石川温の「スマホ業界 Watch」

折りたたみ「iPhone Duo」のアプリ最適化が遅れる理由と2027年への展望

 アップルの折りたたみ「iPhone Duo」が発売されて10日が経過した。無事に購入できた人や店頭で実機を触った人から「賛否両論」様々な声がSNSに上がっている。

 なかでも注目なのが「多くのアプリがiPhone Duoに適用化できていないのはどうなのか」というツッコミだ。

 iPhone Duoは折りたたみということで、閉じたときの外側のディスプレイ、開いた時の内側のディスプレイといったように、デバイスの状態に応じて、アプリの表示レイアウトが異なっている。

Netflixの場合

 全開に開いた時だけでなく、ヒンジ部分を中途半端に曲げた状態にすると、アプリが分割して表示される、といった演出を施すこともできる。いずれにしても、iPhone向けにアプリを配信している開発者は、iPhone Duoにあったデザインを作り込む必要がある。

 アプリがiOS 27に対応していれば、iPhone Duoを開いた時に画面いっぱいに表示される。ただ、iPhone Duoで操作しやすいよう、メニューのアイコンなどを右端に並べて表示するには、iPhone Duoに特化した適応化が求められるようだ。

Instagramは最適化されたアプリのひとつ

 もちろん、iPhone Duoに適応化させなくても、アプリ自体の利用は可能だ。しかし、適応化させていないと、画面を開いた際に、真ん中に小さく表示されただけとなり、左右はブラックアウトした状態となる。iPhone Duoの大画面が全く生かされない状態になってしまうのだ。

 もちろん、こうした場合は、本体を90度、回転させ、縦長状態して、さらに拡大表示をすることで、従来の使い勝手に近くすることができる。いちいち、本体を90度回転させるのは面倒であり、できることなら、一日でも早くiPhone Duoへの適応化をして欲しいと思ってしまう。

 ただ、アプリを開発している事業者は「大手ならすぐに対応できるだろうが、小さい会社となれば、iPhone Duoにどこまでリソースを割くべきか悩ましい」と語る。

 世間的に注目されているiPhone Duoであるが、実際、実機を所有しているユーザーの数はiPhoneユーザーの全体数に比べれば相当、少ない。

 最新かつ高額なデバイスをいち早く購入するユーザーの声はかなり大きいが、アプリ開発側とすれば、アップデートの優先度は上げたくないはずで、できることなら「後回しにしたい」というのが本音のはずだ。

以前の連載で紹介したLINEの表示のようす

A4用紙と同じ比率「1.4:1」のディスプレイ設計、2027年4月に向けたアプリ最適化の展望

 iPhone Duoでは、内側と外側のディスプレイとも「1.4:1」という比率が採用されている。これは紙の国際規格である「A4用紙」の縦横比と全く同じになっている。

 画面を閉じた状態と開いた状態での連続性が保たれるだけでなく、外側ディスプレイのサイズが内側ディスプレイを折りたたんだ際のちょうど半分になるのだ。まさにA4用紙を半分に折りたたんだら、A5用紙と同じになる感覚に近いといえそうだ。

 アップルとしては、かなり考え抜いたサイズ感でiPhone Duoを設計したようだが、アプリを提供する側とすれば、iPhone Duoに適応化させるのは、「あまり時間がなかった」という事情があったようだ。

 そもそもアップルがアプリ開発者に対して、iPhone Duo向けの開発環境である「Xcode27.1」を提供したのはiPhone Duoが発表された直後の9月中旬のことだ。しかもベータ版であり、正式リリースは、iPhone Duo発売の1週間前である10月15日だった。

 Xcode上では、シミュレーターがあり、アプリがiPhone Duoでどのように動作するかといった確認ができるようにもなっていたが、画面上だけでチェックするには限界がある。やはり、iPhone Duoの実機にインストールして、動作や表示を試してからでないと、世間にリリースできないと思うのは当然のことだ。

 大手のアプリ開発者であれば、iPhone Duoをすぐに手に入れられることも不可能ではないかもしれないが、中小や個人のアプリ開発者にとってiPhone Duoの実機を手に入れることはかなり大変なことだろう。

 アップルではアプリ開発者に対して、2027年4月までに、iPhone Duo上でどのようにアプリが表示されるかのスクリーンショットの提出を求めている。

 これはあくまで「どのように表示されるか」の画像であり、iPhone Duoに完全に最適化しなければならないというものではないようだ。

 ただ、アップルがこうした新たな条件をアプリ開発者に提示したことで、アプリ開発者としては、iPhone Duoの存在を意識した上で、今後、アップデートを検討していくことになりそうだ。

 おそらく、2027年4月までには、コンスタントにアップデートを続けているアプリに関しては、iPhone Duoへの最適化が一気に進むのではないだろうか。

石川 温

スマホ/ケータイジャーナリスト。月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。