法林岳之・石川温・石野純也・佐藤文彦のスマホ会議(仮)
「iPhone 17/Air」「Xiaomi 15T」「Xperia 10 VII」「razr 60」と秋スマホ続々登場、その注目ポイントは?
2025年10月17日 00:00
通信業界を中心に活躍するライター4人による「スマホ会議(仮)」。ケータイ Watch編集長の関口も同席して、今回は新型iPhoneシリーズや、Xiaomi EXPO、Xperia 10 VIIについて話し合っていきます。
iPhone Airの登場でわかりやすくなったラインナップ
佐藤
iPhone 17シリーズ、iPhone Airと今年も新型iPhoneが発売されました。皆さんの注目はどの辺りですか。
石野氏
端末という意味では、やっぱりiPhone Airじゃないですかね。久々に、スティーブの息吹を感じたというか。
法林氏
なんだそれ(笑)。
石川氏
スティーブの息吹とは言わないけど、今回のiPhoneは、デザイン面では賛否両論ある。Proシリーズのツートンカラーもそうだし、iPhone Airのカメラ部分が大きく出っ張っているのも、ネット上では、「スティーブ・ジョブズだったらこんなデザインは許さない」といったコメントを見かける。
アップルもそこは理解しているから、発表イベントの冒頭で、スティーブの「デザインは単なる見た目や感触ではない。どう機能するかだ。」という言葉を引用している。発売日あたりには、アップルのボブ・ボーチャーズ副社長も来日して、同じコメントを引用している。
デザインは変わったけど、iPhone 17シリーズ、iPhone Airはジョブズの意思を継いでいるということを、強調しているのが印象的でした。
石野氏
特にProシリーズは、かなりプロユースに振り切った印象です。見栄えを華美にせず、「こんなにゴツいのはiPhoneじゃない」と言われるのを覚悟の上で、アルミ筐体にしています。その代わり、放熱性能はしっかり向上していて、ヘビーに使っていてもあまり熱くなりません。スペックに振り切った印象ですが、「Pro」を名乗るのであれば、それくらいしてほしいですよね。
iPhone 16 Proは、動画を回しているとすぐに本体が熱くなるし、Apple Intelligenceで画像を生成する程度の動作でもホカホカになるので、ヘビーに使うと厳しいと思っていました。特にiOS 26にアップデートしてからは、この傾向が顕著だったんですけど、ベイパーチャンバーの搭載や、アルミボディの採用といったハードウェア面でデザインに意味を持たせてきたのが、今までとは違う発想だなと思います。
逆に言うと、Proシリーズがここまで振り切れたのは、iPhone Airに注目が集められるからかもしれません。Proシリーズは、スペックでiPhoneを選ぶ人に向けられていて、今まで以上に棲み分けができているなと思いました。
ただ、メディアはAirやProに注目しますが、一番売れるのは、標準モデルのiPhone 17なんだろうなと思うくらい、こちらも良くなっていますね。
石川氏
去年までのラインナップは、Plusがどっちつかずというか、せっかくの4モデル展開がぼやけていた。今回はAirになって、Proモデルが高機能に振り切ったことで、標準モデルもベースアップされています。選びやすいラインナップ構成になりましたね。
石野氏
Airは、バッテリー持続時間が心配ではありましたが、16 Proと比べて極端に悪いわけではないですし、専用のモバイルバッテリーもあって、よくできているなと思いました。使っていて面白いと感じています。
石川氏
アウトカメラが1つなのも、不満が出るかなと思っていたけど、使っていてそこまで気にならない。
石野氏
広角で撮れないのは若干引っかかりますけどね。物理的に広い範囲が撮れないので、物足りなくなるタイミングはあります。でも、トータルでいい完成度だと思います。
石川氏
我々が散々「薄い」って記事を書いたものの、予約の段階ではPro、Pro Maxに人気が集中していた。でも、実際に発売されて、触ってからの評価は変わってきています。結局、体で感じるものだなと思いますね。
石野氏
考えるより、感じるということですね。カメラの出っ張りに対する意見もありますが、手に当たる場所ではないので、使っていてもあまり気になりません。昨今のスマートフォンは、カメラが飛び出しているのが当たり前になっていますから。
石川氏
今回は、薄型化を実現するために、構造が大きく変わっている。カメラ周辺にパーツを集めたというのはすごいし、アップルがSoC、モデムなど、ハードウェアの部分を全てやっている強みが出ています。将来的には、全てのチップが統合されていく、Snapdragon的な世界観になっていくのかなと思うと、今後さらに強みは発揮されていきそうです。
石野氏
設計は面白いですよね。薄さを実現するために、カメラ部分に部品を集約して、カメラから下の部分はほとんどがバッテリーになっている。iPhone AirにはC1Xモデムを搭載して、スペックはクアルコムのモデムから劣るかもしれないけど、通信時のバッテリー消費量を減らす。さらに、専用のモバイルバッテリーも用意している。薄くするために、色々考えているのが伝わります。
石川氏
しかも、Band11、Band21っていうバンドに対応して、日本専用モデルになっている。在庫を抱えているかもだけど。
石野氏
日本には、たくさんAirを入荷しているみたいですからね。
法林氏
iPhoneシリーズでは、4つ目のモデルをここ数年間かけて模索していた。miniをやってもあまり売れなかったので、世の中的な流行を見てPlusをやったけど、売れ行きはほどほどだった。
Airを出したことには、いろいろな解釈があると思うけど、噂通りに来年折りたたみモデルが出るのであれば、これくらい薄い端末を作れていないといけない。基盤の集積化、レイアウトの変更ができないといけないから、薄型モデルをやらざるを得なかったと思う。
ただ、AirはiPhoneシリーズの中ではかなり異端な端末になっている。カメラの仕様が、ほかのラインアップとは違ったりするので、いろいろな要素を踏まえて考えないといけない。今年の売れ行き次第だろうし、面白い端末だと思うけど、これからソフトウェアがアップデートされていく中で、「Airは対象外」といった機能が出てくる懸念はある。
Pro、Pro Maxがアルミボディになったのはいいけど、そもそも昨年、一昨年の段階で、別にチタンに拘らなくてよかったことに早く気づくべき。堅牢性というメリットはあるけど、アルミも十分硬くできるし、フレームとのレイアウト次第でしょう。チタンフレームの合金は、必ずしも正解ではなかったなと思う。
石野氏
チタンフレームはチタンフレームで確かにかっこよかったんですけど、Proを買う人は、そのかっこよさを求めていないのかなとも思います。
法林氏
デザインに関しては、Airは、こうならざるを得ない。Proシリーズのツートンカラーも、放熱とか、手に当たった時の、熱の感覚とかを考えると、こうするしかないよね。
石野氏
あと、ワイヤレス充電対応のためには、背面にガラスを採用しないといけませんからね。
法林氏
そうだね。賛否両論あるデザインだとは思うけど、設計としては納得できる。
石野氏
僕はAirを買いましたけど、Proモデルの機材っぽいデザインも好き。ソニーの業務用カメラとかも、ゴツイですがデザインは破綻してないじゃないですか。そんなイメージですね。
法林氏
Airの難しさは、ケースをどうするのか。Galaxy Z Fold7の時も思ったけど、ケースをつけると、途端に分厚く感じてしまう。
石野氏
バンパーなら、厚くなっていないことは目でわかるけど、手に持った時に、側面が厚くなっている感触がどうしても気になるんですよね。
石川氏
自分は全体を覆う純正ケースに、MagSafeのカードケースをつけているので、薄さはあまり感じなくなっています。
法林氏
そうなると、Airの特徴が損なわれちゃうよね。
関口
同時に発表された、専用バッテリーの厚みはどうですか。
石野氏
あれは、常時つけておくものではなくて、電池残量がなくなってきたら充電するというものですから。いざという時のために、カバンに忍ばせておくものです。専用のバッテリーを出すところには、気合が現れていますよね。
法林氏
あと、石川くんがさっき話した、日本専用モデルというポイントは気になるよね。
石野氏
アメリカに行ったとき、他の端末と同じT-Mobileにつながっていたのに、Airだけ電波があまり入らなかったりしました。
法林氏
元々iPhoneは、電波の利得が結構シビアだよ。
石川氏
でも、T-Mobileにつながらなかったのは、C1X(iPhone Air搭載のチップセット)の問題じゃないですかね。
石野氏
C1Xの問題なのか、対応バンドの問題なのかがわからないんですよね。仮にC1Xが原因だとしたら、それはそれで、MediaTekよりダメじゃんと思ってしまいます。
法林氏
今までのモデルから、アンテナの設計も含めて変わるし、日本専用モデルということは、利得が得られるようにしようと考えるはず。仮に日本であまりAirが売れず、在庫に余裕があるから、ほかの国と地域で売ろうとなったときに、その売り先の国と地域ではつながりにくいってことになると、問題になる。
佐藤
個人的には、今年は例年以上に、「無印でいいじゃん」という感覚が強くなりました。
石野氏
実際、無印は例年よりも売れているみたいですね。
石川氏
増産するみたいだしね。
佐藤
そうですね。ディスプレイもProMotionテクノロジーに対応しています。じゃあProってなんだろうとは思いますが、やっと追いつきました。
石野氏
iPhone 17が例年より売れているという報道を見ると、買う人は細かいところまで見ているんだなと思いますよね。コスパのよさにちゃんと気がついています。
法林氏
前モデルから、値段があまり上がらなかったのは、ユーザー的にはよかった。
石野氏
最小のストレージが倍(256GB)になっていますからね。
佐藤
そうですね。256GBスタートなので、同ストレージ容量で比べると、実質値下げになっています。
石野氏
アメリカだと、256GBで、前モデルの128GBモデルと同じ価格だったんですけど、日本では円安の影響で、ちょっとだけ前より高くなった。前の256GBモデルよりは安いっていう、中途半端な位置になってしまいましたね。
石川氏
ちょっと説明が面倒くさい(笑)。
関口
商品として見たときに、Airがシングルカメラということで、やっぱり無印がいいのかなと思ってしまうんですけど、Airの特殊性、立ち位置からすると、仕方がないという受け止めですか。
石川氏
選択肢があるからいいんじゃないですかね。
法林氏
実際の利用シーンで考えると、シングルカメラだから絶対にダメということはなくて、普通に使える。ただ、スマートフォンを何に使うかと考えたときに、たとえば推し活みたいなシーンだと、物足りなさは感じるかも。ご飯とか、目の前の人を撮影するくらいなら、何も不満は出ないと思う。
石川氏
マクロは弱いですけどね。ただ、これは無印とかProモデルと比べているから気づくけど、一般の人が、1台だけ使う分には、気づかないんじゃないですかね。
石野氏
15 Proとか、16 Proから買い換えると、「ここがない」みたいなシーンは出てくるかもしれません。
法林氏
iPhone Airはシネマティックモードがないんだけど、そもそもそんなに使わないよね。
石野氏
そうなんですよね。
法林氏
ただ、そこがほかのモデルとの差分になってしまっているというか、シングルカメラであるがゆえのポイントになっている。みんなが使うカメラ機能はどれかと考えると、普通の写真と動画、ポートレートくらいだと思う。マクロ撮影は、面白さがわかっている人はやるくらいだよね。
石野氏
普通の接写程度なら、2倍の切り出しズームでいいですからね。
石川氏
2倍“品質”ズームね(笑)。
関口
Proモデルのバンプ部分は、傷がつきやすいという意見も見かけます。
石野氏
アルミですからね。凹んだりはなかなかしないと思いますけど、引っ掻いて塗装が剥がれてしまうといったケースはありますよね。特にオレンジとかは目立ちそう。ただ、ガラス部分は、汚れが傷っぽく見えてしまうこともあるようなので、拭けば取れたりもするみたいです。
佐藤
自分が買ったiPhone 17 Proは、今のところ、傷はないですね。1年間使ってみて、どうなるかという感じですかね。
シャオミは秋葉原でXiaomi EXPOを開催
佐藤
シャオミが秋葉原で「Xiaomi EXPO」を3日間開催し、初日にはXiaomi 15Tシリーズを含む多数の製品を発表しています。
石野氏
第一印象で「おっ」と思ったのは、Xiaomi 15T ProにFeliCaを搭載してきたところ。でも、残念ながらキャリア採用は発表されていません。
法林氏
今回、キャリア採用はないんじゃないかな。端末としては、標準モデルのXiaomi 15Tは価格を抑えていて、スペックと価格のバランスがいい。Xiaomi 15T Proもストレージ容量を考えると、安いよね。早期割もあったし。
Xiaomi 15Tシリーズの発表会では、意外とカメラ機能について、深く触れなかったのが印象的だったな。
佐藤
結構、カメラ部分の説明はさらっとしていましたね。
石野氏
まあ、ライカ共同開発ではありますけど、メインカメラのセンサーはLight Fusion 900で、前モデルから変わっていないんですよね。望遠は光学5倍にはなりましたが、メインの広角カメラという観点で言うと、Xiaomi 14T Proでもいい。カメラを気にするなら、結局、次のXiaomi 17 Ultra待ちかなと思いました。
石川氏
よくわからないのが、Snapdragon Summit 2025が9月23日から25日まで(現地時間)開催されていて、シャオミは次のフラッグシップモデルであるXiaomi 17を発表しているのに、中日の24日に、ドイツ・ミュンヘンでXiaomi 15Tが発表、2日後の26日に日本でも発売という流れ。
シャオミとして、グローバル発売するXiaomi 15T、中国発売するXiaomi 17を同時期に発表しているのがおかしい。日本市場からすると、Xiaomi 17はどうなるのかという話になるし、Snapdragon Summitでは、Xiaomi 17にSnapdragon 8 Elite Gen 5が搭載されているのに、一切アナウンスがなかったというのが、すごく不可解。じゃあ、Snapdragon Summitは、なぜこのタイミングだったのか。
法林氏
去年までは、クアルコムとシャオミの仲の良さが伺えたけど、今年はそれが薄れていた。ちなみに、「Xiaomi 16」は欠番になったのね。
石野氏
去年はシャオミがSnapdragon Summitに登壇していましたからね。今年は、全体的に、中国メーカーへの言及がありませんでした。
法林氏
政治的な背景があるのかな。
石川氏
クアルコムは中国依存をしているけど、メッセージとしては弱めた感じ。
石野氏
それにしても、Xiaomi 17のデザインは、かなりiPhoneに寄せてきていますよね。
石川氏
Xiaomi HyperOS 3も、露骨にアップルに寄せています。かつてのファーウェイを見ているようで、嫌いじゃないですけどね。
関口
Liquid感こそないですけどね。
石川氏
いや、次で追加してくるかも。
石野氏
ただ、シャオミには安い端末も多いので、Liquid感を出すと、本当に動くのか心配になります。
石川氏
そこはデフォルトではオフにすればいい。
石野氏
シャオミのUIは、見た目をアップルに寄せ過ぎている一方で、動きがイマイチというか。Android同士でもサムスンほど洗練されている印象がないんですよね。
法林氏
正直なところ、シャオミのUIはダメだよね。
佐藤
僕も使いにくいと思っています。
法林氏
そうだよね。あくまでシャオミ用になっている感じ。
石野氏
動きがかなりざっくりしている。アップルとかサムスン、あとGoogleなどは、繊細な動きの制御がよくできていて動きに気持ちよさがあります。
法林氏
指紋センサーを長押ししたら、アプリのショートカットが選べる機能もアプリは出荷時設定のものしか選べなくて、全然使えない。本当は決済アプリとかを割り当てたいのに。
石川氏
Xiaomi 15 Ultraは、グリップ部分のすぐ近くにインカメラ、アウトカメラを切り替えるアイコンがあって、何度も誤タップしてしまいます。
法林氏
Xiaomi 15 Ultraは、周りの人を見ると、グリップをつけなくなった人が増えているよね。トラブルも多いし、使いにくい。
石川氏
相変わらずバッテリーもひどいし。
関口
物欲をそそられるオプションではあるんですけどね。
石野氏
コスパはいいんですけどね。サムスンといったメーカーと比べると、洗練されきっていないかな。
法林氏
コスパ的には、Xiaomi 15Tが6万円台なのは、インパクトがでかい。ほかのメーカーの、同スペックの端末と見比べると、圧倒的。
石川氏
POCO然り、コスパのよさは異常ですよ。
法林氏
発表会では「Xiaomi SU7 Ultra」(シャオミ開発のEVスポーツカー)も展示されていたね。保安基準の関係で、日本では登録ができないけど、展示時の移動のために、わざわざ仮ナンバーも取得したとか。
石川氏
早くサーキットで走って欲しいです。ほかの話題としては、直営店を増やすし、保証サービス、買取サービスも始めて、結構頑張っています。
関口
お店周りとかサービスとか、今回はXiaomi EXPOとして開催しているだけあって、充実していましたね。
石川氏
Xiaomi EXPOはすごいなと思いましたね。発表会を金曜日にやって、そのまま土日に開催する。
法林氏
すぐそばで工事していて、騒音がすごかったのが災難だったね。場所に関しては、いろいろ探してみたけど、人通りが多いところとして、秋葉原を選んだみたい。
石川氏
場所はよく考えられているなと思いましたよ。一般の人の目に触れることを考えている。
石野氏
ただ、Xiaomi Tシリーズの時にやることなのかな。
法林氏
日本で売ることを考えたら、Tシリーズでいいんじゃない。
石川氏
Ultraは、あくまでユーザーを選びますからね。
佐藤
Xiaomi EXPOでは、タブレットも登場しましたね。Xiaomi Pad MiniはWi-Fiのみで、12型のREDMI Pad 2 Proに、5Gモデルがあります。
関口
サイズ感はよさそうですね。
法林氏
額縁も狭いしね。
石野氏
本気で攻めてきている印象は受けますが、やっぱりXiaomi 15Tシリーズが、キャリアで取り扱われていないのが惜しい。ここまでキャリアの販路を開拓してきて、Xiaomi 14T Proはソフトバンクで安く売られていただけに、ちょっと残念ですね。
ヨーロッパとかでは、大量に製品を出すのと同時に、キャリアにもシャオミコーナーがあるくらい浸透しています。日本ではそこを攻略しきれていない中で、ここまでスマートフォンのバリエーションを増やして大丈夫かなと、ちょっと心配になります。
関口
ユーザーとしても、売り続けてくれないと不安になりますよね。
石野氏
そうなんですよ。キャリアでシャオミ端末を購入したユーザーの、買い替え先がなくなってしまう。
法林氏
発表会では、2025年上期にPOCOシリーズをたくさん出して、話題になったのがよかったと話していたけど、それはあくまでシャオミ側の話であって、ユーザーは端末の判別がついているのか。
佐藤
似たような価格帯の端末が多いですしね。
法林氏
Xiaomi 15T Proは、FeliCaを搭載して、できればキャリアに採用してもらいたいという目論見で開発しているだろうけど、Xiaomi 15とかPOCOとかは、グローバルモデルをそのまま持ってきて、技適などの法的な要素をクリアすればいいでしょうくらいの感覚なんじゃないかな。製品に対する熱量が足りないよね。
石川氏
矢継ぎ早に出し過ぎていて、製品愛を感じないんですよ。
法林氏
ほかのメーカーには、ライバル会社が製品を出すたびに、「うちの製品ならこんなことができる」みたいな比較をしたリリースを出すところもある。露骨な比較広告は、日本では嫌われるかもしれないけど、アピールしていかないといけないこともある。
石野氏
比較内容が的を射ているのかはさておき、1台ずつ大切に売っている感じはしますよね。
法林氏
一方で、シャオミの端末は、シリーズを意識しないで、出ている端末を値段順に並べると、混乱するよね。
石野氏
端末としてはいいんですけど、出しすぎていてユーザーにちゃんと伝わってるかはちょっと引っかかります。あと、廉価ハイエンドのXiaomi 15Tと、ハイエンドのXiaomi 17の発表時期が近くなり過ぎている。ラインナップ戦略として破綻している気がします。
中国向けの発表と、グローバル向けの発表を分けるのは、中国本社の理屈からすると理解できるけど、ちょっとわかりにくいですよね。これは中国向け、グローバル発表は別でありますというロジックは、どうしてみんなが納得しているのか。
石川氏
納得はしていなんじゃない?
石野氏
モヤモヤしますよね。
法林氏
このタイミングでXiaomi 15Tが出たと思ったら、ほかの人はグローバル版を手にしている可能性もある。そこをうまく説明できていない。
石野氏
最も時期を近づけてはいけないものが、近づいてきてしまっています。僕はXiaomi 14T Proに満足していて、次のモデルが出たら買い替えようと思っていたんですけど、同じ週に中国で発表されたXiaomi 17の情報が流れてきて、買う気が失せてしまいました。どうせすぐXiaomi 17 Ultraも出るなら、待った方がいいと思っちゃいますからね。
石川氏
シャオミファンほど混乱しそうだよね。
石野氏
交わってはいけない部分が交わっています。
法林氏
中国市場で出るものと、グローバル市場で出るものが別物という前提がシャオミにはあるけど、僕たちも日本のユーザーもそう感じていない。
石野氏
その前提は、誰が共有しているのかという話です。グーグル系のアプリが搭載されていないとか、若干仕様が違う部分はありますけど。そもそもXiaomi Tというシリーズは、中国では名前が違って、REDMIシリーズとして出てきていた。これもこんがらがる原因ですよね。
Xiaomi 15Tは、コスパは高いし、デザインもいいのに、そこでXiaomi 17を出して競合させなくても……と思ってしまいます。
法林氏
しかし、Xiaomi 15(2025年4月発売)と今回のXiaomi 15T Proは、どっちが上という扱いなんだ?
石野氏
カメラ視点だと、同じイメージセンサーで、Xiaomi 15T Proの方が、望遠カメラの焦点距離は長い。
法林氏
そう考えると、Xiaomi 15の立ち位置はどうなるのかな。
佐藤
コンパクトなハイエンド端末は、意外と数がないですから。
石野氏
確かに、Xiaomi 14T Proを使っていると、大きいなと感じるシーンはありますね。
佐藤
Xiaomi 15Tシリーズも、かなり大きいですよね。
石川氏
Xiaomi 15Tシリーズは、iPhoneのPro Maxを意識しているみたいです。Xiaomi 15は、Snapdragon 8 Elite搭載ですしね。
石野氏
全部、微妙な差なんですよね。そもそもXiaomi 15Tシリーズは、Xiaomi 15の廉価版という位置付けのはずなのに、Proモデルがあるから、どっちが上かわからなくなる。
法林氏
Xiaomi 15は一時期使っていたけど、結構使いやすくて気に入った。コンパクトなサイズ感で、Snapdragonのハイエンドチップを搭載するモデルは、数が少ないからね。
佐藤
Galaxy S25のライバルって感じですよね。
法林氏
そういう意味でも春に発売されたのかな。
デザインが変わってもイヤホンジャックは踏襲したXperia 10 VII
法林氏
新端末としては、Xperia 10 VIIも出たね。カメラが横並びになって、Pixel風になったとも言われているけど。
石野氏
実物を見ると、そんなにPixel感はないですよね。
法林氏
悪くないよね。
石川氏
発表会もせず、資料だけの発信で、あんまり熱量を感じませんでした。不具合騒動があったとはいえ、発表会はあってよかったと思う。
石野氏
発表の後に、体験会はありましたけどね。端末としては、そんなに悪くないと思います。
法林氏
またしても、オーディオには頑張りを感じた。3.5mmイヤホンジャックもあるし、上下両方ボックススピーカー。音は頑張っているよね。
石川氏
これからeSIM化が進んでいっても、Xperiaには頑なに物理SIMを続けてほしいと思いましたね。イヤホンジャック、SDカードと同じように、最後まで残していってほしい。
法林氏
イヤホンジャックは、あると便利なんだよね。電話取材とかで長電話する時には、有線を使いたくなる。
関口
バッテリーの関係からですか?
法林氏
それもあるし、Bluetoothは長時間使っていると、音が悪くなることがある。
石野氏
接続の問題ですね。
石川氏
あと、人が多いと、音が途切れたりする。
法林氏
そうそう。Xperiaは、ほしい部分を残しておいてくれている。
石野氏
そういう点はしっかり差別化されていますよね。最近は有線イヤホンがまた調子を取り戻しているという話もあります。あと、Xperia 10 VIIは、シャッターボタンがついた。
法林氏
半押しでのAFロックがない、謎のシャッターボタン。
佐藤
一応、シャッターボタンではなく、「即撮りボタン」ですからね。
石野氏
ボタンでスクリーンショットが撮れるのは面白いなと思いました。ただ、撮ったスクリーンショットが、撮りっぱなしになっているのがよくない。Nothingのように、AIを使って解析してくれると便利なのに。そこにAIは出てこないのかとびっくりしました。
法林氏
価格面を考えたら、いい仕上がりだと思うし、Xperiaが好きな人からすると、待っていたという感じの端末だと思う。触った感覚としては、やっぱりオーディオがよく頑張っていた。価格としては、Xiaomi 15Tと勝負という感じ。ただ、搭載SoCはSnapdragon 6 Gen 3なんだよね。
石野氏
そう考えると、ちょっと高いですかね。
関口
シャオミを見た後だと、余計に高く感じますね。
石野氏
高いけど、ソフトバンクの1円に期待ですね。
グローバルから約半年遅れでも3キャリアで採用されるmotorola razr 60シリーズ
関口
グローバルからは半年近く遅れましたが、motorola razr 60シリーズもようやく日本で登場しました。
石川氏
半年近く遅れるのはどうなんでしょうね。そもそも日本でも発売することはわかっているはずです。このタイミングが、ユーザーが動くからというのは理解できますけどね。
石野氏
時期をずらしてこのタイミングでUltraだけを出すとかならわかるんですけど、標準モデルが10月、Ultraは12月なんですよね。
関口
今回は、ドコモも10月10日で、価格も先に出しましたね。
石川氏
珍しいですよね。
佐藤
発表会は、スマートフォンでの撮影が禁止されていてびっくりしましたね。
石川氏
びっくりだよね。スマートフォンしか持っていかなかったのに。
石野氏
今時、スマートフォンとデジタルカメラを分ける必要ってあるんですかね。
法林氏
ブランドアンバサダーの目黒蓮さんの事務所が厳しいというのはわかるけど、スマートフォン禁止じゃなくて、SNSにアップしてはいけないといったルールで十分だったはず。少なくともメディアの人間を相手にしているんだからね。撮り方にまで文句は言わないでほしい。
石川氏
フォトセッションでは、一枚も写真を撮れませんでしたよ。
佐藤
当日の案内では困りますよね。
石川氏
いや、実は一応、事前のメールに記載されていたんですけど、見落としていました。そこまで見ないですよね。
佐藤
そうだったんですね。僕も見落としていました。
石川氏
そもそも、タレントセッションが必要なのかという話もありますけど。
法林氏
あと、目黒さんはいいキャラクターだと思うし、ブランド認知度を上げるためにはいい人選だと思うけど、目黒さんが登壇する時だけ、メディア関係者の女性率が上がる(笑)。
石野氏
公私混同ですね(笑)。
関口
ただ、そういった層にリーチできているという意味では、戦略として間違っていないということになりますね。
佐藤
発表会の話が盛り上がってきましたが、端末についてはいかがでしたか。
法林氏
ヒンジをチタンにしたりと、内部構造を刷新したけど、ハードウェアの要素として、あんまり新しいものはなかったね。moto aiは頑張ったと思っていて、マルチAIプラットフォームとして、独自LLMを持たずに、GeminiやCopilotといった、いろいろなAIが使える環境を整えている。面白い取り組みではあるよね。moto aiの機能としては、FCNTのarrowsと共通する部分が多いけど。
石川氏
改めて、モトローラとFCNTのタッグは強力だなと感じました。日本市場をわかっているFCNT、調達力のあるモトローラの組み合わせで、安くいいものを作れる環境ができている。
石野氏
AI機能で、通知をまとめてくれる機能とかは、面白かったですね。あと、折り畳んだまま使えるアウトディスプレイのサイズになっているので、指で文字を打つのは面倒ですけど、音声入力やAIを使って、サッとコントロールできる。縦折りのフォルダブルは、何のために折り畳むのかという話がありましたけど、アウトディスプレイとAIを掛け合わせると、可能性を感じますね。
法林氏
アウトディスプレイで、決済用のQRコードも表示できるしね。Galaxyでもできるけど、別でアウトディスプレイにアプリを追加するためのアプリを入れないといけない。
石野氏
そうなんですよ。Galaxyの縦折りは、全アプリには対応していないので、この辺りはモトローラの方がアグレッシブです。縦折りは、モトローラの方が使い勝手がいいですね。
石川氏
ただ、絶対的な行き詰まり感はある。
法林氏
折り畳みスマートフォンとしての初代razrは、フィーチャーフォン時代の懐かしいデザインが帰ってきたという印象だったのが、次からは今のスタイル。どんどんよくなってきて、ハードウェアの構造としては、昨年モデルあたりでほぼ完成形が見えていて、今年はソフトウェアをのせてきた。石川くんの言う通り、これ以上進化するのかと言われると、難しさは感じる。
石川氏
今年、Galaxy Z Fold7がかなり薄くなって感動したけど、こういう驚きが、縦折りにもほしいですね。ただ折りたたむだけでは、誰も驚かなくなってきています。
法林氏
そういう意味では、折り畳んだ状態でのAIには、可能性があるよね。
関口
3、4年前から、モトローラはPANTONE社と組んだりと、グローバルでは、ライフスタイルに寄った展開をしていますが、路線としてはどう評価されていますか。
石野氏
いいと思います。端末の素材も、レザー調で手触りがいいですよ。






















