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基地局ベンダーの現在地
2025年3月15日 07:00
最近、基地局ベンダーの動きが活性化している。京セラが2025年2月に5G基地局への参入を発表し、3月にO-RU Allianceを設立した。3月には、NECが5G対応の仮想化基地局(vRAN)の開発・商用化を発表し、富士通も楽天モバイルの5G sub6へ参入する。
一方、海外ベンダーはAIへの動きが顕著になっている。Ericsson(エリクソン)が3月にソフトバンクとAI-RANの発展に向けた共同研究開発に関する覚書を締結し、Nokiaもソフトバンクと1台のサーバー上でAIとvRANの共存と最適なリソース割り当ての自動化を実現した。Samsung Electronics(サムスン)はKDDI総合研究所と将来の無線通信におけるAI技術の共同研究に関する覚書を締結している。
国内ベンダーの動向
京セラが2025年2月に5G基地局への参入を発表し、2027年を目標に5G基地局事業に参入する。まずは国内市場で実績を作り、それから海外市場への進出を図る。また、3月には、台湾Alpha Networksや韓国HFR、台湾Microelectronics Technology、韓国SOLiD、インドVVDN Technologies、台湾WNC(Wistron NeWeb Corporation)とO-RU Allianceを設立した。
NECも3月に5G対応の仮想化基地局(vRAN)向けソフトウェアの開発・商用化を発表し、2026年度までに国内外のキャリアへ5万局以上の展開を目指す。すでにNECは仮想化技術を適用した5Gコアネットワークを提供しており、今回のvRAN向けソフトの商用化により、コア~RANまでトータルでクラウドネイティブな5Gネットワークの構築が可能となる。
富士通は楽天モバイルの5G sub6(3.7GHz帯)のRU(Radio Unit)に参入する。楽天モバイルが5G sub6におけるOpen RAN対応基地局のエリア拡大を加速するため、2025年中に富士通RUの導入を開始する計画になっている。
現在、楽天モバイルの5G sub6はNECが参入しており、富士通の参入以外に、京セラの参入も想定され、競争が激化する。ただ、楽天モバイルの5G sub6は2023年度に17,080局が置局されており、残りのパイはそう多くないものとみられる。そのため、国内市場をカバーしつつ、海外市場での実績獲得が重要となる。
海外ベンダーの動向
一方、海外ベンダはAIへの動きが顕著になっている。ソフトバンクがEricssonと進めているAI-RANに関する共同検討の一環で、3月にGPU(Graphics Processing Unit)プラットフォーム上でのEricssonのクラウドRAN(Radio Access Network:無線アクセスネットワーク)ソフトウェアの動作の確認とアーキテクチャの定義を行った。この成果に伴い、両社は今後のAI-RANのさらなる発展に向け、共同の取り組みを拡大し、AI-RANの応用的な領域の共同研究開発に関する覚書を締結している。
また、ソフトバンクはNokiaと連携し、1台のGPUサーバー上でAIとvRAN(virtualized RAN)を共存させ、リソースの割り当てを自動で最適化できる機能を、ソフトバンクのAI-RAN統合ソリューション「AITRAS(アイトラス)」のオーケストレータに追加した。これはAI-RANのコンセプトの1つである「AI and RAN」を実装したものとなる。
Samsung ElectronicsとKDDI総合研究所は3月に将来の無線通信におけるAI技術の共同研究に関する業務協力覚書を締結した。AI技術が多様な産業に浸透し、6Gの標準化が2025年から開始される中、AI技術と通信に積極的に取り組む両社は6Gを見据えた通信サービスの大幅なユーザー品質向上を目的とした共同研究を行うことで合意している。
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