ケータイ用語の基礎知識
第963回:ゲーミングスマホ とは
2020年8月18日 06:00
eスポーツに向けに強化されたスマートフォン
ゲーミングスマホ(ゲーミングスマートフォン)とは、その名前の通り、eスポーツ向けに、様々な強化やチューンが施されたスマートフォンのことです。eスポーツ(eSports)とは、「エレクトロニック・スポーツ」のことで、コンピュータゲーム・ビデオゲームの対戦競技のことを言います。
簡単に言えば、ゲームでの対戦用に機能強化されているスマートフォンということになります。
世界的には、そう機種は多くはないですが、いくつかのメーカーからゲーミングスマートフォンが発売されています。
日本国内では、ASUSからゲーミングスマートフォンが発売されており2020年8月現在「ROG Phone II」が現行機種となります。なお、ASUSはグローバルではROG Phone 3をすでに発表しています。
このほかにも、TAKUMI JAPANからBlack Sharkの「Black Shark2」などが発売されています。シャープの「AQUOS zero2」もゲーミングスマホとしての位置づけを強く打ち出した機種になります。
普通のスマホとどう違う?
では、一般のスマートフォンとゲーミングスマホ、何が違うのか、そのスペックをASUSのROG Phone IIを例に簡単に見てみましょう。
ROG Phone IIのスペックは、チップセットには2019年11月発売当時の最高峰の性能だったクアルコム製「Snapdragon 855 Plus」を搭載、そして、ベイパーチャンバーを採用した「GameCool II」冷却システムによって常に冷やし続けます。
さらには外付け空冷システム「AeroActive Cooler II」も標準で添付されています。ディスプレイには10BitHDR、コントラスト比100000:1、120Hz駆動が可能なAMOLEDディスプレイは、実際の色との色差を表す「Δ(デルタ)E」が1未満という色再現精度を実現、メモリは12GBです。
これがどのくらい、普通のスマートフォンとの差が出るかというと、まずチップセットでいうとノーマルのSnapdragon 855のクロックスピードが最高2.84GHzなのに対して、Snapdragon 855 Plusは2.96GHzとアップしています。これは、単純な演算では4%程度しか高速化していないように思えますが、画面描画などの性能では約15%の高速化を実現するそうです。
パフォーマンスが向上し、高負荷なゲームを処理することになれば、発熱も高まります。そこで放熱するのがベイパーチャンバーです。一般的に現在のスマートフォンには何らかの形で放熱板が内蔵され、熱がチップセットなど一カ所にこもらないように設計されています。これが顕著な形で出やすいゲーミングスマホでは、さらにこの部分が強化されているのです。最近のハイエンドスマートフォンでは、同様の仕組みを搭載するモデルも出てきていますが、さらに強制的に冷やしたいときのためにゲーミングスマホでは、空冷用ファンまで取り付けできるようになっています。
ディスプレイは色だけではなく、タッチ操作の反応速度、滑らかな描画など、高いスペックに仕上げられており、敵キャラクターをいち早く視認できるようにしますし、操作面でも相手より有利な状況をもたらすことが期待されます。
これだけの性能に仕上げられるだけあって、ゲーミングスマホは、比較的、高価なものになりがちです。また、外観もヘビーゲーマーへ訴求する形のものも多く、ターゲット層を割り切った機種に仕上げられています。そのためか、ラインアップするメーカーの数は限られています。ただし、最近のスマートフォン市場を見ると、ハイエンドスマートフォンだけではなく、ミドルクラスのスマートフォンにおいても、快適なゲームプレイという面をアピールする機種は増え続けています。
eスポーツの世界の中心であるパソコンでは「ゲーミングパソコン」やそれ用のパーツ、ゲーミングチェアまでさまざまな製品が揃っていますが、スマートフォンでもパソコンのようにeスポーツが盛んになれば、もっとゲーミングスマホのバリエーションも豊かになるかもしれませんね。