山根康宏の「言っチャイナよ」

2万円の激安5G機が続々、マイナス40度に耐える超タフネススマホも

世界最大のスマートフォン市場であり、世界最大の5G加入者数を誇る中国。本連載「言っチャイナよ」は香港在住の携帯電話研究家、山根康宏が中国で毎月発表される5Gスマートフォンを紹介する。

 2022年6月に発表・発売された5Gスマートフォンは7機種。今回は5月発売の3機種も加え10機種を紹介する。内訳はrealme 1機種、vivo 1機種、ZTE 3機種、その他メーカー 5機種で、例月と比べると少な目、ハイエンドモデルはZTEだけがリリースした。

 ZTEの新製品3機種は専用のセキュリティチップを搭載した新しいブランド「天機」シリーズ。Android OSを公私で切り替え安全性を高めたモデルだ。タフネススマホのAMGは2機種4バリエーションを投入、ナイトビジョンカメラを搭載する。キャリアからは中国電信、中国聯通がそれぞれ自社ブランド機を発表した。realmeとcoolpadは1000元を切る格安モデルをそれぞれ発売している。

高セキュアでセルフィー強化のZTE「天機A41」

 ZTEが独立セキュアチップを搭載し、2つのAndroid OSを公私で切り替え可能な安全スマートフォン「天機(Tian Ji)」シリーズ3機種を投入。警察、司法、緊急事態、電力、鉱業などの産業ユーザーをターゲットにする。「天機A41」はフロント4400万画素カメラを搭載したミドルハイレンジモデル。安全性を高めたモデルのためスペックに対して価格は高めだ。

主な仕様
発表日2022年5月16日
価格4399元(約8万9000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 870
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル
リアカメラ画素数6400万+800万超広角+500万マクロ
インカメラ画素数4400万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+128GB、8GB+256GB
バッテリー5000mAh、66W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n5 / n8 / n28A / n41 / n77 / n78
サイズ163.9x76.2x9.5mm、203g

Nubia Z40ベースの安全スマホ、ZTE「天機A41 Ultra」

 「天機A41 Ultra」はZTEの高安全端末「天機(Tian Ji)」シリーズ3機種の中の主力モデル。独立したセキュリティチップを搭載し、デュアルAndroid OSを利用可能。ベースモデルは2021年2月発売の「Nubia Z40 Pro」で、焦点距離35mmのポートレートカメラや80W高速充電などスペックは同等。一方フロントカメラは1600万画素から4400万画素と、天機A41同等に引き上げた。最低メモリ構成を高めるなど、ビジネス向け構成になっている。

主な仕様
発表日2022年5月16日
価格6199元(約12万4000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 8 Gen 1
ディスプレイ6.67インチ2400x1080ピクセル、144Hz
リアカメラ画素数6400万(35mm)+5000万超広角+800万5倍望遠
インカメラ画素数4400万(パンチホール)
RAM/ROM構成8GB+256GB、12GB+256GB、12GB+512GB
バッテリー5000mAh、80W充電(有線)
5G NR対応バンド不明
サイズ161.93x72.89x8.46mm、199g

アンダーディスプレイカメラ搭載の高セキュア機、ZTE「天機A41 Ultra 至尊版」

 ZTEの高セキュリティーモデル「天機(Tian Ji)」シリーズ3機種の最上位製品。同じZTEの「AXON 40 Ultra」をベースモデルとする。第三世代のアンダーディスプレイカメラ、6400万画素クワッドカメラ、80W高速充電などZTEの最高技術を搭載。独立セキュリティーチップを追加しAndroid OSを2つのモードに切り替えて使用可能。1TBモデルは9999元(約20万3000円)とかなり高価だ。

主な仕様
発表日2022年5月16日
価格7299元(約14万8000円)から
チップセットQualcomm Snapdragon 8 Gen 1
ディスプレイ6.8インチ2480x1116ピクセル、144Hz
リアカメラ画素数6400万+6400万超広角+6400万ペリスコープ3.5倍望遠
インカメラ画素数1600万(アンダーディスプレイ)
RAM/ROM構成12GB+256GB、12GB+512GB、16GB+1TB
バッテリー5000mAh、80W充電(有線)
5G NR対応バンド不明
サイズ163.2x73.5x8.4mm、204g

マイナス40度対応の超タフネス5G機、AGM「G1」

 グローバルにもタフネススマートフォンを展開しているAGMの最強モデル「G1」はIP68、IP69K、MIL-STD-810H規格をクリア。マイナス40度でも30分使用可能、高温では60度の環境下でも利用できる。赤外線を使い夜間も撮影できるナイトビジョンカメラを搭載。本体上部にレーザーを使う距離計、またはLEDライトを搭載する2つのバリエーションモデルがある。6月末から営業開始した中国第四キャリア「中国広電」対応も公式に謳っている。

主な仕様
発表日2022年6月9日
価格3699元(約7万5000円)
チップセットQualcomm Snapdragon 480
ディスプレイ6.53インチ2340x1080ピクセル
リアカメラ画素数4800万+200万マクロ+2000万ナイトビジョン
インカメラ画素数1600万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成8GB+256GB
バッテリー6200mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n28 / n41 / n77 / n78
サイズ174.8x84.2x17.5mm、360g

サーマルカメラも搭載したタフ仕様の5Gモデル、AMG「G1 Pro」

 AMG G1に温度測定ができるサーマルカメラを搭載したモデルが「G1 Pro」となる。サーマルカメラ搭載で価格は1300元(約2万6000円)増。産業用途などプロユースを意識した設計だ。なお両モデルとも背面の大型スピーカーは3.5W、112dbで屋外でも大音量で警告音などを鳴らすことができる。

主な仕様
発表日2022年6月9日
価格4999元(約10万2000円)
チップセットQualcomm Snapdragon 480
ディスプレイ6.53インチ2340x1080ピクセル
リアカメラ画素数4800万+200万マクロ+2000万ナイトビジョン+サーマルカメラ
インカメラ画素数1600万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成8GB+256GB
バッテリー6200mAh
5G NR対応バンドn1 / n3 / n28 / n41 / n77 / n78
サイズ174.8x84.2x17.5mm、370g

程よい性能のエントリー機を中国聯通が発売、「優暢享50」

 中国キャリア中国聯通の自社ブランド「U-MAGIC」最新モデル。「優暢享50(U-MAGIC You Chang Xiang 50)」は2021年8月発売の「優暢享30e」と外観はほぼ同等で1年ぶりに投入するマイナーチェンジと呼べるエントリー5G機。ディスプレイ解像度はHD+、カメラは1300万画素とスペックは控えめ。5000mAhバッテリーは22.5W充電とし、前モデルより充電速度を高めた。一方で価格は30eより100元(約2000円)引き下げた。

主な仕様
発表日2022年6月10日
価格1499元(約3万7000円)
チップセットQualcomm Snapdragon 480
ディスプレイ6.517インチ1600x720ピクセル
リアカメラ画素数1300万広角+200万深度測定
インカメラ画素数800万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成8GB+128GB
バッテリー5000mAh、22.5W充電(有線)
5G NR対応バンド不明
サイズ163.9x75.9x8.95mm、169g

1000元切りの激安5G機、「coolpad 20s」

 10年以上前にメジャーメーカーだったCoolpad(宇龍計算機通信科技)は今や細々と製品展開を行っている。「coolpad 20s」は2021年9月発売の初代5Gモデルに続く、5Gの2機種目だ。初代モデルでは果たせなかった高画質カメラの搭載と1000元を切る激安価格を実現。シャオミのRecmiや、realme、vivoの低価格機よりコスパは高く、競争の厳しいエントリー5G端末市場に戦いを挑む。

主な仕様
発表日2022年6月13日
価格999元(約2万円)から
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.58インチ2408x1080ピクセル、90Hz
リアカメラ画素数5000万+200万マクロ
インカメラ画素数800万(水滴型ノッチ)
RAM/ROM構成4GB+128GB、6GB+128GB、8GB+128GB
バッテリー4500mAh
5G NR対応バンドSA : n1 / n28a / n41 / n77 / n78、NSA : n41 / n77 / n78
サイズ163.02x74.75x8.28mm、180g

国産最新SoC搭載、中国電信オリジナル5Gモデル 「天翼一号2022」

 「天翼一号」は中国キャリア、中国電信自らがリリースするスマートフォンのブランド名。2020年に初代、2021年に二号機を出し、2022年モデルとして「天翼一号2022」がが今月発売となった。チップセットは国産を謳うUNISOCの6nmプロセスモデル、T7520を初搭載。8GBモデルは背面をレザー調仕上げにして高級感も出している。

主な仕様
発表日2022年6月16日
価格1499元(約3万7000円)から
チップセットUNISOC T7520
ディスプレイ6.5インチ2400x1080ピクセル、90Hz
リアカメラ画素数4800万+200万マクロ+200万深度測定
インカメラ画素数800万(パンチホール)
RAM/ROM構成6GB+128GB、8GB+128GB
バッテリー5000mAh、20W充電(有線)
5G NR対応バンドSA : n1 / n41 / n78、NSA : n41 / n78
サイズ161.51x74.76x7.9mm、184g

1000元切りスマホを再投入、格安5Gスマホのrealme「V20」

 1000元を切る格安5Gスマートフォンを中国で最初に投入したrealmeだが、その後は他社からも同価格帯の製品が出てきている。「V20」は999元で再度「中国最安値5Gモデル」としてアピールする製品だ。カメラは1300万画素と最小限、最近のスマートフォンと比べるとカメラ周りはミニマルデザインでシンプルな外観に仕上げている。

主な仕様
発表日2022年6月14日
価格999元(約2万円)から
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.5インチ1600x720ピクセル
リアカメラ画素数1300万+サブ(画素数不明)
インカメラ画素数500万(パンチホール)
RAM/ROM構成4GB+128GB、6GB+128GB
バッテリー5000mAh
5G NR対応バンドSA : n1 / n28 / n41 / n78、NSA : n41 / n78
サイズ164.4x75.1x8.1mm、184g

マイナーチェンジした格安5G機、vivo 「iQOO U5e」

 2021年12月発売のvivoの低価格モデル「iQOO U5」のマイナーチェンジモデル。本体サイズは同等だがチップセットを変更、またディスプレイもわずかに小型化し解像度も落している。しかしチップセットなどの供給問題のためか、価格は100元上がっている。vivoはここのところマイナーチェンジモデルを矢継ぎ早に出しており、このモデルも数カ月で後継機に置き換わりそうだ。

主な仕様
発表日2022年6月22日
価格1399元(約2万8000円)から
チップセットMediaTek Dimensity 700
ディスプレイ6.51インチ1600x720ピクセル、60Hz
リアカメラ画素数1300万+200万深度測定
インカメラ画素数800万(パンチホール)
RAM/ROM構成4GB+128GB、6GB+128GB
バッテリー5000mAh、18W充電(有線)
5G NR対応バンドn1 / n5 / n8 / n28A / n41 / n77 / n78
サイズ164x75.84x8.25mm、193g
山根 康宏

 香港在住。中国をはじめ世界中のモバイル関連イベントを毎月のように取材し、海外の最新情報を各メディアで発信している。渡航先で買い集めた携帯電話は1000台以上、プリペイドSIMカードは500枚以上というコレクターでもある。