ケータイ Watch
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おとなのおもちゃタイトルGIF
それなりに快適な「Picwalk SH712m」
広野忠敏 広野忠敏
昭和37年新潟に生まれる。仕事はライターとプログラマの2足のわらじを履いている状態。どちらかといえばハードウェアよりはソフトウェアや技術的なものが得意である。ちなみに、2足はきこなしているかどうかはちょっと疑問。また、怪しげな小さいものと怪しげなプログラムと新しいものには目がないけど最近はちょっとパワーが落ちてきているかな。
(写真:若林直樹)


 いよいよというか来るべくして来たというか、やっと音声通話機能と音楽配信サービス「M-stage music」の両方を利用できるPHS端末「Picwalk SH712m」が、NTTドコモからリリースされた。しばらくコイツを使い倒す機会ができたので、今回は音楽配信を含めてSH712mをレビューしてみよう。


音楽配信端末としてのSH712m

Pickwalk SH712m。123×42×29mm(縦×横×厚)で、重さは99g。重さ的には折りたたみ型並。着信メロディは4和音に対応。
 通勤電車の待ち時間の間に、好きな音楽をサクっとダウンロードして電車の中で音楽を楽しむ。音楽配信機能が使えるケータイやPHSは、今までは絵に書いた餅や21世紀の夢として語られてきた話だが(ホントか?)、PHSの高速通信機能を使い、そうした夢も現実のものになりつつある。それが今回紹介する「SH712m」で利用できるNTTドコモの「M-stage music」であり、DDIポケットの「Sound Market」である。

 M-stage music対応端末としては、すでにNTTドコモからは「Picwalk P711m」という音楽配信専用のPHSがリリースされていたが、今回の「SH712m」は音声通話もメールもできるし、ドコモのブラウザメニューサイトやiモード勝手サイトの閲覧もできる「ブラウザホン」としての機能を持つ。まさに、欲しい機能満載のPHSなのである。

 なお、SH712mのPHSとしての機能などはドコモの製品紹介などを参考にしていただくとして、ここでは音楽配信や音楽プレーヤーとしての機能を中心にレビューしていくことにしよう。

 まずは音楽配信サービス「M-stage music」について。M-stage musicは「SH712m」などで利用できるドコモの音楽配信サービスである。たとえば、フツーにMDウォークマンとかネットワークウォークマンとかその手の携帯用音楽プレーヤーを使っているときに、出先で「ああっ、あの曲が聞きたい」と思うのは結構よくあることである。音楽配信サービスに聞きたい音楽が登録されていれば、その場でダウンロードして聞くことができるので、まさに理想の音楽環境を作ることができる……ハズである。

 現存するすべての楽曲がM-stage musicで配信されていれば、そりゃいいんだけど、実際の話そんなに大量の音楽が配信されているわけではない。とはいっても、サービス開始当初は最新のJ-POPヒットチャートなんぞかけらも配信されていなかったM-stage musicだが、最近は曲数も充実し、最新の「M-stageガイドブック」によると300アーティスト以上、約850曲の登録があるのだそうだ。「aiko」とか「倉木麻衣」あたりのJ-POPのヒットチャート上位に入るアーティストなんかも、じょじょに登録されつつある。まあ、このあたりはアーティストや提携配給会社の意向とかもあるので「おお、めっちゃ使えるぜっ」って環境になるには、それなりに時間が必要なのかもしれない。そうなったら便利だけど。


 ちなみに、気になる料金はというとPHSの基本料のほかに、M-stage music付加機能使用料として月額200円と、1分15円の通信料が課金される。さらに音楽データをダウンロードするときは、1曲あたり150円から350円が課金される。試しに「浜崎あゆみ」の「Evolution "Original MIX"」をダウンロードしてみたが、これにかかる音楽料金は350円、曲のサイズは約4.6Mなのでダウンロード時間は約10分。つまり350+15×10ということで500円程度の料金がかかることになる。お手軽はお手軽だけどやや高めの価格設定と言わざるを得ないだろう。

 まあ、楽するために多少はお金を払っても良いという人にはいいかもしれない。このあたりの価格設定は著作権使用料などのカラミもあるし、じゃあ利用料金をタダ、あるいは低価格にしたら誰がアーティストにお金を払うの? という問題もある。我々ライターも印税や原稿料なしじゃ生活できなくなっちゃうし、「じゃあ二次使用料はタダで」とか言われたらやっぱり怒ります(笑)。ただ、この状況がまったく変わらないというわけではないハズ。

 インターネットも含めオンラインでの配信は、すでに大きな時代の流れとなっているので止めることはできない。ゆえに、通信料もより安くなるだろうし、著作権使用料についても我々ユーザに優しい料金設定になると信じたい。せめて、通信料も含めてレンタルCD並みの値段になれば言うことないんですけどね。新譜はちょっと高いけど旧譜はかなり安くするとか色々方法はあるハズ。

 なお、M-stage musicには視聴モードもあり、サビの部分30秒程度の視聴もできる(この場合は通信料のみ課金される)。また、ダウンロード中に切断されてしまったときでも、再接続時にダウンロードを途中から再開することも可能だ。

 連続通話時間は約7時間で、連続待受時間は約400時間。連続再生時間は約5.5時間となっている。音楽プレーヤーとしてみた場合、連続再生5.5時間というのは妥当なセンだが、当然のことながら通話をすればするほど、再生時間は短くなってしまう。本格的に使うなら予備のバッテリを用意するのが賢明だろう。


携帯プレーヤーとしてのSH712m

メモリースティックスロットは本体背面下部
 ところで、SH712mは一体どこに音楽を保存するのか。本体にはMG対応メモリースティックスロットを持ち、スロットに格納したMG対応メモリースティックに音楽を保存するのである。本体には標準でSHARPのロゴ入り64MBのメモリースティックが付属している。著作権保護にはOpenMG方式、音楽の記録方式にはATRAC3が採用されているのだ。

 これはどういうことかというと、auのC404Sやソニーから発売されているMGメモリースティック対応のネットワークウォークマンなどと同様に、SH712mは普通のソリッドオーディオプレーヤーとしても楽しむことができるのだ。つまり、M-stage musicで配信されている音楽を楽しむだけではなく、手持ちの音楽CDをMGメモリースティックにエンコードして持ち歩くことも、つまりソリッドオーディオプレーヤー+PHSとして使うこともできるのである。

 ただし、MGメモリースティックに音楽CDの音楽を格納するには、「OpenMG JukeBox 2.0」とMGメモリースティックスロット内蔵のVAIO、またはUSB搭載のWindowsパソコンとソニーから発売されている「USB対応マジックゲートメモリースティック リーダー/ライター(MSGC-US10)」が必要だ。これらがあれば、パソコンを使って手持ちの音楽CDをメモリースティックにエンコード、SH712mで再生することも、インターネットのEMD(音楽配信サイト)から購入した音楽をメモリースティックに入れて、SH712mで再生することもできる。

 さらには、「OpenMG JukeBox 2.0」用の「OpenMG Jukebox Ver.2.0 Move機能 拡張プログラム」をインストールすれば、M-stage musicでダウンロードした音楽をつまりパソコンに移動して使うこともできる。つまり、ダウンロードした音楽でメモリが一杯になっても、パソコンに移動させればメモリの容量を空けてまた音楽をダウンロードすることができるのだ。消去ではなく移動なので、M-stage musicでダウンロードした音楽をライブラリ化できるというオマケ付きなのである。

 というわけで、SH712mはかなりというかすごく自由度の高いPHSであるというのは言うまでもない。ただ、惜しいのはその大きさ。他のPHSと比較するとやや厚みがあり、単機能のソリッドオーディオプレーヤーと比べてもやはり大きい。ただ、音楽配信対応端末のうち、どれを選択すればいいかと問われれば、迷わずSH712mと答えたい。

 なぜなら、M-stage musicの音楽配信も使えるし、パソコンとMGメモリースティックを読み書きする機器があれば、それこそ好きな音楽を自由に持ち歩くことができるからだ。たとえば、64Mのメモリースティックを1枚買い足して、1枚はお気に入りの音楽をCDから取り込んでおく、もう1枚は飽きたとき用にM-stage Musicからのダウンロード用に使う、そんな使い方も可能なのだ。メモリが一杯になったらパソコンに移動すればOpenMG JukeBoxの音楽ライブラリもさらに充実ですからね。


■評価(最高点は★5つ)
イバリ度 ★★★★  これをイバらなくて、なにをイバるのという感じですね。PHSなのでイバり度はやや少なめではありますが……
実用性 ★★★★  ソニー製メモリースティック内蔵ケータイと比較すると、音楽配信を受けられるということで一歩先を行っています。音楽配信は高いけどねえ。iモードでパケット使いすぎでたくさんお金を払っている人も多いと聞くけれど、M-stage musicが普及すれば、現状のiモードパケット貧乏状態と同じような人が増えるんでしょうねえ。
お値段  値段はPHSとしてはかなり高め。ただ、現在PHSの新規契約や機種変を考えていて、ソリッドオーディオプレーヤーも欲しいというなら買いかもしれません。
価格 3万2000円  SH712mだけど、一点だけ不満なことがあるんですよね。それはヘッドホン端子。ヘッドホン端子はいわゆる普通のミニヘッドホンジャックなので、添付されているレシーバ以外のヘッドホンも使えます。着信したときもわかります。そこまではいいんですけど、通話をヘッドホンでは聞くことができないのです。なので、着信したら素早くヘッドホンを外してから電話するというマヌケな図式が展開するのです。せめてヘッドホンで電話の音声が聞こえれば、ヘッドホン+本体マイクで通話ができて便利なんですけどねえ。惜しいよなあ。
利用期間 180日くらい
1日あたり単価 178円


・ SH712mの製品紹介
  http://www.nttdocomo.co.jp/m_c/mstage/music/product/sh712m.html
・ M-stage music
  http://www.nttdocomo.co.jp/m_c/mstage/music/home.html

ドコモ、通話もできるM-stage music対応PHS「Picwalk SH712m」


(広野忠敏)
2001/05/26 11:41

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