スタパ齋藤のコレに凝りました「コレ凝り!」

そうか、e-bikeとはそういうものなのか!

ミヤタ「RIDGE-RUNNER」に1年乗ってみて

 去年、2018年の5月に購入したミヤタのe-bike「RIDGE-RUNNER(リッジランナー)」(公式ページ)。e-bikeについて詳しくはコチラに解説がありますが、電動アシストの付いたスポーツ自転車ですね。RIDGE-RUNNERはMTBタイプのe-bike。MTBタイプのe-bikeは、北米や欧州ではeMTBとも呼ばれているようです。

ミヤタ「RIDGE-RUNNER」。電動アシストコンポーネントとしてシマノの「STEPS E8080」(公式ページ)を搭載したe-bikeです。シフト段数はリヤ10速×フロント1速で、ギアはフロント34T×リア11-42T。メーカー税別価格36万9000円。筆者のレビュー記事は、家電 Watchの「ミヤタの最新e-bike RIDGE-RUNNER がイロイロ凄いっ!」(関連記事)や「ついにRIDGE-RUNNER納車! e-bike生活がスタートして感じたこと」(関連記事)に書きましたので、ぜひご一読ください。

 さて、購入後1年が経ったわけですが、購入当初から現在まで、RIDGE-RUNNERに対する印象が大きく変わってきました。同時に、e-bikeという乗り物の見え方もかなり変化。今回は、筆者の中でその変化がどんなふうに起きたのかを書いてみたいと思います。

走って試してまた乗って

 RIDGE-RUNNER購入当初は、MTBタイプということで近場のトレイルっぽいところをよく走りました。山の中、みたいなダートロードを。以前に普通のMTBに乗っていたときにも走ったところですが、筆者にとってはけっこうハードな道です。でもe-bikeだとグイグイ上ってラク&楽しい~♪

こんなような未舗装路。アップダウンが激しかったりしますが、RIDGE-RUNNERだと拍子抜けするほど容易に走れてしまいます。

 上の写真のような場所をいろいろ走ったんですが、以前は「走破するのが一苦労」「急登坂がキツくて自転車を押した」ような場所でも、RIDGE-RUNNERなら楽々。10km/h以下などの遅いスピードで走るほどアシスト力が増しますので、大して労せず走れます。e-bikeはやっぱりMTBカテゴリ向けだよな~、とか思っていました。

 ただ、こういう山の中とかって、走っていて不気味だったり怖かったりも。たま~に熊が目撃されたりして、季節によってはヤバめの蜂が出たりも。筆者は単独走行がメインなので、「MTBタイプのe-bikeは山道が快適!」とは思いつつも、「でもソロで山道は怖いし危険」と思いつつ、また別のルートを模索するようになりました。

 一時期ハマったのが、近所の激坂。急峻なオフロードを走破できるRIDGE-RUNNERなので、当然、舗装された激坂などはスイスイ上れちゃうんです。

近場にある勾配約27%の激坂。普通の電動アシスト自転車でも上れないことはありませんが、立ち漕ぎが必要だったりします。RIDGE-RUNNERだと座ったまま上れます。

 上の写真は、近場にある激坂の中でもかなりキツい部類。でもRIDGE-RUNNERだとグイグイッと上がれます。写真のとおり短距離というのもありますけど。ただ、注意しないと前輪が浮いてしまい、最悪、ひっくり返っちゃうと思われますので、丁寧にペダルを踏む必要があります。

 ともあれ、こういう坂も上がれちゃうので、当初はオモシロがって近所の激坂を次々と攻略していました。激坂をスイスイ上るヒゲ巨漢を呆然と見続ける人の視線を感じたり、小学生にその姿を目撃されて「あ~っ、イーバイクだ~カッケー!」とか言われたりしつつ、登坂登坂登坂! ていうか、小学生とかのe-bike認知率けっこう高いかもしれません。YouTube経由でe-bikeを知ったんでしょうか?

 でも、ひととおり激坂攻略したら、気が済んてしまいました。アレに似てますね、普通のスポーツ自転車で100kmとか160kmとか走ったときと。最初はその「自転車で走るには異常に見える距離」を走破するために頑張ったりするわけですが、走れるようになると目標達成で気が済んじゃう感じ。「ロードバイクでこう走れば100kmくらいは普通に行ける」という常識が備わるように、「e-bikeでこう走れば上れない坂ってないんだなあ」という理解が根付く感覚です。

 舗装された坂ならたいてい上れるRIDGE-RUNNER。長距離でも十分走れるe-bikeなので、脳内マップがどんどん書き換わります。自転車では敬遠していたアップダウンの多いルートも、平然と走るように。結果、サイクリングのルート選択肢が急増し、ポタリングが非常に楽しくなりました。ポタリングは散歩感覚のサイクリングですが、筆者的ポタリングについては本連載バックナンバー「俺的お散歩サイクリング」(関連記事)に書きました。

気になるものがあったら立ち止まって見物、観光、あるいは飲み食い。ストップ・アンド・ゴーが多くなるのがポタリング。e-bikeだと走り出しが非常にラクなので、ポタリングによくマッチします。激坂もラクだし。オンロード・オフロードを問わず走れるRIDGE-RUNNERだと、ポタリングの幅がグッと広がります。

 この頃から、RIDGE-RUNNERで「観光しながらのサイクリング」を多く行うようになりました。まあポタリングも観光サイクリングも筆者のなかでは似たような感じなんですが、たとえばスポーツ志向でないヒルクライムです。峠を目指しての登坂ですが、e-bikeで行うと、体力的にかなり余裕が出ますので、周囲の風景をゆっくり見ながら峠への登坂ができるんです。

これは通称「時坂峠(とっさかとうげ)」。東京都内にある峠ですが、ロードバイクのライダーがよく訪れる場所です。晴れたりすると絶景。ある程度は自転車登坂に慣れていないと「キツい上り坂」となりますが、RIDGE-RUNNERだと風景をゆっくり堪能しつつ気楽に上れちゃいます。
こちらは「刈場坂峠(かばさかとうげ・かりばさかとうげ)」。埼玉県にある峠で、ここも見晴らしがいいです。けっこう距離があり、勾配もそこそこある上り坂。RIDGE-RUNNERなら普通に進めちゃいます。
これは「顔振峠(こうぶりとうげ・こおぶりとうげ・かあぶりとうげ)」へ続く、とあるヒルクライムルート。激坂もしっかり含まれます。春先には、上のほうからは素晴らしい一本桜を見下ろすことができます。

 他にもRIDGE-RUNNERでいろいろな峠に上りましたが、地元の激坂攻略や山の中のオフロード走行とは違い、独特の「穴場観光感覚」で楽しめます。高所に行くと驚くほど風景がイイんですよね。

 普通のスポーツ自転車でのヒルクライムは、登坂の苦しさの先に絶景が待ち受けていて、なんかこう「頑張ったご褒美」みたいな雰囲気がありました。でもRIDGE-RUNNERなど登坂に強いe-bikeだと、頑張りはちょっとだけでOK。「急峻な上りルートだが絶景」というフレーズから「急峻な」という言葉が消えて、「ちょっと上れば絶景」となります。

 あと、RIDGE-RUNNERなどのe-bikeは、どの車種も登坂に強いラクな自転車ではありますが、そこそこの運動にはなります。たとえば筆者の場合、普通の自転車でヒルクライムなんかすると、すぐに心拍が160とかを超す状態に。ハァハァゼーゼーと息が切れるような状態です。風景なんか見る余裕ナシ。

 でもe-bikeだと心拍は上がっても120~130くらい。緩やかな上りだと100くらい。話ができるくらいの状態ですが、通常の心拍は60とか70なので、わりと理想的な有酸素運動ができている状態。e-bikeなら無理なく運動できるし、走行中でも環境を楽しむ余裕があるというわけです。

 話がちょっと運動寄りとなりましたが、RIDGE-RUNNERでヒルクライムをするようになってから、e-bikeに対する考えがわりと大きく変わりました。何しろヒルクライムが「手軽」なんです。

 普通の自転車で「明日はヒルクライムだ!」となると、身も心もしっかり準備したくなります。もちろんe-bikeでもしっかり準備するに越したことはないんですが、ヒルクライムしても上記のような心拍。激しい運動って感じではなくて、体を使って移動しつつの観光って感じなんです。なので、ちょっと短距離ハイキング的な気分で、気軽&手軽に行ける感覚。

 なんの気負いもナイんですよね、e-bike。登坂がラク、ストップ・アンド・ゴーもラク。疲れてきたらマシンに任せるような走りもできる(10km/h以下で走ればアシスト力が最大になるので非常にラク)。

 あと、初めてのルートを走るときでも、「走ってみて苦しかったらどうしよう?」ということを心配する必要がない。「ここはけっこうキツいだろう」と思って走ってみても、「あらもう走破しちゃった」と思うことが多々。走るほどにそう思うので、どんどん気負いがなくなっていきます。そして「e-bikeって自転車の楽しい部分はあるけど、自転車とはまた違う新しい乗り物なんだな」と思うようになりました。筆者の中では、e-bikeは「健康にいい自走観光ビークル」という気がしています。

もっとコンフォートに!

 コンフォート(comfort)は「安楽」や「快適」と言った意味ですが、筆者はRIDGE-RUNNERをさらにそんな方向にしたいと考えました。RIDGE-RUNNERはもともとセミファットタイヤで乗り心地がイイんですけど、まだ十分快適とは言えない。

 細かいことなんですけど、たとえばバーハンドルを握り続けると、手首が痛くなったりしびれたり。あるいは、やはりお尻パッド付きのサイクリングウェアを着ないと、途中でお尻痛い問題が出がち。長距離走ると首もちょっと痛くなるな~。そういうのを解決したい。

 逆に、そういう細々した不快さえ解決すれば、自走観光ビークルとしてかなりイイのでは? いやイイはず! ということで、RIDGE-RUNNERを急速にイジり始めたのでした。カスタマイズ。以下、イジった箇所などを写真と説明文で見ていきましょう。

RIDGE-RUNNERの安楽でない部分は、まずバーハンドル。手首が不自然な方向を向くので、長時間そのままだと手首の痛みや痺れが出てきます。それからタイヤ。セミファットタイヤで乗り心地はイイんですが、ブロックタイヤなのでスピードの乗りが悪く、走行時の「ダーッ」というロードノイズもちょっと気になります。それからサドル。RIDGE-RUNNERのサドルはわりとコンフォートなタイプですが、それでもお尻パッド付きウェアを着たくなる程度はやや硬めのサドルです。
これが最近の筆者所有RIDGE-RUNNER。まずハンドルを「プロムナードハンドル(トレッキングハンドル)」に交換。ママチャリっぽいハンドルですが、これにより手首の痛みが完全に解消されました。ライディングポジションが少し起きたので、首の疲れも減りました。モノはAmazonで売られていた「カロイ Kalloy UNO AL-092ハンドル 25.4mm 580mm」で、2000円でした。
それからバックミラー。ハンドルに装着するタイプにしました。ミラーが大きめで、後方がよく見えて快適。モノはAmazonで売られていたHafny(ハフニー)ブランド品で、1750円でした。
それからタイヤをブロックタイヤでない、舗装路走行を重視したものにしました。モノは、SCHWALBE(シュワルベ)の「Super Moto-X(スーパーモトエックス)/27.5×2.80(650B+)/ETRTO:70-584」。実勢価格は1本6000円くらい。RIDGE-RUNNERの乗り心地がさらに良くなり、静粛性が向上し、乗ったスピードが落ちにくくもなりました。
標準装備のドロッパーシートポストが壊れたので、8年前に買ったCRANK BROTHERS「joplin 4r」に交換。このドロッパーシートポストの筆者レビュー記事はコチラ。また、お尻の痛みを防ぐサドルカバーを装着。Amazonで買ったFengNiaoブランドのサドルカバーなんですけど、これによりお尻パッド入りウェアが完全に不要に! これ1380円で買ったんですけど、お尻も股間も痛くならないわサドルからズレないわでサイコー♪ 予備を買おうかナ、くらい気に入っております。ともあれ、これにより普段着パンツでRIDGE-RUNNERに乗れるようになりました。
これから夏だしバックパック背負うの暑いし……ということで、リアキャリアを装着。荷台ですね。Amazonで買ったWINOMOブランド品で、2299円でした。付属金具によりシートステー部ダボ穴にネジ止めできた点が良く、かなり安定しています。荷物は全部リアキャリアに積載可能になりました。

 てな感じで、RIDGE-RUNNERのコンフォート化が進行中。現在の段階でも、かな~り安楽な乗り心地となり、ヒルクライムを含む走行距離60~80kmくらいのサイクリングをしても、かなり快適。ハンドルにより手首の痛みが大幅減。首の痛みもほとんどナシに。

 サドルカバーは衝撃的なレベルの使い勝手。スポーツ走行するには柔らかすぎかもしれませんが、e-bikeの速度域(18~24km/hくらい)で快適にサイクリングするにはとてもイイ。これによりお尻パッド付きウェアが完全に不要となり、いつもの服装でサイクリング可能になりました。

 スポーツ自転車好きの方から見ると、たぶん不格好な感じの改造自転車というイメージになるかもしれませんが、このRIDGE-RUNNERホントに凄く安楽に走れてサイコー。今後もサイコー度が上方修正されていく予定なんですが、さておき、現段階のRIDGE-RUNNERは「健康にいい自走観光ビークル」から「健康にいいし楽しく乗れる自走観光クルーザー」みたいな感触になりました。

 ちなみに、タイヤやハンドルなどパーツを変えたので、ミヤタが取得したRIDGE-RUNNERの電動アシスト自転車型式認定から外れる車体となりました。でも違法ではありません。タイヤ交換については、外周長が変わらなければアシスト自転車としての合法性が保たれますので無問題。

 なお、この「型式認定」とは、自転車メーカーなどが電動アシスト自転車の型式について国家公安委員会の「認定を受けることができる」という制度で、法的に取得義務はありません。ラフに言えば、「この自転車はお国のお墨付きをいただいてますよ」的な認定で、つまりは「国が認定しているからより安心して買える自転車だ」という「消費者にとって購入の目安になる認定」だと思います。

 って話がややこしい方向へ。閑話休題。

 快適さアップの方向でカスタマイズが進む筆者のRIDGE-RUNNERですが、じつは先日購入したTern「Vektron」(公式ページ)もカスタマイズ中。本連載バックナンバー「Ternの小径e-bike「Vektron S10」を購入!」(関連記事)で書いたe-bikeですが、こちらもさらに快適になりつつあります。カスタマイズが進んだらまた記事化しますので、よろしくどうぞ~♪

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。