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ASUSが「ROG Phone 3」、Snapdragon 865 Plus搭載の5Gゲーミングスマホ
2020年7月23日 00:30
ASUSは、ゲーミングスマートフォン「ROG Phone 3」を発表した。5Gに対応し、排熱性能や周辺機器を充実させたハイスペックな1台に仕上げられている。価格や発売時期は触れられていない。日本での取り扱いは未定。過去、グローバルで登場したStrix Edition」の存在もスペックシート上で明らかにされている。
その特徴は「パフォーマンス」「ディスプレイ」「ゲーマー向け仕様」「バッテリー」、そして周辺機器の「エコシステム」だ。ASUSのグローバルテクニカルPRディレクターのChih-Hao Kung(チーハオ・クン)氏が語ったその内容とは。
主な仕様 | ROG Phone 3 | ROG Phone 3 Strix Edition |
チップセット | Snapdragon 865 Plus(最大3.1GHz駆動) | Snapdragon 865(最大2.84GHz駆動) |
メモリー(LPDDR5) | 最大16GB | 最大8GB |
ストレージ(UFS 3.1) | 最大512GB | 最大256GB |
ディスプレイ | 6.59インチ、2340×1080ピクセル、有機EL、144Hz駆動 タッチサンプリングレート:270Hz タッチ操作の遅延:25ms | |
カメラ | トリプルカメラ 6400万画素(ソニー製 IMX686)広角 1300万画素超広角 500万画素マクロ | |
通信 | Wi-Fi(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax) 2×2 MIMO、Wi-Fi Direct Bluetooth 5.1 | |
GameCool(冷却) | グラファイトフィルム、3Dバイパーチェンバー、ヒートシンク |
2020年夏、最高スペックの仕上がりに
「ROG Phone 3」は、チップセットにクアルコムの「Snapdragon 865 Plus」を採用する。7月に発表されたばかりの最新チップセットで、その段階で「ROG Phone 3」への採用が予告されていた。
その性能は、CPUプライムコアの最大動作周波数が、Snapdragon 865の2.8GHzから3.1GHzに高速化。GPUも10%前後、向上した。
あわせてメモリーはLPDDR5、ストレージはUFS 3.1という規格をサポート。以前の規格と比べ、メモリーは51%、ストレージは15%高速化している。
これらチップセットや、メモリー関連のスペックアップは、快適な操作性をもたらす。それと同時に解決しなければいけないのは、熱に関する設計だ。
ROG Phone 3における熱設計の工夫
クン氏は、プレゼンテーションで「ROG Phone 3」の構造を示す。それによれば、CPUや通信モデムが搭載される基板はアルミニウムフレームのボディにある。
そこからディスプレイ側にはデザインを一新した冷却システムの3Dベイパーチャンバー、そして大きなグラファイトフィルムがある。
背面側には、ROG Phone IIよりも6倍のサイズになったヒートシンクが搭載される。さらに背面カバーにはベント(通気口)が設けられる。周辺機器として、キックスタンドとしても使える専用ファン「AeroActive Cooler 3」を装着することもできる。背面からは空気を入れ替える格好となり、ディスプレイ側へ均等に熱を伝えて放熱するという設計だ。
クン氏は、「AeroActive Cooler 3」では、以前と比べファンを再設計したと説明。ファンの騒音を上げることなく、回転数を40%アップさせた。これにより、最大で表面温度が4度、低下する。ファンは、手動で低・中・高とスピードを変えられるほか、システム設定に基づいて、自動的に回転数を変化させることもできる。ちなみにキックスタンド機能は「AeroActive Cooler 3」で採用された。
ROG Phone 3では、3.5mmのイヤホンジャックを備えていない。一方、「AeroActive Cooler 3」には搭載され、有線のヘッドセットなどを利用できる。3.5mmイヤホンジャックを搭載しなかったのは、5Gへの対応を踏まえ、アンテナを配置するため、内部構造上、3.5mmイヤホンジャックの優先度が下がったため。
144Hz駆動、レイテンシを抑えたディスプレイ
「ROG Phone 3」は、6.59インチ、2340×1080ピクセルの有機ELディスプレイを備える。
ゲーミングスマホらしいスペックとして、リフレッシュレートは144Hz駆動、タッチ操作を検出するタッチサンプリングレートは270Hz、タッチ操作の遅延は25msに仕上げられた。
こうしたスペックのうち、タッチレイテンシー(タッチ操作の遅延)は先代モデルのほぼ半分となった。クン氏は、「タッチレイテンシーはユーザーと操作入力の間の障壁になる。ユーザーが特定のアクションボタンをタッチすると、ゲームとAndroidシステムが入力に反応し、ゲーム内のアクションに変換する。障壁が低いほどゲームはスピーディに反応し、それはゲームのヘビーユーザーにおいては勝敗の分かれ目になることもある」と解説する。
144Hzのリフレッシュレートは、より滑らかにゲームを表示してくれる。ASUSではいくつかのゲーム開発会社とすでにコミュニケーションを進めており、100以上のゲームコンテンツで144Hzがサポートされる見込みという。プレゼンテーションでは、「スラムダンク」「ロックマンX DiVE」といったコンテンツが対応ゲームとして紹介されていた。
このほか、スタイラスなどを使ったスライド操作の遅延も18msに仕上げられていることが紹介された。
エンハンスドXモード
チップセットやメモリー、そしてディスプレイといったスペックを活かす機能として、ROG Phone 3では、ゲームプレイに集中できるよう、Enhanced X Mode(エンハンスドXモード)が用意されている。ROG Phone IIではXモードという名称で、その発展版という機能だ。画面上部のクイック設定パネルのなかにあるボタンを押すだけでONにできる。
エンハンスドXモードは、主に処理性能(パフォーマンス)、ディスプレイ表示、タッチ操作、ネットワークに関して設定をコントロールできる。
ディスプレイのリフレッシュレートをカスタマイズしたり、タッチレスポンス、タッチ感度をカスタマイズしたりできる。
操作面だけではなく、ゲームプロファイルのカスタマイズもできる。キーのマッピング、トリガーの設定、マクロ操作を好みのものへ変更できる。
これにより、たとえば30分間、ぶっ続けでプライムコアを3.1GHzで駆動し続けることもできる。ユーザーが特定のゲームでの一貫したパフォーマンスを求める場面に対して、エンハンスドXモードであれば(先述した冷却・放熱システムを含め)ハイエンドゲームの快適なプレイ環境を提供できるのだという。
クン氏は、中国版のPUBGモバイルとされるゲームコンテンツを例に、最大90fpsで動作させつつ、ゲームの状況にパフォーマンスが左右されず、安定したフレームレートでプレイできたというグラフを示し、ROG Phone 3の優位性をアピールした。
6000mAhのバッテリーを搭載
ROG Phone 3は、先代モデルに続いて6000mAhという大容量バッテリーを搭載する。この背景には「本当に本当に、良い評価をいただけた」(クン氏)というユーザーからの支持がある。
ゲーミングスマートフォンに大容量バッテリーが鍵になる、と語るクン氏は、1日中、快適にプレイできると説明。さらに最適化された30Wの高速充電も強みとする。
バッテリー容量と後述するバッテリー関連の機能の恩恵として、競合機種と比べ、人気アプリのPUBGモバイルやアスファルト9などで、1.5倍程度、長くプレイできるという。
4500mAh程度を約45分で充電するという仕様で、最適化された充電の仕様により、バッテリーの寿命は従来の1.3倍になるとクン氏。
ユーザーからの声をもとに、「パワーマスターアプリ」では、常にゆっくりと充電できるようにした。これは2年以上、その機種を使いたいユーザーからの求めに応じて提供することになった新機能だ。
頻繁な充電がバッテリー寿命に与える影響を懸念しているユーザーは、1日1回の充電にしている、とクン氏は語る。
「パワーマスター」ではスロー充電、スケジュール設定が利用できる。最低4時間以上で使うスケジュール設定は、今回改良が図られた機能。たとえば睡眠時間中にONにする、といった使い方が想定されている。開始時間と終了時間を決めておき、その間、フル充電の時間がずっと続かないように充電速度をコントロールする。使わない間、フル充電なのにずっと充電し続ける、といった状況を避ける。
もうひとつは充電の上限に関する仕様。これはバッテリーの最大充電量をユーザー自身が決められるというもの。6000mAh全て(100%)にするのはもちろん、90%、80%といった設定にできる。
クン氏が示した資料によれば、80%までの充電を続けていれば、500回の充電サイクルを終えたときに、バッテリー容量は7%の損失になる。もし100%まで充電する場合、500回の充電サイクル後、バッテリー容量の損失は15%に達する。つまり80%の充電に留めるほうが、バッテリーはより長い期間使える、というデータだ。
オーディオでも没入感アップ
「没入感をさらに高めるために何ができるのか」という問いへ、ROG Phone 3が出した答えのひとつはオーディオ体験だ。
ゲームFX(Game FX)オーディオシステムと呼ばれる機能を備え、デュアルフロントスピーカーなどで、ゲームプレイ時のサウンドを豊かに表現する。
ゲームを遊ぶ際には、オーディオ面でも、Dirac(ディラック)のHDサウンド技術を活用したゲームモードがONになる。
クン氏はゲームにおける音響効果について研究を重ねた、と語る。その結果、明快さ(Clarity)、イメージング(Imaging)、ボリューム(Volume)、ディテール(Detail)、低音(Bass)、周波数(Frequency)という6つの要素にたどり着いた。
まずはインパルス応答の補正技術を議論した。スピーカーのサイズが限られる中で、オーディオ信号をより正確に、干渉を抑え、聞こえやすさを追求した。
そしてデュアルフロントスピーカーを備えるとはいえ、その距離は一般的なオーディオシステムと比べれば遥かに狭い。何も工夫しなければ音場は思うように広がらない。そこでクロストークキャンセレーションを取り入れ、特定の周波数を相殺した。これにより音がより広く、大きく聴こえ、スピーカーの物理的な距離を感じさせないようになった。
そして低音の強調技術も用意されている。オリジナルのサウンド信号に人工的な倍音を加え、低音を感じさせる。目指す周波数になるよう、多くの計算をすることで、低音が聴こえるような音響心理効果に繋げている。
周波数応答も補正した。スピーカーの特性にあわせて、より滑らかな周波数で、音量の変動が大きくバラつかないようにし、クリアな音を実現した。
デュアルフロントスピーカーだけではなく、USB-C、ワイヤレスで繋がるヘッドセットなどの機器でも適切に楽しめるよう工夫されている。
本体側面には「エアトリガー3(AirTrigger 3)」を搭載。横向きに持った際に、人差し指が当たる部分にセンサーを用意し、ゲームプレイでのコントローラーとして活用できる。左右のタップを画面上のアクションに変換して、ワンタップでスムーズなプレイを実現する。連続
タップではなくスライドで操作することもでき、指を休めつつ、活用できる。
このほか、Wi-Fi、5Gに対応。より安定した通信経路を選択するとのことで、たとえば部屋や共有スペースで多くの人がWi-Fiを使い、繋がりにくくなったときに、モバイルデータ通信へ切り替える、といった働きをする。
携帯電話として使う場面、そして横向きに持ってゲーム機として使う場面があるため、4つのマイクを備え、あらゆる場面で音声をクリアに拾う。
背面のLEDのカラーは、好みの色に変えられる。
ARMOURY CRATEと呼ばれる機能では、ユーザーにあわせてタッチ操作のチューニングやディスプレイ、処理速度のカスタマイズ、キーマッピングなどを保存する。いわばゲーマーのためのワンストップソリューションだという。
Game Genieと名付けられたランチャーは、フローティングウィンドウからメッセージングアプリなどを呼び出して利用できる。
またMarked Clipsという機能を呼び出し、プレイ中の画面を5秒、10秒、20秒、30秒のいずれかで録画し、勝利の瞬間などを収められる。
マクロ操作も利用できる。
カメラ
ROG Phone 3はトリプルカメラを搭載する。
ピクセルサイズが1.6μmというソニー製のセンサー「IMX686」を採用する6400万画素、F1.8のカメラに加え、1300万画素の超広角カメラ、マクロカメラを搭載。フロントカメラは2400万画素。
プロビデオモードでは30fpsで、電子手ブレ補正をONにして撮影できる
周辺機器との連携
ROG Phoneシリーズは周辺機器とのエコシステムも特徴のひとつ。今回もコントローラーや、先述した冷却ファンなどが用意されている。
軽量なケース「Lighting Armor Case」や2画面化する「ツインビュードック3(Twin View Dock 3)」をラインアップ。
ROG Kunai(くない)3 Gamepadは、複数の用途で使えるコントローラー。ROG Phone 3に装着したり、ROG Phone 3をディスプレイに見立てて遊んだりできる。
ROG Clipは、プレイステーション4やXbox、Google StadiaのコントローラーをRPG Phone 3でも使えるようにする。
新しい周辺機器の多くは、先代モデルのROG Phone IIでも使える。