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長時間連続駆動が可能「hp jornada 568」
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広野忠敏 昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。 (写真:若林直樹) |
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Pocket PC 2002を取り上げるのは、今回で2回目になる。NECのポケット・ギアやカシオのE-2000など発売が3月以降に延期されているPocket PCもあり、それらの機種を予約した人は待ち遠しい日々を送っているものと思う。今回取り上げるのは昨年12月にリリースされたhpのjornada 568。Pocket PC 2002日本語版を搭載したPocket PCだ。
長時間の連続稼動が可能だ
まずは、現在リリース発売されているものと、これからリリースされる予定のPocket PC 2002搭載PDAの簡単なスペック一覧を表にしてみたのでご覧頂きたい。以前に東芝のGENIO eを取り上げたときは、Poket PC 2002搭載PDAは東芝 GENIO e、hp jornada 568、NEC PoketGearの3機種のみだったが、その後カシオのE-2000が発表され、現在は4機種となっている。
機種 |
CPU |
ROM RAM |
サイズ 幅、高さ、奥行 |
重さ |
液晶画面 |
連続稼動 |
拡張手段 |
発売時期 |
GENIO
e |
ARM 206MHz |
32/64 |
77.5×125×17.5 |
180g |
TFT 6万5536色 |
12時間 |
CF Type2 SD/IO |
発売済み |
jornada
568 |
ARM 206MHz |
32/64 |
77.5×132×17.2 |
173g |
TFT(輝度センサ付き) 6万5536色 |
14時間 |
CF Type1 ジャケットでSDメモリ、PCカードを利用可 |
発売済み
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PocketGear |
ARM 206MHz |
32/32 |
78.0×126×18.5 |
190g |
TFT 6万5536色 |
12時間 |
CF
Type2 SDメモリ ジャケットでPCカード 利用可 |
3/15 |
E-2000 |
ARM 206MHz |
32/64 |
82×130×17.5 |
190g |
TFT 6万5536色 |
12時間 |
CF
Type2 SDメモリ ジャケットでPCカード 利用可 |
3/20 |
今回取り上げるhpのjornada 568の特徴は、4機種中最もコンパクトで、さらにバッテリーでの連続稼働時間が他の機種より長いことだ。半面、他の機種と比較すると本体に標準で装備されているのがCF Type Iスロットのみと、拡張性に関しては他の機種と比較するとやや劣っていると言えるだろう。本体にCF Type Iスロットのみということで、使えるカードが限られてしまうとか、PHSカードとストレージを両方使いたいひとにとっては気になる部分だろうと思う。
ただ、これは本体のみとして使った場合のことで、実に豊富なオプションが提供されていることも忘れてはいけない。カード関係では「SD/MMCストレージスロット付バッテリ」と「PCカード+SDスロット付きバッテリ」の2つの拡張手段が用意されていて、標準のバッテリと交換すると「CF Type I+SD/MMCカード」あるいは「PCカード+SD/MMCカード」として使うことができる。これらの拡張手段が単なる拡張の方法というだけでなく「バッテリ」として用意されているのがjornada 568のとてもユニークな部分なのだ。
本体には、着脱ができるリチウムポリマー充電池が採用されている。ちなみに、カタログスペックでは連続14時間の稼動が可能だ。オプションの「SD/MMCストレージスロット付きバッテリ」を装着するときは、本体のバッテリーを外して、「SD/MMCストレージスロット付きバッテリ」をバッテリースロットに装着するというスタイル。
つまり、SD/MMCメモリを使えるだけではなく、セカンドバッテリーとして使うこともできるというわけなのだ。ちなみに、「SD/MMCストレージスロット付きバッテリ」は本体付属のものと同容量のバッテリーが、「PCカード+SDスロット付きバッテリ」には本体付属バッテリーの2倍容量のバッテリーが搭載されている。たとえば、標準のバッテリーと「PCカード+SDスロット付きバッテリ」の2つを併用すると、14時間+28時間の合計42時間もの連続稼動をさせることができるのだ。また、拡張手段を持たない普通のバッテリーも標準の2倍の容量のものがオプションとして用意されている。
たとえば、出張などにいくときは、いままでのPocket PCではACアダプタなどを一緒に持っていって、出張先で充電をしなければいけないということが普通だった。ところが、jornada 568ではオプションのバッテリを用意すれば、ACアダプタを使わずにバッテリだけで充電しないで余裕を持って使うといったことも可能なのだ。また、長時間の連続動作ができれば、いつもより長めにバックライトを点灯させ、通勤の時間を使ってゆっくりと快適にデジタルブックを読むとか、内蔵のWindows Media Playerを使って音楽やビデオを楽しむといったことも可能になるだろう。
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PCカード+SDスロット付長時間バッテリ
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SD/MMCスロット付標準バッテリ
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例によってフリップなのは非常に使いやすい
jornada 568の詳しいスペックについてはここを見ていただくとして、実際に使ってみた感じを書いておこう。
まず、本体のデザインだが、jornadaシリーズの伝統ともいえるフリップデザインを採用している。フリップはプラスチック製で、フリップを閉じると液晶と本体のボタンがすべて隠れるようになっている。フリップによって液晶が保護されるのは、使っていてなかなか気持ちがいい。
フリップデザインではないPDAのときは、実際に持ち運ぶときにケースに入れたりとなんらかの手段で液晶を保護しておかないと、使っているうちに液晶面がキズだらけになってしまって、液晶の視認性が落ちることもある。その点、jornada 568ならば使わないときにフリップを閉じて、そのまま携帯することができるので便利だ。
バッグやポケットからさっと取り出して、フリップを空ければ使うことができるし、使い終わったらフリップを閉じてそのままバッグやポケットに入れればOK。ある意味気軽に使うことができるPDAだと言うことができるだろう。ちなみに、フリップは取り外すことも可能だ。
本体左サイドの上下ボタンは片手操作に便利
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hp jornada 568 実売価格は7万円前後。Pocket PC 2002日本語版搭載機では、最もコンパクトでバッテリー駆動時間が長く実用的なPDA。CFスロットがType I対応なのが惜しまれる
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また、jornada 568には本体の左サイドに上下移動のためのボタンが装備されているが、このボタンがかなり使いやすいのである。Pocket PC 2002搭載の多くのPDAでは、本体前面のスクロールボタンを使っての操作が可能だ。もちろん、jornada 568でも上下左右のスクロールボタンが装備されている。PDAを操作するときは、スタイラスで液晶表示をタップするのが基本だが、項目の選択やスクロールなどの操作はスクロールボタンを使ってもOKだ。
たとえば、Pocket PC 2002で住所録やスケジュールを確認したいときは、スタイラスをタップして住所録やスケジュールを操作する方法と、本体の住所録やスケジュールボタンを押してから、スクロールボタンを使って確認する方法の2つがある。
荷物を持っているときや電車の中など、片手で操作したいときは後者の方法で確認すればスピーディーに使うことができる。ただ、片手でボタンを使って操作しているときに、本体前面のスクロールボタンを操作すると、右方向のキーが押し辛かったり、ホールドしにくいため操作中にうっかり本体を落としそうになってしまうことがあるのだ。手の大きな人や、指が長い人ならば問題はないとは思うが、手が小さかったり指が短かったりするとこうした傾向になると思う。
jornada 568では本体左サイドの上下スクロールボタンを使って、項目の選択やスクロールの操作ができるようになっているが、このボタンは、本体を左手で持ったときにちょうど親指があたる位置にあり、親指でボタンを軽く押すだけでスクロールができるのが便利なのだ。前面のスクロールボタンを押そうとしてうっかり手をすべらせて本体を落としてしまうなんてこともなく、確実に本体をホールドしつつ操作をすることができるというわけだ。また、本体左サイドのボタンでスクロールさせつつ、スタイラスで操作するといったことも可能だ。
ところで、Palm-size PCやPocket PCの初期の製品は前面のスクロールボタンがないかわりに、本体の左サイドにアクションコントロールと呼ばれる、スクロールと決定のためのジョグっぽいボタンがあった。iPAQ以降の製品では前面のスクロールボタンだけという機種がほとんどなのだが、手の比較的小さな人が片手で使うためには、圧倒時にアクションコントロールの方が使いやすい。そのため、Palm-size PCや初期のPocket PCは操作しやすかったのに、Pocket PC 2002になって操作しにくくなった、なんて感じている人も多いハズだ。
新しい製品を作る時は、古い資産を切り捨てるのではなく、古くても良いものは引き続き採用するという姿勢は大切なことなのではないだろうか。PDAにおけるボタンの配置や機能はその性能以上に使いやすさを決定付ける重要な要素なので、ぜひとも他のメーカーも見習ってほしいものだ。
■ 評価(最高点は★5つ)
イバリ度 |
★★★★ |
シルバーが基調の男の子っぽいデザインが良いです。十分にイバれるでしょう。
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実用性 |
★★★★ |
バッテリーによる連続稼働時間が長いのはポイントが高いです。あと、周囲の明るさによってバックライトを自動的にオン・オフする機能も付いています。
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お値段 |
★★★ |
Pocket PC 2002搭載PDAとしては標準的な価格帯です。
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価格 |
7万円前後 |
あいかわらず搭載スロットが1つで、コンパクトフラッシュ対応でありながらType Iにしか対応していないというのが気になる部分。CF Type Iに対応した製品はメモリカード以外は非常に少ないので、使えるカードが限られてしまいます。スロットが1つなのは百歩譲って許せたとしても、やっぱりType Iのみ対応ってのはいただけません。
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予想利用期間 |
1年くらい
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1日あたり単価 |
195円
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・ hp jornada 568ニュースリリース
http://www.jpn.hp.com/companyinfo/pressrelease/fy2002/cbo01jor568.htm
・ hp jornada 568製品情報
http://www.jpn.hp.com/hho/jornada/568/
・ 日本HP、Pocket PC 2002日本語版を搭載した「hp jornada 568」
(広野忠敏)
2002/02/13 17:07
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