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イケてるiLife '09
スタパ齋藤 スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


イケてるiLife '09

 2009年1月28日に発売されたアップルのiLife '09。Macに付属するマルチメディア系ユーティリティパッケージですな。その最新版がかなりイイというので使ってみたら、ニャニャ!! これはイカシてるかも!! と感じたのでレポートしてみたい。


アップルのiLife '09。静止画閲覧・編集ソフト、動画編集ソフト、音楽制作・学習ソフト、Webページデザインソフトのパッケージだ。現在売られているMacには既にインストールされており、単体では8,800円で売られている。また、旧バージョンのiLifeから安価にアップデートできるiLife '09ハードウェアUp-To-Dateプログラムも用意されている

 iLife '09(以下、iLife)に含まれるソフトウェアは、iPhoto、iMovie、GarageBand、iWebの「'09バージョン」とiDVDとなる。Macユーザーならどれもおなじみのソフトですな。

 iPhoto '09は、写真の整理や簡単なレタッチを行える静止画統合ソフト。'09バージョンに加わった「人々」や「撮影地」といった新機能が斬新&便利&楽しい。


iPhoto '09の表示例。基本的には画像ブラウザですな 驚けるし実に便利だったりする“顔認識機能”を搭載。顔と名前を紐付けして記憶し、静止画の管理を楽しく容易にしてくれる機能なのだ カンタンに使えるけれど効果的な画像補整機能も搭載する

 iMovie '09は、いわゆるヒトツのカンタン動画編集ソフト。なのだが、AVCHDのハイビジョン動画をサクサク編集できたり、ビデオ映像の手ブレをソフトウェア的に補正できたり、編集操作そのものを直感的に行えたりするヒッジョーに秀逸&実用性の高い動画編集ソフトだ。


iMovie '09の表示例。下側に素材となる動画、左上に編集中の動画(プロジェクト)、右上のプレビューウィンドウがある。素材の一部を選んだりして、プロジェクト部分に並べていって編集するが、初心者でも直感的に操作できる トランジションなどの特殊効果も手軽に扱える。ソフトウェア的にブレたり揺れたりしている動画を補正してしまう機能も秀逸。独自の中間ファイルを使って編集するので、ノート型MacでもAVCHDのハイビジョン動画を快適に編集できる

 GaregeBand '09は、従来の手軽な音楽製作手順を受け継ぐMacベースの音楽制作環境。ユーザーフレンドリーなインターフェースを使いつつ、ループサウンドを使ったりしての楽曲作りを楽しめる。また、最新版ではピアノやギターを学習できる機能も追加された。


GaregeBand '09の表示例。ACIDのようなループ編集ソフトで、これまた直感的に音楽を組み立てていける 新たに加わったレッスン機能。ピアノやエレキギターをインタラクティブに独学できるコンテンツだ。第一線で活躍するアーティストが教えてくれる有料コンテンツもある

 iWeb '09は、Webサイト/Webページ製作ソフト。ドラッグ&ドロップしつつテキスト書きつつ、てな感じの操作で見栄えの良いWebサイトを作れる。写真の下にその写り込みがあるイメージなんかも一発でデキちゃう。


iWeb '09の表示例。ドラッグ&ドロップな感じで見栄えの良いWebページを作っていける アップルな雰囲気の鏡像写り込みイメージもサクッと作れるヨ!!

 どれもヒジョーに楽しみつつ使えるソフトだが、拙者的に良かったのはiPhoto '09。あとiMovie '09も。これらのアプリを使うためにMac本体を買うのもアリだと感じたりして。てコトで以降、iPhoto '09の使用感に絞ってレポートしてみたい。


顔で写真を探せるiPhoto '09

 iPhoto '09(以下、iPhoto)は多くのMacユーザーの常用していると画像ブラウザですな。Macに取り込んだデジカメ画像を自動的に管理してくれて、若干の画像補整もでき、スライドショーなんかも楽しめて……的な、今時的静止画統合ソフトだ。

 拙者的に特にキたのは、新機能となる「人々」機能。これ、静止画上にある人間の顔を自動認識し、人の名前で画像管理ができるというもの。

 使用感は至って平易。1枚の画像を表示し、[名前を付ける]というアイコンをクリックする。と、iPhotoが画像中の顔を検出し、そこに本人の名前を付けられる。同時に、ライブラリの「人々」カテゴリ内にその人物の項目ができる。さらに、その項目を開くと、なななナンと!! iPhotoちゃんが“同じ人と思われる人が写っている写真”をピックアップしてくれるのだ。

 以降、iPhotoの提示に応じ、顔が誰なのか「その人の名前」を入力していけば、人物名から写真を検索しまくれるようになる。なお、集合写真の場合、複数の顔を認識し、それら複数の顔に対してそれぞれ名前を付けることができる。……って、文章だといまいちイメージが掴みにくいと思うので、写真で見ておくんニャさい。


iPhotoの「人々」機能。人の顔と名前を紐付けし、人名で写真を検索できるようにする機能だ まずは人物(の顔)が写っている写真を表示。次いで、右下の[名前を付ける]ボタンをクリックする すると、このように人間の顔が自動認識・選択される。「不明な人」となっているのは、まだiPhotoに対してこの人たちの名前を教えていないからだ

そこで各人の名前を入力してやる すると、このようにライブラリの「人々」カテゴリ内にその人物の項目ができる その人の項目を開くと……iPhotoが「この人が写ってると思わしき写真みっけ!! これって、あいちゃん?」的に提示してくれる。ので、早速[名前を確定]アイコンをクリック

登録済みの名前をほかの類似顔写真に付ける場合、顔と認識された部分が拡大されるので作業しやすい。名前の確定や、誤認識の指摘はクリックで行える 集合写真から「あい」ちゃんと思わしき顔を発見したところ。このような場合、ほかの人の名前もどんどん入力しちゃう iPhotoによる顔認識~提示、ユーザーによる名前付け作業を数度行うとこんな感じ。Mac内の写真を人物名で検索できるようになるのだ

 ソフトウェアによる顔認識はさほど珍しいコトではないが、iPhotoでの顔認識技術の使われ方、アッタマイイ~!! とか思いましたよええ。

 確かに、撮る写真の多くに人が写っている、し、その人の名前も知っていたりする。名前による画像検索ができれば超便利。だけど写真に名前って……どうやって? という問題をスゲくスマートに解決してくれている。
 なお、顔認識の精度だが、作業を進めていくとかなり高くなる感じ。最初はビミョーに似てる人も「この人って、あいちゃん?」的に提示してくるが、作業を進めると徐々に精度が上がり、ズバリその人だけを提示することも少なくない。


写真を地図で探す、地図と楽しむ

 iPhotoはジオタグ(デジカメ画像に付加されたGPS位置情報)にも対応している。画像に位置情報がある場合、それを検索やカテゴリ分けの情報として利用できるのだ。

 例えば、iPhone 3Gで撮った写真をiPhotoで扱えば、撮影地をもとに写真を検索することができる。また、位置情報を持たない画像にジオタグを付加することも可能なので、全ての写真を位置情報とともに扱うことができる。

 ちなみに、地図はGoogleマップ。なので、航空写真とともに写真撮影位置を確認したりもできる。


撮影地機能の表示例。地図上のピンは、その場所で撮った(その位置のジオタグを持つ)写真があることを示す。この機能をある程度使っていくと「このヘンの写真はないなぁ」「この国には行ってないんだなぁ」てなコトがわかって興味深い 階層的な検索表示も可能。日本の、京都の、清水寺の……というふうに地名から写真を探していけるのだ ジオタグを持たない画像に位置データを付加することもできる。イベント毎に一気に位置データを加えることもできるので、手動でのジオタグ付加はそーんなに面倒ではない

 この機能、写真好きの人はもちろん、アウトドア派や旅行好きにはチョー便利&楽しい機能ですな。これまで、写真は日付データやユーザーが付加した検索用テキストで探したり眺めたりしてきたわけだが、iPhotoを使えば写真を撮影地から探せる。逆に、地図を眺めて「ここってどんなトコロだっけ?」などと写真とともに思い出を振り返ることもできる。

 単純に写真と地図が連動表示される機能なのだが、使ってみるとイロイロな“気づき”があったりも。例えば、旅先(で撮った写真)の位置が地図上にピンで表示されるわけですよ。そんなのを眺めていると、「あー俺って日本海側には全然行ってないんだなぁ」とか気づいたり。「じゃあ今度は日本海ツアーを!!」とか思ったり。なんかiPhotoが新たな興味を与えてくれる感覚である。

 前述の顔認識機能にもそんな実感がある。「人々」カテゴリを見ていたら、よく会う友達なのに写真が僅少!! それって微妙に寂しい!? じゃあもっとアイツの写真を撮ろう、とか思ったりして。

 そんなこんなで、使っていて楽しめるんですな、iPhoto。多量の写真は扱うのが面倒だが、ユーザーの興味や視点で扱えたとき、「やっぱ写真って楽しいわ」と思わせてくれたりする。大切な写真の価値を、最小限の手間で再確認させてくれる感じであり、こういう設計思想はアップルらしいなぁとか思う次第だ。


一度はやりたい“オリジナルフォトアルバム”製本

 ほかにも、なーんかカッコいい音楽&エフェクト付きスライドショーとか、手軽だけど使える画像補整機能とか、イロイロと楽しかったり便利だったりするiPhoto。

 わりと多機能なのだが、どの機能も直感的に使えて、面倒くさくナイのがiPhotoのイイところ。そんな観点で、拙者的に「コレなら絶対一度ヤリたい!!」と思ったのは、iPhotoプリントサービス。iPhoto上の写真を紙の写真集として製本してくれるオンデマンドプリントサービスだ。

 そういうサービスがあるってコトは知っていたんだが、製本された実物を見たことがなかったし、まあよくあるプチ面倒なオンラインプリントサービスでしょ、とか思ってフツーにスルーしていた。

 が!! 製本されたフォトアルバムを見たら、コレがモノとしてイイ感じなのである。もしかしたらお値段ちょっと高めだけど、質感としてはわりと高級な製本。豆本とかチョー欲しくなった。


この本は21.5×28cmのハードカバー。20ページで3675円なので、ビミョーに高い気がするが、作りは上々。最大100ページまで作れたりする ソフトカバーの本やリング綴じの本も作れるほか、6.7×8.9cmの豆本を作ることもできる iPhotoを使えばページ中に地図を入れられる。見栄えの良い本格風味アリの地図だが、作るのはめちゃカンタンだったりする

 また、iPhoto上での手順も容易。例えばレイアウトなど、凝れば細かい部分まで自分で設定していけるが、オートフロー機能を使えば基本は自動。で、後で気に入らないページ(写真位置)などをチョイと修正って感じ。非常にお手軽に、かなり見栄えのする写真集を作れて、そのままMac上から製本の注文ができる。


本の作り方はイージー。例えばまず、京都旅行の写真が多々入った項目を選ぶ で、作品ボタンからブックを選んでみる 次に、どんなブックにするかを選択。どんな製本タイプがあるのかはココ

これがオリジナルアルバム制作開始の表示。自分で写真を配置することもできるが、ちょっと面倒なので…… オートフロー機能を使う。この機能により、各ページに写真が自動的に配置されるのだ 基本的には、これでフォトアルバムができあがり。本のタイプによっては、テキストを入力する必要がある

自動処理だが、それなりに楽しいレイアウトになっちゃったりする。各ページは別のレイアウトに変更することも容易だ 地図を入れることもできる。試しに、この右ページを地図のページにしてみたい レイアウトとして地図を選び、表示したい地点を検索/入力する。と、地図上に地点が表示され、必要とあれば地点を矢印で結ぶこともできる。矢印描画は自動

 この機能はiPhoto '09以前にもあったものだが、ほかの新機能と組み合わせて使うと楽しそうですな。例えば「人々」機能を使えば、特定の人物だけの写真集をサクッと作れるし、地図系の機能を使えば紀行な感じの本を短時間で作れる。ページ中に矢印&地名入りの地図なんかを作るのも容易なので、手間をかけずに玄人が作ったよーな本を完成させられそうだ。

 てなわけでiPhoto '09、かな~り楽しめる。し、実用的ですな。iLife '09にはiMovie '09とかGarageBand '09も含まれている。とりわけiMovie '09については、拙者が去年末に買ったMacBookでAVCHDのハイビジョン動画をフツーに編集できちゃってビックリ。拙者の動画処理問題が一気に解決しそうな予感──ハイエンドなWindows PC買わなくて済むかも~、てな感じである。

 iMovie '09についてはさらに使い込んでみてレポートしたいが、ともあれ、こういうイカシたソフトがプレインストールされている今時のMacは率直に魅力的。まだ触れていない人はゼヒ、2009年のMacをイジったりしてみてほしい。



URL
  「iLife '09」製品情報(アップル)
  http://www.apple.com/jp/ilife/

2009/03/16 11:01

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