差”は、見方によっては実はかえって少なくなっている部分もあるのだ。

 詳しい諸氏からはS9は4GBのRAM、S9+は6GBのRAMという新たに生まれた違いに突っ込まれそうだが、関係者によれば、S9+のみ6GBのRAMを搭載しているのはデュアルカメラの搭載により追加された機能が多いことが理由との話もあり、S9のメモリ容量が少ないからといってパフォーマンスが落ちるわけではないという話だ。実際に数週間使ってみた印象としては、特段メモリ不足を感じる場面には出会っておらず、その通りなのだろう。

 結論としては、高性能かつ多機能なハイエンドモデルを求めつつも扱いやすいサイズ感にも妥協できない人々にとって、Galaxy S9は昨年のS8と同様に魅力的な機種となっている。悩ましい選択ではあるが、夏モデルの購入を考えている人はぜひ、S9+だけでなくS9にも目を向けてみてほしい。