石川温の「スマホ業界 Watch」

楽天へのauローミングがいよいよ終了、都市部は約4割減か。マップで探る通信品質への影響

 KDDIは2026年9月30日、楽天モバイルに対する「ローミングサービス提供エリア」のマップを更新した。楽天モバイルへのKDDIネットワークローミングは9月30日を持って現行の取り組みは一旦、終了。10月1日以降は新たなローミング契約に合意している。

9月末現在のマップ
10月以降のマップ

 KDDIのサイトに掲載されているローミングサービス提供エリアマップは「2026年9月末現在」と「2026年10月以降」を比較できる。これまでオレンジ色に塗られていたかなりの部分が、10月以降消滅しており、ローミング提供エリアが相当小さくなっている様子がハッキリと確認できる。

 10月以降消滅するローミングエリアは、楽天モバイルが「自社でエリア展開できている」と主張している部分だ。KDDIとしては「楽天モバイルが自社でカバーできているのであれば、ローミングは終了する」というスタンスとなっている。

 KDDIの松田浩路社長は決算会見で「以前から懸念していたが、想定外のエリアからトラフィック(通信量)が発生している。今回、契約が終了することで、そうした状況を解消できる。我々のユーザーのために品質を維持、向上するためにリソースを割り当てる経営判断に踏み切った」と言及。

 面的なカバーをするのではなく、楽天モバイルユーザーが利用するデータ量が増えており、結果としてトラフィック対策になってしまっている場所のローミングを打ち切るとしているのだ。

横浜市のマップ(9月末時点)
10月以降
千葉市のマップ(9月末時点)
10月以降

 実際にマップを比較するとさいたま市、千葉市、横浜市、神戸市など政令指定都市での縮小が目立つ。KDDIでは10月以降、楽天モバイルがいまだに自社でエリア展開できない山間部などではローミング提供し続けるが、このような人がそれなりに多く居るような場所は今回、ローミングを打ち切ったとされる。

 KDDIが公表しているマップを見比べるだけでは「確かにオレンジの場所が減っている」程度しか認識できない。そこで、Claude Fable 5.1にマップの画像を読み込ませ、全国の政令指定都市でオレンジの場所がどれくらい減っているかを分析してもらった。全国には20の政令指定都市があるが、大阪市と名古屋市はそもそもローミングエリアになっていない。

 9月末と10月以降のローミング減少率を算出してもらったところ、1位は神戸市で59%減であった。つまり、現在、ローミング提供されているエリアの約6割でローミングが終了するということになる。2位が横浜市、3位がさいたま市、4位が千葉市と東京周辺の政令指定都市が続く。いずれも50%前後と高い減少率となっている。

 ちなみに京都市は37.3%減であった。ただ、京都市は景観条例が厳しく、各キャリアが自由に基地局を設置できない場所として知られている。先日、ソフトバンクが清水寺に新たに基地局を設置したというので取材に行ったが「京都は本当にエリア対策が難しい」と語っていた。KDDIローミングが終了し、楽天モバイルがすぐに対策を打てるかと言えば、かなり困難を伴うことになりそうだ。

福岡市のマップ(9月末時点)
10月以降
広島市のマップ(9月末時点)
10月以降

 18市の合計では約4460平方kmから約2820平方kmとなり、約37%の減少となっている。ちなみに全国平均は20%減だったので、やはり都心部の方がローミング終了の影響を受けるエリアが広いということになる。

 今回、Claudeがはじき出した数値は、あくまでKDDIのWebサイト上で公開されているマップの画像データを読み込み、ローミング提供されているオレンジ色の部分がどれだけ減っているかを分析したものだ。このデータをKDDI広報に見せたところ「ローミング提供終了エリアで解除される割合や基地局数などの詳細については回答を控える」とのことであった。

 いずれにしても、10月以降、全国各地で「楽天モバイルのアンテナピクトは立つがデータが流れてこない」という場所が確実に増えることになる。

 一方で、KDDIユーザーとしては、10月以降、通信品質の向上が期待できる、かもしれない。

石川 温

スマホ/ケータイジャーナリスト。月刊誌「日経TRENDY」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。